※本記事にはPR・アフィリエイト広告を含む場合があります。制度・法令に関する内容は2026年8月時点の公表情報をもとに整理しています。実際の運用では、都道府県・保健所・勤務先の手順もあわせて確認してください。
結論からいうと、薬局の管理に関する帳簿は「薬局を適切に管理していたことを残す法定の記録」です。
薬機法施行規則第13条では、薬局開設者が帳簿を備え、薬局の管理者が試験検査・不良品の処理・その他薬局の管理に関する事項を記載し、薬局開設者が最終の記載の日から3年間保存することが定められています。
- 根拠は薬機法施行規則第13条
- 帳簿を備えるのは薬局開設者、記載するのは薬局の管理者
- 法令上明示されるのは「試験検査」「不良品の処理」「その他薬局管理事項」
- 厚生労働省通知では「開設者へ述べた意見」「構造設備の点検結果」なども記載事項の例として示されている
- 毎日何か1行書くこと自体が目的ではなく、必要な管理事項を適切に記録する
- 保存期間は最終記載日から3年間
- 調剤録・処方箋・医薬品の購入等記録・麻薬帳簿とは別物なので混同しない


管理薬剤師になったばかりの人が迷いやすい書類の一つが、薬局の管理に関する帳簿です。
「管理帳簿」「薬局管理簿」「管理薬剤師日誌」など、会社や地域によって呼び方が少し違う場合もあり、前任者から「毎日ハンコを押せばいい」「何かあった日だけ書けばいい」と異なる説明を受けることもあります。
しかし、検索で知りたいのは単なる書き方ではなく、何を記載する義務があるのか、どこまで書けばよいのか、保存期間は何年か、立入検査で何を見られるのかという実務です。
この記事では、厚生労働省の法令・監視指導資料をもとに、超初心者でも迷いにくいように「根拠→記載事項→記載例→保存→点検→立入検査」の順で解説します。

- 薬局の管理に関する帳簿とは?
- 薬局の管理に関する帳簿には何を記載する?
- 毎日必ず管理帳簿に何か書かないといけない?
- 薬局の管理に関する帳簿の記載例
- そのまま使える管理帳簿の基本テンプレート
- 薬局の管理に関する帳簿の保存期間は何年?
- 紙の帳簿と電子データ、どちらで管理する?
- 管理帳簿と他の帳簿・記録は何が違う?
- 立入検査では管理帳簿の何を確認される?
- 管理帳簿でよくあるNG例
- 管理薬剤師が交代するときはどう引き継ぐ?
- 在庫管理の記録は管理帳簿に書く?
- 薬局の管理に関する帳簿を運用しやすくするコツ
- ケース別|こんなとき管理帳簿にはどう残す?
- 管理帳簿を見直すときの優先順位
- 管理帳簿を新人・事務スタッフにも分かる運用にする
- よくある質問
- まとめ|管理帳簿は「薬局をどう管理したか」が分かる記録にする
- 参考資料
薬局の管理に関する帳簿とは?
薬局の管理に関する帳簿とは、薬局の管理に関する重要事項を記録するため、薬局に備える帳簿です。
根拠となるのは、医薬品医療機器等法(薬機法)の施行規則第13条です。ここでは大きく3つのルールが定められています。
| 項目 | ルール |
|---|---|
| 帳簿を備える | 薬局開設者が、薬局に管理事項を記録する帳簿を備える |
| 帳簿へ記載する | 薬局の管理者が、試験検査・不良品の処理・その他薬局管理事項を記載する |
| 帳簿を保存する | 薬局開設者が、最終記載日から3年間保存する |
ここでまず押さえたいのは、「帳簿を備える人」と「記載する人」が条文上は分けて書かれていることです。
薬局開設者が法人の場合、実際の店舗では管理薬剤師が帳簿の記録・確認を日々担うことが多いでしょう。しかし法令の構造としては、開設者にも「備える」「保存する」という責任があります。


薬局の管理に関する帳簿には何を記載する?
薬機法施行規則第13条第2項では、薬局の管理者が記載する事項として、次の3つの枠が示されています。
- 試験検査
- 不良品の処理
- その他当該薬局の管理に関する事項
ここで注意したいのが、「その他薬局管理事項」の範囲です。条文だけを読んで、温度・棚卸・研修・クレーム・ヒヤリハットなど、薬局内のすべての記録を無条件に管理帳簿へ書かなければならないと考えるのは早計です。
一方、昭和55年の厚生省通知では、管理帳簿の記載事項の例として、条文に書かれた事項のほか、薬局開設者へ述べた意見、薬局の構造設備の点検結果に関する事項等が示されています。
つまり実務では、「薬局の適正な管理について後から確認できる必要な記録」として何を残すかを考えることが重要です。
① 試験検査
薬局開設者には、調剤した薬剤や薬局医薬品等について必要な試験検査を行うための設備・体制に関する規定があります。実際に試験検査を行った場合には、その内容や結果を後から確認できるようにします。
現代の一般的な保険薬局では、日常的に高度な製剤試験を自店で実施する場面は多くありません。しかし「うちではほぼ行わないから関係ない」と削ってしまうのではなく、自薬局で実施したときに記録できる欄・運用を用意するのが安全です。
② 不良品の処理
破損・汚損・品質異常・回収対象など、通常どおり使用・販売できない医薬品が発生したときは、事実と対応を記録します。
記録するときは、単に「不良品あり」とだけ書くより、次のように後から追える形にすると実務的です。
- 発生日
- 医薬品名・規格
- ロット番号(必要な場合)
- 数量
- 異常・不良の内容
- 隔離の有無・場所
- 卸・メーカー・本部等への連絡
- 返品・廃棄・交換など最終処理
- 記載者・確認者
③ 薬局開設者へ述べた意見
管理薬剤師は、薬局を適切に管理するために必要がある場合、開設者へ意見を述べる立場です。設備不備や人員体制、医薬品の管理方法などについて、改善が必要と判断して開設者へ意見を伝えた場合、その内容を記録しておくことは重要です。
たとえば次のようなケースです。
- 調剤室の設備に破損があり修繕を依頼した
- 冷蔵庫の不調があり交換・修理を求めた
- 保管スペース不足により医薬品管理上のリスクがあり改善を提案した
- 管理上必要な人員・業務手順の見直しを開設者へ申し出た
「口頭で言いました」だけでは、数か月後に誰がいつ何を報告したか分からなくなります。意見を述べた日、内容、相手、その後の対応を簡潔に残すと、管理者としての行動が追いやすくなります。
④ 構造設備の点検結果
薬局は許可を受けた構造設備を適切に維持する必要があります。調剤室、鍵のかかる保管設備、冷暗所・冷蔵設備、照明、換気、衛生状態など、薬局の安全な運営に関わる設備を点検し、異常があれば対応します。
点検記録は、単なる「○」の羅列ではなく、異常があったときに何をして、いつ解消したかまで追えるようにするのがポイントです。
毎日必ず管理帳簿に何か書かないといけない?
「毎日1行以上記載しなければならない」という形式的なルールが、薬機法施行規則第13条に書かれているわけではありません。
同条が求めているのは、試験検査、不良品の処理、その他薬局管理事項を帳簿へ記載することです。
そのため、会社の手順書で「毎日、管理状況を確認して押印する」と定めている場合は、その社内手順に従う必要がありますが、法令上の義務と会社独自の運用を区別して理解することが重要です。
よくある混同
- 「法令で毎日○を書けと決まっている」→ 条文上そのような日次定型文の指定はない
- 「何も問題がない日は絶対に何も残さなくてよい」→ 自薬局の点検手順・社内規程による
- 「本部の日次チェック表があるから管理帳簿はいらない」→ 管理帳簿として必要事項を満たし、保存・提示できる運用か確認が必要


薬局の管理に関する帳簿の記載例
ここからは、初めて管理薬剤師になった人でもイメージしやすいように、具体的な記載例を紹介します。実際には勤務先の様式・都道府県の指導内容を優先してください。
記載例1:外箱破損の医薬品を発見した
| 日付 | 2026年8月19日 | 管理事項 | 不良品の処理 | 内容 | 入荷時、○○錠10mg 1箱の外箱に大きな破損を確認。 |
|---|---|---|---|
| 製品は使用せず隔離。 | |||
| 対応 | 卸へ連絡し返品・交換を依頼。代替品受領まで隔離棚で保管。 | ||
| 結果 | 同日交換品受領、破損品を卸へ返品。 | ||
この例では「破損があった」だけではなく、患者へ使用されないよう隔離したこと、どのように処理が完了したかまで残しています。
記載例2:冷蔵庫の温度異常を確認した
| 日付 | 2026年8月○日 |
|---|---|
| 管理事項 | 医薬品保管設備の異常 |
| 内容 | 開局時、医薬品用冷蔵庫の表示温度が通常範囲を外れていることを確認。 |
| 対応 | 対象医薬品を別の適切な保管設備へ移動。温度記録を確認し、本部・メーカーへ使用可否を照会。 |
| 開設者への報告 | 設備修理の必要性を報告。 |
| 結果 | 修理完了。該当医薬品の取扱いはメーカー回答に基づき対応。 |
ここでは、日々の温度ログそのものを全部管理帳簿へ転記するという意味ではありません。薬局管理上の重要な異常・対応・開設者への報告を管理帳簿で追えるようにするイメージです。
記載例3:調剤室の設備不良を開設者へ報告した
| 日付 | 2026年8月○日 | ||
|---|---|---|---|
| 点検 | 調剤室設備の定期点検 | ||
| 発見事項 | ○○設備に不具合を確認。 | ||
| 管理者の意見 | 安全な業務継続のため修理が必要と判断し、薬局開設者へ修理を依頼。 | ||
| 対応状況 | ○月○日に業者点検予定。 | ||
記載例4:自主回収対象品を確認した
メーカーから自主回収情報が届き、薬局在庫に対象ロットがあった場合には、対象品を取り分け、数量を確認し、返品・回収対応を行います。
管理帳簿には、必要に応じて「回収情報受領日」「対象品」「対象ロット」「在庫数量」「隔離」「卸への返品」「患者への対応の有無」などを記載すると流れが追いやすくなります。
記載例5:薬局開設者へ人員・運用改善を意見した
薬局管理上のリスクがあると判断して開設者へ意見を述べた場合、感情的な文章ではなく、事実→懸念→要請した内容の順に記載します。
例:「○月○日、繁忙時間帯に安全な監査体制の確保が困難となる可能性があるため、応援人員の配置またはシフト見直しを薬局開設者へ意見。○月○日より応援体制を変更予定。」
管理帳簿は愚痴を書く場所ではありません。第三者が読んでも、何を問題と判断し、管理者としてどのように行動したかが分かる記録を意識しましょう。
そのまま使える管理帳簿の基本テンプレート
自薬局の様式を作るときは、最低限「日付」「管理事項」「内容」「対応」「結果」「記載者」などが追える構造にすると使いやすくなります。
| 日付 | 区分 | 確認・発生内容 | 対応 | 開設者への報告・意見 | 結果・完了日 | 記載者 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| YYYY/MM/DD | 試験検査/不良品/設備/管理事項 | 事実を簡潔に記載 | 隔離・照会・修理依頼等 | 必要な場合に記載 | 完了内容 | 氏名 |
ただし、法令は全国共通でも、行政庁の確認方法や会社の指定様式は同一とは限りません。既存の薬局で様式を変更する場合は、勝手に簡略化せず、開設者・本部・管轄保健所の運用も確認してください。
薬局の管理に関する帳簿の保存期間は何年?
保存期間は、最終の記載の日から3年間です。
「そのページを書いた日から3年」「年度終了から3年」と思い込むのではなく、条文上は帳簿の最終記載日が基準です。
たとえば1冊の帳簿を2026年4月1日から2027年3月31日まで使用し、最終記載が2027年3月31日なら、その最終記載日から3年間の保存を考えます。
注意
薬局には「3年保存」の書類が複数ありますが、すべて同じ起算日・同じ根拠ではありません。管理帳簿、調剤録、処方箋などを「全部同じ3年」と一括りにせず、文書ごとに根拠と起算日を確認しましょう。
紙の帳簿と電子データ、どちらで管理する?
現場では紙のファイルだけでなく、本部システムや電子フォームで管理する薬局も増えています。
重要なのは媒体より、必要な記録が正確に残り、保存期間中に確認でき、立入検査等で求められたときに提示できる状態にしておくことです。
電子化する場合は、少なくとも次の点を確認しておきましょう。
- 誰が入力したか分かる
- 入力日・修正日が分かる
- 誤って削除されにくい
- 必要な期間保存できる
- バックアップがある
- 担当者が異動・退職しても閲覧できる
- 立入検査時に必要箇所を表示・出力できる
紙の場合も同様です。バインダーにただ綴じているだけでは、必要な記録が見つからない、年度が混在する、途中のページが紛失する、といった問題が起きます。年度・期間・店舗名・保管場所を明確にしておきます。
管理帳簿と他の帳簿・記録は何が違う?
「薬局の帳簿」と呼ばれるものは複数あるため、ここを整理すると実務が一気に分かりやすくなります。
| 記録 | 主な目的 | 管理帳簿との違い |
|---|---|---|
| 薬局の管理に関する帳簿 | 薬局管理事項の記録 | 薬機法施行規則第13条が根拠 |
| 調剤録 | 調剤した内容等の記録 | 薬剤師法に基づく別の記録 |
| 処方箋 | 医師等の処方内容の原本 | 調剤済み処方箋の保存義務が別にある |
| 医薬品の購入等に関する記録 | 医薬品の購入・譲受け等のトレーサビリティ | 薬機法施行規則の別条文に基づく |
| 麻薬帳簿 | 麻薬の受払・在庫管理 | 麻薬及び向精神薬取締法等に基づく別管理 |
| 温度記録 | 保管設備の温度確認 | 管理の証拠として重要だが、管理帳簿そのものと常に同一とは限らない |
| 研修記録 | 研修実施・受講状況の記録 | 制度・認定要件等に応じて別途保存が必要な場合がある |
特に管理薬剤師になりたての時期は、「3年保存だから同じ書類」「薬局で保管するから同じ帳簿」とまとめてしまいがちです。実際には根拠法令・記載事項・保存の起算日が異なるため、文書一覧を作っておくとミスを防げます。


立入検査では管理帳簿の何を確認される?
厚生労働省の「薬局、医薬品販売業等監視指導ガイドライン」では、薬局について、試験検査、不良品の処理、その他薬局管理事項を記録する帳簿を作成し、3年間保存しているかが監視指導項目として示されています。
そのため、管理帳簿対策は「見栄えのよい様式にする」ことではなく、次の状態を作ることが基本です。
- 帳簿がどこにあるかすぐ説明できる
- 必要な期間が保存されている
- 管理上の出来事と対応経過が追える
- 不良品がどう処理されたか分かる
- 設備異常などが放置されていない
- 管理者が開設者へ意見した場合の記録が確認できる
- 紙・電子どちらでも求められた範囲を提示できる
立入検査前にやる10項目チェック
- 現在使っている管理帳簿の保管場所を確認
- 過去3年分の保存状況を確認
- 最終記載日を確認
- 空白期間がある場合、その理由を説明できるか確認
- 不良品・回収等の記録に処理結果まで書かれているか確認
- 設備異常の記録に改善・修理完了まで残っているか確認
- 開設者へ意見した記録が必要に応じて残っているか確認
- 別紙・電子記録を参照している場合、参照先が分かるか確認
- 前任管理者からの引き継ぎ漏れがないか確認
- 会社の手順書と実際の運用が食い違っていないか確認
管理帳簿でよくあるNG例
NG1:「異常なし」しか書かれていない
毎日「異常なし」とだけ記載している帳簿では、実際に不良品・設備不良・回収等が発生した日の経緯が分かりません。日次確認を行う会社ルール自体は否定されませんが、重要な出来事が起きたときの具体的記録が必要です。
NG2:異常を見つけたが、処理結果がない
「冷蔵庫故障」「不良品発見」で記録が終わっていると、その後安全に処理されたか分かりません。可能な範囲で、隔離、連絡、修理、返品、使用可否確認などの結果までつなげます。
NG3:日付や記載者が分からない
いつ誰が確認した記録なのか分からなければ、時系列を追えません。紙でも電子でも、記録した日・担当者が分かる形にします。
NG4:管理帳簿と別記録の関係が分からない
「詳細は別紙」と書いてあるのに別紙が見つからない、システム内のどこにあるか誰も知らない、という状態は避けましょう。「温度逸脱記録No.2026-08-○参照」など、後から追える形が便利です。
NG5:前任者の帳簿がどこにあるか分からない
管理薬剤師が交代しても、薬局開設者の保存義務はなくなりません。異動・退職時に「今年の帳簿だけ」を渡すのではなく、保存対象期間と保管場所まで引き継ぎます。
NG6:別の帳簿と混同する
麻薬帳簿、向精神薬関係の記録、医薬品購入記録、調剤録などを「管理帳簿に書いたからOK」と考えるのは危険です。それぞれ必要事項や根拠が異なります。
管理薬剤師が交代するときはどう引き継ぐ?
管理帳簿は、管理薬剤師交代時に必ず確認したい項目です。
- 現在使用中の帳簿
- 過去分の保管場所
- 最終記載日
- 未完了の設備修理・不良品処理・改善事項
- 開設者へ意見済みだが対応待ちの事項
- 電子管理の場合のアクセス権
- 会社の管理帳簿マニュアル
- 管轄保健所から過去に受けた指摘事項
管理薬剤師の引き継ぎ全体については、関連記事「管理薬剤師の引き継ぎノートの作り方|必須項目・例文・テンプレート」も参考にしてください。
在庫管理の記録は管理帳簿に書く?
通常の棚卸数量、毎日の発注数、在庫回転率などをすべて法定管理帳簿へ書かなければならない、と第13条に具体的に列挙されているわけではありません。
ただし、不良品、品質上の問題、管理上重大な在庫異常、回収等があれば、管理事項として記録すべき場面があります。
日常の在庫改善については「薬局の在庫回転率を改善する方法|不動在庫・期限切れを見える化」で別に詳しく解説しています。
薬局の管理に関する帳簿を運用しやすくするコツ
1. 「法定記録」と「社内チェック」を分けて整理する
最も混乱が少ない方法です。法令上の管理帳簿と、会社が独自に求める日次チェック表・清掃表・温度表・研修記録などの関係を一覧にします。
2. 異常発生から完了まで1本で追えるようにする
「発見→隔離→報告→対応→完了」が途中で切れないようにします。1日で終わらない案件は、同じ管理番号を付ける方法も便利です。
3. 書きすぎない
詳細を残すことは大切ですが、患者氏名や不要な個人情報などを何でも管理帳簿へ書けばよいわけではありません。目的に必要な範囲で、客観的に記載します。
4. 書かなさすぎない
逆に「○」「対応済み」だけでは、第三者には何を確認したのか分かりません。重要な案件は対象・事実・対応・結果が分かる文章にします。
5. 月1回、自分で見直す
毎月末などに数分だけ管理帳簿を読み返すと、「対応中のまま終わっている案件」「修理完了の追記忘れ」「開設者へ報告したまま返答がない事項」を拾いやすくなります。


ケース別|こんなとき管理帳簿にはどう残す?
管理帳簿は「何か異常が起きたときに、どの粒度で書けばよいか」が一番迷います。ここでは、薬局で起こりやすい場面を例に考え方を整理します。
ケース1:期限切れ医薬品を棚で発見した
まず患者へ交付されないように取り分け、対象品・数量・原因を確認します。単に「期限切れ発見」と記載するだけではなく、廃棄・返品等の処理、同一棚や他規格の確認、必要に応じて再発防止まで記録すると管理上の意味が明確になります。
たとえば、定期的な期限チェックから漏れたのであれば、「期限管理表の確認周期を見直した」「短期限品を別棚へ集約した」など、実際に講じた対策までつなげます。
ケース2:冷蔵庫の扉が半開きになっていた
この場合、最優先は「何度まで上がったか」だけではありません。いつから温度が外れていた可能性があるか、どの医薬品が入っていたか、凍結・高温曝露等がなかったか、使用可否を誰へ確認したかを整理します。
温度記録シートに数値を残し、管理帳簿には「設備・保管上の異常として何を判断し、どう対応したか」をまとめるようにすると、重複記録を減らしつつ経緯を追いやすくなります。
ケース3:卸から回収連絡が入った
回収対象のロットを確認し、在庫の有無、患者へすでに交付しているか、返品・回収方法などを確認します。対象在庫がゼロでも、会社の手順によっては「確認済み・該当なし」を記録する運用があります。
対象在庫がある場合は、通常在庫と混ざらないように隔離し、返品完了まで追跡します。途中で管理薬剤師が交代しても分かるよう、未完了案件として残しておくことが重要です。
ケース4:調剤室の水漏れ・停電・空調故障があった
構造設備や保管環境へ影響するトラブルは、薬局管理上の重要事項になり得ます。患者対応の継続可否、医薬品への影響、機器の停止、修理依頼、開設者への報告などを時系列で整理します。
災害や大規模停電のように複数の問題が同時に発生した場合は、管理帳簿だけへ全情報を書き込むのではなく、BCP記録や温度記録などの別資料と関連付ける方法も実務的です。
ケース5:監査機器や分包機の不具合があった
機器故障そのものが直ちに第13条の特定項目として列挙されているわけではありませんが、安全な調剤に影響する設備トラブルであれば、薬局管理上の対応を残す意義があります。
「故障した→業者を呼んだ」だけではなく、復旧まで代替手順をどうしたか、患者安全をどう確保したかまで整理すると、管理記録として実用性が高まります。
管理帳簿を見直すときの優先順位
「昔からこの様式だから」と惰性で使っている場合、いきなり新しい帳簿を作る必要はありません。まずは現在の帳簿を次の順で確認すると効率的です。
- 法的根拠:薬機法施行規則第13条の管理帳簿として運用されているか
- 記載主体:誰が管理者として記載・確認するルールか
- 記載内容:試験検査、不良品処理、その他の重要管理事項を残せるか
- 開設者への意見:必要時に報告・意見した事実を残せるか
- 設備点検:異常発見から改善まで追えるか
- 保存:最終記載日から3年間の保存ができているか
- 検索性:立入検査や引き継ぎ時にすぐ取り出せるか
- 未完了事項:対応途中の案件が放置されていないか
特に優先したいのは、「書式をきれいにすること」ではなく「未完了案件と保存漏れをなくすこと」です。様式が多少古くても必要事項が追える帳簿と、見栄えはよくても「○」しか並ばない帳簿では、前者のほうが管理記録として役に立ちます。
管理帳簿を新人・事務スタッフにも分かる運用にする
法令上、管理帳簿へ記載する主体は薬局の管理者ですが、実際の異常を最初に発見するのは他の薬剤師や医療事務スタッフということもあります。
そのため、「管理帳簿は管理薬剤師しか触らない秘密のファイル」にするより、異常を見つけた人がすぐ管理薬剤師へ報告できる仕組みを作ることが重要です。
- 破損品・期限切れ品を見つけたら勝手に捨てず管理薬剤師へ報告する
- 冷蔵庫や調剤設備の異常を見つけたら時刻と状況を残す
- 回収連絡を受けたら管理薬剤師へ確実に引き継ぐ
- 設備業者が来局した場合、修理内容・完了状況を共有する
- 「昨日の件どうなった?」で終わらず、完了確認まで管理する
こうした報告ルールを作ると、管理薬剤師が不在の時間帯に起きた出来事も拾いやすくなります。帳簿の精度は、管理薬剤師一人の記憶力ではなく、店舗全体の報告動線で決まります。
よくある質問
Q1. 薬局の管理に関する帳簿の根拠条文は?
薬機法施行規則第13条です。薬局開設者が帳簿を備え、薬局の管理者が必要事項を記載し、開設者が最終記載日から3年間保存することが定められています。
Q2. 管理帳簿は管理薬剤師が書くの?
施行規則第13条第2項では「薬局の管理者」が記載するとされています。店舗で一般に「管理薬剤師」と呼ばれる立場がこれに当たります。
Q3. 毎日記載しないと違反?
第13条に「毎日必ず定型文を1行記載する」といった規定はありません。必要な管理事項を適切に記録することが重要です。ただし勤務先の手順書で日次確認・日次記載を定めている場合は、その手順に従ってください。
Q4. 保存期間は3年?5年?
薬局の管理に関する帳簿は、最終の記載の日から3年間です。他の薬局書類とは保存期間や起算日が異なることがあるため、混同しないようにします。
Q5. 温度記録は必ず管理帳簿に書く?
日々の温度記録表そのものと管理帳簿は同一とは限りません。ただし、重大な温度逸脱や設備異常があった場合は、薬局管理上の重要事項として、対応経過を管理帳簿等で追える状態にしておくことが大切です。
Q6. 不良品はどこまで書けばいい?
品名、発見内容、数量・ロット等の必要情報、隔離、連絡先、返品・廃棄などの処理結果が後から追える程度に記載します。勤務先の様式がある場合はそちらを優先します。
Q7. 電子管理でもいい?
電子化する場合は、保存期間中に記録を保持し、誰がいつ記録したか確認でき、必要時に提示・出力できる運用にします。会社システムを使用する場合は、そのシステムが管理帳簿としてどのように位置付けられているか確認してください。
Q8. 記載を間違えたら修正液を使っていい?
訂正後も経緯を確認できる方法が安全です。紙帳簿では元の記載が読める訂正方法、電子では履歴が残る修正方法が一般的ですが、具体的な訂正手順は勤務先や行政庁の運用に従ってください。
Q9. 「管理薬剤師日誌」と同じもの?
会社が「管理薬剤師日誌」という名称で第13条の管理帳簿を兼ねる様式を使っている場合もあります。一方、単なる業務日報として別に作っている場合もあります。名称ではなく、第13条に基づく管理帳簿として必要な記録・保存ができているかで判断します。
Q10. 薬局管理帳簿の記載事項は全国で完全に同じ?
法令の基本は全国共通ですが、行政庁の確認方法、会社の標準様式、薬局の業務内容によって実際の項目は異なることがあります。特に新規開局・管理者変更・立入検査前などは、管轄保健所の案内も確認すると安心です。
まとめ|管理帳簿は「薬局をどう管理したか」が分かる記録にする
- 薬局の管理に関する帳簿の根拠は薬機法施行規則第13条
- 薬局開設者が帳簿を備え、薬局管理者が記載する
- 主な記載事項は試験検査・不良品の処理・その他薬局管理事項
- 通知では開設者へ述べた意見・構造設備の点検結果なども例示されている
- 「毎日何かを書くこと」そのものより、必要事項を適切に記録することが大切
- 不良品・設備異常等は、発見だけでなく対応と結果までつなげる
- 保存期間は最終記載日から3年間
- 調剤録・処方箋・購入記録・麻薬帳簿等とは別に整理する
- 立入検査前だけでなく、普段から未完了案件を見直す



参考資料
- 厚生労働省|医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則
- 厚生労働省|薬事法の一部を改正する法律の施行について(管理に関する帳簿の記載事項例)
- 厚生労働省|薬局、医薬品販売業等監視指導ガイドライン
※本記事は一般的な薬局実務の理解を目的とした解説です。個別の立入検査・許可・行政指導への対応は、管轄の都道府県・保健所および勤務先の手順をご確認ください。



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