

前書き
「ペパーミントで頭痛が楽になる」という表現は一般的に広く知られていますが、その根拠や臨床での実際の使い方についてはあまり正確に理解されていないことが多いです。
本記事では、重要なポイントとして、ペパーミント精油の薬理作用・エビデンス・臨床現場での活用方法を専門職向けに徹底解説します。さらに、患者さんに提案する際の注意点や症例、実際に役立つ市販製品・学びの場も紹介します。
薬剤師や医師、看護師などの医療従事者が現場で患者さんへ適切に情報提供できるように、最新のガイドラインや文献を踏まえて整理しました。単なる民間療法としての紹介ではなく、科学的根拠と臨床的な実践を結びつけることを目的としています。
ペパーミントで頭痛が楽になるのはなぜ?薬理作用は?
重要なポイント:ペパーミント精油(Mentha × piperita)の主成分であるメントールは、TRPM8受容体を活性化して冷感を生じ、痛覚入力のゲートを修飾します。さらに電位依存性Na+チャネル遮断などにより局所麻酔様作用を示し、筋緊張・血管収縮に伴う痛みの知覚を低減します。
- TRPM8活性化 → 冷却刺激様の鎮痛(クーリングアナロジー)
- Nav1.8/1.9 等のNa+チャネル抑制 → 発火頻度低下による鎮痛
- 平滑筋弛緩・軽度の血管収縮抑制 → 緊張性頭痛の不快感軽減
特に大事なポイント:外用(皮膚塗布)主体のエビデンスが中心です。内服や吸入のみで同等の効果を期待する根拠は限定的です。

どの頭痛に相性が良い?エビデンスは十分?
臨床試験では緊張型頭痛(TTH)に対して、10%ペパーミント油(エタノール溶液)外用がプラセボより有効で、アセトアミノフェンやアスピリンに匹敵する効果が示されています(ドイツの製剤:LI 170 / Euminz)。
一方、片頭痛への有効性は限定的で、補助的な選択肢にとどまります。
疾患 | 位置づけ | 期待効果 | 備考 |
---|---|---|---|
緊張型頭痛(TTH) | 外用で推奨しやすい | 疼痛スコア低下、鎮痛薬の補助 | 10%外用の試験多数 |
片頭痛 | 第一選択ではない | 前兆なし急性期の不快感軽減 | エビデンスは少数・効果限定 |
小児(6歳以上) | 用法用量遵守で選択可 | 冷感による不快感軽減 | 顔面周囲は避け、刺激性に注意 |

どう使う?濃度・剤形・部位は?
エビデンスは10%外用(エタノール or ローション)でこめかみ・前額・後頸部に塗布する設計が中心です。
感作や刺激があるため、一般向けの手作り化粧品では1〜3%からの試験塗布を推奨。職場や待合室では拡散(ディフューズ)で環境調整の補助として用います。
目的 | 推奨形態 | 濃度の目安 | 塗布部位/方法 | 注意点 |
---|---|---|---|---|
急性のTTH緩和 | 外用液/ロールオン | 臨床試験:10% 一般化粧品:1〜3%開始 |
こめかみ・前額・後頸部(眼瞼・鼻下は厳禁) | 皮膚刺激、粘膜付着回避、手洗い |
職場集中・環境調整 | 超音波/ファン式ディフューザー | メーカー指示(一般に0.5〜2%相当) | 30〜60分間欠拡散、換気を確保 | 小児・ペット同室に配慮 |
入浴・フットバス | 希釈添加 | 1〜3滴/浴槽 | 分散剤併用で滑り防止 | 皮膚疾患・創部は避ける |
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安全性・禁忌は?誰に注意する?
- 乳幼児(特に2歳未満):メントール/1,8-シネオール高含有製品は顔面・胸部への塗布や近接吸入を避ける(気道刺激の報告)。
- 妊娠・授乳:高濃度外用・広範囲使用は回避。拡散は低濃度・短時間で。
- 喘息・てんかん:高濃度吸入や顔面近接は避け、パッチテストを徹底。
- 皮膚刺激・接触皮膚炎:1〜3%から開始し、敏感肌は更に低濃度で。
- 薬剤との相互作用:外用では全身性相互作用は通常問題になりにくいが、ハーブサプリ併用歴は確認。
日本で流通するハッカ油(多くはMentha arvensis由来、食品添加物)と、アロマ精油(Mentha × piperita、芳香用)は用途規格が異なります。飲用可否・純度・目的を確認し、外用設計ではパッチテスト必須です。

薬局でどう提案する?(外用プロトコルと併用)
- 鑑別:一次性のTTHか、レッドフラッグ(突然の雷鳴頭痛、神経兆候、発熱・項部硬直等)がないか確認。
- 外用指導:10%市販外用が入手困難な場合、ロールオン(市販コスメ)1〜3%から提案。
- 鎮痛薬との併用:アセトアミノフェン/NSAIDsの補助として使用(用量削減を目指すが、我慢は禁物)。
- 生活因子:頸肩こり・VDT・睡眠を評価。ストレッチ・姿勢・頸部温罨法と併用。
- 経過観察:頭痛日誌でVAS/NRSと使用回数をトラッキング。
症例・実践例は?(ミニケース)
ケース1:デスクワーク由来のTTH
35歳女性。頸・側頭の締め付け感。1〜3%ロールオンを側頭部・後頸部に1日2〜3回、就業中は30分間欠拡散。2週間でNRS 6→3、鎮痛薬内服は週3→1回へ。
ケース2:片頭痛とTTHの混在
28歳男性。前兆なし片頭痛(月2回)とTTH(週2回)。片頭痛にはトリプタン頓用、TTHエピソードに外用ミント(1〜3%)を補助。片頭痛時の悪臭過敏に留意し、拡散は非推奨。

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ハッカ油とアロマ精油、何が違う?
ハッカ油(和種ハッカ由来、食品添加物規格)は飲食物の香料などにも使用可能ですが、化粧品としての皮膚外用は刺激性に配慮が必要です。
アロマ精油(ペパーミント、芳香用)は飲用不可が原則で、化粧品に配合する際は各規格・賦形を確認しましょう。
Mentha arvensisとMentha × piperitaは香調・メントール含量に差があり、冷感と刺激の出方が異なることがあります。
まとめ
重要なポイント:ペパーミントは緊張型頭痛に対して10%外用エビデンスがあり、TRPM8活性化+Naチャネル遮断など多面的な鎮痛機序を持ちます。片頭痛では補助的に位置づけ、禁忌・年齢・刺激性に配慮した使い分けが鍵です。
特に大事なポイント:“薬ではないが、補助療法として合理性あり”という説明が臨床でも薬事でも安全です。環境拡散は快適性の改善、急性痛は外用で狙う、という二段構えで提案しましょう。
よくある質問
Q:10%外用を一般向けコスメで再現してよい?
A:推奨しません。医薬品規格の外用液で試験されており、一般化粧品では1〜3%からの安全側設計が現実的です。
Q:片頭痛発作時にミント拡散は有効?
A:嗅覚過敏を悪化させる可能性があり推奨しにくいです。片頭痛は薬物療法を優先し、ミントはTTHの補助に使い分けましょう。
Q:小児に使える?
A:6歳以上で顔面・胸部を避け低濃度・少量を使用可。2歳未満は近接吸入や顔面塗布を避けるのが安全です。
Q:ハッカ油は飲用できる?
A:食品添加物規格のハッカ油は食品香料として使用可能ですが、医療目的の内服は推奨されません。基本は外用・拡散で使用しましょう。
参考文献
- Peppermint oil in the acute treatment of tension-type headache
- EMA HMPC: Menthae piperitae aetheroleum
- AAFP: Peppermint Oil
- TRPM8 as principal mediator of menthol-induced analgesia
- Menthol pain relief through Na+ channel inactivation
- Evidence-Based Practice 2023: Peppermint for tension headache
- Euminz®(10%ペパーミント外用)臨床試験
- Tisserand Institute: Essential Oil Safety Guidelines
- Kiel Pain Clinic: Peppermint oil for tension headaches
- 頭痛の診療ガイドライン2021(Minds要約)
- 北見ハッカ通商:ハッカ成分の基礎知識
- 健栄製薬:ハッカ油について



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