


- 前書き:薬剤師の長期休暇は「回復」と「仕込み」のゴールデンタイム
- 本文:薬剤師が長期休暇中にできること(具体策まとめ)
- 症例・実践例:休暇を「成果」に変える具体的な回し方
- まとめ:長期休暇は「回復」+「整備」+「一点突破の学習」で勝てる
- よくある質問
- 参考文献
前書き:薬剤師の長期休暇は「回復」と「仕込み」のゴールデンタイム
長期休暇は、ただ休むだけでも価値があります。特に薬剤師は、対人業務・監査・疑義照会・在庫や売上・委員会業務など、集中力と判断力を毎日使い続ける仕事です。疲労が抜けないまま働くと、パフォーマンスが下がるだけでなく、ヒヤリハットの温床にもなります。
この記事では「休みを最大化する」ために、具体的に何を・どの順番で・どれくらいやればいいかを、薬剤師目線で丁寧に解説します。病院・薬局どちらでも使える内容にしてあります。


本文:薬剤師が長期休暇中にできること(具体策まとめ)
0)最初に決める:休暇の目的を「1行」で書く
休暇が充実するかどうかは、最初の5分で決まります。紙でもスマホのメモでもOKなので、次の型で1行書いてください。
- 例:「睡眠を整え、休み明けのミスを減らす」
- 例:「在庫・手順を整備して、残業を減らす」
- 例:「高齢者薬物療法の基礎を固める」
目的が1行にまとまると、「やること」が自動で絞れます。逆に目的がないと、勉強も整備も観光も全部中途半端になりがちです。
1)まずは回復:薬剤師の休暇で最優先は「睡眠・体調・心の余裕」
休暇中に勉強を詰め込みすぎると、回復しないまま復職して逆効果になりやすいです。おすすめは「最初の2〜3日は回復に全振り」。
回復のチェックリスト(今日から)
- 寝る時間・起きる時間を固定(まずは±30分以内)
- 起床後に日光を浴びる(散歩10分でOK)
- カフェインは午後は控えめ(睡眠の質を守る)
- ストレス源(SNS/仕事チャット)を見る時間を“枠”で区切る
- 「休み明けにやるToDo」を紙に出して頭から追い出す

2)休み明けがラクになる:仕事の“詰まり”を減らす整備
長期休暇の価値を最も感じやすいのがここです。ポイントは、能力アップよりも先に、摩擦(ムダ・迷い・探し物)を減らすこと。
(A)「よくある問い合わせ」をテンプレ化する
たとえば薬局なら、次のような内容をテンプレにすると強いです。
| テーマ | テンプレに入れる項目 | 例 |
|---|---|---|
| 服用タイミング | 食前/食後/眠前の理由、例外 | 「食後=胃刺激軽減/吸収安定」など |
| 飲み忘れ | 気づいた時間・次回までの間隔 | 降圧薬/糖尿病薬で注意点が変わる |
| 副作用相談 | 重症度の見分け、受診目安 | アナフィラキシー疑いは即受診 |
| OTC併用 | 禁忌・注意成分、提案の型 | NSAIDs/抗ヒスタミン/漢方の重複 |
テンプレは「文章」よりも、質問の順番(聞き取りの型)を作るのがコツです。聞き漏れが減る=安全性が上がります。
(B)監査・疑義照会の“迷いポイント”をリスト化
- 用量の上限/腎機能・肝機能での調整が必要な薬
- 高リスク薬(抗凝固薬、糖尿病薬、オピオイド、抗精神病薬など)の確認項目
- 併用禁忌・相互作用で「絶対確認」する組み合わせ
休み中に全部網羅しなくてOK。まずは自分がよく引っかかる薬から5つだけでも十分効果があります。
(C)電子化された添付文書(電子添文)の使い方を“自分仕様”に整える
紙の添付文書が同梱されない医療用医薬品が増え、情報の取り方は「電子添文」が中心です。休暇中に一度、検索→該当箇所→患者説明の要点までの動線を練習しておくと、現場の時短につながります。電子添文の閲覧方法や仕組みはPMDAが整理しています。
参考:PMDA「添付文書の電子化について」では、バーコード等から最新の電子添文を閲覧できること、関連文書も参照できることが示されています。
3)知識のアップデート:長期休暇中に“伸びる勉強”のやり方
ここで大事なのは、「読んだ量」より「明日使える形」にすることです。おすすめは次の3段階。
- テーマを1つに絞る(例:腎機能、抗凝固、睡眠薬、高齢者、妊婦授乳など)
- 一次情報で骨格を作る(添付文書、ガイドライン、PMDA/厚労省資料)
- 現場の“説明文”に落とす(患者さん向け/医師向けの言い回しを作る)

おすすめ学習テーマ(現場で効く順)
- 高齢者薬物療法:減薬、相互作用、転倒リスク、腎機能低下
- 腎機能と投与設計:用量調整、禁忌域、透析患者の注意
- 抗凝固・抗血小板:出血リスク、手術・抜歯時の相談
- 糖尿病薬:低血糖、シックデイ、併用薬
- 睡眠薬・抗不安薬:転倒、依存、翌日への影響
eラーニングを使う(休暇向き)
まとまった時間が取りやすい休暇は、eラーニングとの相性が良いです。代表例として、
- 日本薬剤師会の生涯学習支援システム(JPALS)
- 日本病院薬剤師会のe-ラーニング
- 薬剤師研修センターのeラーニング研修
などがあり、「1日30〜60分を上限」にすると、回復も両立しやすいです。
4)安全性に強くなる:副作用報告・救済制度を“説明できる”ようにする
薬剤師が患者さんや医療者から相談を受けた時に、最後に効くのが安全性の知識です。休暇中に一度だけでも、
- 副作用が疑われるときの情報収集(いつから、どの薬、併用、既往、重症度)
- 「受診が必要なサイン」(息苦しさ、意識障害、出血、発疹+発熱など)
- 報告制度の概要
- 副作用救済制度の存在
を整理しておくと、現場での安心感が段違いです。PMDAには医薬関係者向けの副作用報告や、救済制度の医療関係者向け情報がまとまっています。
5)業務スキル:資料作成・在庫・発注・Excelを“ラクにする”
臨床知識だけでなく、薬局・病院の現場では「作業の速さ」も大事。長期休暇は、普段できない改善ができます。
(A)Excel(またはスプレッドシート)で“自分の武器”を1つ作る
- 棚卸の差異原因を分類する表(期限切れ、破損、入力ミス等)
- よく使う薬の腎機能投与調整の一覧(自分用)
- 疑義照会の記録テンプレ(日時、要点、結論、次回の注意)
「1つ作って、休み明けに1回使う」までがセットです。作っただけだと定着しません。
(B)在庫の“クセ”を見抜く
- 動かない在庫(死蔵)トップ10をメモ → 原因を一言で書く
- 期限切れしやすい規格(大容量、特殊剤形)を把握
- 代替薬があるのに複数規格を抱えていないか確認
6)キャリアの仕込み:転職だけじゃない「選択肢」を増やす
長期休暇は、いわゆる転職活動に限らず、将来の選択肢を増やせます。
- 「3年後どうなっていたいか」をメモ(役割・働き方・生活)
- 専門領域の候補を1つ選び、ガイドラインを1本読む
- 学会・研修の年間計画を立てる(無理のない範囲で)
- 認定制度や研修の要件を確認(要件の把握だけでも価値)

7)プライベートも大事:家族・趣味・リフレッシュは「仕事の質」に直結
薬剤師の仕事は人と関わる分、心の余裕がクオリティに直結します。休暇の予定は、
- 回復(睡眠・体調)
- 整備(仕事がラクになる)
- 学習(テーマを絞る)
- 楽しみ(旅行・趣味・人に会う)
を混ぜてOK。むしろ混ぜた方が続きます。
症例・実践例:休暇を「成果」に変える具体的な回し方

実践例1:7連休(体力回復+現場がラクになる整備)
| 日 | メイン | やること(具体) |
|---|---|---|
| 1日目 | 回復 | 睡眠・散歩・スマホ時間制限、ToDoを紙に出す |
| 2日目 | 回復 | 部屋の軽い片付け、体調を整える(予定は詰めない) |
| 3日目 | 整備 | よくある問い合わせテンプレを2本だけ作る |
| 4日目 | 学習 | テーマ1つ(例:腎機能)を一次情報で整理 |
| 5日目 | 学習 | 電子添文で「用法用量・禁忌・相互作用・副作用」を拾う練習 |
| 6日目 | 楽しみ | 趣味・友人・家族の時間(罪悪感ゼロ) |
| 7日目 | 復職準備 | 休み明け初日の“最小ToDo”だけ決めて早寝 |
実践例2:3連休(現実的にレベルアップも狙う人向け)
薬剤師にとってもっとも現実的なのが3連休です。
この日数で大事なのは、「全部やろうとしないこと」。
回復を土台にしつつ、“仕事がラクになる成果を1つだけ持ち帰る”のがゴールです。
| 日 | 主目的 | やること(具体例) |
|---|---|---|
| 1日目 | 回復 | ・睡眠を優先(目覚ましをかけない) ・散歩や軽い運動で体調を整える ・仕事の不安やToDoを紙に書き出して頭から出す |
| 2日目 | 整備+学習 | ・よくある患者質問を2つだけ整理(飲み忘れ/副作用など) ・電子添文で関連薬を2〜3品目確認 ・学習テーマは1つに限定(例:腎機能 or 高齢者) |
| 3日目 | 定着+復職準備 | ・学んだ内容を「患者さんへの説明文」に落とす ・休み明け初日の最小ToDoを3つ決める ・早めに就寝して生活リズムを戻す |
この3連休プランのポイントは、成果を「1個だけ」作ることです。
- 勉強は1テーマのみ(深掘りしすぎない)
- アウトプットは「説明文」「テンプレ」など実務直結型
- 回復を削らない(睡眠不足はNG)
「少し成長した」より「休み明けがラク」を優先すると、
結果的に仕事の質も安全性も上がります。

これなら現実的だし、罪悪感も少ないです。

「回復+1成果」だけで、次の1週間が全然違うからね。
症例イメージ:患者さんに“説明できる”を作る(副作用救済制度)
患者さんから「副作用っぽい、これって補償とかあるの?」と聞かれた時、制度の存在を知っているだけでなく、“適切に案内できる”と信頼が上がります。
- 患者さんの不安を受け止める(断定しない)
- 重症サインがあれば受診を優先
- 制度の概要(適正使用でも重篤な健康被害が生じた場合の公的制度)を簡潔に
- 必要書類に医療機関の協力が必要な場合があることを補足
まとめ:長期休暇は「回復」+「整備」+「一点突破の学習」で勝てる
- 最優先は回復(睡眠・体調・心の余裕):ここが崩れると全部崩れる
- 次に、休み明けがラクになる整備:テンプレ、監査の迷いポイント、電子添文の動線
- 学習は一点突破:テーマを1つに絞って一次情報→説明文へ
- 安全性(副作用報告・救済制度)は、知っているだけで現場の安心が増える
- 楽しむ時間も計画に入れる:それが結果的に仕事の質を上げる

よくある質問
Q. 長期休暇中、勉強は毎日やるべきですか?
毎日でなくてOKです。おすすめは「上限を決める」こと(例:1日30〜60分)。回復が目的の休暇なら、最初の2〜3日は勉強ゼロでも問題ありません。
Q. 何を勉強すればいいか決められません。
迷ったら、まずは「高齢者」「腎機能」「抗凝固」「糖尿病」「睡眠薬」のどれか1つにしてください。現場で遭遇頻度が高く、伸びしろが出やすいテーマです。
Q. 電子添文(電子化された添付文書)が苦手です。
苦手意識がある人ほど、休暇中に「動線」を作ると一気にラクになります。①検索→②禁忌/用法用量→③相互作用→④患者説明の要点の順で、3製品だけ練習してみてください。
Q. 休み明けの仕事が怖いです(不安・しんどい)。
不安が強いときは、休暇の最後に「休み明け初日の最小ToDo」を3つだけ決めてください。例:①出勤したら最初にやること ②今日中に終えること ③誰に相談するか。“全部取り戻す”発想を捨てると、心が軽くなります。
Q. 休暇中に資格や認定を狙うのはアリ?
アリです。ただし、詰め込みは回復を壊しやすいので、まずは要件確認→年間計画→今月やる1ステップまでにすると、現実的で続きます。
参考文献
- PMDA「添付文書の電子化について」最終確認日:2026-01-03
- 厚生労働省「医薬品等の注意事項等情報の提供について(通知PDF)」最終確認日:2026-01-03
- 日本薬剤師会「JPALS(生涯学習支援システム)」最終確認日:2026-01-03
- 日本病院薬剤師会「日本病院薬剤師会 e-ラーニング」最終確認日:2026-01-03
- 公益財団法人 日本薬剤師研修センター「e-ラーニング研修(センター主催研修会)」最終確認日:2026-01-03
- PMDA「医薬関係者からの報告(副作用等報告)」最終確認日:2026-01-03
- PMDA「医薬品副作用被害救済制度:医療関係者の皆さまへ」最終確認日:2026-01-03
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