

①種類の全体像、②選定の考え方、③当日までの準備と、“よくある指摘”の先回り対策をセットで覚えよう。
まずは“集団→集団的個別→個別→共同→特定共同”っていう階段構造をイメージしてね。」


でも、怖がるより“準備の型”を作るのが近道。今日はその型を丸ごと共有するよ。」


詳細は本文でチェックリスト化してるから、コピペでそのまま運用できるよ。」
個別指導は、薬局の請求や薬学的管理の妥当性・再現性・法令順守を点検し、是正と標準化につなげる重要な機会です。とはいえ、初めての現場では「種類が多くて違いが分からない」「何をどこまで準備すればいい?」と不安になりがち。そこで本記事では、集団指導/集団的個別指導/個別指導/共同指導/特定共同指導の全体像をやさしく整理し、選定の考え方・当日の流れ・提出物の作り方・よくある指摘と回避策までを一気通貫で解説します。
さらに、実務で「今日から使える」ことにこだわり、患者別“個別指導パック”の作り方、疑義照会や薬歴の記載テンプレ、一包化・薬剤情報提供文書のNG例、面接懇談での回答テンプレまで具体化。
“要件を満たす→実施する→根拠を残す”を確実に回す設計にしています。この記事を手元の虎の巻にして、次の指導通知が来ても落ち着いて迎え撃てる体制をつくりましょう。
個別指導は何種類あって、誰が実施するの?
薬局に対する「指導」は大きく地方厚生(支)局が主体のものと、厚生労働省が主体のものに分かれます。種類と形式、ざっくりの位置づけは次の表のとおりです。
| 実施主体 | 種類(薬局関連) | 形式 | 主な選定イメージ |
|---|---|---|---|
| 地方厚生局 | 集団指導 | 講習会形式 | 新規指定、改定時、指定更新、新規登録など |
| 地方厚生局 | 集団的個別指導 | 講習会形式 | 平均点数(レセプト)の高い薬局など |
| 地方厚生局 | 個別指導(都道府県個別指導) | 面接・懇談 | 情報提供あり/再指導対象/高点数継続/欠席等 |
| 厚生労働省 | 共同指導 | 午前:実地立会/午後:面接懇談 | 個別指導で改善せず、支払基金等の連絡あり等 |
| 厚生労働省 | 特定共同指導 | 午前:実地立会/午後:面接懇談 | 臨床研修病院門前、複数都道府県展開等の高度事例 |
保険医療機関・保険薬局は指導を受ける義務があります。まずは「どの箱のイベントか」を把握しましょう。

それぞれの「指導」はどんなときに選ばれるの?
集団指導・集団的個別指導はどう違う?
集団指導は制度周知・改定対応の「講習会」。一方で集団的個別指導は、レセプト平均点数が高いなどの定量的基準で対象を抽出し、個別薬局の傾向に踏み込んだ説明・留意点共有が行われます。
「個別指導」は何がトリガーになる?
地方厚生局が実施する個別指導(都道府県個別指導)は、情報提供(保険者・被保険者等)、過去の経過観察で改善なし、再指導対象、集団的個別指導の高点数継続等で選定されます。
共同指導・特定共同指導は何が特別?
共同指導は「個別指導で改善が見られない」「支払基金等からの連絡」等で、特定共同指導は臨床研修病院門前や複数都道府県展開など、影響・高度性の高いケースが対象。午前は実地確認、午後は面接懇談の二部構成が一般的です。

通知が来たらまず何をすればいい?
最初の24時間でやることは?
- 通知書の全項目を読み込み:日時・場所・出席者・準備書類・対象期間・提出形式。
- 社内関係者への即時連絡(開設者代理/PSV、管理薬剤師、請求事務)。
- 準備スケジュールの確定:「対象患者の薬歴一式」「任意抽出の処方箋束」「購入・納品伝票」「届出書類」「帳票類」など大量の原本・写しが必要。
出席者は誰?代理は可能?
薬局側は通常、開設者(代理可)・管理薬剤師(本人)・事務請求者(任意)。地方厚生局側は指導官・国保事務請求官、薬剤師会理事の立会人が同席します。

当日までに何を準備すれば安心?
患者別の“個別指導パック”はどう作る?
対象患者は概ね1年分の薬剤服用歴(表紙・裏含む)・処方箋・調剤録・薬学的管理指導計画書・お薬手帳シール写・薬剤情報提供文書をひとまとめに。表紙情報(体質・副作用歴・併用・既往など)は6か月以内の更新を目安に点検。
「副作用なし」ではなく「オロパタジン5mg/眠気なし」など具体的にがポイント。
任意抽出分の処方箋はどう束ねる?
対象期間の各月から約100名分をランダム抽出(保険制度は可能な限りバラけさせる)。処方箋原本と調剤録原本は同じ順序で綴じ、疑義照会の痕跡(備考欄・記名押印・訂正二重線など)が一目で追えるよう「索引シール」を付けると審査が早まります。
施設基準・体制の根拠書類は?
- 届出受理通知/届出書/添付書類、24時間調剤体制の根拠、麻薬小売業者届、在宅様式、かかりつけ薬剤師同意書と勤務表。
- 研修計画と受講記録(受講日当日または翌出勤日に管理記録簿へ記載)。
- 購入・納品伝票、登記簿・定款、賃貸契約書、総勘定元帳、日計表・未収金台帳、増減点通知等。

よくある指摘は何?どう防ぐ?
処方箋の扱い・疑義照会で落としやすい論点は?
- 用法・用量欠落/不適切、投与上限超え、承認外用法、禁忌疑い、漫然長期などは必ず確認。
- 疑義照会したら処方箋or調剤録備考欄に要点・日時・相手・結果・押印を残す。
- 訂正は二重線+押印。保存年限は原則3年(特定制度は5年)を遵守。
薬剤情報提供文書の画一化、薬歴の具体性不足、重複投薬・相互作用等防止加算の要件誤り、外来服薬支援料の根拠不足は典型的な指摘です。
薬歴の“具体性”はどう担保する?
- 頭書きは「副作用歴:〇〇(薬品名)/××なし」「アレルギー:ペニシリン/発疹」など事実×現象で。
- 残薬は「数」「理由」「調整策」をセットで記録。
- フォローアップ電話は、目的/実施日時/対象/所見/次回計画の5点を短文テンプレで固定。
“算定しないミス”も指摘対象?
特定薬剤管理指導加算や麻薬管理指導加算など、要件を満たしているのに算定漏れも改善指摘の対象になることがあります。算定の可否は「薬学的必要性→指導実施→薬歴の根拠記載」の三点セットで判定しましょう。

面接懇談では何を聞かれる?どう答える?
頻出の基本質問例と回答テンプレは?
| 質問 | 回答テンプレ |
|---|---|
| レセプト請求の最終責任者は? | 「管理薬剤師の私です。請求前点検と増減点のフィードバック会を毎月実施しています。」 |
| 処方監査の具体手順は? | 「受付→処方監査→疑義→監査記録→調製→鑑査→投薬→薬歴記載→フォローの順で、監査項目はチェックリストに準拠しています。」 |
| 各種加算の算定タイミングは? | 「投薬前に要件確認し、投薬後に事実の薬歴反映を行います。」 |
| お薬手帳交付体制は? | 「初回来局で原則配布、継続来局者には持参・記載確認、電子手帳も併用しています。」 |
感情的な応酬は「再指導」リスク。是正策・再発防止策まで淡々と示すのがコツです。
指導後はどんな判定?次にやることは?
結果分類と“翌日からのアクション”は?
- 概ね妥当:良い点も悪い点も振り返り資料に固定。
- 経過観察:期限付きの改善計画(誰が・いつまでに・何を)を提出し、モニタリング。
- 再指導:再現性のある再発防止策(教育・フロー改定・監査表刷新)を確実に回す。
- 要監査:不正・著しい不当が疑われる段階。法令順守の再点検を最優先に。

日頃から何をしておけば“怖くない”?
毎日の小さな積み上げチェックリストは?
- 処方監査:用法用量/上限/禁忌/相互作用/漫然投与をスコアリング。
- 疑義照会:要点・日時・相手・結果+押印。
- 薬歴:頭書き6か月更新、具体的副作用記録、残薬の数量と理由。
- 文書:薬情は画一文言を排し、患者属性に応じて削除・追記。
- 算定:要件→実施→薬歴根拠の三点セットで判断。
- 研修:受講当日(または翌出勤日)に管理記録簿記載。

一包化や薬情は何がNGになりやすい?
一包化:適応・必要性・手順の落とし穴は?
- 治療上の必要性が曖昧/医師了解なし/理由や了解の記録なしはNG。
- 湿気・光・PTP保護が必要な製剤は一包化の可否を必ず添付文書やIFで確認。
- 「医師指示ありでも別包」は理由の妥当性が問われます。
薬剤情報提供文書(薬情)の作り方は?
- 患者属性に合わない文言(妊婦説明を男性に、飲酒注意を未成年に等)は二重線削除。
- 副作用・相互作用・用法用量は患者向け平易表現に換言。
- 個別事情の追記(就業形態、運転の有無、食事パターン)で具体化。

ケーススタディで理解できる?(実例で手順を確認)
ケース1:高齢者の睡眠薬が長期投与&頓用併用
- 上限日数・高齢者推奨量・頓用併用の重みを確認。
- 疑義照会で投与設計の妥当化(分割処方、頓用回数の上限指示など)。
- 薬歴には判断根拠・医師合意・患者説明・フォロー予定を記載。
ケース2:かかりつけ薬剤師指導料の算定漏れ
- 同意書・勤務表の交付、OTC・サプリ情報の把握を再点検。
- 服薬指導の要点を定型でなく患者別に(例:服用時間×生活リズム)。
- 次回来局時に前回提供情報の確認と必要指導→算定可否を判定。

クイズで確認(選択式)
Q1. 次のうち、特定共同指導の対象として典型的なのはどれ?
- 新規指定の薬局
- 平均点数がやや高い1店舗薬局
- 臨床研修指定病院門前で、複数県に展開する薬局
Q2. 次のうち、外来服薬支援料2でNGになりやすいのは?
- 医師の了解と理由の調剤録記載
- 治療上の必要性評価なしに一包化
- 薬歴に支援内容・理由を記載
キャリア・体制づくりの味方はある?
個別指導で問われるのは薬局の組織力。教育・採用・体制の整備はプロに相談するのも近道です。

まとめ
- 指導は「種類×選定基準×当日運用」で理解:集団→集団的個別→個別→共同→特定共同の階段構造。
- 準備は“患者パック”と“根拠書類束”の二本立て。
- よくある指摘は毎年ほぼ同じ:薬歴の具体性/疑義の痕跡/算定要件の三点。
- 指導後は行動計画に落とし込み、月例・四半期監査で継続改善。

よくある質問
個別指導の「高点数」って毎年同じ基準ですか?
年度や状況(COVID-19影響など)により、「抽出の考え方」や閾値・除外条件が補足されることがあります。最新の地方厚生局資料を毎年確認しましょう。
当日、提示書類の“原本”と“写し”はどう分ける?
提出指示に従い、患者ごとに原本バインダと写しバインダを分離。原本は返却を前提に管理者が常時立会保管し、写しは審査用として机上に展開すると効率的です。
薬歴の頭書きはどのくらいで更新?
少なくとも半年に一度は更新状況を点検。副作用歴は薬剤名×現象で具体化し、残薬・服薬状況・フォローまで一体で記録します。
一包化で迷ったときの最短確認ルートは?
添付文書→インタビューフォーム→メーカー照会の順で確認。必要性・医師了解・記録の三点を揃えます。
参考文献
- 保険診療における指導・監査(厚生労働省)
- 保険医療機関等及び保険医等の指導及び監査について(厚労省通知)
- 地方厚生(支)局:保険医療機関・保険薬局の方へ(九州厚生局)
- 個別指導における主な指摘事項(東北厚生局・薬局)
- 令和6年度 特定共同指導・共同指導(薬局)における主な指摘事項(厚労省)
- 個別指導(調剤)における主な指摘事項(近畿厚生局・薬局)
- 令和7年度 都道府県個別指導 対象機関の選定・実施の考え方
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薬剤師向け転職サービスの比較と特徴まとめ


今日は、特徴をわかりやすく整理しつつ、読んでくださる方が自分の働き方を見つめ直しやすいようにまとめていきましょう。
働く中で、ふと立ち止まる瞬間は誰にでもあります
薬剤師として日々働いていると、忙しさの中で気持ちに余裕が少なくなり、
「最近ちょっと疲れているかも…」と感じる瞬間が出てくることがあります。
- 店舗からの連絡に、少し身構えてしまう
- 休憩中も頭の中が業務のことでいっぱいになっている
- 気づけば仕事中心の生活になっている
こうした感覚は、必ずしも「今の職場が嫌い」というわけではなく、
「これからの働き方を考えてもよいタイミングかもしれない」というサインであることもあります。
無理に変える必要はありませんが、少し気持ちが揺れたときに情報を整理しておくと、
自分に合った選択肢を考えるきっかけになることがあります。
薬剤師向け転職サービスの比較表
ここでは、薬剤師向けの主な転職サービスについて、それぞれの特徴を簡潔に整理しました。
各サービスの特徴(概要)
ここからは、上記のサービスごとに特徴をもう少しだけ詳しく整理していきます。ご自身の希望と照らし合わせる際の参考にしてください。
・薬剤師向けの転職支援サービスとして、調剤薬局やドラッグストアなどの求人を扱っています。
・面談を通じて、これまでの経験や今後の希望を整理しながら話ができる点が特徴です。
・「まずは話を聞いてみたい」「自分の考えを整理したい」という方にとって、利用しやすいスタイルと言えます。
・全国の薬局・病院・ドラッグストアなど、幅広い求人を取り扱っています。
・エリアごとの求人状況を比較しやすく、通勤圏や希望地域に合わせて探したいときに役立ちます。
・「家から通いやすい範囲で、いくつか選択肢を見比べたい」という方に向いているサービスです。
・調剤薬局の求人を多く扱い、条件の調整や個別相談に力を入れているスタイルです。
・勤務時間、休日日数、年収など、具体的な条件について相談しながら進めたい人に利用されています。
・「働き方や条件面にしっかりこだわりたい」方が、検討の材料として使いやすいサービスです。
・調剤系の求人を取り扱う転職支援サービスです。
・職場の雰囲気や体制など、求人票だけではわかりにくい情報を把握している場合があります。
・「長く働けそうな職場かどうか、雰囲気も含めて知りたい」という方が検討しやすいサービスです。
・薬剤師に特化した職業紹介サービスで、調剤薬局・病院・ドラッグストアなど幅広い求人を扱っています。
・公開されていない求人(非公開求人)を扱っていることもあり、選択肢を広げたい場面で役立ちます。
・「いろいろな可能性を見比べてから考えたい」という方に合いやすいサービスです。
・調剤薬局を中心に薬剤師向け求人を取り扱うサービスです。
・研修やフォロー体制など、就業後を見据えたサポートにも取り組んでいる点が特徴です。
・「現場でのスキルや知識も高めながら働きたい」という方が検討しやすいサービスです。
気持ちが揺れるときは、自分を見つめ直すきっかけになります
働き方について「このままでいいのかな」と考える瞬間は、誰にでも訪れます。
それは決して悪いことではなく、自分の今とこれからを整理するための大切なサインになることもあります。
転職サービスの利用は、何かをすぐに決めるためだけではなく、
「今の働き方」と「他の選択肢」を比較しながら考えるための手段として活用することもできます。
情報を知っておくだけでも、
「いざというときに動ける」という安心感につながる場合があります。


「転職するかどうかを決める前に、まずは情報を知っておくだけでも十分ですよ」ってお伝えしたいです。
自分に合う働き方を考える材料が増えるだけでも、少し気持ちがラクになることがありますよね。
無理に何かを変える必要はありませんが、
「自分にはどんな可能性があるのか」を知っておくことは、将来の安心につながることがあります。
気になるサービスがあれば、詳細を確認しながら、ご自身のペースで検討してみてください。



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