


男性の更年期障害は「気のせい」じゃない
「急に疲れやすくなった」「やる気が出ない」「イライラする」「性欲が落ちた」――
40〜60代の男性にこうした変化が起きたとき、周囲からも本人からも「年齢のせい」「仕事のストレス」と見過ごされがちです。
しかし、これらの症状の背景にテストステロン(男性ホルモン)低下が関わる病態があり、医学的には
LOH症候群(Late-Onset Hypogonadism:加齢男性・性腺機能低下症)
と呼ばれます。日本泌尿器科学会・日本Men’s Health医学会の診療の手引きでも、男性更年期症状の重要性が強調されています。

男性の更年期障害(LOH症候群)とは?
1. LOH症候群の定義
LOH症候群は、加齢やストレスなどに伴うテストステロン低下によって起こる心身の症候群です。海外では「andropause(男性更年期)」や「male climacteric」と呼ばれてきましたが、現在はLOHという概念で整理されています。
重要ポイントは、単なる「年相応の衰え」ではなく、治療や支援で改善しうる病態ということです。
2. なぜ起こる?原因とメカニズム
テストステロンは20代をピークに少しずつ低下しますが、低下のスピードには個人差があります。
さらに以下の因子が重なると、症状として表面化しやすくなります。
- 加齢による精巣機能低下
- 肥満・メタボリックシンドローム(脂肪組織でテストステロンが消耗され低下しやすい)
- 睡眠不足・睡眠時無呼吸(テストステロンは睡眠中に分泌が高まる)
- 慢性ストレス・うつ・過労
- 糖尿病や慢性疾患との関連

3. 症状:男性更年期は「三つの顔」を持つ
LOH症候群の症状は大きく3領域に分けられます。
(1)身体症状
- 疲れやすい、だるい
- 筋力低下、体脂肪増加
- 発汗・ほてり
- 頭痛、肩こり、関節痛
- 睡眠の質低下
(2)精神・認知症状
- 意欲低下、集中力低下
- イライラ、不安
- 抑うつ気分、落ち込み
- 判断力低下、物忘れ感
(3)性機能症状
- 性欲低下
- 勃起力低下(ED)
- 朝立ちの減少
- 射精感の低下
男性の場合、とくに「疲労」「抑うつ」「ED」あたりで受診につながることが多いです。
ただし、うつ病など他疾患と見た目が似ているため鑑別が重要です。
4. 女性の更年期との違いは?
女性更年期と男性更年期は「ホルモン変化に伴う心身症状」という点では共通ですが、決定的な違いがあります。
| 比較項目 | 女性の更年期 | 男性の更年期(LOH) |
|---|---|---|
| ホルモン変化 | エストロゲンが急激に低下 | テストステロンがゆっくり低下(個人差大) |
| 起こる時期 | 閉経前後(約45〜55歳)でピーク | 40代以降いつでも。20〜30代でも生活習慣で低下例あり |
| 症状の特徴 | ほてり・発汗など自律神経症状が多い | 疲労・抑うつ・性機能低下が目立つ |
| 診断の考え方 | 閉経という明確なイベントあり | ホルモン値+症状の総合判断 |
| 社会的背景 | 病名の認知が進んでいる | 「気合い不足」と誤解されやすい |
男性は“下り坂のスピードがなだらか”な分、本人も周りも気づきにくいのが大きな特徴です。
5. 診断:質問票+血液検査が基本
日本の手引きでは、診断は症状評価とテストステロン測定の組み合わせで行います。
(1)症状質問票(AMSスコアなど)
男性更年期のスクリーニングに「AMS(Aging Males’ Symptoms)スコア」が広く使われます。身体・精神・性機能に関する17項目を点数化し、重症度をみます。
(2)テストステロン測定
朝の時間帯(概ね午前中)に採血し、総テストステロンまたは遊離テストステロンを評価します。
手引きの診断目安は、
総テストステロン 250ng/dL以下 または 遊離テストステロン 7.5pg/mL以下
を低下基準としています。
ただし、基準値以上でも症状が強い場合があり、数値だけでなく症状や生活背景を合わせて判断するのが現代的な考え方です。
6. 治療:テストステロン補充だけが答えじゃない
治療は非薬物療法(生活・心理)+必要に応じた薬物療法を組み合わせます。
(1)非薬物療法(まず土台づくり)
- 睡眠の立て直し(就寝起床リズム、いびき・無呼吸の評価)
- 運動習慣(筋トレ+有酸素)
- 体重管理・食習慣(内臓脂肪の減少はテストステロン維持に有利)
- ストレス対処・メンタルケア

(2)薬物療法
症状とホルモン低下がはっきりし、禁忌がなければテストステロン補充療法(TRT)が検討されます。
- 筋肉注射、外用剤など(国内で使える剤形は医師が選択)
- 効果:性欲・勃起、抑うつ、筋量、代謝指標の改善などが報告
一方で副作用・注意点もあり、手引きでは以下に注意しながら行うとされています。
- 前立腺がん/男性乳がんは禁忌
- PSA高値や前立腺肥大が強い場合は慎重に
- 多血症、心不全、睡眠時無呼吸の悪化に注意
- 挙児希望がある場合、造精機能低下のリスク
つまり、TRTは「万人向けの若返り治療」ではなく、適応と安全管理が必要な医療です。
症例・具体例:こんな時に男性更年期を疑う
ケース1:仕事のミスが増え、気分も落ち込む50代
50代会社員。半年前から集中力低下・イライラ・寝ても疲れが取れない。自己評価は「うつっぽいかも」。
AMSスコア中等度、採血で遊離テストステロン低下。睡眠改善と運動療法を開始しつつ、TRTを導入。
3か月で気分と活力が改善。
ポイント:
性格やメンタルだけの問題に見えても、ホルモン要因が隠れていることがある。
ケース2:EDだけでなく“やる気”が消えた40代
40代男性。ED治療薬は効くが、性欲が戻らない。筋トレをやめてから体脂肪増加。
生活習慣の見直しで体重減少・睡眠改善を行うと、テストステロンが回復し性欲も徐々に改善。
ポイント:
生活習慣の悪化→テストステロン低下→さらに意欲低下の悪循環が起きやすい。
まとめ
- 男性更年期障害はLOH症候群として医学的に確立した病態。
- 原因はテストステロン低下だが、生活習慣・ストレス・疾患が強く影響。
- 症状は身体・精神・性機能の3領域にまたがる。
- 女性更年期と違い、ゆっくり進むため気づきにくい。
- 診断はAMSなどの質問票+ホルモン測定の総合判断。
- 治療は生活改善が土台。TRTは適応・禁忌・副作用管理が必須。

よくある質問
Q1. 何歳くらいから男性更年期になりますか?
40代以降で目立ちますが、発症時期は人それぞれです。
生活習慣やストレスで20〜30代でもテストステロン低下が起こることがあります。
Q2. うつ病とどう違うの?
症状が似るため鑑別が重要です。LOHでは性機能低下、筋力低下、テストステロン低値が伴いやすく、
精神科・泌尿器科・内分泌科の連携が推奨されています。
Q3. テストステロン補充療法は安全ですか?
適応を満たし、定期的にPSAや血算、症状をモニタリングすれば有効性が期待できます。
ただし前立腺がんなどは禁忌で、睡眠時無呼吸や多血症などの副作用に注意が必要です。
Q4. 市販サプリで治りますか?
サプリだけでLOHの診断基準を満たす低下が回復するエビデンスは限定的です。
症状が続くなら医療機関で検査を受けることが最優先です。
Q5. 受診するなら何科?
基本は泌尿器科、またはメンズヘルス外来・内分泌内科が窓口になります。
精神症状が強い場合は精神科併診も検討されます。
参考文献
- 日本泌尿器科学会/日本Men’s Health医学会 編.
「LOH症候群(加齢男性・性腺機能低下症)診療の手引き(2022)」
https://www.urol.or.jp/lib/files/other/guideline/44_loh.pdf
最終確認日:2025-11-22 - 日本内分泌学会 患者向け解説.
「男性更年期障害(加齢性腺機能低下症、LOH症候群)」
https://www.j-endo.jp/modules/patient/index.php?content_id=71
最終確認日:2025-11-22 - Amano T, et al. (2025).
“Late-onset hypogonadism: current methods of clinical practice in Japan.”
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12279357/
最終確認日:2025-11-22 - Okawara M, et al. (2024).
“Andropause / LOH-related symptoms in middle-aged and older men.” Industrial Health.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/indhealth/advpub/0/advpub_2024-0168/_pdf
最終確認日:2025-11-22 - 堀江重郎 (2013).
「男性更年期障害(LOH症候群)」日本内科学会雑誌.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/102/4/102_914/_pdf
最終確認日:2025-11-22 - 日本メンズヘルス医学会 研究情報.
“Summary of the clinical practice manual for LOH.”
https://jsmh.jp/research/detail/16
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薬剤師向け転職サービスの比較と特徴まとめ


今日は、特徴をわかりやすく整理しつつ、読んでくださる方が自分の働き方を見つめ直しやすいようにまとめていきましょう。
働く中で、ふと立ち止まる瞬間は誰にでもあります
薬剤師として日々働いていると、忙しさの中で気持ちに余裕が少なくなり、
「最近ちょっと疲れているかも…」と感じる瞬間が出てくることがあります。
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こうした感覚は、必ずしも「今の職場が嫌い」というわけではなく、
「これからの働き方を考えてもよいタイミングかもしれない」というサインであることもあります。
無理に変える必要はありませんが、少し気持ちが揺れたときに情報を整理しておくと、
自分に合った選択肢を考えるきっかけになることがあります。
薬剤師向け転職サービスの比較表
ここでは、薬剤師向けの主な転職サービスについて、それぞれの特徴を簡潔に整理しました。
各サービスの特徴(概要)
ここからは、上記のサービスごとに特徴をもう少しだけ詳しく整理していきます。ご自身の希望と照らし合わせる際の参考にしてください。
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気持ちが揺れるときは、自分を見つめ直すきっかけになります
働き方について「このままでいいのかな」と考える瞬間は、誰にでも訪れます。
それは決して悪いことではなく、自分の今とこれからを整理するための大切なサインになることもあります。
転職サービスの利用は、何かをすぐに決めるためだけではなく、
「今の働き方」と「他の選択肢」を比較しながら考えるための手段として活用することもできます。
情報を知っておくだけでも、
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「転職するかどうかを決める前に、まずは情報を知っておくだけでも十分ですよ」ってお伝えしたいです。
自分に合う働き方を考える材料が増えるだけでも、少し気持ちがラクになることがありますよね。
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