


- 今年もやってくる「熱中症シーズン」…その備え、できていますか?
- 熱中症の重症度とは?I度~III度の分類を薬剤師目線で解説!
- どこまでが熱中症?症状の見分け方と判断ポイント
- もし目の前で熱中症の症状が…応急処置の正しい手順とは?
- 熱中症にならないために今からできる予防法は?
- 薬局で選べる“おすすめグッズ”
- 薬剤師としてできる!熱中症予防の「声かけ」実践例
- 熱中症予防で普段から飲んでいい飲み物と気をつけたい飲み物って?
- 熱中症の治療法とは?症状別に正しい対応を知っておこう
- 熱中症に解熱鎮痛薬って使っていいの?
- 薬剤師が現場で気づける!熱中症の「異常サイン」チェックリスト
- 【実例紹介】薬局・家庭・学校での熱中症症例をチェック!
- 【社会的背景のある症例】エアコン未導入による熱中症発症例
- 【高齢者の心理的バリア】エアコン使用で「体調が悪くなる」と訴える症例
- まとめ
- よくある質問
- 参考文献
- \忙しい薬剤師でもOK!最短で合格を目指すならココ/
- 悩んでいる時間がもったいない。今日から一歩踏み出そう!
今年もやってくる「熱中症シーズン」…その備え、できていますか?
気温と湿度が上昇する6月〜9月は、熱中症のリスクが一気に高まる季節。
特に2024年からは猛暑日が例年以上に増えると予測され、熱中症による救急搬送件数も増加傾向にあります。
「喉が渇いていないから大丈夫」「室内にいるから安心」——こうした油断が重症化の引き金になることも…。
特に高齢者、子ども、慢性疾患を持つ方は要注意です。
この記事では、薬局薬剤師として知っておきたい「症状分類」「正しい応急処置」「販売できる対策グッズの説明ポイント」などを、現場の実例やガイドラインを交えて詳しく解説します。
読むだけで、今日から薬局でのアドバイスに自信が持てる!
そんな内容を目指して、分かりやすくお届けします。

熱中症の重症度とは?I度~III度の分類を薬剤師目線で解説!
熱中症は、症状の進行度により「I度(軽症)」「II度(中等症)」「III度(重症)」の3段階に分類されます。
それぞれの対応も大きく異なります。
重症度 | 主な症状 | 対応・処置 |
---|---|---|
I度(軽症) | めまい、立ちくらみ、こむら返り、発汗、大量の汗 | 涼しい場所での安静、水分・塩分補給(経口補水液) |
II度(中等症) | 頭痛、吐き気、嘔吐、倦怠感、虚脱感 | 医療機関への受診を推奨、冷却と補水 |
III度(重症) | 意識障害、けいれん、手足の運動障害、高体温(40℃以上) | 緊急搬送が必要! すぐに救急車を呼び、応急処置 |

どこまでが熱中症?症状の見分け方と判断ポイント
熱中症の症状は、初期段階では他の体調不良と混同しやすく、見逃されがちです。
以下に具体的なチェックポイントを示しますので、早期発見・早期対応のために活用してください。

▶ 初期症状(I度)で気づくべきサイン
- 立ちくらみ・めまい(脳への血流不足)
- 筋肉のけいれん(ナトリウム不足)
- 大量の発汗(体温調節のサイン)
⚠️体温はまだ高くないことが多く、「暑さに弱いだけかな」と誤解しがちです。
▶ 中等症(II度)の注意サイン
- 頭痛・吐き気・嘔吐(脳・消化器の軽度障害)
- 強い倦怠感・虚脱感(全身性の脱水)
- 判断力の低下(本人は症状に気づきにくい)
この段階での水分・塩分補給が間に合わないと、急速に重症化する可能性があります。
▶ 重症(III度)の緊急サイン
- 意識がもうろうとしている、応答が遅い
- けいれんや異常行動(中枢神経への影響)
- 体温が39〜40℃以上に上昇
- 手足の動きが鈍くなる・うまく歩けない
すぐに救急搬送が必要なレベルです。時間との勝負になります。

🌡 自分でできる「熱中症チェックリスト」
以下に1つでも該当する場合は、すぐに涼しい場所で休息を。
- 最近、汗を大量にかいている
- 水分や塩分の補給を怠っていた
- めまい・ふらつき・頭痛・吐き気がある
- 顔が赤い、皮膚が熱い・乾燥している
- 周囲から「言動が変」と言われた
「なんとなくおかしい」がサインです。
周囲の声や違和感に耳を傾けましょう。
もし目の前で熱中症の症状が…応急処置の正しい手順とは?
熱中症が疑われる場合は、スピードが命です。以下の手順に従って、迅速かつ適切に対応しましょう。
❶ 涼しい場所に避難させる
- 日陰、冷房の効いた室内、自動販売機のある場所など
- 意識がある場合でも、無理に歩かせず安全を確保
❷ 衣服をゆるめて体を冷やす
- 上着やベルトを外し、体から熱を逃がす
- 冷却が効果的な部位:首・わきの下・足の付け根
- 冷感スプレー・保冷剤・濡れタオルなどを活用
❸ 水分・塩分をゆっくり補給
- 意識がはっきりしている場合のみ!
- 経口補水液(OS-1)が最適(冷たすぎない温度)
- 500〜1000mLを数回に分けて飲ませる
- なければスポーツドリンクや塩+水の代用もOK
⚠ 意識が朦朧としている場合は、無理に飲ませない!
誤嚥のリスクがあります。
❹ 症状が改善しない・意識が曖昧なときは救急要請
- 救急車(119)を呼ぶと同時に、冷却と見守りを継続
- 到着までに容体の変化(脈拍・呼吸・顔色)を記録
- 必要に応じて心肺蘇生法(AED使用)も準備

🧊 使用できる冷却アイテム一覧(薬局で揃います)
アイテム | 使用部位 | 特徴 |
---|---|---|
冷却スプレー | 全身・首・腕など | 手軽・携帯可 |
冷却ジェルシート | 額・首・わき下 | 局所冷却、子どもにも◎ |
氷嚢・保冷剤 | わき・首・足の付け根 | 効果が高いが準備が必要 |
濡れタオル+うちわ | 全身 | 自然冷却との併用が有効 |
熱中症にならないために今からできる予防法は?
熱中症は正しい予防でかなりの確率で防ぐことができます。
以下では、環境・生活習慣・栄養・行動の4つの観点から、薬剤師として伝えたいポイントを紹介します。
🌡 環境を整える
- 室温28℃以下、湿度60%以下を目安にエアコン使用
- 扇風機・サーキュレーターで空気を循環
- WBGT(暑さ指数)を毎日確認する(アプリや測定器が便利)
🚰 水分と電解質をこまめに補給
- のどの渇きを感じる前に飲むのがポイント
- 1日1.2〜2.0Lを目安に水分を摂る(高齢者は特に意識)
- 汗を多くかいた日は、経口補水液や塩分タブレットでナトリウムも補給
🧢 外出・運動時の工夫
- 日傘・帽子・通気性の良い服を着用
- 運動は朝夕など涼しい時間帯に
- 15〜30分ごとに水分補給
🛌 睡眠・栄養で「暑さに負けない体づくり」
- 夜間も室温調整を忘れずに(就寝中の熱中症が多発)
- バランスのとれた食事で体調維持
- アルコールやカフェインの取りすぎに注意(利尿作用)

📋 こんな人は特に注意!
- 高齢者(暑さへの感覚が鈍くなっている)
- 乳幼児(体温調節機能が未熟)
- 糖尿病・心疾患・腎疾患のある人(体液調節が難しい)
- 抗コリン薬や利尿薬を服用している方
薬局では、こうしたリスクの高い方に対して、「声かけ」「商品の選び方」「補水タイミングの説明」を積極的に行いましょう。
薬局で選べる“おすすめグッズ”
グッズ | 用途・選ぶポイント |
---|---|
経口補水液(OS‑1) | 脱水だけでなく初期熱中症の治療にも◎。軽度〜中等度に推奨 |
薄めスポーツドリンク+塩分タブレット | 軽い外出や普段の水分補給に便利 |
塩分タブレット | 携帯しやすく、個包装がおすすめ |
冷却シート・スプレー | 首筋やわきに貼ることで迅速な体温低下に |
WBGT計 | 職場や家庭で暑さ指数(WBGT)をチェック。28℃超で厳重注意 |
薬剤師としてできる!熱中症予防の「声かけ」実践例
薬局は、地域の最前線で健康を支える存在です。熱中症は「声をかけるだけ」で予防できる病気でもあるため、薬剤師が行う一言の重要性は非常に高いです。
💬 高齢者への声かけ例
- 「最近暑い日が続いていますが、お水はこまめに飲めていますか?」
- 「朝・昼・晩のお薬の時に、コップ1杯の水分も一緒に取るようにしましょう」
- 「もしトイレが心配で水を控えていたら、ちょっとずつでも飲んでくださいね」
💬 子ども連れの親御さんへの声かけ例
- 「お子さん、最近お外で遊ぶこと多いですか?経口補水液を常備しておくと安心ですよ」
- 「帽子や冷却シートなどで、なるべく体温をこもらせないようにしましょう」
💬 持病のある方・服薬中の方への声かけ例
- 「このお薬(例:利尿薬)は、脱水になりやすいので、いつもより水分を意識してくださいね」
- 「糖尿病がある方は、糖分控えめの補水飲料を選ぶのがおすすめです」
💬 外で働く方・スポーツをする方への声かけ例
- 「お仕事中に汗をかいたときは、塩分も一緒に補ってください。タブレットタイプが便利ですよ」
- 「30分に1回は一口でも飲む習慣をつけると、体への負担が減りますよ」

📌 声かけのタイミングの工夫
- 調剤時の待ち時間
- OTC・ドリンクを選んでいる時
- 会計時の「ついでトーク」
「暑さに気をつけてくださいね!」の一言に、+αの根拠と提案を加えることが、薬剤師の介入効果を最大にします。
熱中症予防で普段から飲んでいい飲み物と気をつけたい飲み物って?
熱中症予防には「何を飲むか」も重要です。ただ水分を摂ればいいというわけではなく、電解質バランスや糖分、カフェインの有無などに注意が必要です。
✅ 普段から安心して飲める飲み物
飲み物 | 特徴 | おすすめの理由 |
---|---|---|
経口補水液(OS-1など) | ナトリウム・カリウムが豊富 | 軽度脱水~熱中症初期対応に最適 |
麦茶 | ノンカフェイン・ミネラル豊富 | 子どもや高齢者にも安心 |
白湯・水 | シンプルな水分源 | 常温で飲めば胃腸への負担が少ない |
薄めたスポーツドリンク | 糖分・ナトリウムが適量 | 運動後・汗をかいた後に |
⚠ 飲みすぎに注意が必要な飲み物
飲み物 | 理由 | 注意点 |
---|---|---|
カフェイン飲料(緑茶・コーヒー・紅茶) | 利尿作用あり | 脱水を助長する可能性がある |
アルコール類 | 強い利尿作用+血管拡張 | 熱中症リスクが大幅増 |
糖分の多い清涼飲料水 | 高カロリー+血糖急上昇 | 糖尿病のある方には不適切 |
栄養ドリンク(カフェイン入り) | カフェイン・糖分・刺激成分が多い | 一時的な覚醒作用だけで根本的な水分補給にはならない |

💡 薬剤師のひとことアドバイス
- 日常的な飲み物は「麦茶+常温の水+薄めスポドリ」でOK
- 経口補水液は「症状が出てから」「運動後」に限定で使うと効率的
- カフェイン飲料やアルコールは「水分補給」としてはNG
水分補給は「質」と「量」の両方が大切です。
薬局では、体調や生活スタイルに応じて提案をカスタマイズしていきましょう。
熱中症の治療法とは?症状別に正しい対応を知っておこう
熱中症は重症度に応じた適切な治療が重要です。
ここでは、I度(軽症)~III度(重症)に分類し、それぞれの治療法を詳しく解説します。
▶ I度(軽症)症状の治療法:家庭・薬局レベルで対応可能
- 涼しい場所で休息させる
- 衣類を緩め、首・わき・足の付け根を冷やす
- 経口補水液(OS-1)を少量ずつ複数回に分けて飲ませる
- 30分以内に症状が改善すれば、そのまま自宅で安静
薬剤師の介入で十分に対応できるレベルです。
改善が見られない場合は医療機関へ。
▶ II度(中等症)症状の治療法:医療機関への受診が必要
- 応急処置(冷却+補水)を継続しつつ、速やかに医療機関へ
- 症状に応じて、以下の処置が行われることがあります:
- 点滴による輸液療法(生理食塩水・ラクテートリンゲルなど)
- 体温管理(クーリングブランケット・氷嚢など)
- 心電図・血液検査・尿検査などによる全身評価
「頭痛+嘔吐」「倦怠感+ふらつき」などがセットで見られたら、迷わず受診を促しましょう。
▶ III度(重症)症状の治療法:救急対応+集中管理が必要
- すぐに119番通報。救急搬送の手配
- 意識障害・けいれん・体温40℃以上は重篤なサイン
- 医療機関では以下の処置が行われます:
- 冷却療法(アイスパック、冷水浸漬、冷却ブランケット)
- 電解質バランスの補正(高張液・血清Na管理)
- 呼吸・循環管理(酸素投与、昇圧剤、透析など)
- 場合によっては集中治療室(ICU)にて全身管理

🩺 治療と同時に観察すべきバイタルサイン
- 体温:39℃以上ならすぐに冷却介入
- 脈拍・呼吸:頻脈・頻呼吸は悪化のサイン
- 意識レベル:JCSまたはGCSで評価
- 尿量:腎機能のバロメーター
薬局レベルでは体温と意識状態の確認を徹底し、異常があれば医療機関へ誘導しましょう。
熱中症に解熱鎮痛薬って使っていいの?
発熱に対して「とりあえず解熱剤を使う」という判断は、熱中症の場合は非常に危険です。ここではその理由と、適切な対応について解説します。
🛑 解熱鎮痛薬は「熱中症の発熱」には効果がない
熱中症で見られる高体温は、脳の体温調節中枢が破綻した状態で起こる「非感染性の高体温」です。
ウイルスや細菌感染による発熱とは異なり、NSAIDs(イブプロフェンなど)やアセトアミノフェンは効果を示しません。
⚠ 使用するとむしろ悪化するリスクも
- NSAIDsは腎血流を低下させるため、脱水状態で使用すると腎障害を悪化させるリスクがある
- 解熱効果によって症状のマスク(隠蔽)が起こり、重症化に気づきにくくなる
- アセトアミノフェンは一見安全に見えるが、熱中症の根本的な熱には効かない

✅ 正しい対処は「物理的冷却」+「水分・電解質補給」
- 保冷剤・冷水シャワー・冷却タオルで体温を下げる
- 経口補水液(OS-1など)で脱水を補正
- 意識障害があればすぐに救急要請
📌 解熱剤が使えるのはこんな場合
以下のような感染症が熱の原因であると診断された場合に限り、アセトアミノフェンやNSAIDsの使用を検討します。
- かぜ症状+咽頭痛・咳などが明らかな場合
- 医師による感染性疾患の診断後
つまり、自己判断での解熱薬使用は避け、熱の原因を見極めることが先決です。
薬剤師が現場で気づける!熱中症の「異常サイン」チェックリスト
薬局は患者さんと最初に接する「一次トリアージの場」でもあります。
薬剤師が日常の会話・表情・服薬状況から異常に気づけるかどうかが、早期対応に直結します。
🧠 観察力でわかる!患者の見た目の異変
- 表情がぼんやりしている(いつもは明るい人なのに)
- 服装が厚着・マスクのまま(熱こもりやすい状態)
- 肌が赤く乾いている、汗が出ていない
- 動作がゆっくり、反応が鈍い
🗣 会話から気づく熱中症の兆候
- 「最近あんまり食欲がなくて…」
- 「寝つきが悪くて…」「夜中に何度もトイレに…」
- 「汗をかきすぎて、塩気のあるものが欲しくなる」
- 「お茶ばかり飲んでるけど、だるさが取れない」
これらはすべて軽度の脱水症状の可能性あり。経口補水液の声かけチャンスです。
💊 処方や服薬状況からの注意点
- 利尿薬(フロセミド・スピロノラクトンなど):脱水リスク大
- 抗コリン薬(プロパンテリン、抗ヒスタミン薬など):発汗低下で体温上昇
- 糖尿病薬(SGLT2阻害薬):尿量増加による脱水懸念
- 高齢者の多剤併用(ポリファーマシー):熱中症発症に気づきにくい

📌 薬剤師ができる「さりげない確認」フレーズ例
- 「今日は少しお顔が赤いですね、暑くなってきましたもんね」
- 「お薬の副作用でのど乾いたりしませんか?水分しっかり取れてます?」
- 「最近よく汗をかかれてる方が増えていて、経口補水液がよく出てますよ」
こうした観察+声かけ+商品提案が、薬局での熱中症予防の最大の武器になります。
【実例紹介】薬局・家庭・学校での熱中症症例をチェック!
実際の現場で遭遇した熱中症の症例をもとに、どのように判断し、対応すべきかを解説します。
薬剤師としての観察ポイントや介入のタイミングも参考にしてください。
症例①:70代・女性(高血圧持ち)/室内での発症
- 背景:梅雨明けの晴天日、自宅でエアコンを使用せずに過ごしていた
- 症状:めまい、ふらつき、倦怠感、食欲不振
- 対応:近所の薬局へ来局。薬剤師が顔色と発語異常に気づき、OS-1とベンチでの休息を提案。改善が乏しく、家族に連絡し受診を促した
- 結果:病院で軽度の脱水と診断、輸液後に回復
室内でも熱中症は起こることを教えてくれる症例です。
高齢者は暑さを自覚しにくく、エアコンの使用を我慢する傾向があるため、声かけが命を救います。
症例②:5歳・男児/外遊び後の発症
- 背景:猛暑日の午後、公園で30分ほど遊んだ後、帰宅時に嘔吐とぐったり感
- 症状:顔の赤み、発汗停止、ぐったり、呼びかけには応じる
- 対応:母親が経口補水液(OS-1)を少量ずつ与え、首と脇を冷却。改善が見られたため、翌朝小児科で受診
- 結果:中等度の熱中症と診断、入院は不要
子どもは体温調整が未熟で、わずかな時間の外出でもリスクが高いことを示す例です。携帯用の冷却アイテムと補水準備の大切さがわかります。
症例③:30代・男性/工事現場勤務中に倒れる
- 背景:高湿度の日に外作業を継続、休憩は1時間ごと
- 症状:突然の失神、体温40.5℃、意識もうろう、手足にけいれん
- 対応:同僚がすぐに119番通報。作業着を緩め、冷却スプレーと保冷剤で体温低下処置を行いながら待機
- 結果:病院にてIII度熱中症と診断され、集中治療室で管理。3日後に回復
重症熱中症では「迷ったら救急要請」が基本です。
現場作業者向けには、事前のWBGT確認とグループでの声かけが予防の鍵になります。

【社会的背景のある症例】エアコン未導入による熱中症発症例
熱中症は単なる環境要因だけでなく、生活状況や心理的背景にも深く関わります。
以下は、薬局での声かけによって発見された、生活保護受給者によるエアコン未使用例です。
症例:60代・男性(生活保護受給中)/集合住宅での発症
- 背景:2024年夏、気温35℃超の日々が続く中、ワンルームアパートでエアコン未設置の生活を継続
- 理由:「電気代がもったいない」「昔は扇風機で十分だった」などの固定観念
- 症状:倦怠感・頭痛・全身のだるさ。薬局へふらつきながら来局。額の汗も止まっていた
- 対応:薬剤師が顔色と歩行の異常を確認し、すぐに椅子に座らせ経口補水液を提供。保健師と連携し、地域包括支援センターに連絡
- 結果:医療機関で軽度熱中症と診断、以後は生活支援員を通じてエアコン設置に至る
🔍 この症例から学ぶべきポイント
- 生活困窮者は「熱中症=病気」という認識が薄く、予防行動が取れない
- 昔の常識(節電・我慢)が逆に命を脅かすケースがある
- エアコンは厚労省が「生命維持に必要な医療機器扱い」として認定している自治体もある(地域差あり)

👥 薬剤師がとれる支援アクション
- 生活状況を優しく聴取し、「なぜエアコンを使わないのか」の理由を把握
- 保健師・地域包括支援センター・福祉事務所と連携(本人の同意が望ましい)
- 「エアコンはぜいたく品ではなく命を守る装置」と説明する
- 行政による補助制度(設置費助成・電気代補助)を案内する
📝 関連制度例(自治体によって異なる)
- エアコン設置費用の助成:生活保護や高齢者世帯に限り設置補助が出る地域あり
- 熱中症対策補助金:電気代補助・WBGT計配布など
薬剤師は医療職であると同時に、地域福祉とのつなぎ役でもあります。
熱中症という命に関わる疾患だからこそ、「気になる人を見逃さない」姿勢が重要です。
【高齢者の心理的バリア】エアコン使用で「体調が悪くなる」と訴える症例
「エアコンをつけると余計に体が冷えてだるくなる」
このような訴えは、高齢者の患者さんからよく聞かれる言葉です。
以下の症例は、暑さへの抵抗感とエアコンへの不信感が重なって、熱中症リスクを高めた事例です。
症例:80代・女性(独居)/軽度認知症・高血圧あり
- 背景:日中30℃超の日々が続く中、自宅のエアコンを使用せず「扇風機だけ」で過ごしていた
- 主訴:「冷房をつけると関節が冷えて痛む」「体がだるくなるから我慢している」
- 症状:午前中にふらつき・倦怠感で薬局に来局。顔が赤く、発汗も見られた
- 対応:薬剤師が声かけし、室温確認を促すと「暑くない」と本人主張。訪問看護と連携し、室温記録を確認すると35℃超。医療機関紹介
- 結果:軽度熱中症と診断、生活指導を受けエアコン使用の重要性を理解
💡 「エアコンで体調不良」にはこんな原因が
- 冷風が直接体に当たる → 関節痛・冷感・筋肉硬直
- 風量設定が強すぎる → 睡眠障害や疲労感
- 室温が下がりすぎる → 26℃以下だと高齢者には寒すぎる
設定温度は「28℃前後+風向きを壁側に」が目安です。
📢 薬剤師からの声かけ例
- 「エアコンの風が当たるとつらいですか? 風向きを上にするだけでもだいぶ楽になりますよ」
- 「体が冷えると感じるなら、昼だけ使って、夜はタイマーを活用してみては?」
- 「28℃設定でも、風が柔らかいと意外と快適ですよ」

🔧 代替提案・工夫の例
- 風除けルーバーを設置 → 冷風を直接当てずに室内冷却
- 除湿モード使用 → 温度は下げすぎず湿度だけ下げる
- エアコン+扇風機で空気を循環
高齢者がエアコン使用を「不快」と感じる理由には、身体的な感覚だけでなく、過去の経験や心理的な抵抗も影響しています。
薬剤師は「暑さに慣れているから大丈夫」ではなく、「暑さが体に与えるダメージは年々大きくなる」と優しく説明しましょう。
まとめ
熱中症は予防と早期対応が最も重要な、命に関わる疾患です。
年齢・体力・環境・社会背景など、あらゆる要素が重なって発症リスクが高まります。
✔ 熱中症の主なポイント
- 高温多湿下での体温調節不全により発症
- 症状はI度~III度に分類され、意識障害・けいれんは緊急搬送が必要
- 冷却・水分+塩分補給が応急処置の基本
- 解熱鎮痛薬は基本的に使用不可(感染性発熱と異なる)
- 薬局では経口補水液、塩分タブレット、冷却用品が有効
✔ 予防法として意識すべきこと
- 水分は「のどが渇く前」に少しずつ
- 高齢者・子ども・疾患のある方は重点管理
- 室内でも28℃以下を目安に冷房を使用
- カフェイン・アルコールは水分補給に不向き
✔ 薬剤師としてできること
- 患者の表情・話し方・服薬内容から異常を見抜く
- 声かけで水分摂取の動機づけを行う
- 行政や多職種と連携してエアコン未使用者を支援
- POP・掲示物・商品配置で啓発を強化
「気づける」「伝えられる」薬剤師の力が、熱中症予防の最前線を支えています。
明日からの現場でも、ぜひ実践してみてください。

よくある質問
Q. OS‑1とスポーツドリンクの違いは?
OS‑1は医療用に近い組成で、ナトリウムやカリウム含有が高く脱水回復に適しています。スポーツドリンクは糖分多めで日常の水分補給向けです
Q. 高血圧や腎疾患がある人はどうすれば?
OS‑1等の塩分を含む製品は、服用に注意が必要です。薬剤師や医師と相談しながら使いましょう
Q. 自分で経口補水液を作れる?
500mLの水に塩1.5g、砂糖20gで代用できます。が、清潔さや保存期間に注意してください
参考文献
- 厚生労働省 熱中症関連ページ(2024診療ガイドライン)
- 大塚製薬 OS‑1公式サイト
- 練馬区薬局の熱中症対応事例
- 富永薬局 経口補水液の作り方
- 塩分タブレットの選び方解説
- タニタ「熱中症対策の法令と実務」








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