炭酸水素ナトリウムを腎機能低下患者に使う理由とは?

薬の知識・使い方

腎機能低下患者において、炭酸水素ナトリウム(重炭酸ナトリウム)が頻繁に使用される理由にはいくつかの医学的根拠があります。

以下にその主な理由を詳述します。

1. 代謝性アシドーシスの補正

代謝性アシドーシスとは?

代謝性アシドーシスは、体内の酸性度が異常に高くなる状態を指します。

通常、腎臓は血液中の酸性物質を排出し、体内のpHバランスを維持します。

しかし、腎機能が低下すると、この調節機能が損なわれ、酸性物質が蓄積してしまいます。

これにより、体内のpHが低下し(酸性化)、代謝性アシドーシスが引き起こされます。

ゆずまる
ゆずまる

呼吸性アシドーシス: 肺が二酸化炭素を十分に排出できないために起こります。

代謝性アシドーシス: 腎臓が酸性物質を十分に排出できないか、体内で過剰な酸が生成されるために起こります。

炭酸水素ナトリウムの役割

炭酸水素ナトリウムは、重炭酸イオンとして体内で働き、酸性物質を中和します。

これにより、血液のpHを正常範囲(7.35〜7.45)に戻すことができます。

重篤な代謝性アシドーシスは、呼吸困難や意識障害を引き起こすことがあり、迅速な補正が必要です。

炭酸水素ナトリウムの投与は、迅速にpHバランスを改善し、症状を緩和します。

ゆずまる
ゆずまる

炭酸水素ナトリウム(重曹)は化学式NaHCO3であらわされる化合物で、体内でNa+とHCO3-に解離します。HCO3-は重炭酸イオンと呼ばれ、酸を中和し体液をアルカリ性に傾ける働きを示します。

2. 腎機能の保護

アシドーシスが腎臓に与える影響

代謝性アシドーシスが持続すると、腎臓自体にも悪影響を及ぼします。

酸性環境は腎臓の細胞を損傷し、腎機能の低下を加速させます。

特に、慢性腎臓病(CKD)の患者では、このプロセスが進行することで、最終的に末期腎不全に至ることもあります。

保護メカニズム

炭酸水素ナトリウムは、腎臓の細胞を酸性環境から守り、腎機能のさらなる低下を防ぐ効果があります。

定期的な炭酸水素ナトリウムの補給により、腎臓の負担を軽減し、病状の進行を遅らせることが期待されます。

3. 筋肉や骨の健康維持

骨代謝への影響

長期間にわたる代謝性アシドーシスは、骨にも悪影響を及ぼします。

酸性状態が続くと、骨からカルシウムが溶け出しやすくなり、骨密度の低下を招きます。これにより、骨粗鬆症のリスクが高まり、骨折しやすくなります。

筋肉への影響

また、アシドーシスは筋肉のタンパク質分解を促進し、筋肉量の減少や筋力低下を引き起こします。

これにより、日常生活の活動が制限され、生活の質が低下します。

炭酸水素ナトリウムの効果

炭酸水素ナトリウムの補給により、これらの問題を予防・軽減することが可能です。

酸性状態を改善することで、骨からのカルシウム流出を抑え、筋肉のタンパク質分解を防ぎます。これにより、骨密度を維持し、筋力の低下を防ぐ効果があります。

4. 透析治療との併用

透析治療とアシドーシス

腎機能が著しく低下した患者に対しては透析治療が行われますが、透析中にも代謝性アシドーシスの補正が必要です。

透析治療は、血液から老廃物や余分な水分を除去するプロセスですが、これだけではpHバランスの完全な補正は難しい場合があります。

透析液中の炭酸水素ナトリウム

透析液中に炭酸水素ナトリウムが含まれている場合も多く、これにより透析中のアシドーシスを効率的に補正できます。

透析治療中の炭酸水素ナトリウムの補給は、血液のpHバランスを維持し、治療の効果を高める役割を果たします。

まとめ

炭酸水素ナトリウムは、腎機能低下患者に対して多くの重要な役割を果たします。

代謝性アシドーシスの補正、腎機能の保護、筋肉や骨の健康維持、透析治療中のpHバランス維持など、その効果は広範囲にわたります。

これらの理由から、腎機能低下患者に対しては炭酸水素ナトリウムの使用が推奨されることが多いのです。

よくある質問

Q. 炭酸水素ナトリウムの副作用はありますか?

A. 炭酸水素ナトリウムの使用により、ナトリウム負荷が増加し、高血圧や体液貯留のリスクが高まる可能性があります。

また、過剰に投与するとアルカローシス(血液がアルカリ性に傾く状態)を引き起こすこともあります。

使用は医師の指示に従い、定期的なモニタリングが必要です。

ゆずまる
ゆずまる

胃薬として用いられる重曹ですが、反応式は以下の通りです。

 

NaHCO3+HCl→NaCl+H2O+CO2

 

となります。

よって体内では塩が出来るので高血圧になる可能性はありますよね。

Q. 炭酸水素ナトリウムは市販薬として購入できますか?

A. 炭酸水素ナトリウムは一部の市販薬にも含まれており、胃酸過多の治療などに使用されますが、腎機能低下患者が使用する場合は必ず医師の指示を仰ぐ必要があります。

Q. 炭酸水素ナトリウムの服用方法は?

A. 医師から処方された場合、通常は経口で服用します。

液体や錠剤の形態が一般的で、処方された用量を守り、定期的な血液検査を行いながら服用します。

Q. 透析患者における炭酸水素ナトリウムの役割は何ですか?

A. 透析患者では、透析治療中に炭酸水素ナトリウムを含む透析液が使用されることが多く、これにより血液のpHバランスを効率的に補正します。

透析治療と併用することで、代謝性アシドーシスの補正がより効果的に行われます。

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