


結核の治療費、自己負担ってどのくらい?知らなきゃ損する公費制度を解説!
結核はかつて「死の病」と恐れられていましたが、現在では治療法も確立され、適切な内服管理により完治が見込める病気です。
しかし治療期間は長く、少なくとも6ヶ月以上、場合によっては1年以上かかることもあり、薬剤の種類や頻度も多いため、経済的な負担が気になる患者さんも少なくありません。
そんな中で、感染症法に基づいて用意されているのが「結核医療費公費負担制度」です。
これは、通院治療も入院治療も、医療費の大部分を公費でカバーしてくれる制度で、患者さんにとって非常に大きな助けとなります。
ところがこの制度、制度名が難しく、適用条件や申請手続きが複雑に見えるせいか、患者さんだけでなく、現場の医療スタッフの間でも正しく理解されていないケースが意外と多くあります。
この記事では、薬局薬剤師として押さえておきたい結核の公費負担制度の全体像を、できるだけわかりやすく、かつ実践的にまとめました。
患者さんに制度をきちんと説明できるようになるだけでなく、制度の背景や法的根拠、通院・入院それぞれの具体的な仕組み、申請時の注意点まで、まるっと網羅していきます。
さっそく、制度の基礎から一緒に学んでいきましょう!
通院治療の場合、公費でどこまで負担されるの?【感染症法第37条の2】
通院で結核の治療を受ける場合、「感染症法第37条の2」に基づく医療費公費負担制度が適用されます。
この制度では、治療にかかる医療費の95%が公費で負担され、患者さんの自己負担は基本的に5%です。
ただし、この5%も自治体によっては助成があり、住民税非課税世帯では自己負担ゼロになるケースもあります。
対象となる治療・検査項目
- 抗結核薬を用いた化学療法
- 胸部X線撮影、喀痰検査、CTなどの画像・菌検査
- 外科的処置(必要な場合)
- 装具療法や入院に準ずる処置
なお、初診料・再診料・診断書料・リハビリ・保険適用外の自由診療は対象外です。
申請の流れと注意点
- 通院中の結核患者であることを医師が診断
- 必要書類を準備し、保健所へ申請
- 保健所が受理した日以降の診療に対して公費負担が適用
- 原則6ヶ月間有効。継続治療には更新手続きが必要
申請に必要な書類
- 結核医療費公費負担申請書
- 3ヶ月以内に撮影された胸部X線写真(または画像データ)
- 健康保険証(コピー可)
- 住民票(世帯全員分)
- 世帯の所得を証明する書類(住民税課税証明書など)
- 非課税世帯であれば、非課税証明書
申請先・窓口
申請は、患者さんの住所地を管轄する保健所または市区町村の感染症対策窓口で行います。
自治体によっては、医療機関を通して申請可能な場合や、電子申請に対応している場合もあります。

入院治療では医療費が全額公費負担?【感染症法第37条】
結核の感染性が高いと判断された場合、保健所から入院勧告が出され、指定病床への入院を求められることがあります。
このとき適用されるのが、感染症法第37条に基づく医療費公費負担制度です。
この制度では、入院にかかる医療費が原則すべて公費でまかなわれます。
患者さんの自己負担はゼロ。ただし、所得に応じて一定の負担が課されるケースもあります。
対象となる入院と医療費
- 保健所が「感染性あり」と判断した場合の勧告入院
- 指定結核病床での治療(一般病床では原則対象外)
- 検査・化学療法・看護・処置などの医療費
寝巻き・洗濯・個室料金・テレビ代などの保険外費用は対象外となります。
自己負担の例外:月額2万円までの負担あり
一定以上の所得がある世帯では、以下のように月額2万円を上限とした自己負担が発生します。
- 課税所得額が一定基準を超える世帯(例:市町村民税所得割が56万4,000円以上)
- それ以外の世帯は、全額公費で負担されます
感染症法では医療の公平性と費用負担のバランスをとるため、一定以上の所得のある世帯には応能負担が求められます。そのため月額上限2万円までの自己負担が設定されています。
申請の手続きと必要書類
- 結核医療費公費負担申請書(入院用/兼診断書)
- 3ヶ月以内の胸部X線写真または画像データ
- 健康保険証、住民票(世帯全員分)
- 課税証明書または所得に関する同意書
申請は入院先の医療機関を通じて保健所へ提出する場合が多いですが、患者自身または家族が保健所へ直接申請することも可能です。
公費適用のタイミング
通院と異なり、入院勧告日からさかのぼって制度が適用されます。
つまり、申請が遅れても入院日からの費用がカバーされるので安心です。

肺MAC症には公費負担は使えないの?【非結核性抗酸菌症の場合】
結核と似た症状を示す疾患として、非結核性抗酸菌症(NTM症)が知られています。
中でも「肺MAC症」は高齢女性を中心に増加しており、結核と同様に長期の治療を要する疾患です。
しかし、結論から言うと、肺MAC症は結核医療費の公費負担制度の対象外です。
❌結核との違いによる制度非対象
結核は感染症法における「指定感染症」ですが、肺MAC症は感染症法で定める届出義務や隔離義務のない疾患であるため、公費負担制度の適用外となっています。
❓似た薬剤が使われていても対象外
肺MAC症の治療にも、リファンピシンやエタンブトールといった結核治療と同じ薬剤が使われることがありますが、それでも疾患名が「肺MAC症」である限り公費は使えません。
- 例)リファンピシン+エタンブトール+クラリスロマイシン → 公費対象外
✅例外的に使える制度は?
肺MAC症に対しては、公費制度の代わりに以下のような支援制度を検討できます。
- 高額療養費制度(自己負担上限を超えた分が返還される)
- 自立支援医療(呼吸器機能障害など)
- 障害者手帳申請(呼吸器疾患)

実際にこんな場面がある!薬局での症例紹介
症例①:通院治療中の高齢男性、自己負担ゼロのケース
患者:78歳男性、肺結核と診断され、通院で抗結核薬(リファンピシン+イソニアジド)を6ヶ月内服中。
薬局にて、処方せんに「公費負担者番号・自己負担0」と記載あり。住民税非課税世帯であるため、本来5%の自己負担も自治体の助成で免除されていた。
薬剤師対応: 処方内容が公費対象薬であること、公費番号の期限が有効であることを確認。患者からは「薬代がかからないのがありがたい」と感謝の声。
症例②:肺MAC症の女性、対象外だった事例
患者:65歳女性、「肺MAC症」の診断でクラリスロマイシン・リファンピシン・エタンブトールが処方された。
患者:「結核の薬と同じだから公費で出るんですよね?」と質問。
薬剤師対応: 公費制度の対象は「結核」に限られるため、MAC症は適用外であることを丁寧に説明。高額療養費制度などの代替支援制度を案内した。
症例③:入院中から通院治療へ切り替えたケース
患者:52歳男性。結核で一時入院し、公費で全額負担されていたが、退院後も治療継続のため通院に切り替え。
退院時に医療機関から「公費負担申請(通院用)」の案内があり、患者が保健所へ申請。保健所受理日以降の通院費用が対象となった。
薬剤師対応: 「公費番号の適用開始日は保健所の受理日であること」「途中で制度が変わるため負担割合の確認が必要」であると再説明。

まとめ
結核は長期間の治療が必要な疾患ですが、感染症法に基づく公費負担制度により、通院・入院ともに経済的な負担を大幅に軽減することが可能です。
✅この記事のまとめポイント
- 通院治療では医療費の95%が公費で補助され、残り5%も非課税世帯なら免除の可能性あり
- 入院治療では原則100%公費負担(一定の所得がある世帯には上限月2万円の自己負担)
- 制度の対象は「結核」に限られ、「肺MAC症」などは対象外
- 制度の利用には事前の申請と期限管理が重要(受理日からの適用で、更新も必要)
- 薬局では、対象薬剤の確認・有効期限・公費番号の管理・患者説明が重要な業務となる
薬剤師として、患者さんが安心して治療に取り組めるように、公費制度の仕組みを正しく理解し、現場で適切に対応していきましょう。

理解度チェック!公費制度クイズ
【Q1】通院治療における公費負担の割合は?
- A. 100%
- B. 95%
- C. 90%
- D. 80%
【正解】B. 95%
通院での結核治療は、感染症法第37条の2に基づき、医療費の95%が公費で補助されます。残りの5%は自己負担ですが、非課税世帯の場合はその分も助成されることがあります。
【Q2】肺MAC症の治療に公費制度は適用される?
- A. はい B. いいえ
【正解】B. いいえ
肺MAC症は非結核性抗酸菌症であり、感染症法上の指定感染症には含まれません。そのため、公費制度の対象外となっています。同じ薬剤を使っていても、病名によって制度の適用が異なります。
【Q3】結核の入院治療で自己負担が発生するケースは?
- A. どんな場合でも0円
- B. 一定の所得がある場合
- C. 入院が長期化した場合
- D. 民間病院で入院した場合
【正解】B. 一定の所得がある場合
感染症法第37条に基づく入院治療では原則全額公費負担ですが、課税所得が一定以上の世帯では月額2万円までの自己負担が発生します。
よくある質問(Q&A)
Q1. 公費負担はいつから適用されますか?
通院の場合は、保健所が申請書を受理した日以降の医療費が対象です。入院の場合は、入院勧告が出された日までさかのぼって適用されます。
Q2. 公費の有効期限が切れていた場合はどうなりますか?
有効期限外に受けた診療については、公費の対象になりません。継続治療中の方は、期限前に必ず更新手続きを行いましょう。
Q3. 公費制度と高額療養費制度は併用できますか?
基本的に併用はできません。結核の医療費は公費が優先されるため、高額療養費の対象とはなりません。ただし、対象外の費用(食事代など)に関しては、別途申請が可能なケースもあります。
Q4. 一部の薬だけが公費対象になることはありますか?
あります。例えば、結核に関連しない薬(胃薬、整腸剤、保湿剤など)は公費対象外として保険で処理されます。薬局では処方内容を確認し、対象薬の判別が重要です。
Q5. 患者が「肺MAC症」の場合、何か他の制度は使えますか?
結核の公費制度は使えませんが、高額療養費制度や、自立支援医療(呼吸器機能障害)など、他の公的支援を検討できます。主治医や自治体の窓口で相談することをおすすめします。

参考文献
- 厚生労働省/感染症法 第37条・第37条の2 抄
- 厚生労働省「結核医療費公費負担制度の保険優先化に伴う取扱い」
- 川崎市「結核医療費の公費負担」-通院・入院制度詳細
- 川崎市「結核指定医療機関の手引き」
- 厚生労働省「結核医療の基準(平成28年改正版)」

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よくある質問/Q&A
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