否定せずに意見を言う方法とは?薬剤師が今日から使えるアサーション完全ガイド


否定せずに意見を言うとは?なぜ薬剤師に必要なの?
薬局では、患者さん、医師、看護師、同僚、介護スタッフなど、多職種・多様な価値観の人と協働します。
そこで重要なのが、相手を否定せずに、別の視点や提案を“追加”していく話し方です。
これにより、対立を避けつつ安全で効率的な医療を実現できます。特にチーム医療では、情報共有と合意形成が安全文化の基盤となり、日々の小さなコミュニケーションが医療安全に直結します。
- ポイント①: まず受け止める(共感・要約)→ その後に自分の意見を「一方で…」「加えて…」で添える。
- ポイント②: 主語を「私」にする(Iメッセージ)ことで、非難になりにくい。
- ポイント③: 具体的な提案(DESC法のS)と選択肢(C)で、会話を前に進める。

アサーションって何?定義と非アサーティブとの違いは?
アサーション(アサーティブ・コミュニケーション)は、自分の権利と相手の権利を同じように尊重しながら、誠実・率直・対等に伝えること。次の3タイプを区別して考えるとわかりやすいです。
- 攻撃的(Aggressive):相手を圧倒・否定。短期的には通るが、関係を損ないやすい。
- 受け身(Passive):自分を抑え込みがち。不満・疲弊・エラー報告の遅れにつながる。
- アサーティブ(Assertive):配慮と言語化のバランス。安全・信頼・効率を底上げ。
医療現場では、情報の非対称性や時間的制約から攻撃的・受け身に偏りがち。だからこそ、共通言語としてのアサーションが役立ちます。

正式名称は何?どんなフレームワークがあるの?
Iメッセージってなに?
「私は〜と感じます」「私は〜を心配しています」のように、主語を自分にする伝え方。非難語を避け、感情・要望・根拠を順に述べるのがコツです。
例:
❌「あなた、用法を守ってないですよ」 → ⭕「私は、飲み忘れが続くと効果が出にくくなるのが心配です。毎食後のタイミングに合わせる方法を一緒に考えませんか?」
DESC法ってどう使うの?
Describe(状況)→ Express(気持ち)→ Specify(提案)→ Choose/Consequences(合意・結果)の順に、丁寧に合意形成します。
- D:本日の血圧は上がっていて、服薬状況に抜けがありました。
- E:私も改善のお手伝いをしたい気持ちです。
- S:一包化と服薬カレンダーの併用をご提案します。
- C:まず2週間 試して、次回来局で効果と使い勝手を一緒に確認しませんか?
Yes, and…って何に効くの?
即興演劇の原則を会話に応用したもの。
相手の発言を受け止め(Yes)、自分の視点を「そして」で追加(And)。反射的な「No, but…」を避けるだけで、会話の空気が変わります。

どんなフレーズが効果的?言い換え辞典を教えて!
| NG(対立を生む) | OK(アサーティブ) | 狙い |
|---|---|---|
| 「でも、それは違います」 | 「確かに一理あります。一方で〜」 | 受け止め→追加 |
| 「無理です」 | 「その案は良いですね。代替案として〜」 | 代替提示 |
| 「間違ってます」 | 「私の経験ではこういうケースもありました」 | 主語を自分に |
| 「なんでやってないの?」 | 「どこがやりにくかったか、教えてもらえますか?」 | 原因探索 |
| 「それは規則です」 | 「安全のため、この手順が必要です。最短で済む方法を一緒に考えます」 | 目的の共有 |
- クッション言葉:「おっしゃる通りです」/「たしかに」/「一理あります」
- 接続詞の工夫:「一方で」/「加えて」/「別の観点では」
- 質問で開く:「どの点が一番気になりますか?」/「優先したいのは価格・効果・副作用のどれでしょう?」

薬局シーン別の実践スクリプトは?(患者・医師・同僚)
患者さん:ジェネリックが不安?
👤 患者「ジェネリックはちょっと不安で…」
👩⚕️ 薬剤師「不安に思われる点、よくわかります。一方で、国の承認基準を満たし、成分・効果は原則同等です。費用面のメリットもあるので、まず1ヶ月試して合わなければ先発に戻すのはいかがでしょう?」
患者さん:副作用が怖い?
👤 患者「以前ふらついたから、もう飲みたくない」
👩⚕️ 「その体験は怖かったですね。私も安全を第一に考えています。就寝前に変更+減量の選択肢を主治医に確認します。2週間だけ様子をみて、無理なら別の方法を一緒に考えましょう。」
医師:処方変更に慎重?
👨⚕️ 医師「処方はこのままで」
👩⚕️ 「現状で効果が出ているのは安心です。一方で、eGFRが低下傾向でして、減量や代替薬の選択肢もあります。本日の目的(安全優先か症状優先か)をそろえられると助かります。」
同僚:OTCの提案に抵抗?
👩⚕️ 同僚「売り込みっぽくて嫌」
👩⚕️ 「わかる。押し売りはしないのが前提。症状・予算・生活を聞いた上で選択肢を提示し、決めるのは患者さんに任せる形にしよう。」

NG→改善例を一覧で見たい?(ミスコミュニケーション対策)
| 状況 | NG例 | 改善例(アサーション) |
|---|---|---|
| 待ち時間の不満 | 「忙しいので」 | 「お待たせしてすみません。安全確認に時間をいただいています。あと10分以内にお渡しできます」 |
| 会議での反論 | 「それは違う」 | 「狙いは理解しました。一方で在庫回転の観点からは〜」 |
| 後輩への指摘 | 「なんで確認しないの」 | 「ここが抜けやすいポイントだよ。チェックリストに1行追加しよう」 |
| 家族の不安 | 「大丈夫です」 | 「心配になりますよね。副作用サインはこの3つ。出たらすぐ連絡を」 |

ロールプレイはどう進める?(トレーニング手順)
- 目標設定:例「疑義照会で『No』を言わずに減量を提案したい」
- 台本作成:受け止め文→Iメッセージ→提案→選択肢
- 3分ロール:会話を録音。被せず傾聴を意識。
- 振り返り:言い換え候補を3つ追加。
- 再演:スピードと声のトーンもチェック。
評価の観点:(1)相手の要約が入っているか(2)主語が“私”か(3)具体提案があるか(4)選択肢で閉めているか

よくある落とし穴は?どう避ける?
- 受け止めが形骸化:「そうですね」だけで要約が無い → 要約+感情語を1文入れる。
- Iメッセージの誤用:「私はあなたが悪いと思う」はYOU責め。→ 事実・感情・要望を分離。
- 提案が抽象的:「気をつけましょう」 → 手順・期限・連絡先まで具体化。
- 選択肢がない:「これで」 → A/Bの二択で合意形成。

学習計画はどう立てる?1日15分のロードマップは?
週3日×4週間のミニプログラム例。
- Week1:言い換え辞典づくり(10フレーズ)。現場で1日1つ使う。
- Week2:Iメッセージの型(事実→感情→要望→理由)で3文作成。
- Week3:DESCミニロールを3セット。録音してセルフレビュー。
- Week4:Yes, andで否定せず合意形成。会議で2回実践。
アウトプット先(朝礼・終礼・日誌)を決めると継続しやすいです。

クイズで確認!
クイズ1:次のうち最もアサーティブなのは?
A:それは間違っています/B:確かにそうですね。一方で〜/C:あなたに任せます(自分の意見なし)
クイズ2:Iメッセージの正しい構成は?
A:感情→責め→結論/B:事実→感情→要望→理由/C:理由→結論のみ
クイズ3:DESCのCで適切なのは?
A:提案の断定/B:合意・選択肢の確認/C:感情の再表明のみ

よくある質問
Q:アサーションは誰でも身につく?
A:身につきます。短時間×反復のロールプレイが最短ルート。日常で1日1フレーズ置き換えるだけでも効果が出ます。
Q:医師に失礼になりませんか?
A:前提は相手の尊重。目的(患者安全)を共有し、事実・提案・選択肢で合意形成すれば、むしろ信頼が高まります。
Q:トラブル時に最初に言うべき一言は?
A:「ご不安なお気持ち、伺いました」。受け止め→要約→提案の順で落ち着きを取り戻せます。
Q:学ぶ順番は?
A:言い換え辞典→Iメッセージ→DESC→Yes,andの順が定着しやすいです。
まとめ
- 重要なポイント: “否定しない”は迎合ではなく、受け止め+追加の技術。
- 特に大事なポイント: Iメッセージ/DESC/Yes,and を場面で使い分ける。
- 現場では言い換え辞典+ロールプレイで瞬発力を作る。

参考文献
- Origins of the Gordon Model(Gordon Training International)
- What are the Essential Components of an I-Message?(Gordon Training)
- Tool: DESC(AHRQ TeamSTEPPS)
- 健常者を対象にしたアサーション・トレーニングの効果(J-STAGE)
- 精神科看護師のアサーションと信頼関係形成(J-STAGE)
- 安全な医療を提供するための10の要点(厚生労働省)
- 患者のオンラインアクセス期待に関する研究(補足・PMC)
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薬剤師向け転職サービスの比較と特徴まとめ


今日は、特徴をわかりやすく整理しつつ、読んでくださる方が自分の働き方を見つめ直しやすいようにまとめていきましょう。
働く中で、ふと立ち止まる瞬間は誰にでもあります
薬剤師として日々働いていると、忙しさの中で気持ちに余裕が少なくなり、
「最近ちょっと疲れているかも…」と感じる瞬間が出てくることがあります。
- 店舗からの連絡に、少し身構えてしまう
- 休憩中も頭の中が業務のことでいっぱいになっている
- 気づけば仕事中心の生活になっている
こうした感覚は、必ずしも「今の職場が嫌い」というわけではなく、
「これからの働き方を考えてもよいタイミングかもしれない」というサインであることもあります。
無理に変える必要はありませんが、少し気持ちが揺れたときに情報を整理しておくと、
自分に合った選択肢を考えるきっかけになることがあります。
薬剤師向け転職サービスの比較表
ここでは、薬剤師向けの主な転職サービスについて、それぞれの特徴を簡潔に整理しました。
各サービスの特徴(概要)
ここからは、上記のサービスごとに特徴をもう少しだけ詳しく整理していきます。ご自身の希望と照らし合わせる際の参考にしてください。
・薬剤師向けの転職支援サービスとして、調剤薬局やドラッグストアなどの求人を扱っています。
・面談を通じて、これまでの経験や今後の希望を整理しながら話ができる点が特徴です。
・「まずは話を聞いてみたい」「自分の考えを整理したい」という方にとって、利用しやすいスタイルと言えます。
・全国の薬局・病院・ドラッグストアなど、幅広い求人を取り扱っています。
・エリアごとの求人状況を比較しやすく、通勤圏や希望地域に合わせて探したいときに役立ちます。
・「家から通いやすい範囲で、いくつか選択肢を見比べたい」という方に向いているサービスです。
・調剤薬局の求人を多く扱い、条件の調整や個別相談に力を入れているスタイルです。
・勤務時間、休日日数、年収など、具体的な条件について相談しながら進めたい人に利用されています。
・「働き方や条件面にしっかりこだわりたい」方が、検討の材料として使いやすいサービスです。
・調剤系の求人を取り扱う転職支援サービスです。
・職場の雰囲気や体制など、求人票だけではわかりにくい情報を把握している場合があります。
・「長く働けそうな職場かどうか、雰囲気も含めて知りたい」という方が検討しやすいサービスです。
・薬剤師に特化した職業紹介サービスで、調剤薬局・病院・ドラッグストアなど幅広い求人を扱っています。
・公開されていない求人(非公開求人)を扱っていることもあり、選択肢を広げたい場面で役立ちます。
・「いろいろな可能性を見比べてから考えたい」という方に合いやすいサービスです。
・調剤薬局を中心に薬剤師向け求人を取り扱うサービスです。
・研修やフォロー体制など、就業後を見据えたサポートにも取り組んでいる点が特徴です。
・「現場でのスキルや知識も高めながら働きたい」という方が検討しやすいサービスです。
気持ちが揺れるときは、自分を見つめ直すきっかけになります
働き方について「このままでいいのかな」と考える瞬間は、誰にでも訪れます。
それは決して悪いことではなく、自分の今とこれからを整理するための大切なサインになることもあります。
転職サービスの利用は、何かをすぐに決めるためだけではなく、
「今の働き方」と「他の選択肢」を比較しながら考えるための手段として活用することもできます。
情報を知っておくだけでも、
「いざというときに動ける」という安心感につながる場合があります。


「転職するかどうかを決める前に、まずは情報を知っておくだけでも十分ですよ」ってお伝えしたいです。
自分に合う働き方を考える材料が増えるだけでも、少し気持ちがラクになることがありますよね。
無理に何かを変える必要はありませんが、
「自分にはどんな可能性があるのか」を知っておくことは、将来の安心につながることがあります。
気になるサービスがあれば、詳細を確認しながら、ご自身のペースで検討してみてください。



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