

前書き(この記事でわかること)
本記事は、薬局における「ジェネリックの選定療養(正式名称:長期収載品の選定療養)」を、制度の背景・仕組み・計算・処方箋チェック・患者説明・会計・公費対応・在庫/供給問題対応まで、薬局現場で迷いがちなポイントを総合ガイドとして解説します。
一次情報(厚生労働省の告示・Q&A・疑義解釈等)を基に、実務で使える例・トークスクリプト・掲示テンプレ・チェックリストを掲載します。
長期収載品の選定療養とは?(まず結論)
- 後発医薬品(ジェネリック)がある先発医薬品(=長期収載品)を患者が希望して処方または調剤を受けると、「特別の料金」を自己負担します。
- 「特別の料金」は先発と後発(最高価格帯)の薬価差の1/4。保険外のため消費税が加算されます。加えて通常の保険自己負担も別途発生します。
(出典:厚生労働省の制度ページ・Q&A) - 医療上の必要性がある場合や、後発品の提供が困難な場合(在庫等)は、従来どおり保険給付(特別料金なし)で扱えます。
- 制度開始:2024年10月1日。処方箋様式に「変更不可(医療上必要)」欄と「患者希望」欄が整備されています。
制度の背景と目的(なぜ導入?)
薬剤費の適正化を図りつつ、患者の選択(どうしても先発品を希望)も一定程度尊重するための仕組みです。差額の1/4のみ追加という設計で、負担と自由度のバランスを取っています。ジェネリック普及を損ねず、先発希望の透明性も確保されます。
対象・適用範囲の整理
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象薬剤 | 後発品が存在する先発品(=長期収載品)。 |
| 対象者 | 年齢や公費の有無にかかわらず対象(こども医療・各種公費対象でも、医療上必要性がなければ選定療養)。 |
| 対象外 | 入院中は対象外(退院時処方は入院扱い)。 医療上必要性があるケース、後発提供が困難なケースは保険給付。 |
| 処方箋様式 | 「変更不可(医療上必要)」欄、「患者希望」欄を整備。一般名処方で患者が先発希望→原則選定療養。 |
追加自己負担「特別の料金」の計算
計算式の要点は以下のとおりです。
- 差額 = 先発薬価 − 後発(最高価格帯)薬価
- 特別の料金 = 差額 × 1/4(端数処理あり)
- 消費税(10%)を加算(保険外のため課税)
- 通常の薬剤料(保険給付分)に対する患者負担(1〜3割等)は別途。
先発100円、後発60円 → 差額40円 → 特別の料金:10円(+税)/錠。
※実務では日数・用量に応じて合算、端数はレセ/会計仕様に依存。
ポイント: 後発品が複数ある場合は「最も高い後発品」との差で計算します。
「特別の料金」はあくまで差額の一部(1/4)で、薬剤料そのものの保険負担計算とは別に扱われます。
「医療上の必要性」ってどんなケース?
厚労省の疑義解釈では、以下のような代表例が示されています。該当すれば従来どおり保険給付(特別料金なし)。
- 先発と後発で承認効能・効果に差がある。
- 学会ガイドラインでスイッチ非推奨(例:発作抑制中の抗てんかん薬等)、等を踏まえ医師が必要と判断。
- 剤形上の理由(飲みにくい、吸湿性で一包化不可 等)で後発が不適。
- 一般名処方だが、薬剤師が上記理由により長期収載品が適切と判断(疑義照会不要な場面も明記)。
「後発品を提供することが困難」な場合
現にその薬局(または医療機関)で後発を提供できないなら、患者は後発を選べず、従来どおり保険給付で可(選定療養なし)。出荷停止/調整かどうかでなく、現場の提供可否で判断します。院内採用が後発なしでも同様の扱いが可能です。
処方箋の見方・現場フロー(薬局オペレーション)
- 処方箋チェック:
「変更不可(医療上必要)」/「患者希望」欄を確認。両欄が同時にチェックされることは想定外。あれば疑義照会。 - 一般名処方への対応:
患者が先発希望→原則選定療養。だがヒアリングで医療上必要性に該当と判断する情報があれば、保険給付で可(疑義照会不要の場面あり)。 - 在庫・供給確認:
後発提供が困難なら、保険給付。ただし継続的な採用・在庫戦略は要見直し。 - 患者説明と同意:
選定療養に該当する場合、差額の1/4・課税・通常負担と別建てであること、額の目安、選択肢を明確に伝える。 - 会計・領収書:
特別の料金は保険外。明細で区分し、課税対象として処理。 - 掲示:
院内掲示・Web掲示の推奨様式(厚労省ポスター)を参考に周知。
患者説明トーク(そのまま使える)
「このお薬はジェネリック(有効成分が同じで価格の低い)があります。
先発品をご希望の場合は、制度上、先発と後発の差額の1/4を“特別の料金”として追加でお支払いいただきます(保険外で課税)。
一方、医療上の理由等で先発が必要な場合は、従来どおり保険扱いになります。
理由をうかがって、一緒に最適な選択を考えましょう。」
会計実務:明細の切り分け例
- レセプト:特別料金は請求対象外。
- POS/領収書:保険外併用(選定療養)として独立の行を作り、税計算。
- 患者への表示:薬価差1/4・税の内訳を可視化(端数処理の注意書き)。
公費・生活保護・労災の取り扱い要点
- 地方単独公費(こども医療等)・国の公費:対象外の者を設けず、他の患者と同様に選定療養の対象(医療上必要性があれば保険給付)。
- 生活保護:医療上必要性がなく、後発提供可能なら、後発で対応(特別料金徴収の事態は生じない)。
- 労災:差額1/4の特別料金を被災労働者から徴収する計算例が示されています(院内処方等の点数付け例あり)。
在庫・採用品戦略(薬局マネジメント)
- 後発の採用品を確保し、患者の選択肢を担保。
- 安定供給が不安定な品目は、代替候補の棚割・一包化適性を含めSOP化。
- 掲示・POP・問診票に「先発希望の理由」欄を設け、医療上必要性の拾い上げを仕組み化。
実践ツール(配布OK)
掲示テンプレ(院内/薬局Web)
当薬局では、後発医薬品がある先発医薬品を患者さまがご希望される場合、選定療養として「特別の料金(先発と後発の差額の1/4・課税)」がかかります。
医療上の必要性がある場合、または後発医薬品の提供が困難な場合は、従来どおり保険給付です。ご不明点は薬剤師へご相談ください。
薬局チェックリスト
- 処方箋:変更不可(医療上必要)欄/患者希望欄の確認
- 一般名処方→先発希望:ヒアリング→必要性該当で保険給付可の判断
- 後発提供可否の即時確認(棚・発注・卸在庫)
- 選定療養時の説明・同意・会計区分・税処理
- 掲示/サイト周知・領収書表記・問合せフロー
症例・ケーススタディ
ケース1:一般名処方、患者が「先発が飲みやすいから」希望
単なる使用感の好みは原則「医療上の必要性」に含まれません。選定療養として特別料金が発生。
ケース2:一般名処方、後発は吸湿性が高く一包化困難
剤形上の理由で後発不適→薬剤師判断で保険給付可能(疑義照会不要の場面あり)。
ケース3:後発供給が途切れ、当薬局で提供困難
現に提供困難→患者は選択不可→保険給付でOK。掲示・記録は整えておく。
ケース4:生活保護の患者が嗜好で先発希望
医療上必要性なし・後発提供可能→後発で対応(選定療養/特別料金の徴収は生じない)。
よくある落とし穴と対策
- 両欄(変更不可と患者希望)に同時チェック→想定外、疑義照会。
- 旧様式で変更不可の理由未記載→疑義照会。
- 領収書で特別料金を保険分に混在→課税/非課税の誤りに注意。
まとめ(3行で)
- 先発希望で差額1/4+税の「特別の料金」。
- 医療上必要性や後発提供困難は従来どおり保険。
- 処方箋欄・在庫・説明・会計・掲示まで現場フローを整備する。
ジェネリック医薬品の魅力とは?〜粗悪品のイメージを払拭するために〜
よくある質問
Q. 計算で使う「後発薬価」はどれ?
後発が複数ある場合は、最も高い後発の薬価を用いて差額を算出します。
Q. 一般名処方で患者が先発希望したら絶対に選定療養?
原則は選定療養ですが、ヒアリングの結果、効能差や剤形理由等で医療上の必要性が認められるなら保険給付可。
Q. 在庫がなくて先発を出した場合、特別料金は?
後発を提供できない状況なら、従来どおり保険給付(特別料金なし)。
Q. 生活保護の患者で先発希望は?
医療上必要性がなく後発提供可能なら、後発で対応(特別料金の徴収は生じません)。
Q. 入院中の処方は?退院時処方は?
入院中は対象外。退院時処方も入院扱い。
参考文献(一次情報・公的資料)
- 厚生労働省. 後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)の選定療養について. 最終確認日:2025-09-29.
URL: https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_39830.html - 厚生労働省. 「長期収載品の選定療養」導入 Q&A. 最終確認日:2025-09-29.
URL: https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou_kouhou/kouhou_shuppan/magazine/202410_004.html - 厚生労働省保険局医療課 事務連絡(令和6年8月21日). 長期収載品の処方等又は調剤の取扱いに関する疑義解釈(その2). PDF. 最終確認日:2025-09-29.
URL: https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001292186.pdf - 厚生労働省保険局医療課 事務連絡(令和6年7月12日). 長期収載品の処方等又は調剤の取扱いに関する疑義解釈(その1). PDF. 最終確認日:2025-09-29.
URL: https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001275325.pdf - 厚生労働省. 労災保険における医薬品の自己負担について 〜長期収載品の選定療養〜. PDF. 最終確認日:2025-09-29.
URL: https://www.mhlw.go.jp/content/001309471.pdf
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薬剤師向け転職サービスの比較と特徴まとめ


今日は、特徴をわかりやすく整理しつつ、読んでくださる方が自分の働き方を見つめ直しやすいようにまとめていきましょう。
働く中で、ふと立ち止まる瞬間は誰にでもあります
薬剤師として日々働いていると、忙しさの中で気持ちに余裕が少なくなり、
「最近ちょっと疲れているかも…」と感じる瞬間が出てくることがあります。
- 店舗からの連絡に、少し身構えてしまう
- 休憩中も頭の中が業務のことでいっぱいになっている
- 気づけば仕事中心の生活になっている
こうした感覚は、必ずしも「今の職場が嫌い」というわけではなく、
「これからの働き方を考えてもよいタイミングかもしれない」というサインであることもあります。
無理に変える必要はありませんが、少し気持ちが揺れたときに情報を整理しておくと、
自分に合った選択肢を考えるきっかけになることがあります。
薬剤師向け転職サービスの比較表
ここでは、薬剤師向けの主な転職サービスについて、それぞれの特徴を簡潔に整理しました。
各サービスの特徴(概要)
ここからは、上記のサービスごとに特徴をもう少しだけ詳しく整理していきます。ご自身の希望と照らし合わせる際の参考にしてください。
・薬剤師向けの転職支援サービスとして、調剤薬局やドラッグストアなどの求人を扱っています。
・面談を通じて、これまでの経験や今後の希望を整理しながら話ができる点が特徴です。
・「まずは話を聞いてみたい」「自分の考えを整理したい」という方にとって、利用しやすいスタイルと言えます。
・全国の薬局・病院・ドラッグストアなど、幅広い求人を取り扱っています。
・エリアごとの求人状況を比較しやすく、通勤圏や希望地域に合わせて探したいときに役立ちます。
・「家から通いやすい範囲で、いくつか選択肢を見比べたい」という方に向いているサービスです。
・調剤薬局の求人を多く扱い、条件の調整や個別相談に力を入れているスタイルです。
・勤務時間、休日日数、年収など、具体的な条件について相談しながら進めたい人に利用されています。
・「働き方や条件面にしっかりこだわりたい」方が、検討の材料として使いやすいサービスです。
・調剤系の求人を取り扱う転職支援サービスです。
・職場の雰囲気や体制など、求人票だけではわかりにくい情報を把握している場合があります。
・「長く働けそうな職場かどうか、雰囲気も含めて知りたい」という方が検討しやすいサービスです。
・薬剤師に特化した職業紹介サービスで、調剤薬局・病院・ドラッグストアなど幅広い求人を扱っています。
・公開されていない求人(非公開求人)を扱っていることもあり、選択肢を広げたい場面で役立ちます。
・「いろいろな可能性を見比べてから考えたい」という方に合いやすいサービスです。
・調剤薬局を中心に薬剤師向け求人を取り扱うサービスです。
・研修やフォロー体制など、就業後を見据えたサポートにも取り組んでいる点が特徴です。
・「現場でのスキルや知識も高めながら働きたい」という方が検討しやすいサービスです。
気持ちが揺れるときは、自分を見つめ直すきっかけになります
働き方について「このままでいいのかな」と考える瞬間は、誰にでも訪れます。
それは決して悪いことではなく、自分の今とこれからを整理するための大切なサインになることもあります。
転職サービスの利用は、何かをすぐに決めるためだけではなく、
「今の働き方」と「他の選択肢」を比較しながら考えるための手段として活用することもできます。
情報を知っておくだけでも、
「いざというときに動ける」という安心感につながる場合があります。


「転職するかどうかを決める前に、まずは情報を知っておくだけでも十分ですよ」ってお伝えしたいです。
自分に合う働き方を考える材料が増えるだけでも、少し気持ちがラクになることがありますよね。
無理に何かを変える必要はありませんが、
「自分にはどんな可能性があるのか」を知っておくことは、将来の安心につながることがあります。
気になるサービスがあれば、詳細を確認しながら、ご自身のペースで検討してみてください。



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