
気圧もあるけど、スマホ・PC・寝不足…いろんな要因が絡んでる感じ。

でも患者さんって「頭痛=ロキソニン」って思ってる人が多くて、問診してもなかなか伝わらないんです…。
「なんで頭痛が起きるの?」って、改めて聞かれると私も説明が難しいかも。

命に関わる頭痛もあれば、筋肉やホルモンが関係するものもあるんだよ。
薬剤師は“痛み止めを出す”よりも“危険を見抜く”のが大事!
前書き:頭痛を制する薬剤師は、問診を制す
頭痛は日本人の約4人に1人が悩むありふれた症状ですが、その背後には命に関わる疾患が潜んでいることもあります。
厚労省の調査では、片頭痛の有病率は成人の約8.4%、女性では男性の約3倍と報告されています(日本頭痛学会2021)。
薬剤師が求められるのは、
①「一次性頭痛」と「二次性頭痛」の見極め、
② OTC薬の適正選択と重複チェック、
③ 継続相談による生活支援(MOH予防)
の3つです。
頭痛の分類(国際頭痛分類ICHD-3より)
| 分類 | 主な疾患 | 特徴 |
|---|---|---|
| 一次性頭痛 | 片頭痛・緊張型・群発頭痛 | 構造的異常なし。痛みそのものが疾患。 |
| 二次性頭痛 | 脳出血・髄膜炎・脳腫瘍・高血圧など | 他の疾患が原因。危険頭痛も含む。 |
| その他 | 薬剤起因性頭痛(MOH) | 鎮痛薬の過使用で発症・慢性化。 |
頭痛のメカニズム:どこが痛いの?
脳そのものには痛覚がありません。
痛みを感じるのは、硬膜・血管・筋肉・神経などに存在する痛覚受容器です。
以下の流れで頭痛が発生します:
- 血管や筋肉の刺激で炎症性物質(CGRP・サブスタンスP)が放出
- 三叉神経を介して信号が脳幹に伝わる
- 脳で「痛み」として認識
- 刺激が続くと中枢感作が進み、慢性頭痛へ移行
つまり、血管・神経・筋肉・炎症・ストレスが複合して「頭痛」という共通症状を作っているのです。
片頭痛(Migraine)
発生機序: 三叉神経血管系の活性化によりCGRPが放出 → 血管拡張・炎症 → 神経過敏
- 症状: 片側のズキズキする拍動性痛
- 随伴症状: 光過敏・音過敏・吐き気・嘔吐
- 前兆: 視覚のチカチカ、閃輝暗点
- 持続: 4~72時間
- 誘因: 月経周期・寝不足・気圧・赤ワイン・チーズなど
- 対応: 発作初期にNSAIDsまたはアセトアミノフェン。医療ではトリプタン系が第一選択。
ポイントは「早めに服用」。痛みが強くなる前に使うことで、CGRPの放出を抑えられます。
緊張型頭痛(Tension-type headache)
発生機序: 首・肩・側頭部の筋緊張 → 血流低下 → 乳酸蓄積 → 発痛物質による刺激。
- 症状: 頭全体を締めつけるような鈍痛。
- 随伴症状: 目の疲れ、肩こり、倦怠感。
- 誘因: 長時間デスクワーク、ストレス、不安、姿勢不良。
- 持続: 数時間〜数日。慢性化することも。
- 対応: ストレッチ・温罨法・睡眠の質改善・必要時の頓用鎮痛。
NSAIDsの常用は避け、まずは非薬物療法を中心に提案するのが薬剤師の腕の見せ所です。
群発頭痛(Cluster headache)
発生機序: 視床下部の異常による自律神経過剰反応。男性に多く、アルコールが誘因。
- 症状: 片目の奥をえぐられるような激痛。
- 随伴症状: 流涙・鼻汁・顔の紅潮・発汗。
- 発作周期: 数週間〜2か月の間、毎日同時刻に発生する。
- 対応: OTC対象外。医療では100%酸素吸入・トリプタン皮下注が有効。
「片目の激痛+自律神経症状」があれば、必ず受診を勧めましょう。

でも…本当に怖いのは“見逃しちゃいけない頭痛”ですよね?
薬局で気づけるポイントってあるんでしょうか?

頭痛の「赤旗サイン」=SNOOP10を知らないと、命に関わる二次性頭痛を見逃すことがあるの。
今日はそこからいこうか。
SNOOP10:危険な頭痛を見抜く10の赤旗
二次性頭痛を疑うためのチェックリストが「SNOOP10」。
この中で1つでも該当すれば、OTC対応ではなく医療機関への受診を勧めます。
| 頭文字 | 意味 | 具体的な例 |
|---|---|---|
| S | Systemic symptoms | 発熱・体重減少・悪寒・がん既往・免疫不全 |
| N | Neurologic signs | 麻痺・言語障害・視覚異常・意識障害 |
| O | Onset sudden | 突然発症(雷鳴頭痛) → くも膜下出血など |
| O | Older | 50歳以降の新規頭痛(側頭動脈炎など) |
| P | Progression | 徐々に悪化・頻度増加 → 腫瘍・高ICP |
| P | Positional | 体位で変化 → 頭蓋内圧変動、髄液漏 |
| P | Post-trauma | 外傷後 → 硬膜下血腫 |
| P | Pregnancy | 妊娠・産後 → 静脈洞血栓症など |
| P | Papilledema | 視覚障害・乳頭浮腫 → 頭蓋内圧亢進 |
| P | Pathology | 感染・薬物・代謝疾患 → 髄膜炎、低Na血症など |
特に「人生で一番痛い頭痛」と訴える人には、必ず受診を促しましょう。
薬剤起因性頭痛(MOH)
頭痛の相談で見逃せないのが、鎮痛薬そのものが原因になる「薬剤の使用過多による頭痛(MOH)」。
原因とメカニズム
- 鎮痛薬やトリプタンを頻回使用(1か月に10〜15日以上)
- 痛覚抑制系が鈍化し、少しの刺激でも痛みを感じやすくなる
- 結果、頭痛が悪化・慢性化(痛み→薬→痛み…の悪循環)
リスク薬剤と目安
| 薬剤群 | 使用過多の目安(日/月) |
|---|---|
| トリプタン系・エルゴタミン系 | 10日以上 |
| NSAIDs・アセトアミノフェン | 15日以上 |
| 複合鎮痛薬(カフェイン・バルビツール酸含有) | 10日以上 |
患者が「薬が効かなくなってきた」と言ったら、MOHを疑うサイン。
服薬記録・レシート・スマホのカレンダーなどを活用して使用頻度を把握しましょう。
対応の基本
- 過剰使用薬の中止・減量(医師の指導下)
- 急性期治療を制限し、予防療法を検討
- 非薬物療法(睡眠・ストレスマネジメント・水分)を併用
薬剤師は「飲み方」だけでなく「飲まない日を作ること」の大切さを伝える役割があります。
症例で学ぶ:薬剤師の問診・判断・助言
症例①:20代女性・月経前の拍動性頭痛
症状: 月経の数日前からズキズキと痛む。光がまぶしく吐き気も。
NSAIDsを服用するも、飲むタイミングが遅く効かないことが多い。
推定病態: 月経関連片頭痛
対応:
- 「痛みが来そうなときに早めに服用」を指導。
- 発作が頻回なら、婦人科でのホルモン関連相談を勧める。
- 光・音刺激を避け、暗い部屋で安静。
薬剤師コメント:
頭痛が「周期的」「拍動性」「吐き気あり」なら片頭痛を疑い、服用タイミングの見直しを。
月経関連ではホルモン変動が関与しやすいです。
症例②:40代男性・在宅勤務での後頭部鈍痛
症状: 夕方に後頭部が重く痛む。デスクワーク8時間。肩こり強い。
推定病態: 緊張型頭痛
対応:
- 20分ごとに画面から目を離す「20-20-20ルール」。
- 姿勢改善(モニターは目線と同じ高さ)。
- 温罨法+ストレッチで血流促進。
- 鎮痛薬は必要時のみ、連用しないよう指導。
薬剤師コメント:
緊張型頭痛は「使いすぎた筋肉の悲鳴」。
NSAIDsよりもまず生活指導を中心に。
ストレス緩和(深呼吸や軽運動)も有効です。
症例③:50代男性・片眼の激痛+流涙
症状: 毎晩同じ時間に片目の奥が激しく痛む。涙と鼻汁を伴う。
推定病態: 群発頭痛 または二次性頭痛の可能性
対応:
- OTC販売せず、医療機関受診を強く勧める。
- 夜間発作の場合は救急外来も視野に。
- 説明例:「この痛みは一般的な頭痛薬では対応できません。くも膜下出血なども否定が必要です。」
薬剤師コメント:
片眼の激痛は要注意。自律神経症状(流涙・鼻閉)を伴えば群発の可能性が高いですが、鑑別のために医療受診必須です。
症例④:30代女性・毎日のように鎮痛薬を服用
症状: 仕事のストレスで頭痛。イブプロフェンをほぼ毎日服用。最近は効かなくなってきた。
推定病態: 薬剤の使用過多による頭痛(MOH)
対応:
- 服用頻度を確認し、月15日超の使用を報告。
- 薬の「休薬日」を設けるよう指導。
- ストレス対策・睡眠衛生の指導。
- 必要なら頭痛外来で予防療法(抗CGRP抗体薬など)を検討。
薬剤師コメント:
MOHは「効かないから飲む → さらに効かなくなる」の悪循環。
記録を付けてもらい、服薬日数を可視化すると改善につながります。
薬剤師ができる生活アドバイス
- 睡眠: 睡眠不足・過眠ともに片頭痛の誘因。就寝・起床時刻を一定に。
- 水分: 脱水は片頭痛のトリガー。1日1.5〜2Lを目安に。
- 食事: チョコ・チーズ・赤ワイン・加工肉は要注意。
- 運動: 軽い有酸素運動でストレスホルモンを減らす。
- カフェイン: 少量なら有効、過剰は反跳頭痛を起こす。
また女性では、ホルモン周期に伴う頭痛も多いため、月経アプリなどで記録を勧めるのも効果的です。
まとめ:薬剤師が頭痛に強くなる3ステップ
- SNOOP10で危険な頭痛を早期発見!
- 一次性頭痛を見極め、発作時・予防の使い分けを説明。
- 薬剤起因性頭痛(MOH)を防ぐために使用日数を管理。
薬剤師が問診と助言で関われる領域は大きく、
「ただの鎮痛薬販売」から「患者の生活支援」へと進化できます。
よくある質問(Q&A)
Q. 気圧頭痛にはどんなOTCがいい?
A. 片頭痛タイプならNSAIDsやアセトアミノフェンが有効。
酔い止め(ジフェンヒドラミンなど)併用で乗り物酔い様の吐き気が改善することもあります。
Q. 頭痛持ちの患者におすすめの漢方薬は?
A. 体質によって使い分けます。
・肩こり・冷え → 葛根湯
・ストレス性 → 抑肝散
・月経関連 → 加味逍遥散
ただし慢性頭痛では医療受診と併用が原則。
Q. OTCのカフェイン配合剤を毎回使うのは?
A. 即効性はありますが、反跳頭痛や不眠の原因に。1日2回以内・連用避けるが基本です。
Q. 片頭痛に漢方と鎮痛薬を併用していい?
A. 併用可能です。ただしカフェインや鎮静成分の重複に注意。患者の服薬全体を把握して助言を。
参考文献(最終確認日:2025-10-13)
- 日本頭痛学会 編. 頭痛の診療ガイドライン2021. 医学書院, 2021.
URL: https://www.neurology-jp.org/guidelinem/headache_medical_2021.html - International Headache Society. International Classification of Headache Disorders, 3rd edition (ICHD-3). 2018.
URL: https://ichd-3.org/ - Do TP et al. Red and orange flags for secondary headaches in clinical practice. J Headache Pain. 2019;20:97.
DOI:10.1186/s10194-019-1038-4 - Russo AF. CGRP physiology, pharmacology, and therapeutic targets. Physiol Rev. 2023;103(2):1561–1647.
- PMDA. アセトアミノフェン製剤「使用上の注意」改訂. 2024年版.
URL: https://www.pmda.go.jp/files/000146434.pdf
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薬剤師向け転職サービスの比較と特徴まとめ


今日は、特徴をわかりやすく整理しつつ、読んでくださる方が自分の働き方を見つめ直しやすいようにまとめていきましょう。
働く中で、ふと立ち止まる瞬間は誰にでもあります
薬剤師として日々働いていると、忙しさの中で気持ちに余裕が少なくなり、
「最近ちょっと疲れているかも…」と感じる瞬間が出てくることがあります。
- 店舗からの連絡に、少し身構えてしまう
- 休憩中も頭の中が業務のことでいっぱいになっている
- 気づけば仕事中心の生活になっている
こうした感覚は、必ずしも「今の職場が嫌い」というわけではなく、
「これからの働き方を考えてもよいタイミングかもしれない」というサインであることもあります。
無理に変える必要はありませんが、少し気持ちが揺れたときに情報を整理しておくと、
自分に合った選択肢を考えるきっかけになることがあります。
薬剤師向け転職サービスの比較表
ここでは、薬剤師向けの主な転職サービスについて、それぞれの特徴を簡潔に整理しました。
各サービスの特徴(概要)
ここからは、上記のサービスごとに特徴をもう少しだけ詳しく整理していきます。ご自身の希望と照らし合わせる際の参考にしてください。
・薬剤師向けの転職支援サービスとして、調剤薬局やドラッグストアなどの求人を扱っています。
・面談を通じて、これまでの経験や今後の希望を整理しながら話ができる点が特徴です。
・「まずは話を聞いてみたい」「自分の考えを整理したい」という方にとって、利用しやすいスタイルと言えます。
・全国の薬局・病院・ドラッグストアなど、幅広い求人を取り扱っています。
・エリアごとの求人状況を比較しやすく、通勤圏や希望地域に合わせて探したいときに役立ちます。
・「家から通いやすい範囲で、いくつか選択肢を見比べたい」という方に向いているサービスです。
・調剤薬局の求人を多く扱い、条件の調整や個別相談に力を入れているスタイルです。
・勤務時間、休日日数、年収など、具体的な条件について相談しながら進めたい人に利用されています。
・「働き方や条件面にしっかりこだわりたい」方が、検討の材料として使いやすいサービスです。
・調剤系の求人を取り扱う転職支援サービスです。
・職場の雰囲気や体制など、求人票だけではわかりにくい情報を把握している場合があります。
・「長く働けそうな職場かどうか、雰囲気も含めて知りたい」という方が検討しやすいサービスです。
・薬剤師に特化した職業紹介サービスで、調剤薬局・病院・ドラッグストアなど幅広い求人を扱っています。
・公開されていない求人(非公開求人)を扱っていることもあり、選択肢を広げたい場面で役立ちます。
・「いろいろな可能性を見比べてから考えたい」という方に合いやすいサービスです。
・調剤薬局を中心に薬剤師向け求人を取り扱うサービスです。
・研修やフォロー体制など、就業後を見据えたサポートにも取り組んでいる点が特徴です。
・「現場でのスキルや知識も高めながら働きたい」という方が検討しやすいサービスです。
気持ちが揺れるときは、自分を見つめ直すきっかけになります
働き方について「このままでいいのかな」と考える瞬間は、誰にでも訪れます。
それは決して悪いことではなく、自分の今とこれからを整理するための大切なサインになることもあります。
転職サービスの利用は、何かをすぐに決めるためだけではなく、
「今の働き方」と「他の選択肢」を比較しながら考えるための手段として活用することもできます。
情報を知っておくだけでも、
「いざというときに動ける」という安心感につながる場合があります。


「転職するかどうかを決める前に、まずは情報を知っておくだけでも十分ですよ」ってお伝えしたいです。
自分に合う働き方を考える材料が増えるだけでも、少し気持ちがラクになることがありますよね。
無理に何かを変える必要はありませんが、
「自分にはどんな可能性があるのか」を知っておくことは、将来の安心につながることがあります。
気になるサービスがあれば、詳細を確認しながら、ご自身のペースで検討してみてください。



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