


🩸前書き
婦人科領域で処方頻度の高い黄体ホルモン製剤「デュファストン®(Duphaston)」は、
子宮内膜の維持や月経周期の調整、妊娠初期の黄体補充など幅広い臨床応用があります。
しかし、「適応疾患ごとに服用時期や期間が異なる」「中止タイミングを誤ると不正出血や流産リスクが上がる」など、薬剤師として正確な知識が求められる薬でもあります。
この記事では、薬剤師の臨床判断に役立つ形でデュファストンの全貌を整理していきます。
💊デュファストンの基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 一般名 | ジドロゲステロン(Dydrogesterone) |
| 製品名 | デュファストン錠 5mg |
| 分類 | 黄体ホルモン製剤(合成プロゲステロン類) |
| 効能・効果 | 無月経、月経周期異常、黄体機能不全、不正子宮出血、月経困難症、妊娠初期の流産・切迫流産の補助療法など |
| 薬価 | 約24.8円(1錠あたり、2025年時点) |
| 製造販売元 | ヴィアトリス製薬 |
🧬作用機序(薬理学的特徴)
デュファストンは、天然型プロゲステロンに類似した合成黄体ホルモンで、子宮内膜を分泌期様に変化させる作用を持ちます。
他の黄体ホルモン製剤と異なり、以下のような選択的な受容体作用を持つ点が特徴です。
| 受容体 | デュファストンの作用 |
|---|---|
| プロゲステロン受容体 | 強く結合(子宮内膜分泌期化) |
| エストロゲン受容体 | 影響なし |
| 鉱質コルチコイド受容体 | ほぼなし |
| 糖質コルチコイド受容体 | ほぼなし |
| アンドロゲン受容体 | 拮抗作用なし(にきび・多毛が起こりにくい) |


📈薬物動態
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 吸収 | 経口投与後すみやかに吸収(Tmax:約0.5〜2時間) |
| 代謝 | 肝臓で還元 → 主代謝物(20α-ジヒドロジドロゲステロン) |
| 排泄 | 尿中排泄(主に抱合体) |
| 血中半減期 | 約5〜7時間 |
| 蛋白結合率 | 約90%(アルブミン主体) |
肝代謝型のため、肝機能障害患者では血中濃度上昇の可能性があります。
また、CYP酵素による代謝は比較的少ないものの、フェニトイン・リファンピシンなどの酵素誘導薬併用には注意が必要です。
💬ここまでのまとめ
- デュファストンは合成プロゲステロンでありながら選択的作用を持つ。
- 副作用が少なく、自然なホルモンバランス補充が可能。
- 疾患別に服用時期・期間が異なるため、薬剤師によるフォローが不可欠。


現場で迷いやすい「いつ開始・いつやめる・どれくらい飲む」を、薬剤師視点で整理しよう!

疾患別の使い方(現場で迷わない実践チャート)
以下は添付文書・審査報告書・学会ガイドライン等を踏まえた薬剤師向け実務整理です。個別症例では医師指示を最優先してください。
無月経・無排卵周期の出血誘発
- 目的: エストロゲンで内膜を増殖→プロゲステロン(デュファストン)で分泌期化→投与終了後の撤退出血を起こす。
- 一般的スキーム: エストロゲン14日 → デュファストン 5mgを1日2回・5〜10日。終了後3〜7日で月経様出血が期待。
- 注意: 内膜が薄いと出血しない。エストロゲン負荷の有無や不正出血の既往、甲状腺/高プロラクチンなど背景精査の有無も確認。
月経周期異常(稀発・多発)
- 稀発月経: 無排卵疑い→上記と同様に人工的に出血誘発で周期調整。
- 多発月経: 排卵後の黄体期短縮があれば黄体補充として排卵翌日から5〜10日程度投与。
黄体機能不全・不妊(タイミング・AIH・ART)
| 開始 | 排卵翌日(基礎体温上昇翌日・LHピーク翌日) |
|---|---|
| 用量 | 5〜10mgを1日2〜3回 |
| 期間 | 通常10〜14日。妊娠判定陽性なら~妊娠10週前後まで継続の指示ありうる(医師指示に従う)。 |
ART(胚移植等)の黄体補充は、審査報告書にも明記(例:10mg 1日3回など)があります。院内プロトコルに準拠します。
不正子宮出血(機能性)
- 止血目的: 5mg 1日2回を5〜7日。
- 再発予防: 排卵後〜月経開始まで5mg 1日2回。
- 注意: 器質的病変除外(子宮筋腫・ポリープ・悪性)と貧血評価を共有。自己判断での増量/延長は不可。
月経困難症
- 排卵後〜月経開始まで5mg 1日2回。プロスタグランジン過剰に伴う疼痛軽減に期待。
- LEP/NSAIDsとの使い分け:患者背景(避妊希望有無、片頭痛、血栓危険因子)によって選択。
妊娠初期の流産・切迫流産の補助療法
| 目的 | 黄体〜胎盤期移行までの内膜維持 |
|---|---|
| 用量 | 一般に5mgを1日2〜3回 |
| 期間 | 妊娠7〜10週頃まで(医師指示で漸減・終了) |
| ポイント | 急な中止は避ける。診療側の漸減計画に準ずる。 |


用法・用量の横断的メモ(薬歴に貼れる要点)
| 標準範囲 | 1日5〜15mgを1〜3回に分割。子宮内膜症では1日5〜20mgのことも(院内プロトコル準拠)。 |
|---|---|
| ART黄体補充 | 例:10mgを1日3回(審査報告書にも記載)。 |
| 早発排卵防止 | 刺激周期2〜5日目より1日20mg(1〜2回分割)投与の選択肢あり(審査報告書)。 |
| 中止 | 急な中止は避ける。妊娠継続中は必ず医師指示で漸減。 |
安全性:副作用・禁忌・注意
よくある副作用
- 頭痛、軽い吐き気、乳房緊満、眠気、倦怠感
- 不正出血・破綻出血:初期にみられうる。連用の規則性・内膜状態・併用薬を確認。
重篤副作用(頻度はまれ)
- 肝機能障害(AST/ALT上昇、黄疸など)。肝機能障害既往では慎重投与。
- 血栓塞栓症は一般に低頻度とされるが、既往・危険因子(喫煙、肥満、長期臥床)には注意。
禁忌・原則禁忌(代表例)
- 重篤な肝障害、原因不明の腟出血(器質的疾患除外前)、有効成分過敏症。
- 乳癌・性ホルモン依存腫瘍の既往は個別判断。腫瘍学的評価の共有が望ましい。
相互作用
- 酵素誘導薬(リファンピシン、フェニトイン、カルバマゼピン等):血中濃度低下→効果減弱の恐れ。
- 一部の抗菌薬/漢方等で出血パターンに影響する例も。薬歴で併用チェックを習慣化。

服薬指導テンプレ(そのまま使える説明文)
- 飲む時間: 食後がおすすめ。毎日同じ時刻に。
- 飲み忘れ: 気づいたら1回分。次回が近いときは1回分をスキップし、二重服用はしない。
- 中止: 自己中止しない。特に妊娠の可能性・妊娠中は医師指示に従って漸減。
- 副作用: 頭痛・吐き気・眠気・乳房張り等。強い腹痛・黄疸・息切れ/胸痛・片麻痺は受診勧奨。
- 妊活中の説明:「排卵後のホルモンを補う薬です。妊娠陽性でもすぐ止めず、医師の計画どおりに続けます」。
ケーススタディ(症例ベースで考える)
症例1:不正出血が続く20代、LEPは希望せず
- 状況: 周期不整+不正出血。器質的病変なし。
- 対応: 止血目的でデュファストン5mg 1日2回 7日間。以降は排卵後〜月経まで同用量。
- 指導: 服用パターンをカレンダー化。出血増悪・眩暈・失神時は受診。
症例2:タイミング法で妊活中、黄体期短縮の既往
- 状況: 高温期9日で低温相化。黄体機能不全疑い。
- 対応: 排卵翌日から5mg 1日2〜3回を10〜14日。妊娠陽性なら医師指示で〜10週前後まで漸減。
- 指導: 自己判断中止NG。妊娠検査のタイミングと次回受診日を一緒に確認。
症例3:切迫流産の補助療法(出血少量・心拍確認済)
- 状況: 妊娠6週、少量出血。医師より補助療法の指示。
- 対応: 5mg 1日3回。心拍・胎嚢発育を見ながら7〜10週で段階的に減量。
- 指導: 不安が強い場面なので、「胎盤にバトンタッチする時期まで支える薬」と比喩で安心感を。
他剤との位置づけ(似て非なる薬)
| 薬剤 | 主な用途 | 特徴 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| ジドロゲステロン(本剤) | 黄体補充、機能性出血、周期調整、妊娠初期補助など | 選択的プロゲステロン作用、アンドロゲン/エストロゲン作用ほぼなし | 酵素誘導薬で効果減弱に注意 |
| ジエノゲスト | 子宮内膜症疼痛の長期管理など | 長期抑制で疼痛改善 | 名称類似で取り違え注意(受付・鑑査で二重チェック) |
| メドロキシプロゲステロン | 無月経、機能性出血等 | 用量により抑制/撤退出血誘発 | 全身性副作用プロファイルの差を理解して選択 |
監査・薬歴のチェックリスト
- 目的の確認: 周期調整/止血/黄体補充/妊娠維持/内膜症などで指示は適切?
- 開始日・終了日: 排卵後開始?人工的撤退出血の予定は?漸減計画は?
- 併用薬: 酵素誘導薬、LEP、抗凝固薬、漢方の重複目的。
- 禁忌・注意: 肝機能、血栓リスク、腫瘍歴。
- 取り違え防止: デュファストン vs ディナゲスト。ピッキング・一包化ラベルにも明記。
よくある質問(薬剤師→患者さんへ)
Q. いつ飲み始めればいいですか?
目的で異なります。周期調整・止血は医師の指示日から、黄体補充は排卵翌日から、妊娠初期補助は指示日から開始します。
Q. 飲み忘れたらどうする?
気づいた時に1回分。次の時間が近ければ1回分スキップ。2回分まとめ飲みはしません。
Q. 妊娠したらすぐ中止ですか?
自己中止はしません。 医師の計画に従い、妊娠7〜10週前後で段階的に減量・終了することが多いです。
Q. 副作用が心配です
頭痛・吐き気・乳房張り・不正出血など軽度なものが多いです。黄疸、激しい腹痛、息切れ/胸痛などは受診を。
Q. 他の薬と一緒でも大丈夫?
リファンピシンやフェニトインなど酵素誘導薬は効果を弱める可能性。必ずお薬手帳で確認します。
Q. デュファストンとディナゲストは同じですか?
違います。成分・用途が異なるため、取り違えに注意します。
まとめ(プロの要約)
- ジドロゲステロンは選択的プロゲステロン作用で、周期調整・止血・黄体補充・妊娠初期補助まで幅広く使える。
- 開始日・期間・中止の設計が効果と安全性の肝。特に妊娠判定後は医師計画で漸減。
- 酵素誘導薬、肝機能、血栓危険因子、似名薬の取り違えを常にチェック。
- 患者不安のケアとスケジュール共有でアドヒアランスが向上。
参考文献
- PMDA「デュファストン錠5mg(一般名:ジドロゲステロン)医療用医薬品情報」
PMDA 医療用医薬品情報 医療関係者向け独立行政法人 医薬品医療機器総合機構:医薬品副作用被害救済や稀少病認定薬の研究振興調査などの業務案内 - PMDA「添付文書・患者向医薬品ガイド(更新:2025年1月1日)」
デュファストン錠5mg添付文書情報検索 - PMDA 審査報告書(デュファストン錠5mg:新効能・新用量等)
https://www.pmda.go.jp/drugs/2022/P20220905001/730869000_22000AMX02234_A100_1.pdf - PMDA 審査報告書(デュファストン錠5mg:適応外使用取扱通知に基づく審査関連)
https://www.pmda.go.jp/drugs/2022/P20220303001/730869000_22000AMX02234_A100_1.pdf - 厚生労働省 通知「不妊治療において使用されている医療用医薬品の適応外使用に係る取扱いについて」(医政研発0730第1号・薬生薬審発0730第4号, 2021/07/30)
https://www.mhlw.go.jp/content/000821858.pdf - 日本産科婦人科学会「産婦人科 診療ガイドライン 婦人科外来編 2023」
https://www.jsog.or.jp/activity/pdf/gl_fujinka_2023.pdf - PMDA/製薬各社連名資料「デュファストン錠5mgとディナゲスト錠の取り違え注意喚起」(2020年)
https://www.pmda.go.jp/files/000237610.pdf - JAPIC 医薬品インタビューフォーム(デュファストン)
https://pins.japic.or.jp/pdf/medical_interview/IF00006732.pdf
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薬剤師向け転職サービスの比較と特徴まとめ


今日は、特徴をわかりやすく整理しつつ、読んでくださる方が自分の働き方を見つめ直しやすいようにまとめていきましょう。
働く中で、ふと立ち止まる瞬間は誰にでもあります
薬剤師として日々働いていると、忙しさの中で気持ちに余裕が少なくなり、
「最近ちょっと疲れているかも…」と感じる瞬間が出てくることがあります。
- 店舗からの連絡に、少し身構えてしまう
- 休憩中も頭の中が業務のことでいっぱいになっている
- 気づけば仕事中心の生活になっている
こうした感覚は、必ずしも「今の職場が嫌い」というわけではなく、
「これからの働き方を考えてもよいタイミングかもしれない」というサインであることもあります。
無理に変える必要はありませんが、少し気持ちが揺れたときに情報を整理しておくと、
自分に合った選択肢を考えるきっかけになることがあります。
薬剤師向け転職サービスの比較表
ここでは、薬剤師向けの主な転職サービスについて、それぞれの特徴を簡潔に整理しました。
各サービスの特徴(概要)
ここからは、上記のサービスごとに特徴をもう少しだけ詳しく整理していきます。ご自身の希望と照らし合わせる際の参考にしてください。
・薬剤師向けの転職支援サービスとして、調剤薬局やドラッグストアなどの求人を扱っています。
・面談を通じて、これまでの経験や今後の希望を整理しながら話ができる点が特徴です。
・「まずは話を聞いてみたい」「自分の考えを整理したい」という方にとって、利用しやすいスタイルと言えます。
・全国の薬局・病院・ドラッグストアなど、幅広い求人を取り扱っています。
・エリアごとの求人状況を比較しやすく、通勤圏や希望地域に合わせて探したいときに役立ちます。
・「家から通いやすい範囲で、いくつか選択肢を見比べたい」という方に向いているサービスです。
・調剤薬局の求人を多く扱い、条件の調整や個別相談に力を入れているスタイルです。
・勤務時間、休日日数、年収など、具体的な条件について相談しながら進めたい人に利用されています。
・「働き方や条件面にしっかりこだわりたい」方が、検討の材料として使いやすいサービスです。
・調剤系の求人を取り扱う転職支援サービスです。
・職場の雰囲気や体制など、求人票だけではわかりにくい情報を把握している場合があります。
・「長く働けそうな職場かどうか、雰囲気も含めて知りたい」という方が検討しやすいサービスです。
・薬剤師に特化した職業紹介サービスで、調剤薬局・病院・ドラッグストアなど幅広い求人を扱っています。
・公開されていない求人(非公開求人)を扱っていることもあり、選択肢を広げたい場面で役立ちます。
・「いろいろな可能性を見比べてから考えたい」という方に合いやすいサービスです。
・調剤薬局を中心に薬剤師向け求人を取り扱うサービスです。
・研修やフォロー体制など、就業後を見据えたサポートにも取り組んでいる点が特徴です。
・「現場でのスキルや知識も高めながら働きたい」という方が検討しやすいサービスです。
気持ちが揺れるときは、自分を見つめ直すきっかけになります
働き方について「このままでいいのかな」と考える瞬間は、誰にでも訪れます。
それは決して悪いことではなく、自分の今とこれからを整理するための大切なサインになることもあります。
転職サービスの利用は、何かをすぐに決めるためだけではなく、
「今の働き方」と「他の選択肢」を比較しながら考えるための手段として活用することもできます。
情報を知っておくだけでも、
「いざというときに動ける」という安心感につながる場合があります。


「転職するかどうかを決める前に、まずは情報を知っておくだけでも十分ですよ」ってお伝えしたいです。
自分に合う働き方を考える材料が増えるだけでも、少し気持ちがラクになることがありますよね。
無理に何かを変える必要はありませんが、
「自分にはどんな可能性があるのか」を知っておくことは、将来の安心につながることがあります。
気になるサービスがあれば、詳細を確認しながら、ご自身のペースで検討してみてください。



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