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血液検査前の休薬と絶食まるわかり|検査別の注意点と症例

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ゆずまる
ゆずまる
なぎさちゃん、患者さんから「血液検査の前に薬は飲んでいいですか?」って聞かれることあるでしょ?
後輩薬剤師なぎさ
後輩薬剤師なぎさ
はい!よく聞かれます。でも「全部休んでください」と言うのも不安だし、「そのまま飲んでください」って言っていいのかも迷うんです。
ゆずまる
ゆずまる
そうだよね。血液検査の目的によっては薬が影響するから、むやみに止めてもダメだし、飲んだままでも正確な結果が出ないこともあるんだよ。今日は「血液検査前に休薬が必要になる薬」について整理していこう!
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  1. 血液検査と薬の関係
    1. 薬が血液検査に影響する理由
  2. 血液検査前に休薬が必要な薬
    1. 脂質検査(コレステロール・中性脂肪)
    2. 血糖検査(空腹時血糖・HbA1c)
    3. 腎機能検査(クレアチニン・eGFR・BUN)
    4. 肝機能検査(AST, ALT, γ-GTP)
  3. 特殊な血液検査と休薬の注意点
    1. 甲状腺機能検査(TSH, FT4, FT3)
    2. 凝固系検査(PT, APTT, INR)
    3. ホルモン検査(副腎皮質ホルモン、性ホルモン)
  4. 血液検査前に“休薬が必要/不要”の考え方(総論)
  5. 絶食(朝食抜き)と採血の関係
  6. 検査別:休薬が必要になりやすい薬とポイント
    1. 脂質(LDL-C/HDL-C/TG/Non-HDL-C)
    2. 血糖(空腹時血糖、HbA1c、インスリン、Cペプチド)
    3. 腎機能(Cr/eGFR/尿素窒素/K/Na)
    4. 肝機能(AST/ALT/ALP/γ-GT/ビリルビン)
    5. 甲状腺(TSH/FT4/FT3/サイログロブリン)
    6. 凝固系(PT/INR/APTT/血小板機能)
  7. 当日の動線チェックリスト
  8. 症例で学ぶ:より実践的な5ケース
    1. 症例1:SU薬内服+絶食での低血糖を未然に回避
    2. 症例2:スタチン効果判定—継続内服で採血
    3. 症例3:レボチロキシンと採血タイミング
    4. 症例4:ワルファリンのINR測定—休薬しない
    5. 症例5:DOACと小外科処置前の評価
  9. よくある質問
    1. 朝食は抜くべき?コーヒーは?
    2. ビタミンやサプリはどうする?
    3. 今日だけ薬を止めれば大丈夫?
  10. 参考文献(一次情報)
    1. 『薬局長になったら最初に読む本』 〜現場と人を動かす実務とマネジメント〜

血液検査と薬の関係

血液検査は体の状態を客観的に知る大切な手段ですが、薬によって数値が変動することがあります。

正確な診断や治療方針に影響するため、必要に応じて休薬指示が出ることがあります。

薬が血液検査に影響する理由

  • 薬そのものが検査値を変える(例:スタチンが肝機能値に影響)
  • 検査機器と反応して偽陽性/偽陰性を示す(例:ビタミンCが血糖値測定を下げる)
  • 体内の代謝やホルモンに作用する(例:ステロイドが血糖・脂質を上げる)

そのため、検査の種類によって「休薬すべきか」「そのまま継続すべきか」が異なります。

血液検査前に休薬が必要な薬

血液検査は健康状態を把握する上で非常に重要ですが、服薬中の薬が結果に影響することがあります。ここでは代表的な血液検査ごとに、休薬を検討すべき薬について整理します。

脂質検査(コレステロール・中性脂肪)

  • スタチン系(アトルバスタチン、ロスバスタチンなど)
    継続中は脂質値が低く出るため、治療効果をみるときは継続、ベースライン確認時には休薬することがある。
  • フィブラート系(フェノフィブラートなど)
    中性脂肪値を大きく下げる作用があるため、治療前の正確な評価には休薬が必要な場合がある。

血糖検査(空腹時血糖・HbA1c)

  • 経口糖尿病薬(メトホルミン、スルホニル尿素薬など)
    治療効果判定なら継続、治療開始前評価なら休薬することがある。
  • ビタミンCサプリメント
    測定法によっては血糖値を偽低値にするため、採血前は控えるのが望ましい。

腎機能検査(クレアチニン・eGFR・BUN)

  • 利尿薬(フロセミドなど)
    脱水によりBUNが上昇し、腎機能が悪化したように見えることがある。
  • ACE阻害薬/ARB
    クレアチニンが上昇する可能性があり、医師の判断で休薬する場合がある。

肝機能検査(AST, ALT, γ-GTP)

  • スタチン・抗結核薬・抗てんかん薬
    肝酵素を上昇させることがあるため、検査の目的に応じて休薬を検討する。
  • アルコール
    薬ではないが、前日の飲酒は肝機能値に強く影響するため控える必要がある。

特殊な血液検査と休薬の注意点

甲状腺機能検査(TSH, FT4, FT3)

  • 甲状腺ホルモン薬(レボチロキシン)
    数値に直接影響。投薬効果確認なら継続、自己分泌能確認なら休薬が必要。
  • 抗甲状腺薬(チアマゾール、プロピルチオウラシル)
    ホルモン動態を変えるため、休薬が必要な場合がある。

凝固系検査(PT, APTT, INR)

  • ワルファリン
    INR測定は服薬下で評価するため休薬不要。
  • DOAC(アピキサバン、エドキサバンなど)
    手術前や薬剤濃度測定では休薬が必要な場合がある。
  • 抗血小板薬(アスピリン、クロピドグレル)
    手術予定時に休薬が必要なケースあり。

ホルモン検査(副腎皮質ホルモン、性ホルモン)

  • ステロイド(プレドニゾロンなど)
    副腎機能検査の際は休薬指示が出ることがある。
  • 経口避妊薬
    性ホルモン測定に影響し、場合によって休薬が必要。

血液検査前に“休薬が必要/不要”の考え方(総論)

結論から言うと、検査の目的医師の指示で決まります。自己判断の休薬は危険です。

以下の3観点をチェックしてから判断しましょう。

  1. 検査で評価したいのは「薬を飲んだ効果」か「素の状態(ベースライン)」か
  2. 薬を止めると病状が悪化したり副作用が起きないか(例:抗凝固薬の中止で血栓リスク)
  3. 薬やサプリが測定法そのものに干渉しないか(例:ビオチンが免疫測定法を乱す)

看板ルール:迷ったら止めずに申告。休薬は医師・薬剤師と相談して決める。

絶食(朝食抜き)と採血の関係

空腹条件は検査の精度に直結します。特に中性脂肪(TG)空腹時血糖は影響が大きく、わが国の健診基準でも空腹=絶食10時間以上が基本です(食後採血の場合は基準が別設定)

※根拠:特定健診等の実施要領・改訂資料(厚労省)、日本動脈硬化学会ガイドライン等。

検査 推奨絶食時間 備考
中性脂肪(TG) 10時間以上 やむを得ず非空腹でも可。ただし評価基準や算出法(LDL計算式)に注意。
空腹時血糖 10時間以上 HbA1cは食事の影響を受けにくい
肝機能(AST/ALT/γ-GT) 前日の多量飲酒回避 アルコールでγ-GTなどが上がりやすい。
甲状腺(TSH/FT4/FT3) 厳密な絶食不要 採血前のレボチロキシンの服用タイミングを一定に。
レニン/アルドステロン(ARR) 朝採血・姿勢/塩分/薬剤条件 RA系に影響する薬の調整が必要なことあり。

糖尿病治療中の方へ:絶食とインスリン/スルホニル尿素薬の併用は低血糖の危険があります。
医師の指示がない限り、朝の薬・注射を自己判断で行わないでください。ブドウ糖携帯と来院直後の採血・その後の補食を。

検査別:休薬が必要になりやすい薬とポイント

脂質(LDL-C/HDL-C/TG/Non-HDL-C)

  • スタチン/エゼチミブ/PCSK9阻害薬/フィブラート:治療効果判定なら継続して測定。
    未治療時のベースライン確認や二次評価の特殊目的では、一時中止を検討(医師指示)。
  • 絶食:原則10時間以上(特定健診基準)。非空腹時はTGや計算法(Friedewald等)に注意し、Non-HDL-C活用も選択肢。

血糖(空腹時血糖、HbA1c、インスリン、Cペプチド)

  • 経口血糖降下薬評価目的で取扱いが変わる。初診でベース確認→中止指示となることあり。効果判定→通常は継続
  • ビタミンC(高用量):一部の測定法で偽低値を作る報告。サプリは事前申告を。
  • HbA1cは食事影響をほぼ受けないため、絶食が厳密でなくても可。ただし同一施設・同一法での推移比較が大切。

腎機能(Cr/eGFR/尿素窒素/K/Na)

  • 利尿薬:脱水でBUN上昇や電解質変動を招くことがある。普段どおりの内服で評価するのが原則だが、検査目的で調整する場合あり。
  • ACE阻害薬/ARB:開始直後や増量時にCr上昇・K上昇があり得る。中止ではなく、タイミングと採血間隔で管理。

肝機能(AST/ALT/ALP/γ-GT/ビリルビン)

  • 肝酵素上昇薬:スタチン、抗結核薬、抗てんかん薬、メトトレキサート等。中止の可否は主治医判断
  • 飲酒:前日の多量飲酒は避ける。サプリ(筋トレ系、ハーブ等)も申告。

甲状腺(TSH/FT4/FT3/サイログロブリン)

  • レボチロキシン:採血前の服用タイミングを一定に。朝服用→採血は服用前で固定する方法が一般的。カフェイン・鉄/カルシウム製剤・大豆食品は吸収に影響。
  • ビオチン:免疫法に干渉し、TSH低値/FT4高値の偽像などを生むことがある。高用量摂取は検査数日前から中止が無難。

凝固系(PT/INR/APTT/血小板機能)

  • ワルファリンINRは内服下で測るのが原則。自己判断の休薬は禁忌。
  • DOAC(ダビガトラン/アピキサバン/エドキサバン/リバーロキサバン):ルーチン検査では用量調整不要が基本。手術前薬物濃度評価では休薬間隔の指示あり。
  • 抗血小板薬(アスピリン/クロピドグレル/プラスグレル等):手術や侵襲的処置前は休薬計画が必要(心血管リスクと出血リスクのバランス)。

当日の動線チェックリスト

  • 前夜:22時以降は食事を控える(水・無糖茶は可)。アルコールは控える。
  • 朝:降圧薬など中止指示のない薬は少量の水で服用。糖尿病薬・インスリンは事前指示どおりに。
  • 来院時:服薬リスト(処方/市販/サプリ)を提出。低血糖に備えブドウ糖を携帯。
  • 採血後:指示があれば補食。気分不快があればすぐ申告。

症例で学ぶ:より実践的な5ケース

症例1:SU薬内服+絶食での低血糖を未然に回避

70代女性。グリメピリド1mg朝内服。空腹時血糖と脂質の採血予定。
指示:検査当朝は朝食・SU薬ともに中止、来院は午前中早め、ブドウ糖持参。採血直後に補食OK。
結果:めまいなく安全に採血。HbA1c 6.9%、空腹時血糖 102mg/dL、TG 110mg/dL。

症例2:スタチン効果判定—継続内服で採血

60代男性。アトルバスタチン10mg夕内服。
目的:効果判定。
対応:薬は継続、前夜22時以降は絶食。
結果:LDL 86mg/dL。目標達成で継続。

症例3:レボチロキシンと採血タイミング

40代女性。レボチロキシン75µgを毎朝起床時に内服。
対応:採血は服用前の朝に固定。コーヒーは採血後に。
結果:TSH 2.1µIU/mL、FT4 1.2ng/dLで安定。

症例4:ワルファリンのINR測定—休薬しない

80代男性。心房細動でワルファリン維持療法。
対応通常どおり内服し、午前採血でINR 2.3。
解説:INRは内服下で評価するのが原則。自己判断の中止は塞栓症リスク。

症例5:DOACと小外科処置前の評価

70代女性。アピキサバン5mg×2内服。皮膚小手術予定。
対応:主治医の術前指示に従い、前日1回分スキップ。採血で腎機能を同時確認。
結果:出血合併なく施行。術後は計画通り再開。


よくある質問

朝食は抜くべき?コーヒーは?

脂質・空腹時血糖は絶食10時間以上が原則。水・無糖茶はOK。コーヒーはカフェインが甲状腺薬の吸収に影響するため、甲状腺薬内服者は採血後に

ビタミンやサプリはどうする?

ビオチン(ビタミンB7)高用量は甲状腺、トロポニン等の免疫測定を乱します。数日前から中止が無難。ビタミンC高用量も血糖測定法により干渉報告あり。

今日だけ薬を止めれば大丈夫?

薬の影響は半減期や作用機序で数日以上続く場合があります。当日だけ中止では意味がないことも。必ず医師に期間を確認。



参考文献(一次情報)

  1. Japan Atherosclerosis Society. JAS Guidelines for Prevention of Atherosclerotic Cardiovascular Diseases 2022. 2023–2024改訂. 本文PMC. 最終確認日:2025-09-16.
  2. 厚生労働省. 特定健診・保健指導プログラム(令和6年度版)関連資料:健診作業班変更点実施要領 抜粋第2章 健診の内容. 最終確認日:2025-09-16.
  3. FDA. Biotin Interference with Lab Tests(2017通知・2022更新). 公式ページ. 最終確認日:2025-09-16.
  4. ARUP Consult. Aldosterone-Renin Ratio Test Fact Sheet. 公式ページ. 最終確認日:2025-09-16.
  5. Ten Cate H, et al. Practical guidance on laboratory testing in patients taking DOACs. Res Pract Thromb Haemost. 2017. PMC. 最終確認日:2025-09-16.
  6. Rosengrave PC, et al. Effect of IV vitamin C on glucose monitoring interference. 2022. PMC. 最終確認日:2025-09-16.
  7. American Heart Association. WarfarinとINRの患者向け解説. 公式ページ. 最終確認日:2025-09-16.

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