乳がん治療中に骨粗鬆症が併発した場合、治療薬の選択と服薬指導は非常に重要です。
特に乳がん患者はホルモン療法を受けていることが多いため、骨粗鬆症治療薬の選択が乳がん治療に与える影響を考慮しなければなりません。
この記事では、乳がん治療中に骨粗鬆症治療薬が処方された際の薬剤師としての対応や、患者に対する服薬指導のポイントを詳しく解説します。
乳がん治療薬との併用や、副作用のリスクをどう管理するかが重要なポイントです。
薬局で遭遇した事例に基づいて紹介致します。
ある日の薬局での出来事

◯◯さん、今度はバゼドキシフェンとエルデカルシトールが出ていますね。お薬手帳を確認しますね……あれ?アリミデックスとフェソロデックスを併用されているんですね。

この組み合わせ、普段あまり見かけないパターンですよね……。ちょっと調べてみます。
(添付文書を確認し始める。)

何調べてるの?

ゆずまるさん、ちょっと相談いいですか?
この患者さん、乳がん治療でアリミデックスとフェソロデックスを使っているんですが、今回バゼドキシフェンが処方されていて……この併用って問題ないんでしょうか?

確かに、乳がん治療中にSERM(バゼドキシフェン)を使うのはあまり一般的じゃないね。
今回は初回投与みたいだし、治療方針との整合性を考えると慎重になった方が良さそうだよね。
添付文書や治療ガイドラインで確認してみよう。
フェソロデックス(フルベストラント)の基本情報
一般名: フルベストラント (Fulvestrant)
製品名: フェソロデックス注射液 (Faslodex)
薬剤分類: 抗エストロゲン剤、エストロゲン受容体拮抗薬
剤形: 筋注用液剤 (注射液)
効能・効果: エストロゲン受容体陽性の進行または再発乳がんの治療
投与経路: 筋肉内注射(通常は臀部)
作用機序
フルベストラントは、エストロゲン受容体(ER)拮抗薬であり、エストロゲン受容体を競合的に結合・阻害し、その結果、エストロゲンが細胞内で引き起こす成長促進作用を阻止します。
また、フルベストラントはエストロゲン受容体の分解を促進し、受容体のダウンレギュレーションを引き起こします。
これにより、エストロゲンの作用を遮断する効果を持ちます。
アリミデックス(アナストロゾール)の基本情報
一般名: アナストロゾール (Anastrozole)
製品名: アリミデックス (Arimidex)
薬剤分類: アロマターゼ阻害薬
剤形: 錠剤
効能・効果: 閉経後ホルモン受容体陽性乳がんの治療
投与経路: 経口投与
作用機序
アナストロゾールは、アロマターゼ阻害薬として作用し、アンドロゲンをエストロゲンに変換するアロマターゼ酵素を選択的に阻害します。
閉経後の女性では、体内のエストロゲンの大部分がアロマターゼによるアンドロゲンからの変換に依存しており、アナストロゾールはこの変換を阻害することでエストロゲンの血中濃度を低下させ、ホルモン受容体陽性乳がん細胞の成長を抑制します。
これにより、エストロゲン依存性の腫瘍の進行を抑えることができます。
ビビアント(バゼドキシフェン)の基本情報
薬理作用
メーカーの返答について〜薬局〜

これってお互い効果打ち消し合うんではないですか?
添付文書には特に併用禁忌は書かれていませんが…
気になるのでメーカーに問い合わせてみますね。

(それぞれのメーカーに確認の電話をかける)
各メーカーの回答は、併用に関する具体的なデータはないとのことです。
フェソロデックスは断言できないけど作用機序から考えると可能性としてはありえるだろう思いいう回答でした。
バゼドキシフェンにも聞いてみましたが、乳がん患者対象のデータも取っていないとのことでした。
結局、お互いのメーカーはデータはないものの、それぞれ臨床的には慎重に対応すべきケースで、医師の判断に委ねる。だということです。

結局どうしたらいいか分からないね。
やっぱりメーカー側は当たり障りのない対応になるよね…
そしたら乳がんの治療ガイドラインを確認してみよう。骨粗鬆症患者対応について記載があるかもしれない。
乳がん診療ガイドラインにおける骨粗鬆症の治療
薬剤としては,「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン」に記載される治療薬が勧められる。本BQでは骨吸収抑制薬のビスホスホネートとデノスマブについて,乳癌を対象とした臨床試験を参考に記載する。
〜略〜
選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)であるラロキシフェンは閉経後女性における骨粗鬆症の治療薬として挙げられる。
しかし,ATAC試験において,同様のSERMであるタモキシフェンとアナストロゾールの併用で有害事象の増加と乳癌再発抑制効果阻害の可能性が示されており,アロマターゼ阻害薬使用時のラロキシフェン併用避けるのが妥当である。
カルシウム薬や活性型ビタミンD薬などの摂取を含めた全体的な骨粗鬆症の予防・治療法については,乳癌に限ったものではないが上述のガイドラインを参考にされたい。
と記載があります。

アロマターゼ阻害薬を併用中の患者はSERMは非推奨です。
それ以外の骨粗鬆症治療にしましょうねと書いてあります。
ガイドライン情報をもとに再びへ薬局〜疑義紹介まで〜

乳がんの治療ガイドラインでは、アロマターゼ阻害薬とSERMは避けることって書いてあるね。
ここはやっぱり疑義紹介した方が安心だと思う。

そうですね、主治医に疑義紹介して、併用の妥当性を確認した方が良さそうです。ありがとうございます、ゆずまるさん!

先生、お忙しいところ失礼いたします。
〇〇さん(患者名)の処方についてお伺いしたいことがございます。
今回、バゼドキシフェンが処方されていますが、乳がん治療でアリミデックスとフェソロデックスを使用されております。
禁忌ではありませんが、最近の診療ガイドラインでは、バゼドキシフェンのようなSERMは非推奨になっていますがいかが致しますか?

そうですね、〇〇さんは2年前の骨密度がYAM65%で、骨粗鬆症治療を久しく行っていないのでバゼドキシフェンとエルデカルシトールを処方しました。
乳がんの治療中でしたか…今回お薬手帳をお持ちでなかったので見落としておりました。

治療に関してはSERM以外の治療が推奨みたいです。
ビスホスホネート製剤などがよろしいかと思いますがいかが致しますか?

この患者はビスホスホネートで痒みを起こした経歴があります。
なので注射(プラリア)にしようと思います。
エルデカルシトールも中止し、デノタスにしようと思います。
お手数ですが、患者様に病院に戻るように説明していただいてもよろしいですか?
処方箋は改めて書き直しますので破棄してください。

かしこまりました。
患者様にはこれから病院に戻ってもらうように伝えますね。
結果として
バゼドキシフェン→プラリア
エルデカルシトール→デノタスチュアブル
へと変更になりました。
フェソロデックス〜臓器特異性について〜
フェソロデックスについてはメーカーからの返答は得られませんでしたが、論文はありましたので抜粋
1)エストロゲン受容体に対する親和性と抗エストロゲン作用
フルベストラント単独では子宮重量増加作用を示さず、成熟ラットを用いた試験では骨密度に対しても作用を示さなかった.これはエストロゲンに対する感受性が臓器により異なることによるものと考えられた.
日薬理誌(Folia Pharmacol. Jpn.)139,75~82(2012)閉経後進行・再発乳がん治療薬フルベストラント(フェソロデックス® )の薬理学的特徴および臨床試験成

フェソロデックスはまだデータは少なそうですが、臓器特異性があり、骨に対しての作用は影響はなさそうと記載がありますね。
まとめ
乳がん治療中の骨粗鬆症患者に対して、バゼドキシフェンとエルデカルシトールが処方された場合、薬剤師は併用薬との相互作用や治療方針の一貫性を確認し、適切な服薬指導を行う必要があります。
バゼドキシフェンは、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)で、骨粗鬆症治療に使用されます。
しかし、乳がん治療中の患者、特にエストロゲン受容体陽性の患者においては、SERMの使用が治療方針に反していないかを慎重に確認する必要があります。
特に、バゼドキシフェンの使用に関しては、エストロゲン受容体陽性の乳がん患者でのリスクを再確認し、必要に応じて医師に相談することが重要です。
よくある質問
Q1. バゼドキシフェンとアリミデックスの併用は問題ないですか?
A. バゼドキシフェンはエストロゲン受容体に作用する薬剤であるため、アリミデックスとの併用が適切かどうかは慎重な判断が必要です。医師に確認することをお勧めします。
Q2. エルデカルシトールを服用する際、特に気をつけることはありますか?
A. エルデカルシトールは高カルシウム血症のリスクがあります。定期的にカルシウム濃度のモニタリングを行い、異常があれば医師に相談してください。
Q3. 血栓症のリスクがある場合、バゼドキシフェンを使用しても大丈夫ですか?
A. バゼドキシフェンは血栓症のリスクを高める可能性があるため、過去に血栓症の既往がある場合やリスクが高い方は、医師に相談の上で使用を検討してください。

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