
なぎさちゃん、最近「薬剤性腎障害」の服薬指導で不安そうな患者さん多くない?

「痛み止めで腎臓が悪くなるって本当?」とか
「利尿剤と血圧の薬、飲んでて大丈夫かな?」とか…。
ちゃんと説明したいけど、薬剤性腎障害って意外と奥深くて……少し自信ないです。

じゃあ今日は、薬剤性腎障害を「薬局薬剤師目線」でがっつり整理しよ!
定義・メカニズム・よくある原因薬・注意すべき患者背景・処方監査や服薬指導でのチェックポイントまで、まとめていこう♪
前書き(薬剤性腎障害とは?)

そもそも「薬剤性腎障害」って、薬で腎臓が悪くなる…くらいのイメージしかなくて。
AKIとかAKDとかKDIGOとか、ガイドラインの言葉もこんがらがってます…。
薬剤性腎障害(drug-induced kidney injury / drug-induced acute kidney injury: DI-AKI)は、
医薬品の使用がきっかけとなって腎機能が低下した状態を指します。
入院患者の急性腎障害のうち、およそ4分の1程度が薬剤関連とされ、決して珍しいイベントではありません。
ガイドライン上は、急性腎障害(AKI)の定義・ステージ分類などはKDIGO(Kidney Disease: Improving Global Outcomes)ガイドラインに基づいています。
薬局薬剤師の現場では、
- 腎機能低下リスクが高い患者に、腎毒性のある薬剤が追加されていないか
- NSAIDs・利尿薬・ACE阻害薬/ARBなど、いわゆる「トリプルワミー」の危険な組み合わせになっていないか
- 抗がん薬や抗菌薬など、腎毒性が強く知られる薬の用量・投与間隔が適切か
- 市販薬・サプリ・漢方などを含め、腎臓への影響について説明できているか
といった観点が重要になります。
このページでは、
- 腎臓の役割と、なぜ薬剤性障害が起こりやすいのか
- 薬剤性腎障害の分類・メカニズム
- 代表的な原因薬とリスク因子
- 検査値・症状からの気付き方
- 薬局薬剤師としての予防・早期発見・服薬指導のポイント
- 症例ベースの具体的なイメージ
を、専門的だけどできるだけ分かりやすく解説していきます。
(薬剤性腎障害の基礎から実践まで)
2-1. 腎臓の役割と「薬剤性腎障害」が起こりやすい理由

まずは「そもそも腎臓ってどんな臓器?」からおさらいしよう!
ここが分かると、なぜ薬剤でダメージを受けやすいかが一気につながるよ〜。
腎臓の主な役割は以下の通りです。
- 老廃物の排泄:クレアチニン、尿素窒素(BUN)、薬物代謝産物などを体外へ
- 水・電解質・酸塩基平衡の調整:Na/K/Cl/HCO3– など
- 血圧調整:レニン-アンジオテンシン-アルドステロン(RAA)系
- 造血ホルモン(エリスロポエチン)の産生
- ビタミンD活性化:カルシウム代謝、骨代謝
腎臓が薬剤性障害を起こしやすい理由は、
- 全身の血液の20〜25%が腎臓に流入し、薬物への曝露が非常に高い
- 尿細管で薬物が濃縮され、高濃度にさらされる部分がある
- エネルギー需要が高い細胞(近位尿細管など)が多く、虚血や毒性に弱い
といった特徴が挙げられます。
2-2. 急性腎障害(AKI)の定義とステージ(KDIGO)

「クレアチニンが1.0→1.6になりました」って書いてあっても、
それってどのくらいの重症度なのかぱっと判断できなくて…。
急性腎障害(AKI)は、KDIGOガイドラインで以下のように定義されています(要約)。
- 48時間以内に血清クレアチニン(SCr)が0.3 mg/dL以上上昇、または
- 過去7日以内にSCrが基準値の1.5倍以上に増加、または
- 6時間以上の乏尿(尿量 < 0.5 mL/kg/時)
ステージ分類の一部を表にすると:
| ステージ | 血清クレアチニン | 尿量 |
|---|---|---|
| 1 | 基準値の1.5〜1.9倍、または 0.3 mg/dL以上の増加 |
6〜12時間、< 0.5 mL/kg/h |
| 2 | 基準値の2.0〜2.9倍 | 12時間以上、< 0.5 mL/kg/h |
| 3 | 基準値の3倍以上、または SCr ≥ 4.0 mg/dL、または 腎代替療法開始 |
24時間以上、< 0.3 mL/kg/h または無尿12時間以上 |
薬剤性腎障害は、このAKIの形で現れることが多く、
「薬を始めてから数日〜数週間でSCrがじわじわ上がる」「利尿薬を増量してから尿量が減った」などの変化がヒントになります。
2-3. 薬剤性腎障害の主なタイプ(病態分類)

薬剤性腎障害って、一言でいうと「いろんなパターンの集合体」なんだよね。
ざっくり病態ごとのイメージを持っておくと、原因薬の整理がしやすいよ!
代表的な分類は以下の通りです。
- 腎前性(血行動態性)障害
- 腎血流が低下して起こるタイプ
- 例:NSAIDs、ACE阻害薬、ARB、利尿薬(脱水・容量減少)など
- 腎実質(主に尿細管)障害
- 近位尿細管などへの直接毒性、ミトコンドリア障害など
- 例:アミノグリコシド系、バンコマイシン、シスプラチン、アムホテリシンB など
- 急性間質性腎炎(AIN)
- 薬剤に対する免疫反応で、間質に炎症細胞浸潤
- 例:βラクタム系抗菌薬、PPI、NSAIDs、一部抗てんかん薬など
- 糸球体障害
- 免疫複合体、薬剤誘発性の血管炎など
- 例:一部の生物学的製剤、金製剤、ペニシラミン など
- 閉塞性(結晶沈着など)
- 薬物や代謝産物の結晶が尿細管を閉塞
- 例:アシクロビル、高用量メトトレキサート、スルファ薬、一部抗HIV薬など
2-4. 代表的な原因薬と特徴

「腎障害のリスクがある薬」って、どれとどれだっけ…?ってよくなります…。
頭の中でグループ分けできるようになりたいです。
薬局薬剤師が日常的によく出会う「腎毒性薬」を、ざっくり表にまとめます。
| 薬剤グループ | 代表的な薬 | 主な障害タイプ・注意点 |
|---|---|---|
| NSAIDs | ロキソプロフェン、ジクロフェナク、イブプロフェン など | 腎血流低下(腎前性)、間質性腎炎 高齢者・脱水・利尿薬/RA系薬併用でリスク増 |
| RAA系阻害薬 | ACE阻害薬、ARB | 輸出細動脈拡張による糸球体内圧低下 → SCr上昇 利尿薬やNSAIDsとの併用で「トリプルワミー」 |
| 利尿薬 | ループ、サイアザイド、カリウム保持性 | 容量減少 → 腎前性AKI 電解質異常(Na, K)のモニタリング重要 |
| 抗菌薬(アミノグリコシド) | ゲンタマイシン、アミカシン など | 近位尿細管障害(用量依存的) 血中濃度モニタリング(TDM)が重要 |
| バンコマイシン | 静注VCM | 尿細管毒性、他の腎毒性薬との併用でリスク↑ TDM必須、AUC管理が推奨 |
| 抗がん薬 | シスプラチン、カルボプラチン、メトトレキサート など | 尿細管障害、結晶沈着、電解質異常 補液・利尿・投与間隔調整が重要 |
| 造影剤 | ヨード造影剤 | 造影剤関連AKI(CI-AKI) 高リスク患者では、事前の補液・薬剤調整が重要 |
| PPI | オメプラゾール、ランソプラゾール など | 急性間質性腎炎(AIN) 原因不明のAKIで鑑別に挙がる |
| その他 | アシクロビル、高用量ビタミンC など | 結晶尿による閉塞性障害 十分な補水が重要 |
※具体的なリスク・頻度は薬剤ごとの添付文書・インタビューフォームを必ず確認します。
2-5. リスク因子(どんな患者で要注意?)

薬剤性腎障害って、「薬だけ」じゃなくて「患者背景」との組み合わせで起こることが多いよ。
リスク因子のチェック=薬剤師の腕の見せどころ!
代表的なリスク因子:
- 高齢(特に75歳以上)
- 既存のCKD(eGFR < 60 mL/min/1.73m²)
- 糖尿病、高血圧、心不全、肝硬変などの基礎疾患
- 脱水(発熱・嘔吐・下痢・食思不振・利尿薬増量など)
- 多剤併用(特に腎毒性薬同士の併用)
- 造影剤検査の予定/頻回の造影検査
- 大手術前後、ショック、敗血症など
薬局薬剤師としては、処方箋に書かれている情報だけでなく、おくすり手帳・問診・会話からリスク因子を拾うことが重要です。
2-6. 症状・検査からの気付き方

腎障害って、初期はほとんど症状がないって習いました…。
薬局で「異変」に気づくポイントって、どこを意識したらいいですか?
症状としては、
- むくみ(下腿浮腫、体重増加)
- 尿量の変化(極端に少ない/多い)
- だるさ、食欲低下、吐き気
- 息切れ(心不全との関連も)
- 意識障害(重症例)
などがありますが、初期は軽微または自覚症状が乏しいことも多いです。
検査値としては、
- SCrの上昇、eGFR低下
- BUNの上昇
- 電解質異常(特にK、Na)
- 尿たんぱく、尿沈渣異常(円柱、血尿、好酸球など)
などがヒントになります。
薬局で検査値が分かるケース(透析患者・CKD患者・がん薬物療法など)では、
「前回と比べてどのくらい変化しているか」を意識すると、異常に早く気付きやすくなります。
2-7. 薬局薬剤師ができる予防・早期発見のポイント

ここからは、薬局で「今日からすぐに使える」視点を中心にまとめていくね!
① 処方監査でのチェックポイント
- 腎毒性薬が処方されているか(NSAIDs、RAA系、利尿薬、造影剤前後の薬など)
- eGFR/SCr情報の有無(おくすり手帳・検査結果シール・診療情報提供書など)
- 既存のCKD、透析、糖尿病、高血圧、心不全の有無
- NSAIDs+RAA系+利尿薬の「トリプルワミー」の組み合わせ
- 抗菌薬・抗がん薬などで、添付文書上「腎機能に応じた用量調整」が必要な薬
② 服薬指導での確認事項
- 最近の体調:発熱、下痢、嘔吐、食欲低下など(脱水リスク)
- 市販薬・健康食品・サプリの使用状況(NSAIDs、漢方、ダイエットサプリなど)
- 水分摂取量:制限指示がない限り、極端な水分制限をしていないか
- 尿量の変化:明らかな減少や、夜間頻尿の悪化など
- むくみ・体重変化:急な増加がないか
③ 患者さんへの説明のポイント
- 「この薬を飲んだから必ず腎臓が悪くなるわけではない」ことをまず伝える
- 「ただし、あなたの腎臓は少し弱いので、○○のサインがあれば早めに受診を」と具体的に説明
- NSAIDsなど、市販薬での自己判断使用は避け、医師や薬剤師に相談してから使うことを強調
- 脱水時(発熱・下痢・嘔吐など)は、一部薬剤の休薬が必要となる場合があることを説明(いわゆる「シックデイ」概念:具体的な指示は主治医と要相談)
2-8. 「トリプルワミー(NSAIDs + ACE/ARB + 利尿薬)」に特に注意

実はトリプルワミー、レセプトを見ていても「意外とあるある」なんですよね…。
でも、服薬指導でどこまで踏み込んでいいのか迷ってしまって…。
トリプルワミーとは、
- RAA系阻害薬(ACE阻害薬 or ARB)
- 利尿薬
- NSAIDs
の3つが同時に使用されることで、腎血流が大きく低下し、急性腎障害リスクが高まる組み合わせです。
メカニズムとしては、
- 利尿薬 → 血管内容量低下(脱水気味)
- ACE/ARB → 輸出細動脈拡張により糸球体内圧低下
- NSAIDs → 輸入細動脈収縮(プロスタグランジン生成抑制)
が重なり、糸球体へ入ってくる血液も減り、糸球体内圧も下がることで腎濾過が著しく低下します。
薬局で見つけた場合は、
- 処方医に情報提供(疑義照会またはトレーシングレポート)
- 患者への説明:脱水時の受診・自己判断のNSAIDs追加使用を避けること
など、「中止させる」のではなく、「リスクを共有して一緒にマネジメントする」スタンスが大切です。
症例・具体例・実践例
3-1. 症例1:高齢者のNSAIDsによる腎前性AKI疑い

外来でよく遭遇しそうなケースからいこう!
患者背景(仮想症例)
- 78歳男性
- 既往:高血圧、2型糖尿病、CKDステージ3(eGFR 45)
- 処方:ARB、ループ利尿薬、DPP-4阻害薬、スタチン など
- 今回の新規処方:ロキソプロフェン 90mg 分3(腰痛)
薬局での会話
- 最近、食欲がなく水分もあまり取れていない
- トイレの回数が減った気がする
- 市販の解熱鎮痛薬も、少し前まで飲んでいた
薬剤師の気付きポイント
- 高齢+CKD+ARB+利尿薬 → もともと腎前性AKIリスク高い
- そこにNSAIDs(ロキソプロフェン)が追加 → トリプルワミーに近い構図
- 脱水傾向(食欲低下・水分摂取減少)
対応例
- 現状の症状(尿量減少、全身状態)を丁寧に確認
- 「腎機能が悪化している可能性」を疑い、早めの受診を促す
- NSAIDsの必要性と期間を、主治医に情報提供(疑義照会やトレーシングレポート)
- 自己判断で市販NSAIDsを追加しないことを強く説明
- 脱水時の対応(熱が出た、下痢が続くときなど)は、主治医へ相談するよう指導
3-2. 症例2:外来化学療法中のシスプラチン

がん患者さんは、抗がん薬だけじゃなくて、支持療法の薬もいっぱい出てて…
腎臓のことまで目が届きにくいんですよね…。
患者背景(仮想症例)
- 65歳男性、固形がんに対してシスプラチン+他薬のレジメン
- 外来化学療法室で治療中
- シスプラチンは腎障害リスクが高く、補液・マグネシウム補正などが行われている
薬局でのチェックポイント
- レジメン名から、シスプラチン投与スケジュールを把握
- クレアチニン・eGFRの推移(病院からの情報があれば)
- 吐き気・食欲低下で水分摂取量が減っていないか
- NSAIDsやACE/ARB、利尿薬などが併用されていないか
服薬指導ポイント
- 「シスプラチンは腎臓への負担がある薬」であることを、できるだけ分かりやすく説明
- 水分が取れないほどの吐き気・嘔吐が続く場合は、我慢せず早めに連絡するよう伝える
- 市販薬(特にNSAIDs)での自己対応は避け、必ず主治医・薬剤師に相談
- 体重・むくみ・尿量の変化を意識してもらう(簡単なセルフモニタリング)
3-3. 症例3:PPI長期内服中の原因不明AKI

最近は、PPIによる急性間質性腎炎もよく話題になるね。
患者背景(仮想症例)
- 72歳女性
- 慢性的な胃痛で、PPIを数年以上継続
- 最近の検査で、SCrが徐々に上昇(0.8 → 1.2 → 1.5 mg/dL)
- 他に腎毒性の強い薬はなし
薬剤師の視点
- 「原因不明のAKI/CKD進行」では、薬剤性AINも鑑別に挙がる
- PPIは添付文書上も腎障害(AIN)が注意喚起されている
- 皮疹・発熱・関節痛などのアレルギー症状の有無も確認
対応例
- 腎機能変化の経過と、PPI継続期間を整理して主治医へ情報提供
- 必要に応じてPPIからH2ブロッカーへの変更など、選択肢の相談(治療方針は医師)
- 患者へは「腎臓の検査で変化があったので、お薬の影響も含めて先生と相談しましょう」と説明
まとめ

薬剤性腎障害って、「怖いから薬を減らす」だけの話じゃなくて、
リスクを理解して、ちゃんとモニタリングしながら使うことが大事なんですね…。
要点を整理します。
- 薬剤性腎障害は、入院AKIの約4分の1を占める重要な有害事象
- 腎臓は血流・濃縮・エネルギー需要の高さから、薬剤によるダメージを受けやすい臓器
- 病態は、腎前性・尿細管障害・間質性腎炎・糸球体障害・閉塞性など、いくつかのパターンに分けて考えると整理しやすい
- 代表的な原因薬:
- NSAIDs、ACE/ARB、利尿薬(トリプルワミー)
- アミノグリコシド系、バンコマイシン、シスプラチンなど
- PPI、造影剤、メトトレキサート、高用量アシクロビル など
- リスク因子(高齢、CKD、糖尿病、脱水、多剤併用)を意識し、処方監査と服薬指導で拾い上げる
- 「必要な薬をきちんと使うため」に、予防・早期発見・患者教育が薬剤師の重要な役割

今日のポイントは、
「どの薬がこわいか」だけじゃなくて、『どんな患者さんで』『どんな組み合わせで』『どんなときに』危険度が上がるかをイメージできるようになることだよ♪
⑥ よくある質問(Q&A)
Q1. 市販の解熱鎮痛薬(NSAIDs)は、どのくらい飲んだら腎臓に悪いですか?

「1回だけでもダメですか?」「3日くらいなら大丈夫?」って、すごく聞かれます…。
「何日飲んだら必ず腎障害が起こる」という線引きはありません。
多くの人では、短期使用で大きな問題が起こることは少ないとされますが、
- 高齢者
- もともと腎機能が悪い方(CKD)
- 利尿薬・ACE/ARBなどを飲んでいる方
- 脱水気味(発熱・下痢・嘔吐など)のとき
では、短期間でもリスクが上がります。
そのため、「腎臓が弱い方」「腎臓に不安がある方」は、市販薬であっても自己判断でNSAIDsを使わず、医師や薬剤師に必ず相談してください。
Q2. eGFRがどのくらいから、薬剤性腎障害に特に注意が必要ですか?
一般的には、eGFR 60 mL/min/1.73m²未満(CKDステージ3以上)で注意が必要になります。
ただし、
- 高用量の腎毒性薬(シスプラチンなど)
- 複数の腎毒性薬の併用
- 急激な脱水・敗血症などのイベント
がある場合は、それ以上のeGFRでもAKIを起こし得ます。
薬局薬剤師としては、
- eGFR 45未満(CKDステージ3b〜)では、特に用量調整・薬剤選択に慎重になる
- eGFR 30未満では、添付文書上「禁忌」「慎重投与」の薬が増えるため、処方監査・疑義照会をしっかり行う
といったラインで意識しておくとよいです。
Q3. 造影剤による腎障害は、薬局でどうフォローすればいいですか?
造影CTなどでヨード造影剤を使用すると、造影剤関連AKIのリスクがあります。
薬局でできることとしては、
- 造影検査の予定がある患者さんで、NSAIDs・RAA系・利尿薬などを併用していないかチェック
- 検査前後に、医師から「一時中止」指示が出ている薬がないか(特に糖尿病薬や利尿薬など)
- 検査後に「水分を多めに取るように指示されていませんか?」と確認し、可能な範囲での水分摂取を応援
- 検査後数日間の、尿量・むくみ・体重変化・だるさなどの変化があれば、早めに受診するよう説明
Q4. 腎機能が悪いと言われた患者さんに、市販薬の相談を受けたときのコツは?

「腎臓が悪いから市販薬全部ダメ!」だと、患者さんの生活もつらくなっちゃう…。
バランスが大事だよね。
コツは、
- 腎毒性の強い成分(NSAIDsなど)は極力避ける
成分数が多い総合感冒薬
- 腎毒性の強い成分(NSAIDsなど)は極力避ける
- 成分数が多い総合感冒薬などはなるべくシンプルなものを選ぶ
総合感冒薬は5〜10成分が一気に入っているものも多く、腎機能が低下している患者では「どの成分が影響したのか分かりにくい」「排泄・代謝の負担が増える」といったリスクがあります。
さらに、
・NSAIDs が含まれている場合が多い
・眠気、血圧変動、口渇など副作用が増えやすい
などの理由から、症状に合った **単剤(解熱・鎮咳・去痰など)を必要な分だけ選ぶ** のがより安全です。 - 「使う期間」を明確に決める(数日以内など)
腎機能が悪い方では薬物排泄が遅れやすく、
長期連用で思わぬ蓄積・副作用につながることがあります。
「2〜3日使って改善しなければ受診」など、期間を明確に伝えるのが重要です。 - 症状が続く場合は早期に医療機関へ誘導する
腎臓が弱い患者では、感染症・脱水が腎障害を悪化させることがあります。
市販薬で様子を見すぎず、早めの受診につなげる視点が大切です。
特に、
「痛み止め」「風邪薬」「漢方」「サプリメント」は腎臓への影響が無視できない場合があります。
そのため、患者さんには普段から
「腎臓が弱いと言われている方は、市販薬を使う前に薬剤師へ相談してください」
と伝えておくと安全です。
Q5. 薬剤性腎障害を疑ったとき、薬剤師は医師へ何を情報提供すべき?
薬剤性腎障害は、患者の情報を一番近くで拾える薬剤師の情報提供で早期発見できるケースが多いのが特徴です。
医師が診断しやすい情報は次の5点です。
- 疑っている薬剤名と、開始・増量のタイミング
「○月○日からロキソプロフェン開始」「2週間前に利尿剤が増量」など。 - 腎機能の変化(分かる範囲)
SCr、eGFRの推移(お薬手帳・検査情報等から)。 - 症状
尿量減少・体重増加・むくみ・倦怠感・吐き気など。 - リスク因子の有無
高齢・CKD・糖尿病・脱水イベント(下痢、発熱、食欲不振)など。 - 他の腎毒性薬の併用状況
NSAIDs、ACE/ARB、利尿薬、抗菌薬、抗がん薬など。
これらを簡潔にまとめてトレーシングレポート等で情報提供すると、
医師が腎障害の可能性を判断しやすくなり、検査・薬剤調整へ迅速につながります。
参考文献
KDIGO Clinical Practice Guideline for Acute Kidney Injury(KDIGO公式)
最終確認日:2025年12月11日
KDIGO 2012 Acute Kidney Injury Guideline(PDF)
最終確認日:2025年12月11日
KDIGO 2024 Guideline for Acute Kidney Disease
最終確認日:2025年12月11日
Garcia G, et al. Drug-induced acute kidney injury: incidence and risk factors. Front Med. 2024.
最終確認日:2025年12月11日
薬剤性腎障害の総説(Organ Biology、日本語レビュー)
最終確認日:2025年12月11日
Liu W, et al. Mechanisms of drug-induced kidney injury(2025)
最終確認日:2025年12月11日
Contemporary classification of drug-induced AKI. Crit Care 2023.
最終確認日:2025年12月11日
📘『薬局長のためのモンスター社員対応マニュアル』発売のお知らせ

薬局で働いていると、どうしても避けられないのが「人間関係のストレス」。
患者対応、スタッフ教育、シフト調整……。
気がつけば、薬局長がいちばん疲れてしまっている。
そんな現場のリアルな悩みに向き合うために、管理薬剤師としての経験をもとにまとめたのが、この一冊です。






『薬局長のためのモンスター社員対応マニュアル』
― 現場で困る前に身につける 実務 × 法対応 × 会話例 ―
薬局で起こりやすい“モンスター社員”を15タイプに分類し、
それぞれの特徴・対応法・指導会話例を紹介。
パワハラにならない注意方法や、円満退職・法的リスク回避の実務ステップも具体的に解説しています。
- 現場によくある「人のトラブル」15パターンと対応のコツ
- パワハラにならない“安全な指導”の伝え方
- 円満退職を導くための面談・記録・法的ポイント
- 薬局長自身を守るマネジメント思考
薬局で人に悩まないための「実践マニュアル」として、
日々の業務の支えになれば幸いです。
「薬局長が守られれば、薬局全体が守られる」
現場の“声にならない悩み”を形にしました。
📘 書籍情報
-
- 書名:薬局長のためのモンスター社員対応マニュアル
- 著者:ゆずまる薬局長
- 発行:YUZUMARU WORKS
- フォーマット:Kindle電子書籍
- シリーズ:薬局マネジメント・シリーズ Vol.2
📕 シリーズ第1弾はこちら
👉 『薬局長になったら最初に読む本』








もっと自信を持って説明できるようになりたいです。

透析特有の薬物動態や電解質管理が体系化されて、薬局でも“腎に強い薬剤師”になれるよ🍃
疑義照会やトレーシングレポートの説得力がぐっと上がります。
- 吸着剤・リン吸着薬/ビタミンD製剤/Ca製剤の使い分け
- 高K血症・低Ca血症などのリスク説明と服薬支援
- バンコマイシン等の用量調整と投与タイミングの考え方
- 電解質管理と食事・薬物の相互作用の押さえどころ
- 抗菌薬・抗凝固薬の調整ロジック(透析日との関係)
- 患者さんに伝わる数値の読み方とセルフケア支援




コメント