


交通事故の患者さんが調剤薬局を訪れると、「自賠責・自費」と書かれた処方箋を目にすることがあります。このようなケースでは、通常の保険調剤とは異なり、自賠責保険を通じた請求処理が必要となります。
「患者さんからお金をもらわずに、どうやって薬代を回収するの?」「健康保険は使えないの?」「自賠責ってどこに請求するの?」――薬剤師にとっても、見慣れない請求フローに戸惑うことが多い分野です。
この記事では、薬局で働く薬剤師が押さえておきたい自賠責保険の基本知識から、処方箋対応・保険会社との連絡方法・請求書の作り方まで、実務に役立つ情報をわかりやすくまとめています。
実際の症例や患者対応の流れも交えて紹介しますので、初めて対応する方にも、復習として確認したい方にもぴったりの内容です。

自賠責保険とは?薬局業務にどう関係するの?
自賠責保険(正式名称:自動車損害賠償責任保険)とは、交通事故による被害者救済を目的とした強制保険です。
日本ではすべての自動車・バイクに加入が義務付けられており、運転者が事故で他人を死傷させた場合に、最低限の損害賠償をカバーする制度です。
薬局がこの保険に関与するのは、交通事故で通院する患者さんが「自賠責対応の処方箋」を持参するケースです。
通常の健康保険とは異なり、薬局が保険会社へ直接請求する形式となります。
自賠責保険の特徴
- 法律(自動車損害賠償保障法)で加入が義務付けられている保険
- 対人賠償のみを対象(対物や自分のケガ・車の修理などは対象外)
- 保険会社に直接請求する「被害者請求」制度あり
- 健康保険と併用しない原則だが、第三者行為扱いで使う場合もある

薬局が関わるのはいつ?
患者さんが「事故による処方箋です」と来局したとき、以下のような記載があることがあります:
- 「自賠責・自費」 と処方箋に明記されている
- 「第三者行為」や「交通事故」と書かれている
- 負傷部位が事故原因であることを示している(例:頚部捻挫、腰痛など)
このような処方箋を受け取った場合は、通常の保険調剤とは異なるプロセスで、保険会社への直接請求または一時自費対応が必要です。

請求書類の作成方法と提出の流れは?
自賠責保険に基づく処方薬の費用は、薬局が保険会社へ直接請求します。
その際に必要な書類と手続きの流れを正確に把握しておくことで、スムーズかつ確実な精算が可能になります。
必要書類一覧
以下は、薬局が作成・提出する基本的な書類です:
- 請求書(薬局様式、または保険会社指定フォーマット)
- 調剤報酬明細書(自社レセコンまたはExcelフォーマット)
- 処方箋の写し(初回のみ、保険会社によっては毎回)
- 患者署名入りの支払確認書(必要な場合)
保険会社によって細かい提出要件が異なるため、初回は必ず担当者に確認しておきましょう。
請求書の記載例
以下はよくある請求書の記載項目です:
記載項目 | 内容 |
---|---|
薬局情報 | 名称、住所、電話番号、保険薬局コードなど |
患者情報 | 氏名、生年月日、被害者・加害者の別など |
事故情報 | 事故日、事故概要(軽微で可) |
請求金額 | 調剤基本料・薬剤料・技術料の合計 |
銀行振込先 | 口座番号、銀行名、支店名など |
提出方法と支払いまでの流れ
- 保険会社へ電話連絡し、提出書類と送付先を確認
- 必要書類を準備し、郵送 or FAX(※FAX後、原本郵送が必要な場合もあり)
- 保険会社による審査(1~2週間程度)
- 審査完了後、銀行振込で薬局に入金
※月締め一括請求も可能です。
複数件をまとめて月末に提出し、翌月一括で振込される方式をとっている保険会社もあります。

注意点:書類の保管と再提出リスク
保険会社の審査で書類の不備があった場合、再提出を求められるケースもあります。以下を徹底しましょう:
- 調剤内容・日数・単価の入力ミスがないか確認
- 書類控えをPDF・紙で保管
- 支払い状況をエクセルなどで管理

薬局での請求単価や文書料はどれくらい?
自賠責保険による調剤費の請求では、薬局ごとに設定する単価や文書料が異なります。
これは「自由診療」扱いであるため、点数単価や文書作成料は保険会社との合意で決定可能だからです。
自分の薬局の請求設定例
以下は、ある薬局で実際に運用されている請求単価の例です:
項目 | 請求設定 |
---|---|
薬剤料 | 1点=20円 |
技術料・調剤料 | 1点=20円(薬剤料と同様) |
文書料 | 1,000円(+消費税100円)=合計1,100円 |
このように、薬局独自の単価設定が可能ですが、事前に保険会社との同意・確認を取ることが非常に重要です。
特に文書料は明文化された基準がないため、後から減額交渉される可能性もあります。
相場との比較(全国的な傾向)
全国の薬局では、次のような設定が多いとされています:
- 薬剤料:1点=10~12円(厚労省基準ベース)
- 技術料:薬剤料に対して20%上乗せ程度
- 文書料:1,000~1,500円(税込)
そのため、1点20円での請求は比較的高単価な部類に入ります。
高単価設定を維持するには、保険会社と信頼関係を築き、請求書類の正確性を担保することが重要です。

保険会社とのやり取りで大切なこと
- 初回提出時に「単価表」を添付して説明
- 過去の実績や調剤記録を保管しておく
- 交渉やトラブル時は書面記録を残す
最終的に支払いを行うのは保険会社ですので、相手方が納得しやすい論理と書類構成が重要です。

症例紹介:実際にあった自賠責処方対応の流れ
ここでは、ある調剤薬局で実際に経験した交通事故患者への処方対応を、時系列で具体的に紹介します。
初めて自賠責処方を扱う薬剤師でもイメージしやすいように、患者来局から請求完了までを丁寧に解説します。
【症例】40代女性/交通事故による頚部捻挫
- 傷病名:外傷性頚部症候群(むち打ち症)
- 処方内容:ロキソプロフェン錠、レバミピド錠、テルネリン錠 14日分
- 処方箋記載:「自賠責・自費」
- 保険会社:A損保/担当:B氏
📍 薬局での対応ステップ
- 患者が来局、処方箋に「自賠責・自費」の記載を確認
- 患者に事故の経緯と保険会社の情報をヒアリング(A損保・B担当)
- 処方元の整形外科に連絡し、処方が健康保険併用でなく自賠責単独であることを確認
- 患者には「確認が取れるまでは自費扱い」の可能性を説明(同意書を取得)
- 調剤を行い、領収書には「交通事故・自賠責対応」と明記
- 後日、保険会社B氏に連絡し、1点20円+文書料1,000円+税の請求可否を確認
- 書類一式(請求書、調剤明細書、処方箋写し)をFAXで送付(後日原本郵送)
- 約10日後、薬局口座に指定金額が振込まれ、患者自己負担は0円で処理完了
📝 実際に発行した請求書内容
項目 | 金額 |
---|---|
薬剤点数 | 180点 × 20円 = 3,600円 |
調剤料 | 70点 × 20円 = 1,400円 |
文書料 | 1,000円(税別) |
消費税 | 240円 |
合計 | 6,240円 |

💡 この対応から学べるポイント
- 処方箋記載の内容だけで判断せず、病院・保険会社へ必ず確認
- 文書料や単価設定は事前に保険会社へ伝えて承諾を得る
- 初回請求では控えをしっかり保管し、振込確認も行う

まとめ
交通事故の患者が処方箋を持参するケースは、通常の健康保険対応とは大きく異なります。薬局としては、正確な情報収集・適切な書類管理・保険会社との円滑な連携が求められます。
自賠責処方対応の5つのポイント
- 処方箋の記載を確認し、「自賠責・自費」等の記載がある場合は慎重に対応
- 患者から保険会社の情報を確実に聴取する(社名・担当・連絡先)
- 処方元医療機関と連携し、健康保険併用でないことを確認
- 必要に応じて一時自費処理+同意書取得を行う
- 保険会社の指定様式または薬局書式で請求書・明細書を作成し提出
また、文書料や1点あたりの単価は薬局ごとに設定可能ですが、保険会社の了承を得ることがトラブル回避の鍵です。
今回ご紹介した症例やフローを参考に、ぜひ現場での対応にお役立てください。
もし自賠責対応に慣れていない薬局があれば、事前に手順書やテンプレートを作成しておくことをおすすめします。

理解度チェッククイズ
Q1. 自賠責保険で補償される内容はどれ?
- A. 車の修理費
- B. 交通事故による対人賠償
- C. 自分の通院費
- D. 建物や電柱の損害
正解:B
自賠責保険は対人損害(死亡・傷害・後遺障害)のみを補償します。物損(車や建物など)や運転者自身のケガは対象外です。
Q2. 薬局で自賠責処方を受けたとき、最初に確認すべき情報は?
- A. 処方箋の保険種別
- B. 薬剤師の署名
- C. 保険会社名と連絡先
- D. 処方医の出身大学
正解:C
自賠責請求のためには保険会社名・担当者・連絡先が必須です。事前に連絡を取って請求様式や支払方法を確認します。
Q3. 自賠責請求時に薬局が提出する書類に含まれないものは?
- A. 調剤報酬明細書
- B. 処方箋の写し
- C. 患者のマイナンバー
- D. 請求書
正解:C
マイナンバーは自賠責保険の請求に必要ありません。主に必要なのは、請求書・明細書・処方箋写しです。
Q4. 自賠責における薬剤料の「1点あたり単価」は薬局ごとに設定できる?
- A. はい、自由診療のため設定可能
- B. いいえ、国で統一されている
- C. 厚労省が都道府県ごとに決定する
- D. 1点=1円が法律で定められている
正解:A
自賠責処方は自由診療の扱いになるため、薬局ごとに1点10円・12円・20円など任意に設定が可能です(保険会社の承諾が必要)。
Q5. 保険会社からの支払い確認前に調剤した場合の適切な対応は?
- A. 保険が適用されると信じて調剤
- B. まず自費で請求し、後日清算
- C. 保険会社に処方箋を送りつける
- D. 患者に一切説明せず0円対応
正解:B
保険会社との連絡前は、一時的に自費で請求し、後日保険会社からの支払い確認後に返金または調整するのが基本です。

よくある質問
自賠責処方箋を受けたとき、患者に0円対応していいの?
原則として保険会社との確認が取れるまでは一時的に自費対応をおすすめします。支払いが拒否された場合、薬局の未収リスクが発生するためです。
文書料はいくらまで認められる?
薬局ごとの自由設定が可能ですが、1,000〜1,500円(税別)程度が相場です。事前に保険会社に確認・了承を得ておくと安心です。
1点20円は高すぎる?
地域差や保険会社の判断により許容されることもありますが、書類の整備と交渉力が必要です。相場は10〜12円が一般的ですが、20円で支払われた実例もあります。
調剤明細は通常レセプト形式で提出してよい?
保険会社によってはレセコン出力の明細でOKな場合もありますが、指定様式があるケースも多いため、初回請求時に確認が必要です。
参考文献

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よくある質問/Q&A
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