- 桂枝茯苓丸が泌尿器科で注目される理由
- 慢性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群(CP/CPPS)とは?
- 桂枝茯苓丸が注目される背景
- 最新研究① 日本でのパイロット試験(Nakamura 2019)
- 最新研究② 前立腺がんホルモン療法中の男性での応用(Shigehara 2020)
- 最新研究③ 血管・炎症バランスへの影響(Shigehara 2023)
- 臨床研究のまとめ表
- 臨床的な位置づけ
- なぜ桂枝茯苓丸は前立腺炎(CP/CPPS)に効くの?――作用機序をやさしく解説
- 併用療法とのシナジー:どう組み合わせると効果的?
- 体質目安と使い分け(漢方的視点+実務)
- 用量・飲み方・効果判定のタイムライン
- 安全性・相互作用・禁忌の確認ポイント
- ケースで学ぶ:評価のコツ
- よくある質問(FAQ)
- 前後編の総まとめ
- 参考文献
- 薬剤師向け転職サービスの比較と特徴まとめ
桂枝茯苓丸が泌尿器科で注目される理由



うんうん、その通り!
今日は「桂枝茯苓丸と前立腺炎の最新研究」を分かりやすくまとめていくね。
慢性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群(CP/CPPS)とは?
慢性前立腺炎(Chronic Prostatitis, CP)とは、3ヶ月以上続く骨盤・会陰部の痛みや排尿異常を特徴とする疾患です。
そのうち多くは細菌感染を伴わない「慢性骨盤痛症候群(CPPS)」と呼ばれます。
主な症状は以下の通りです。
- 排尿時の痛みや違和感
- 会陰部(陰嚢と肛門の間)の鈍痛
- 下腹部の重だるさ
- 射精時の痛み
- 性交後の違和感や不快感
治療には抗菌薬、α遮断薬、NSAIDsなどが使われますが、症状が再発したり、痛みが残るケースも多いのが現状です。
そのため、「体質」や「血流」などの要素にアプローチできる漢方薬が注目されています。
桂枝茯苓丸が注目される背景
桂枝茯苓丸は、血流を改善する「駆瘀血(くおけつ)」処方として有名です。
婦人科の薬として知られていますが、実は添付文書にもしっかりと 「睾丸炎」 の記載があります(ツムラ25番)。
つまり、桂枝茯苓丸は「骨盤内のうっ血性炎症」にも適応があり、
前立腺炎・精巣痛などの症状にも理論的にマッチしているのです。
最新研究① 日本でのパイロット試験(Nakamura 2019)
2019年、日本の伝統医学学会誌で報告されたパイロット研究があります。
■ 研究概要
対象:慢性前立腺炎(CPPS)患者24名
介入:ツムラ桂枝茯苓丸エキス顆粒(25番)を1日7.5g、8週間投与
評価:NIH-CPSIスコア(痛み・排尿・生活の質)
結果は次の通り👇
- 痛みスコア:有意に低下(平均 −5.3点)
- QOLスコア:改善(生活の質向上)
- 排尿スコア:軽度改善
特に「痛みの改善」が顕著で、前立腺周囲の血流・炎症改善が背景にあると考えられました。
この研究は小規模ですが、西洋薬だけで効果が不十分な患者に対し、漢方が補助的に有効である可能性を示した貴重なデータです。
最新研究② 前立腺がんホルモン療法中の男性での応用(Shigehara 2020)
泌尿器科医・重原氏(兵庫医科大学)らの研究では、
前立腺がん治療(アンドロゲン除去療法:ADT)中の男性において、
ホットフラッシュや倦怠感などの更年期様症状に桂枝茯苓丸が有効だったと報告されています。
■ 結果まとめ
・ホットフラッシュ発作頻度が減少
・疲労感・倦怠感スコアが改善
・副作用なし(安全性良好)
この研究は前立腺炎そのものではないものの、骨盤内の血流改善や自律神経調整という桂枝茯苓丸の作用が示唆されています。
最新研究③ 血管・炎症バランスへの影響(Shigehara 2023)
同グループが2023年に報告したサブ解析では、桂枝茯苓丸投与後に
血中サイトカイン(IL-6、TNF-α)の低下傾向が見られました。
つまり、桂枝茯苓丸は単なる血流改善だけでなく、炎症性サイトカインの制御を通じて疼痛軽減に寄与している可能性があります。
臨床研究のまとめ表
| 研究 | 対象 | 介入 | 主な結果 |
|---|---|---|---|
| Nakamura 2019 (Japan) | 慢性前立腺炎患者24名 | 桂枝茯苓丸 7.5g/日 × 8週 | 痛みスコア・QOL改善 |
| Shigehara 2020 | ADT中前立腺がん患者 | 桂枝茯苓丸 12週 | ホットフラッシュ・倦怠感改善 |
| Shigehara 2023 | 上記サブ解析 | 血中サイトカイン測定 | IL-6/TNF-α低下傾向 |
臨床的な位置づけ
これらの結果から、桂枝茯苓丸は以下のようなケースで特に有用です。
- 抗菌薬・α遮断薬を使っても残る痛み・違和感がある
- 冷え・のぼせ・肩こりなどの瘀血体質を併発
- 精神的ストレスや自律神経の乱れが関係している
つまり、西洋薬の「標準治療」で取り切れない症状に対して、体質改善と血流調整のダブルアプローチを行える点が注目されています。
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なぜ桂枝茯苓丸は前立腺炎(CP/CPPS)に効くの?――作用機序をやさしく解説


① 微小循環の改善(血管内皮とNO)
桂枝茯苓丸(KBG)は、桂皮・桃仁・牡丹皮などの働きで骨盤内の微小循環を底上げすると考えられています。ポイントは血管内皮由来の一酸化窒素(NO)。NOは血管を拡げ、炎症でこわばった周囲組織の血流を回復させやすくします。会陰部の「重だるい痛み」「刺すような痛み」は微小循環の滞り(瘀血)と相性が悪く、NOを介した血行改善が論理的にフィットします。
② 炎症性サイトカインのバランス調整
CP/CPPSでは、TNF-αやIL-6、IL-8などのサイトカインが痛みの増幅に関わると考えられています。KBGは炎症伝達に関与する経路(例:NF-κB)を抑制的に働かせ、「慢性炎症の火加減」を下げる方向に作用する可能性があります。前編で触れた臨床データでも、血中サイトカインの低下傾向が示唆されました。
③ 筋・神経の過緊張をゆるめるサポート
芍薬の鎮痙・筋弛緩様作用は、骨盤底筋の防御性収縮をゆるめる手助けになります。痛みは「血流の滞り × 筋のこわばり × 神経の過敏」の三位一体で増幅しがち。血流改善+筋緊張緩和の両輪で、疼痛ループを断ち切るイメージです。
まとめ(作用機序の要点)
・微小循環↑(内皮NO)で痛みの土台を改善
・炎症性サイトカイン↓で痛みの増幅を抑える
・筋・神経の過緊張↓で感作をほぐす
併用療法とのシナジー:どう組み合わせると効果的?
α遮断薬(タムスロシン等)との併用
- 狙い:下部尿路の抵抗を下げて排尿をスムーズに。
- シナジーの考え方:α遮断薬は「流路」を整え、KBGは「血流と炎症」を整える。流れ×めぐりの分業で、残る痛みや違和感を減らす狙い。
- 実務Tip:開始2〜4週で排尿は判定、痛みは4〜8週のスパンで評価。
鎮痛薬(アセトアミノフェン/NSAIDs)との併用
- 急性増悪時には短期で併用し、慢性期は漫然投与を避ける。
- KBGで炎症のベースを下げると、鎮痛薬の必要量を減らせる可能性。
理学療法・セルフケア
- 骨盤底筋のリラクセーション:呼吸法、温罨法、やさしいストレッチ。
- 長時間座位の回避、坐骨を立てる座り方、温める生活習慣。
- 心理的ストレス対策:痛みと不安の悪循環を断ち、交感神経優位を緩める。
体質目安と使い分け(漢方的視点+実務)
| こんなサインがある時 | 解釈 | コメント |
|---|---|---|
| 会陰部の重だるい痛み、刺す痛みが周期的 | 瘀血傾向(うっ血) | KBGの中心適応。便秘・肩こり・頭痛を伴うとハマりやすい。 |
| 冷えのぼせ、顔が紅潮しやすい | 上下の巡りのアンバランス | 微小循環の是正を狙ってKBGを主体に。 |
| 胃のもたれやすさ | 気虚・痰湿の併存 | 六君子湯の少量併用で内服継続しやすく。 |
用量・飲み方・効果判定のタイムライン
- 目安用量:医療用エキス顆粒7.5g/日を2〜3回分服(添付文書準拠)。
- 飲むタイミング:基本は食前or食間。胃部不快があれば食後へ。
- 判定タイミング:2〜4週間で「重だるさ」「刺痛」の頻度をチェック。8〜12週間で継続評価(NIH-CPSIやVASが便利)。
- 合わないサイン:便が緩み続ける、動悸・ほてり増強など。無理せず見直し。
安全性・相互作用・禁忌の確認ポイント
服薬指導の要点
・胃部不快→分割・食後・温かい飲み物で服用
・発疹・かゆみ→中止して受診
・妊娠中は避ける(活血化瘀の性質)
・抗凝固療法中は出血傾向に留意(自己判断での併用×)
ケースで学ぶ:評価のコツ
ケースA:α遮断薬で排尿は改善したが、午後の会陰部痛と射精時痛が残る40代。冷えのぼせ、肩こり、便秘あり。
→ KBG追加で3〜4週後に「重だるさ」頻度↓、射精時痛も軽快。8週で鎮痛薬の頓用回数が半減。
ケースB:ストレス強く、下腹部の張りとガス貯留感が中心の30代。
→ KBG開始も胃もたれで継続困難。六君子湯を少量追加し食後へ変更で継続可能に。
よくある質問(FAQ)
Q. どのくらい続ければよい?
A. 痛みは波があるため、最低4週間は評価期間を取り、8〜12週間で総合判定するのがおすすめ。反応が乏しければ方剤を見直します。
Q. サプリと重ねても大丈夫?
A. イチョウ葉やナットウキナーゼなど血流作用が重なるものは体質により過剰となる場合があります。服用中のサプリは必ず共有を。
Q. 前立腺肥大症(BPH)そのものに効きますか?
A. 前立腺体積を縮小する薬ではありません。残る痛み・違和感・冷えの背景にアプローチする補助療法です。
前後編の総まとめ
- 前編:小規模ながら痛み・QOLの改善を示す臨床データがあり、ADT中の男性での更年期様症状改善も報告。
- 後編:微小循環、サイトカイン、筋・神経緊張の三方向から理論的裏付け。標準治療と組み合わせると相乗が期待。
参考文献
- PMDA. ツムラ桂枝茯苓丸エキス顆粒(医療用) 添付文書(2023年改訂版)
最終確認日:2025-10-07 - 日本泌尿器科学会. 慢性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群(CP/CPPS)診療ガイドライン 改訂2023年版 最終確認日:2025-10-07
- Shigehara K, et al. Efficacy and safety of Keishibukuryogan for hot flashes in prostate cancer patients on androgen deprivation therapy.
Transl Androl Urol. 2020;9(1):81–87. PMID: 32190679.
最終確認日:2025-10-07 - Shigehara K, et al. Cytokine modulation by Keishibukuryogan: sub-analysis of ADT study.
Transl Androl Urol. 2023. PMID: 37685818.
最終確認日:2025-10-07 - Tanaka K, et al. Pharmacological mechanisms of Keishibukuryogan: a review.
Front Pharmacol. 2021;12:791122. PMID: 35069447.
最終確認日:2025-10-07 - American Urological Association. Diagnosis and Management of Male Chronic Pelvic Pain (Unabridged, 2025).
最終確認日:2025-10-07 - Nakamura M, et al. Effects of Keishibukuryogan on chronic prostatitis/chronic pelvic pain syndrome: A pilot study.
J Tradit Med. 2019;36(3):142–149.
最終確認日:2025-10-07
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こうした感覚は、必ずしも「今の職場が嫌い」というわけではなく、
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無理に変える必要はありませんが、少し気持ちが揺れたときに情報を整理しておくと、
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薬剤師向け転職サービスの比較表
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各サービスの特徴(概要)
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気持ちが揺れるときは、自分を見つめ直すきっかけになります
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それは決して悪いことではなく、自分の今とこれからを整理するための大切なサインになることもあります。
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