【薬局向け】在宅訪問件数をすぐ増やす具体策！個人件数を確実に伸ばす方法とは

近年、在宅医療のニーズはますます高まりを見せており、薬局薬剤師にとっても訪問薬剤管理指導は重要な業務の一つとなっています。

しかし、「訪問件数がなかなか増えない」「何から始めればいいのか分からない」といった悩みを抱える薬剤師も多いのではないでしょうか。

本記事では、すぐに使える実践的な方法をもとに、在宅訪問件数を増やすための具体的なアクションとコツを徹底的に解説します。

地域連携、施設対応、医師との関係構築など、薬局が取り組めることを全て盛り込んだ内容となっていますので、ぜひ最後までご覧ください。

医師との連携はどう深めればいい？

在宅訪問件数を増やすためには、医師との信頼関係構築が最優先です。

特に、在宅診療を積極的に行っている医師（在宅医、地域のかかりつけ医など）と連携を取ることで、安定した紹介を得られる可能性が高まります。

まずは地域の在宅医を把握しよう

最初のステップは、自薬局の半径3km圏内の在宅診療を実施しているクリニックをリストアップすることです。都道府県の在宅医療支援センターや医師会の情報を活用すると効率的です。

訪問して自己紹介＋資料を渡す

クリニックが分かったら、まずは飛び込み訪問でも構いません。自己紹介とともに「訪問薬剤管理指導でできること」「地域連携への取り組み」などを簡潔にまとめた資料を持参しましょう。

• 患者宅での服薬管理・残薬調整ができる
• 緊急時に電話対応・医師への報告が可能
• 多職種連携ツール（例：サ責ノート、モニタリング表）に記録対応可能

医師からの信頼を得るための行動例

一度依頼を受けたら、誠実かつ迅速な対応が最も重要です。

• 報告書は迅速・簡潔に提出（FAXまたは共有クラウド）
• 報告のタイミングは医師の診療後の時間帯を意識
• トラブル時は先に連絡を入れる（独断での処理は避ける）

医師との関係が安定すると何が変わる？

定期的な患者紹介や施設案件の一括依頼がくる可能性が増します。月に5件以上の紹介が続くことも珍しくありません。

ケアマネージャーに紹介してもらうには？

在宅訪問の件数を安定して増やすには、居宅介護支援事業所（ケアマネージャー）との連携が不可欠です。ケアマネは在宅患者の支援プランを作成する中心的存在であり、薬剤師の介入を判断するキーパーソンでもあります。

まずは近隣の居宅介護支援事業所を訪問

薬局の周囲にある居宅介護支援事業所をリストアップし、順番にあいさつ訪問＋資料配布をしていきましょう。できれば担当のケアマネージャーと名刺交換し、顔を覚えてもらうことが大切です。

ケアマネに響く提案とは？

単に「在宅できます」では弱いです。以下のような具体的メリットを伝えましょう：

• 服薬管理が難しい患者を任せられる
• 残薬調整、配薬支援、医師への報告が可能
• 家族やヘルパーとの情報共有を代行できる
• 土日・夜間も柔軟に対応できる体制がある

ケアマネ会議や担当者会議にも積極参加

在宅での支援内容を共有する「担当者会議」には可能な限り出席しましょう。また、地域のケアマネ協会や多職種連携会議にも顔を出すことで、信頼と人脈が広がります。

ケアマネからの紹介が増える薬局の特徴

紹介が多い薬局は、以下のような特徴を持っています：

• 報告がマメでわかりやすい
• 電話対応が丁寧で早い
• トラブルがあってもフォローが確実
• 「できる・できない」が明確で信頼できる

施設対応で訪問件数を一気に増やすには？

短期間で訪問件数を増やしたいなら、介護施設への対応が最も効率的です。1つの施設に複数の入居者がいるため、1回の訪問で数件分の指導が可能になります。

どんな施設が対象になるの？

以下のような施設は訪問薬剤管理指導の対象になりやすく、連携も取りやすいです。

• サービス付き高齢者向け住宅（サ高住）
• 住宅型有料老人ホーム
• 特別養護老人ホーム（特養）
• グループホーム

施設の種類によって医師や看護師の配置状況が異なるため、「施設＋医師＋薬剤師」の三者連携ができるかを確認しましょう。

施設にアプローチするには？

まずは施設の管理者や看護師長に連絡し、訪問可能な体制があることを説明します。以下のような資料を用意するとスムーズです。

• 薬局の在宅サービス紹介パンフレット
• 医師と連携可能なスキーム図
• 過去の実績（対応件数、トラブル対応事例など）

施設対応で得られるメリット

• 1回の訪問で複数件の報酬が得られる
• 定期的な訪問スケジュールが組みやすい
• 緊急時も施設看護師と連携して動ける

施設対応で気をつけるべきポイント

施設では医師・看護師・ケアマネとの連携が複雑になりがちです。以下の点に注意しましょう。

• 誰が指示を出しているか（医師か看護師か）
• 報告のルートとタイミング（FAX、電話、連絡帳など）
• 服薬ミスを防ぐチェック体制の構築

地域包括支援センターとの関係構築は必要？

地域包括支援センター（以下、包括支援）との連携は、在宅訪問を長期的・安定的に増やすために非常に重要です。包括支援は、地域の高齢者支援のハブ機関として、要支援者や未認定の高齢者にも関わる立場にあります。

包括支援はどんな仕事をしているの？

包括支援は、市町村から委託を受けた機関で、以下のような業務を担っています：

• 高齢者の総合相談支援（介護、医療、福祉）
• 要支援者のケアプラン作成（ケアマネ代行）
• 権利擁護（成年後見、虐待防止など）
• 地域ケア会議の運営や多職種連携推進

このため、地域の在宅医療に関わる情報が集中していると言えます。

薬剤師ができることを伝えよう

薬剤師が何をできるかを明確に伝えないと、包括支援の職員からは「薬を持ってくる人」以上に認識されません。

• 認知症高齢者への服薬支援
• 服薬ミスのチェックと是正
• 多剤併用の調整や医師へのフィードバック
• 通院困難な人への在宅管理

実際に担当事例などを交えて説明すると、具体的なイメージが伝わりやすくなります。

地域ケア会議には必ず出よう

包括支援が主催する地域ケア会議や事例検討会は、顔を売る最大のチャンスです。多職種連携の意識が高まっている今、薬剤師の参加は歓迎されます。

包括支援との連携で得られるもの

• 未認定者への支援→新規訪問につながる
• 介護認定前の予備相談に関われる
• 地域の福祉関係者からの紹介が増える

広報・チラシ・Webでのアピールは有効？

在宅訪問の件数を増やすには、薬局の「在宅可能」を地域に広く知らせることもとても大切です。どんなに体制が整っていても、認知されていなければ依頼はきません。

チラシやパンフレットを配布しよう

「在宅訪問対応薬局です」という内容を簡潔にまとめたチラシを作成し、近隣のクリニック・居宅介護支援事業所・包括支援・介護施設に配布しましょう。

チラシに記載する内容の例：

• 対応可能なエリア・曜日・時間帯
• 薬剤師が行えるサービス内容（残薬調整・服薬指導など）
• 夜間・休日対応の有無
• 薬局の連絡先と担当者名

ホームページに在宅ページを設ける

Google検索からの流入も想定し、SEOを意識した在宅専用ページを設けましょう。

• 「〇〇地域 在宅訪問 薬剤師」などの検索キーワードを盛り込む
• 実際の訪問事例を写真付きで紹介する
• 問い合わせフォームや電話番号を目立たせる

ポスティングや地域イベントも活用

地域の集まりや健康フェアなどに出展することで、直接住民にアピールできます。顔の見える薬剤師は、それだけで安心材料になります。

口コミ・紹介を促す工夫も

在宅患者の家族やヘルパーに「他にも困っている方がいたら、ぜひご紹介ください」と伝えることで、自然な口コミが広がります。

既存患者やその家族からの紹介を得るには？

在宅訪問件数を増やすためには、現在対応している患者さんやそのご家族・介護者からの紹介も非常に効果的です。

信頼を得ることが何よりのPR

日々の対応が丁寧で、安心して任せられる薬局であれば、「知り合いにも紹介したい」と自然に思ってもらえます。

• 時間を守った訪問
• 患者・家族への丁寧な説明
• トラブル時の迅速な対応
• 訪問後のフォローアップ

これらを積み重ねることが、何よりの信頼構築になります。

紹介を促す一言を添える

信頼関係ができた患者やご家族には、こんな一言を添えてみましょう：

「もし周りにお困りの方がいらっしゃったら、お気軽にご相談くださいね」

営業色を出しすぎず、自然に伝えることがポイントです。

紹介者に感謝の気持ちを忘れずに

紹介してもらった後は、必ずお礼を伝えるようにしましょう。

• 直接口頭で伝える
• 手紙やメモを添える
• ちょっとしたノベルティを渡す（法的配慮を忘れず）

紹介からの広がりで連鎖が生まれる

紹介された患者さんに誠実に対応することで、そこからさらに紹介が連鎖することもあります。「良い評判が自然に広がる環境づくり」が、訪問件数を着実に伸ばす近道になります。

すぐできるアクションリスト（チェックリスト付き）

ここまで紹介してきた在宅訪問件数を増やす方法を、今日から実践できる行動リストとしてまとめました。チェックしながら1つずつ進めていきましょう！

訪問件数アップのための実践チェックリスト

• □ 地域の在宅医・クリニックをリストアップした
• □ 医師へ資料を持ってあいさつに行った
• □ ケアマネに薬局のサービスを説明した
• □ 居宅支援事業所にチラシを配布した
• □ 施設に対応可能であることを提案した
• □ 包括支援センターへ連絡し訪問のアポイントを取った
• □ 地域ケア会議に参加した
• □ ホームページに在宅ページを作成した
• □ ポスティングや地域イベントに参加した
• □ 既存患者の家族に紹介をお願いした

すべて達成できれば、訪問件数は確実に伸びていきます！

アクションの優先順位をつけよう

すべてを一気にやるのは大変です。以下のように優先順位をつけて、段階的に取り組むのがおすすめです。

1. ① 医師・ケアマネ・包括支援への訪問
2. ② チラシ・パンフレットの作成と配布
3. ③ 施設・地域イベント・Web広報
4. ④ 口コミ・紹介の促進

PDCAを回して効果検証を忘れずに！

実施した後は、「どの行動が件数増加に最も効果があったか」を定期的に見直しましょう。結果を記録し、改善を繰り返すことが成長の近道です。

実際に訪問件数が増えた薬局の具体例3選

ここでは、実際に在宅訪問件数を大幅に増やすことに成功した薬局のリアルな実践例を3つ紹介します。どれもすぐに真似できる工夫が詰まっています！

ケース①：ケアマネ訪問を徹底して1ヶ月で10件増加

東京都のある薬局では、半径2km圏内の居宅介護支援事業所15カ所をリストアップし、2週間かけて1件ずつ訪問しました。

最初は門前の処方が少ない状況でしたが、3件目のケアマネ事務所から新規依頼が入り、そこから口コミで広がり、1ヶ月で10件の新規訪問を獲得しました。

• 訪問時にはパンフレット＋自己紹介＋実績リストを持参
• 「医師が決まっていなくても支援できます」と提案
• 訪問後の報告もFAX＋電話で丁寧に対応

ケース②：サ高住の定期訪問導入で月20件に

大阪府の薬局では、近隣のサービス付き高齢者住宅（サ高住）に連絡を入れ、看護師と面談して対応体制を提案。その結果、入居者15名のうち12名が定期訪問対象となり、月20件超の訪問を獲得しました。

• 配薬カートによる一包化セットも導入
• 服薬チェックシートと連絡帳で施設職員との連携強化
• 定期訪問日を曜日固定化して効率化

ケース③：包括支援経由で高齢者支援事例を紹介される

千葉県の薬局では、地域包括支援センターに「認知症患者の服薬支援できます」とアプローチ。地域ケア会議に出席したところ、独居高齢者で服薬が困難な方の相談があり、そこから月5件の新規依頼につながりました。

• 訪問時に服薬アドヒアランスの評価シートを活用
• 多剤併用の是正を医師に提案し、好印象に
• 地域支援会議でその実績が評価され、紹介が連鎖

まとめ

在宅訪問件数を手っ取り早く、そして継続的に増やすには、医師・ケアマネ・施設・地域支援機関との地道な関係構築が何より重要です。

今回ご紹介した方法をもう一度振り返ってみましょう：

• 医師との信頼関係構築：クリニック訪問・迅速な報告
• ケアマネへのアプローチ：説明・提案・会議参加
• 施設対応：一括訪問で効率的に増加
• 地域包括支援センター：地域連携のハブとして活用
• チラシ・Webなどの広報：地域全体への認知拡大
• 紹介促進：既存患者・家族・多職種からの連鎖
• アクションリスト実践：行動→結果→改善のPDCA

小さな行動の積み重ねが、やがて大きな成果につながります。1件1件の在宅訪問を大切にしながら、薬局全体の信頼とネットワークを広げていきましょう。

選択式クイズでおさらいしよう！

ここまで学んだことを、地域支援体制加算にも配慮した内容でクイズ形式にまとめました。

Q1. 地域支援体制加算を見据えた訪問件数の増加方法として最も効果的なのは？

A. 介護施設で一括訪問を開始する
B. ケアマネージャー経由で個人宅の新規依頼を開拓する
C. 在宅患者のご家族に紹介をお願いする

Q2. ケアマネージャーへのアプローチで最も効果的なのは？

A. 処方日数の長さをアピール
B. ジェネリック在庫量を強調
C. 服薬支援・医師連携・残薬調整の具体例を示す

Q3. 地域包括支援センターとの連携で得られるものは？

A. 調剤報酬の加算請求代行
B. 要支援・未認定高齢者への支援ルート
C. 薬歴の監査支援

Q4. 在宅ページをホームページに作る際に最も大切なSEO対策は？

A. キャッチコピーを派手に
B. 「〇〇市 在宅訪問薬剤師」などの地域キーワードを入れる
C. 人気商品を紹介する記事を毎日更新する

Q5. 在宅患者や家族から紹介を得るために最も重要なことは？

A. 強めの営業トークを入れる
B. 感謝の気持ちを丁寧に伝え、信頼関係を築く
C. お礼の品を贈る

よくある質問

在宅訪問を始めるには何から始めればいいですか？

まずは地域の在宅医やケアマネージャー、包括支援センターなどへのあいさつ回りが基本です。薬局の体制や提供できるサービスを明確にして資料化し、丁寧に説明すると信頼されやすくなります。

地域支援体制加算を取るにはどのくらい訪問件数が必要ですか？

厚労省の通知では、年間40件以上の居宅療養管理指導（在宅患者）実績が求められます。特に個人宅での実施件数が重要視されますので、施設訪問だけでは要件を満たさない場合があります。

施設との連携ってどうやって始めればいい？

近隣のサ高住や有料老人ホームなどに直接連絡を入れ、「薬剤師による定期訪問のご提案ができます」と伝えて面談の機会を設けるのがよいでしょう。実績資料や対応体制を説明できると好印象です。

チラシやWebでの宣伝はどのくらい効果がありますか？

特にホームページにおける「在宅訪問ページ」は重要で、SEO対策を施すことで検索経由の依頼が増える事例も多いです。チラシはクリニックや介護施設への配布が効果的です。

すでに対応している患者さんから紹介を得るには？

まずは誠実な対応と信頼関係の構築が前提です。そのうえで、「もし周りに困っている方がいたらご相談ください」と自然な形で伝えるのがコツです。

参考文献

• 一般社団法人 日本在宅薬学会：在宅薬学・在宅療養支援認定薬剤師について
• 地域支援体制加算の算定要件まとめ【令和6年（2024年）度改定】
• 【2024年度新設】地域支援体制加算の算定要件をわかりやすく解説
• 一般社団法人 日本在宅薬学会：在宅療養支援認定薬剤師制度

 

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