咳と肺炎の関係とは？見逃せない症状と早期発見のコツ
咳と肺炎には密接な関係があります。
この記事では、咳が肺炎の症状として現れるメカニズムや、咳の種類から肺炎を見分けるポイント、注意すべき咳の特徴などについて詳しく解説します。
咳はなぜ起こるの？
咳（せき）は、気道に侵入した異物や分泌物を体外に排出しようとする防御反応です。
肺炎をはじめとする呼吸器感染症では、気道が炎症を起こし、痰や分泌物が増加します。
これが刺激となって咳が引き起こされます。
肺炎による咳の特徴は？
肺炎による咳は、通常「湿性咳嗽（しっせいがいそう）」、つまり痰を伴う咳が多いです。
これは肺の中で炎症が起こり、分泌物（痰）が増えるためです。
ただし、高齢者では痰が出ない「乾性咳嗽（かんせいがいそう）」のこともあります。
また、咳のほかに以下のような症状が同時にみられる場合は肺炎の可能性が高まります：
- 発熱（38度以上）
- 倦怠感
- 呼吸困難
- 胸の痛み（胸膜炎性胸痛）
- 高齢者では意識障害や食欲低下も
肺炎と風邪の咳の違いは？
風邪の咳は比較的軽く、数日〜1週間で徐々に改善するのが一般的です。
一方で、肺炎では咳が長引いたり、日に日に悪化したりすることが多く、発熱や呼吸困難を伴います。
また、風邪ではあまり見られない「黄色や緑色の痰」が出ることもあります。
咳が続くときの受診目安は？
以下のような場合は肺炎の可能性を考えて早めの受診をおすすめします：
- 咳が1週間以上続く
- 息苦しさを感じる
- 痰が濃い色（黄色・緑・血が混じる）
- 高熱や寒気を伴う
咳の種類とメカニズムをさらに詳しく解説！
咳はその特徴から大きく「乾性咳嗽（ドライ・カフ）」と「湿性咳嗽（プロダクティブ・カフ）」の2つに分類されます。
| 咳のタイプ | 特徴 | 関連疾患 |
|---|---|---|
| 乾性咳嗽 | 痰を伴わず、コンコンとした咳 | ウイルス性肺炎、マイコプラズマ肺炎、百日咳など |
| 湿性咳嗽 | 痰を伴う、ゴホゴホとした咳 | 細菌性肺炎、気管支炎、COPDなど |
肺炎の初期には乾性咳嗽がみられ、病状の進行とともに湿性咳嗽へと移行することもあります。
咳の性質の変化は、病状の推移を把握するうえで重要な情報となります。
肺炎の種類とそれぞれの咳の特徴は？
肺炎と一口に言っても、原因や病原体によって分類され、それぞれ咳の出方にも違いがあります。
| 肺炎の種類 | 原因 | 咳の特徴 |
|---|---|---|
| 市中肺炎（CAP） | 肺炎球菌、インフルエンザ菌など | 痰を伴う湿性咳嗽が主体 |
| 非定型肺炎 | マイコプラズマ、クラミジア | 乾いた咳、発熱は比較的緩やか |
| 誤嚥性肺炎 | 嚥下障害による細菌の侵入 | 湿性咳嗽＋食後・横になると悪化 |
| 院内肺炎 | MRSA、緑膿菌など耐性菌 | 粘り気のある痰を伴う重度の咳 |
薬剤師が知っておきたい処方チェックポイント
調剤現場で咳止めや去痰薬が処方される際、背景疾患を推測することが大切です。たとえば…
- アスベリン®（チペピジン）：乾性咳嗽向け
- ムコダイン®（カルボシステイン）：痰を出しやすくする去痰薬
- クラリス®（クラリスロマイシン）：マイコプラズマ肺炎でよく使用
また、高齢者ではACE阻害薬による乾性咳嗽（いわゆる「空咳」）もあり、誤診に注意が必要です。
まとめ
咳は肺炎の重要なサインの一つです。
咳の性質や持続期間、他の症状とあわせて早めに受診することで重症化を防げます。
特に高齢者や持病がある人は、肺炎が重症化しやすいため要注意です。日常的に体調を観察し、気になる症状があれば医師に相談しましょう。
よくある質問/Q&A
-
Q. 咳が出るだけでも肺炎の可能性はありますか？
- A.はい、特に高齢者や免疫力が低下している方では咳のみが唯一の症状という場合もあります。
-
Q. 肺炎かどうかはどうやって診断するの？
- A.聴診や血液検査、胸部レントゲン撮影、CT検査などを行って診断されます。
-
Q. 市販薬で咳を止めても大丈夫？
- A.原因が肺炎であれば市販薬での対処は不十分です。咳が長引く場合は医療機関を受診してください。
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