

薬局やクリニックなどで毎月提出するレセプト(診療報酬明細書)。
その中で厄介なのが「返戻」と「査定」です。
どちらも支払いに関わる重要なプロセスですが、その違いや対応方法を正確に理解していないと、報酬の支払い遅延や減額につながってしまいます。
この記事では、「返戻」と「査定」の違いを明確にし、それぞれの原因・対応策・防止策をわかりやすく解説します。
特に薬局薬剤師や医療事務の方々に役立つ実践的な内容を、事例も交えて丁寧にまとめています。
読み終える頃には、レセプト業務の精度を高める具体的な対策が頭に入るはず!
ぜひ最後までご覧ください。
返戻とは?
返戻(へんれい)とは、薬局や医療機関が保険者へ提出したレセプト(診療報酬明細書)に不備や確認が必要な点がある場合、審査支払機関(社会保険診療報酬支払基金または国民健康保険団体連合会)が、そのレセプトを審査せずに差し戻す処理のことです。
レセプトが返戻されると、そのままでは診療報酬の支払いが行われず、不備を修正した上で再提出(再請求)する必要があります。
返戻の主な原因
- 保険証情報の不一致(記号・番号・枝番の誤り)
- 患者情報の記載ミス(氏名、生年月日など)
- 病名の記載漏れ・誤記
- 病名と処方・施術内容の不整合
- 適応疾患の記載不足(特定薬剤の処方時など)
- 添付書類の不足(公費負担医療の受給者証など)
返戻の通知と対応方法
返戻された際は、「返戻内訳書」や「返戻通知書」が同封されて届きます。
内容を確認し、該当するレセプトを修正・追記し、速やかに再請求します。
再提出の期限は原則として診療が行われた月から2年間以内であれば可能ですが、なるべく早く対応することが大切です。
返戻を防ぐために
- 保険証情報を正確に入力(毎月確認)
- 病名と処方内容の整合性をチェック
- 適応病名の記載漏れに注意
- レセコン・電子カルテのマスターを最新化
- コメント欄に補足情報を記載(審査員へのアピール)
返戻は単なる記載ミスだけでなく、「確認が必要」と判断されたものも含まれるため、レセプト内容の精査と事前確認が非常に重要です。

査定とは?
査定とは、薬局や医療機関が提出したレセプト(診療報酬明細書)のうち、一部または全部の診療報酬が「医学的・制度的に妥当でない」と判断され、減額や不支給とされる処理のことです。
査定された項目はそのままでは再請求できず、原則として減額された状態での支払いとなります。
査定の主な原因
- 医学的適応外(疾患に対して不適切な検査や投薬)
- 用量・用法違反(添付文書の上限を超える用量など)
- 重複算定(同一月内に他医療機関と同じ処方内容など)
- 頻回投与(同じ薬剤の短期間での繰り返し処方)
- レセプトの記載不備(算定要件を満たす記載がない)
- 通知違反(診療報酬改定に伴う新ルールへの未対応)
査定の通知方法と確認方法
査定が発生した場合、支払基金や国保連から「増減点連絡書」という書類で通知されます。
そこには、どの点数がどれだけ減額されたか、査定理由を示すアルファベットコードが記載されています。
例:B=診療内容に対する医学的評価の結果、D=診療報酬点数表上の規定違反など
査定と返戻の違い
項目 | 査定 | 返戻 |
---|---|---|
意味 | 点数が減額・不認定 | 内容不備で差し戻し |
再請求 | 原則不可(再審査請求は可能) | 修正後の再提出が可能 |
支払い | 査定後の点数で支払い | 再提出後に認定されれば支払い |
査定への対応と対策
- 増減点連絡書を確認し、査定理由を把握
- 再審査請求(納得がいかない場合、理由を添えて申請)
- 医学的根拠をコメント欄に記載(審査員の判断材料を明示)
- 過去の査定事例を蓄積し、対策マニュアルを作成
査定は医療費の「削減」の観点も強く、医学的根拠が不明瞭だと判断されやすいため、レセプト記載には一層の注意が必要です。

査定理由とアルファベットコードとは?
レセプトが査定されると、審査支払機関から送付される「増減点連絡書」に査定理由がアルファベットのコード(A〜K)で記載されます。
主な査定理由コード(A〜D)
- A:医学的に適応と認められないもの
(例:病名漏れ、適応外使用) - B:医学的に過剰・重複と認められるもの
(例:薬剤の過剰処方、検査の頻回) - C:A・B以外の医学的理由で適当でないもの
(例:禁忌・用法外、審査者の裁量による判断) - D:告示・通知の算定要件に合致しないもの
(例:要件未達、頻度・期間のルール違反)
その他の査定コード(事務・計算に関するもの)
- F:固定点数が誤っている
- G:請求点数の集計が誤っている
- H:縦計(合計)計算が誤っている
- J:縦覧点検による査定
(他月との重複、退院後の特定疾患など) - Y:横覧点検による査定
(入院分・入院外分の照合など) - K:その他
査定コードの意味と対応方法
コード | 意味 | 対応方針 |
---|---|---|
A | 医学的適応外(例:病名抜け) | 病名の追加・根拠コメントを記載し再審査請求 |
B | 過剰・重複(例:薬剤・検査頻度) | 適正化の上、再審査請求 |
C | 医学的理由の不適当(裁量) | 詳細コメント添付で補足し再審査請求 |
D | 要件不一致(告示・通知違反) | 要件確認・補足記載し再審査請求 |
F〜H | 事務・計算ミス | 請求データを修正し再審査請求 |
J/Y | 縦覧・横覧チェックによる減点 | 他月との整合性確認・要件見直し |
K | その他 | 連絡書本文の理由を確認し対応 |

返戻と査定、それぞれの請求方法とは?
返戻された場合の再請求方法
返戻とは「審査不能で差し戻された状態」なので、内容を修正・追記すれば再提出が可能です。
- 返戻通知(返戻内訳書)を確認
どの項目が返戻されたか、記載内容に不備がないかを確認します。 - レセプトの内容を修正・補足
保険証情報の訂正、病名の追加、コメント記載など必要な修正を行います。 - 電子レセプトなら再送信、紙なら再提出
提出月の翌月以降でも、診療月から2年間以内であれば再請求可能です。
査定された場合の再審査請求方法
査定は「点数が減額・不認定された状態」であり、原則再請求はできませんが、正当な理由があれば再審査請求が可能です。
- 「増減点連絡書」を確認
対象点数とアルファベットコード(査定理由)をチェックします。 - 査定理由に対して根拠を整理
添付文書、ガイドライン、カルテ記載、コメント等を準備します。 - 所定の様式に沿って再審査請求書を作成
各保険者や支払基金のWebサイトにフォーマットがあります。 - 提出先へ郵送またはオンライン提出
原則、査定通知を受けた月の翌月末までに請求します。
請求時の注意点
- 期限厳守:再請求も再審査請求も提出期限を過ぎると無効になるので注意。
- 添付資料の有無:特に再審査請求では、カルテ・文献・通知・コメントなど根拠資料が重要です。
- コメント欄の活用:再発防止にもなるため、今後の査定を避ける対策にも繋がります。

縦覧と突合とは?
レセプト審査において、支払基金や国保連合会では「縦覧」と「突合」というチェック手法を用いて、医療費の重複請求や不適切な請求を見つける仕組みがあります。
縦覧(じゅうらん)とは?
「同一患者・同一医療機関」における複数月のレセプトを時系列で確認し、過去の診療内容との整合性を確認する方法です。
- 目的:過去の病名や処方履歴と現在の請求内容に矛盾がないか確認
- 例:先月退院して在宅に切り替わったのに、今月も入院料が算定されている
突合(とつごう)とは?
「同一患者」に対する異なる医療機関の請求を横断的に照合する方法です。
- 目的:同じ検査や薬剤が同じ月に別の機関から重複請求されていないか確認
- 例:同じ月に2つの薬局で同一薬剤が処方されていた
縦覧・突合による査定例
- 縦覧での査定例:退院後も入院料が算定されていた → Jコードで査定
- 突合での査定例:他院と同じ薬剤が同一月に処方されていた → Yコードで査定
縦覧と突合の違い(比較表)
項目 | 縦覧 | 突合 |
---|---|---|
対象 | 同一医療機関内の時系列レセプト | 複数医療機関間の同月レセプト |
目的 | 継続性・整合性の確認 | 重複請求の発見 |
査定コード | J | Y |
主な例 | 退院後も入院料を算定 | 複数薬局での同一薬剤処方 |
縦覧=「時系列チェック」
突合=「横断的チェック」
と覚えておくと、審査ロジックの理解が深まります。

返戻(返礼)の具体事例
- 事例①:用法記載ミスによる返戻
アマリール3mg錠で「朝1日1回朝食後」と入力。添付文書では「朝または朝夕、食前または食後」であり、服用時点の記載が不明と判断され、返戻に。
→ 「朝食後」または「朝」だけで統一し、再請求可能 - 事例②:自家製剤加算の不備(粉砕の根拠不足)
アロチノン錠を粉砕したとして嚥下困難者用加算を請求。ただし処方全体から「嚥下困難」の根拠が不明として返戻。
→ カルテや医師指示書など「粉砕を必要とする理由」を追記し再請求
査定の具体事例
- 事例①:用量超過や適応外による査定(コードA/B)
アムロジン錠、ジャヌビア錠、アマリールで複数処方。アマリールの服用時点が不明確と判断され、調剤料が査定に。
→ 増減点連絡書のA/B理由に対し、「服用時点は○○」「○○ガイドラインに基づく処方」とコメント記載し再審査請求 - 事例②:縦覧・横覧チェックによる査定(コードJ/Y)
就寝直前・就寝前と服用時点が別の薬剤でも、薬剤調製料・管理料は「食前」「食後」「食間」の3区分で算定。混在と判断され査定に。
→ 増減点連絡書(J/Yコード)に対し、「服用時点は同一食前扱いで二重算定に該当しない」旨を記載して再審査請求
再請求・再審査請求の対応フロー
- 返戻時の対応
- 返戻通知を確認し、具体的なミス要因を把握
- 処方内容・コメント等を修正して、再提出(診療月から2年以内)
- 査定時の対応
- 増減点連絡書で査定コード(A/B/J/Y等)と内容を確認
- カルテ・添付文書・ガイドラインなど根拠資料を整理
- 「再審査請求書」に記載し、査定通知とともに郵送またはオンライン提出(原則6ヶ月以内)
- 再審査後、結果が「原審通り」「一部復活」「完全復活」のいずれかで返答される

まとめ
レセプト業務において、「返戻」と「査定」は非常に重要なチェックポイントです。
- 返戻:記載不備などで一旦差し戻される。修正すれば再請求可能。
- 査定:不適切と判断され、減額される(再請求は原則不可)。ただし再審査請求は可能。
- どちらも正確な記載・添付・コメント記入が防止策
- 期限管理が重要:返戻は2年以内、査定の再審査請求は通常6ヶ月以内
これらを正しく理解し、日常の業務に活かすことで、調剤報酬の確実な確保と業務効率の向上が実現できます。


レセプト業務クイズで理解度チェック!
Q1. レセプトの「返戻」とは何を指す?
① 点数を一部減額されること
② 内容に不備があり審査されずに戻されること
③ 保険者から診療報酬が支払われること
答え:②
記載ミスや確認不能な内容があると、審査支払機関から差し戻されます(再請求が可能)。
Q2. 査定された場合、再請求は可能?
① はい、いつでも再請求できる
② 原則できないが、再審査請求は可能
③ 返戻と同じ扱いで再提出できる
答え:②
査定は原則再請求不可ですが、理由があれば支払基金や国保連へ再審査請求できます。
Q3. 「縦覧」は何をチェックする仕組み?
① 同一月における複数施設の請求内容
② 他人のレセプトとの比較
③ 同一患者・同一医療機関での過去との整合性
答え:③
縦覧は「時系列での継続性確認」、突合は「他院との照合」です。
よくある質問
Q1. 返戻と査定の違いは何ですか?
A1. 返戻は審査ができずに差し戻される処理で、修正して再請求が可能です。査定は医学的・制度的に不適切と判断され、点数が減額される処理で、再請求はできませんが再審査請求は可能です。
Q2. 再審査請求は誰でもできますか?
A2. はい、医療機関・薬局側が査定理由に納得できない場合、一定の根拠資料を添えて支払基金や国保連合会に対して請求できます。
Q3. コメント欄の記載って意味ありますか?
A3. 大いにあります!コメントを丁寧に記載することで、審査者の誤解を防ぎ、査定や返戻のリスクを下げる効果が期待できます。
Q4. 再請求はどれくらいの期限まで可能ですか?
A4. 診療月から2年間が原則です。返戻に気づいたら、早めに対応しましょう。
参考文献

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