

結論:薬局で「10割負担」の患者さんが来たときは、まず療養費なのか、特別療養費なのかを分けて考える必要があります。
- マイナ保険証・資格確認書を持参できず、やむを得ず10割払った → 原則療養費
- 国保料を原則1年以上滞納し、保険者から特別療養費の対象とされた → 特別療養費
- 特別療養費の対象者は、窓口でいったん医療費を全額負担し、後日保険者へ申請する
- オンライン資格確認では区分として「特別療養費支給対象者」が確認できる
- 18歳到達後最初の3月31日までの子ども等は、国保の特別療養費の対象から除外される
- 災害・病気・事業休廃止など「特別の事情」がある場合は、機械的に対象としない取扱いがある

- 特別療養費とは?まず「療養費」との違いを理解しよう
- 国保ではいつ特別療養費の対象になる?
- 2026年は「資格証明書」ではなくオンライン資格確認・資格確認書で見る
- オンライン資格確認ではどう表示される?
- 薬局ではどう対応する?受付から会計まで5ステップ
- 患者さんへの説明はどうする?窓口トーク例
- 特別療養費はいくら戻る?
- 1年6か月以上の滞納では「給付の差止め」もある
- 医療費の10割を一時払いできない患者はどうなる?
- 子どもも特別療養費の10割負担になる?
- 災害・病気・事業休廃止などで払えない場合は?
- 「マイナ保険証を忘れた」だけなら特別療養費ではない
- カードリーダーが故障したら10割にする?
- 具体例1|オンライン資格確認で「特別療養費支給対象者」と表示
- 具体例2|転職直後で資格確認書がまだ届いていない
- 具体例3|国保料を滞納しているが資格確認は「一般」
- 具体例4|10割を払えないと相談された
- 2026年の資格確認はここまで変わった
- 特別療養費の申請はどう進む?
- 普通の「療養費」の申請とは何が違う?
- 「滞納している」と言われたら薬局はどうする?
- 「資格確認書に特別療養費と書いてある」場合
- 後期高齢者医療でも特別療養費はある?
- 薬局での領収書・明細書はなぜ重要?
- 具体例5|マイナ保険証のカードリーダーだけ故障した
- 具体例6|古い健康保険証を持参した
- 具体例7|一度10割を払ったあと「一般」に戻った
- 薬局でやってはいけない対応
- 薬局用チェックリスト
- よくある質問
- まとめ|薬局では「10割になった理由」を最初に確認する
- 参考文献・一次情報
特別療養費とは?まず「療養費」との違いを理解しよう
特別療養費は、国民健康保険法第54条の3などに基づく給付です。2026年の国保実務では、保険料を長期間滞納し、納付勧奨や納付相談を行ってもなお納付せず、災害等の特別な事情もない場合に、通常の「療養の給付」に代えて特別療養費を支給する仕組みがあります。
患者さんの国保資格そのものが消えているわけではありません。ただし通常の3割負担等で受診・調剤するのではなく、いったん10割を支払い、後から申請して保険給付相当分の支給を受ける「償還払い」になります。
一方で、資格は有効なのに「マイナ保険証を紛失した」「資格確認書がまだ届いていない」「旅行先で資格確認できず10割払った」といったケースは、通常は療養費(立替払い)です。
| 比較 | 療養費 | 特別療養費 |
|---|---|---|
| 代表例 | 資格確認できず、やむを得ず10割払った | 国保料の長期滞納などにより特別療養費対象となった |
| 保険資格 | 有効 | 有効 |
| 窓口 | 一時的に10割となることがある | 原則10割を支払う |
| 後日の給付 | 療養費として申請 | 特別療養費として申請 |
| 薬局の確認 | 資格確認方法をまず尽くす | オンライン資格確認等で対象区分を確認 |
国保ではいつ特別療養費の対象になる?
厚生労働省は、国民健康保険料(税)の滞納者について、納期限から原則1年が経過するまでの間に納付勧奨・納付相談等を行っても納付されず、特別な事情もない場合に特別療養費の支給対象となる取扱いを示しています。
ただし、「1年滞納した瞬間に自動的に10割負担になる」という意味ではありません。保険者は特別の事情の有無を確認し、弁明の機会を設け、特別療養費となる旨を事前に通知する流れです。
大まかな流れ
- 国保料の滞納が発生
- 保険者が納付勧奨・電話・訪問・納付相談等を実施
- 災害・病気・事業休廃止等の「特別の事情」を確認
- 弁明の機会を付与
- 対象と判断された場合、特別療養費となる旨を事前通知
- マイナ保険証の資格情報を変更、または「特別療養費対象」である旨を記載した資格確認書を交付
- 医療機関・薬局ではいったん10割負担
- 患者が保険者へ特別療養費を申請
2026年は「資格証明書」ではなくオンライン資格確認・資格確認書で見る
以前は、長期滞納者に対して「被保険者資格証明書」を交付する運用が知られていました。しかし、マイナ保険証を基本とする仕組みへの移行に伴い、国保の資格証明書の仕組みは廃止されています。
現在は、特別療養費の対象者について、オンライン資格確認の加入者情報に「特別療養費支給対象者」という区分が登録されます。資格確認書を使用する人には、特別療養費の対象である旨が記載された資格確認書が交付される仕組みです。
昔の記事にある「資格証明書を持ってきたら10割」という説明を、そのまま現在の窓口運用へ当てはめないようにしましょう。薬局ではオンライン資格確認結果または現在有効な資格確認書を確認します。
オンライン資格確認ではどう表示される?
オンライン資格確認の資格情報では、2024年12月2日以降、区分として「一般」「特別療養費支給対象者」「自衛官」「医療扶助」などが表示される仕様です。
薬局で「特別療養費支給対象者」と確認できた場合、その患者は通常の現物給付ではなく、特別療養費の償還払い対象として登録されていることを意味します。
薬局ではどう対応する?受付から会計まで5ステップ
STEP1|まず通常どおり資格確認する
患者さんがマイナ保険証を持っている場合はオンライン資格確認を行います。マイナ保険証を使用しない場合は資格確認書を確認します。
単にカードリーダーが読めない場合は、すぐ「10割・特別療養費」と決めるのではなく、厚労省が示す代替的な資格確認方法を検討します。
STEP2|「一般」か「特別療養費支給対象者」かを見る
資格確認結果が「一般」であれば、通常の保険調剤として取り扱います。「特別療養費支給対象者」であれば、特別療養費の償還払い対象として対応します。
STEP3|処方箋を通常どおり監査する
特別療養費の対象であっても、国保資格がなくなったわけではありません。処方箋の内容を通常どおり監査し、必要な疑義照会・服薬指導を行います。
STEP4|窓口では原則10割を受け取る
特別療養費の対象者は、療養の給付に代えて償還払いとなるため、薬局窓口では調剤に要した費用をいったん全額支払うことになります。
患者さんが後日申請できるよう、領収書や調剤内容が確認できる明細を適切に交付します。必要書類は保険者によって異なるため、「この書類だけで必ず申請できる」と断定せず、市町村・国保組合へ確認するよう案内します。
STEP5|薬局内に対応記録を残す
- 資格確認日
- 「特別療養費支給対象者」であることを確認した方法
- 10割負担で会計した旨
- 患者へ説明した内容
- 交付した領収書・明細等
患者さんへの説明はどうする?窓口トーク例
「オンライン資格確認では、現在『特別療養費の支給対象』という資格情報になっています。そのため、今日は薬局でいったん全額をお支払いいただく扱いになります。後日、加入している市区町村の国保窓口へ申請して、保険給付分の支給を受ける仕組みです。申請方法は自治体によって異なるため、この領収書と明細を保管して国保窓口へご確認ください。」
「滞納しているからです」と窓口で断定する必要はありません。資格情報として確認できる事実と必要な手続きだけを丁寧に説明します。
特別療養費はいくら戻る?
特別療養費の対象となる療養については、通常の保険給付相当分が支給対象になります。たとえば通常3割負担の患者であれば、保険診療として認められる費用について7割相当が基本的な支給額です。
ただし、実際の支給額は年齢・所得・給付割合等で異なり、保険給付対象外の費用は含まれません。
| 例:保険診療相当額10,000円 | 金額 |
|---|---|
| 薬局窓口で一旦支払う額 | 10,000円 |
| 通常の自己負担が3割の場合 | 3,000円 |
| 特別療養費として支給される基本的な額 | 7,000円相当 |
1年6か月以上の滞納では「給付の差止め」もある
国保料の滞納がさらに長期化し、納期限から原則1年6か月が経過するまでの間に納付されず、特別な事情もない場合には、保険給付の全部または一部が一時差し止めとなることがあります。
そのため、「10割払えば必ずすぐ7割が戻ってくる」と患者さんへ断定するのは避けましょう。申請・支給状況は本人と保険者との納付状況等によって異なります。
医療費の10割を一時払いできない患者はどうなる?
厚生労働省は2025年10月の事務連絡で、特別療養費対象者から「医療費の一時払いが困難」と申し出があった場合、市町村の判断により、通常より有効期限の短い、特別療養費の記載がない資格確認書を交付するなどして、特別療養費ではなく療養の給付を行うことができる旨を周知しています。
薬局で「10割は払えない」と相談された場合、薬局だけで制度適用を変更せず、市区町村の国保窓口へ早めに相談するよう案内します。
子どもも特別療養費の10割負担になる?
国民健康保険法では、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある人は、特別療養費の対象者から除外されています。
世帯主が国保料を滞納していても、子どもまで機械的に特別療養費の対象として10割負担にする制度ではありません。
災害・病気・事業休廃止などで払えない場合は?
政令では、特別の事情として次のような事情が定められています。
- 財産が災害を受けた、または盗難に遭った
- 世帯主や生計を一にする親族が病気・負傷した
- 事業を廃止・休止した
- 事業で著しい損失を受けた
- これらに類する事情がある
該当する可能性がある場合は、患者さん自身が保険者へ事情を届け出て相談することが重要です。
「マイナ保険証を忘れた」だけなら特別療養費ではない
ここがこの記事で最も大切なポイントです。
協会けんぽでは、マイナ保険証等を利用できず、やむを得ない理由で医療費を全額自己負担した場合、申請により療養費として払い戻す取扱いを案内しています。
- マイナンバーカードを紛失した
- 資格確認書がまだ届いていない
- 旅行先で資格確認書・マイナ保険証を持参していなかった
- 資格取得手続き直後で資格情報を確認できなかった
これらを一律に「特別療養費」と説明するのは誤りです。
カードリーダーが故障したら10割にする?
カードリーダーやネットワーク障害でオンライン資格確認ができない場合も、すぐ10割負担とするとは限りません。
厚生労働省は、マイナ保険証による受付ができない場合の資格確認方法として、マイナンバーカードとマイナポータルの資格情報画面等を組み合わせる方法など、代替手段を示しています。
薬局都合のシステム障害まで「特別療養費」として処理しないよう注意しましょう。
具体例1|オンライン資格確認で「特別療養費支給対象者」と表示
状況:患者がマイナ保険証で受付。オンライン資格確認結果の区分が「特別療養費支給対象者」と表示された。
- 資格情報を確認
- 処方箋を通常どおり監査
- 調剤・服薬指導を実施
- 薬局窓口では10割相当額を受領
- 領収書・明細を交付
- 後日、国保窓口へ特別療養費を申請する制度であることを説明
ポイント:このケースは「資格がない」のではなく、特別療養費による償還払いの対象です。
具体例2|転職直後で資格確認書がまだ届いていない
状況:会社へ入社済みで健康保険の資格取得手続き中。マイナ保険証でも資格がまだ反映されず、資格確認書も届いていない。
判断:これは通常、国保料滞納による特別療養費とは別です。やむを得ず10割を支払った場合は、加入先の健康保険へ療養費を申請する形が基本です。
具体例3|国保料を滞納しているが資格確認は「一般」
状況:患者本人から「国保料を滞納している」と申告があったが、オンライン資格確認では「一般」と表示された。
対応:患者の自己申告だけを理由に薬局が勝手に特別療養費扱いへ変更しません。確認できた有効な資格情報に基づいて対応します。
具体例4|10割を払えないと相談された
状況:オンライン資格確認で特別療養費支給対象者。処方薬の費用が高額で「全額を用意できない」と相談された。
対応:薬局の判断で3割会計へ変更することは避け、市町村国保の窓口へ相談するよう案内します。一時払いが困難な場合に、保険者判断で通常の療養の給付へ切り替えられる取扱いがあります。
2026年の資格確認はここまで変わった
2026年9月現在、従来の健康保険証による受診は終了しています。厚生労働省は、従来の健康保険証の有効期限は2025年12月1日で終了し、有効期限切れの旧保険証を持参した場合に柔軟に取り扱う経過対応も2026年7月31日で終了したと案内しています。
そのため薬局窓口では、原則として次のいずれかで資格確認します。
- マイナ保険証
- 資格確認書
- マイナ保険証が読み取れない場合の代替確認
カードリーダーが使えない場合の代替確認
厚労省は、停電・機器故障・ネットワーク障害・ICチップ破損などでマイナ保険証の受付ができない場合、次の方法を示しています。
- マイナンバーカード+マイナポータルの資格情報画面
- マイナンバーカード+紙の「資格情報のお知らせ」
- それらも用意できない場合の被保険者資格申立書
「資格情報のお知らせ」は単体では受診に使えません。マイナンバーカードとセットで用います。
オンライン資格確認が一時的にできないことと、「特別療養費支給対象者」であることは全く別です。
システムエラー=10割・特別療養費と処理しないようにしましょう。
特別療養費の申請はどう進む?
特別療養費は、薬局が患者に代わって通常のレセプト請求を行う制度ではなく、患者側が加入する市区町村国保・国保組合等へ申請する償還払いが基本です。
患者側の一般的な流れ
- 医療機関・薬局で10割を支払う
- 領収書・明細等を保管する
- 加入先の国保窓口で特別療養費の申請方法を確認する
- 必要書類を提出する
- 保険者が内容を審査する
- 支給対象となる保険給付分について支給を受ける
国民健康保険法施行規則では、特別療養費の申請について、療養を受けた人、医療機関等、傷病名、療養期間、費用額などを記載した申請書を提出し、療養に要した費用を証する書類を添付する仕組みが定められています。
薬局で渡しておきたいもの
- 領収書
- 調剤内容が分かる明細書
- 必要に応じて薬局名・所在地・調剤日が確認できる書類
ただし、自治体によって申請書式や追加書類が異なるため、薬局が「これで必ず申請できます」と断言するのではなく、加入先保険者へ確認してくださいと案内します。
普通の「療養費」の申請とは何が違う?
資格確認書が届いていない、マイナ保険証を紛失したなど、患者に保険資格はあるものの、やむを得ず10割を支払った場合は通常の療養費を申請します。
協会けんぽでは、療養費の立替払いについて、診療報酬明細書等を基に保険診療相当額を計算し、加入者が本来負担すべき額を差し引いた金額を支給するとしています。
| 薬局窓口での状況 | 考える制度 |
|---|---|
| マイナ保険証を忘れた・紛失した | 療養費 |
| 資格確認書がまだ届いていない | 療養費 |
| 旅行中で資格確認できず10割払った | 療養費 |
| 資格確認結果が「特別療養費支給対象者」 | 特別療養費 |
「滞納している」と言われたら薬局はどうする?
患者さんから「国保料を払えていません」と自己申告があっても、その言葉だけで10割負担に切り替えるべきではありません。
特別療養費の対象になるには、保険者による納付勧奨、特別な事情の確認、弁明の機会、事前通知、資格情報の変更などの手続きを経ます。
薬局が見るのは、患者の申告ではなく、現在の有効な資格情報です。
具体例
患者:「半年くらい国保料を払えていない」と申告。
オンライン資格確認:区分「一般」、資格有効。
薬局対応:通常の保険調剤として取り扱います。薬局が独自に「滞納しているから10割」と判断しません。
「資格確認書に特別療養費と書いてある」場合
マイナ保険証を使用しない人には資格確認書が交付されます。特別療養費の対象者で資格確認書が交付される場合、現在の制度では特別療養費の支給対象である旨が記載された資格確認書となります。
この場合も、薬局では患者に「保険資格がない」と説明するのではなく、資格はあるが、給付方法が償還払いへ変更されていると理解するのが適切です。
後期高齢者医療でも特別療養費はある?
後期高齢者医療制度にも特別療養費の仕組みはあります。ただし、厚労省は、高齢者が必要な医療を受ける機会を損なわないよう、保険料を支払う十分な収入等があるのに納付しない悪質な場合で、特別療養費としても必要な医療を受ける機会が損なわれないと認められる場合に限るべきとしています。
高齢患者で「特別療養費」の表示を確認した場合も、薬局独自の判断で扱いを変えず、資格確認結果と広域連合の案内に従います。
薬局での領収書・明細書はなぜ重要?
患者が後日、特別療養費または療養費を申請するとき、実際に医療費を支払ったことを証明する書類が必要になります。
薬局では、10割負担で会計した際の領収書・明細を正しく発行し、患者には「申請が終わるまで捨てずに保管してください」と案内すると親切です。
患者への一言
「今回の領収書と明細は、後で国保へ申請するときに必要になる可能性があります。申請が終わるまでは保管しておいてください。」
具体例5|マイナ保険証のカードリーダーだけ故障した
状況:薬局側のカードリーダーが故障。患者はマイナンバーカードを持参している。
誤った対応:「資格確認できないので10割です。特別療養費を申請してください」と案内する。
適切な考え方:マイナポータルの資格情報画面、マイナンバーカード+資格情報のお知らせ、必要時の被保険者資格申立書など、厚労省が示す代替確認方法を検討します。
根拠:機器故障やネットワーク不具合は、患者が特別療養費支給対象になったことを意味しません。
具体例6|古い健康保険証を持参した
状況:患者が従来の健康保険証だけを持参。
2026年9月現在、従来の健康保険証の有効期限は終了しており、期限切れに気付かず持参した場合の経過的な取扱いも2026年7月31日で終了しています。
そのため、旧保険証だけで通常の資格確認を完了した扱いにはせず、マイナ保険証・資格確認書・代替確認方法へ切り替えます。
具体例7|一度10割を払ったあと「一般」に戻った
状況:特別療養費支給対象者として10割を支払ったが、その後、滞納額の著しい減少や特別の事情が認められ、通常の資格に戻った。
国民健康保険法では、保険料を完納した場合だけでなく、滞納額の著しい減少や災害等の特別の事情が認められた場合にも、通常の療養の給付へ戻る仕組みがあります。
薬局では過去のメモだけを見て「この人は10割」と固定せず、来局ごとに現在の資格情報を確認することが重要です。
薬局でやってはいけない対応
- 「保険証を忘れた=特別療養費」と説明する
- 「保険料滞納=必ず10割」と患者の申告だけで決める
- 「10割払えば必ず7割戻る」と断言する
- 古い「資格証明書」運用だけを前提にする
- オンライン資格確認障害時に代替確認をせず機械的に10割にする
- 支給申請を薬局が代理で確約する
薬局用チェックリスト
- □ マイナ保険証または資格確認書で資格確認した
- □ オンライン資格確認の「区分」を確認した
- □ 特別療養費支給対象者か、単なる資格確認不能かを区別した
- □ システム障害時は代替の資格確認方法を検討した
- □ 特別療養費対象の場合は10割会計の理由を説明した
- □ 領収書・明細を適切に交付した
- □ 「必ず○割戻る」と断言していない
- □ 一時払い困難の場合は市区町村国保へ相談するよう案内した
- □ 薬局内に対応記録を残した
よくある質問
Q.特別療養費は「保険証を持っていない人」の制度ですか?
いいえ。単にマイナ保険証や資格確認書を提示できず10割を支払った場合は、一般に「療養費」の対象を検討します。本記事で扱う国保の特別療養費は、主に長期の保険料滞納等により保険者から対象とされた人の制度です。
Q.特別療養費対象者は無保険ですか?
無保険という意味ではありません。国保資格はありますが、通常の療養の給付ではなく、いったん全額を支払って後から申請する償還払いの仕組みになります。
Q.特別療養費になったら子どもも10割ですか?
国保では、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある人は特別療養費の対象から除外されています。
Q.滞納1年で必ず特別療養費になりますか?
機械的に切り替わるわけではありません。納付勧奨・相談、特別な事情の確認、弁明の機会、事前通知などの手続きがあります。
Q.患者が10割を払えない場合は?
市区町村の国保窓口への相談を案内します。一時払いが困難な場合に、保険者判断で通常の療養の給付を受けられるよう短期の資格確認書を交付する取扱いがあります。
Q.薬局から特別療養費を保険者へ請求しますか?
通常の保険調剤のように薬局が審査支払機関へ請求するのではなく、患者側が保険者へ申請する償還払いが基本です。薬局は資格確認・会計・領収書等の交付・説明を適切に行います。

まとめ|薬局では「10割になった理由」を最初に確認する
特別療養費で最も起こりやすいミスは、「10割負担=特別療養費」と思い込むことです。
- 資格は一般だが、一時的に資格確認できず10割 → 療養費を検討
- 資格情報が「特別療養費支給対象者」 → 特別療養費として10割負担・償還払い
国保の特別療養費は、原則1年以上の保険料滞納を背景に、納付相談等を経ても納付がなく、特別な事情がない場合に適用される制度です。また1年6か月以上の滞納では、保険給付の支払いが差し止められる場合があります。

参考文献・一次情報
- 厚生労働省「国民健康保険法」第54条の3(特別療養費)
- 厚生労働省「国民健康保険の保険料を滞納している世帯主等に対する取扱い」
- 厚生労働省「国民健康保険の保険料(税)を滞納している世帯主等に対する措置に関連する取扱いについて」
- 厚生労働省「資格確認方法について」
- 協会けんぽ「医療費の立替(療養費)」
- 川崎市「保険料を滞納した場合」
※本記事は2026年9月24日時点の厚生労働省・自治体等の公表資料を基に整理しています。国保の運用や申請書類は保険者ごとに異なる場合があります。実際の窓口対応では、オンライン資格確認結果と加入先保険者の最新案内をご確認ください。



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