


薬局で6歳未満のお子さまを対象に調剤する機会は少なくありません。
特に粉薬やシロップ、外用薬の処方では、保護者へのきめ細やかな服薬指導が欠かせません。
そこで導入されたのが「乳幼児服薬指導加算」です。
この加算は、安全な服薬支援を評価し、薬剤師の専門性を適切に診療報酬で反映する仕組みであり、同時に薬局経営にもプラスになる重要な加算です。
しかし現場では「算定条件を正しく理解していない」「記録が不十分で監査で返戻になる」などの課題も多く見られます。
本記事では、乳幼児服薬指導加算の制度概要から改定の歴史、現場での活用ポイントまで、エビデンスを交えて徹底解説します。
乳幼児服薬指導加算とは?
乳幼児服薬指導加算は、6歳未満の乳幼児またはその家族に対して服薬指導を行い、薬歴とお薬手帳に記載した場合に加算できる診療報酬項目です。
この加算は「服薬情報等提供料」や「服薬管理指導料」、さらに「かかりつけ薬剤師指導料」に付随して算定されます。
算定点数:12点(2025年診療報酬)
対象は内服薬に限らず、外用薬や吸入薬でも、要件を満たせば算定可能です。
算定の基本的な流れ
- 受付時に年齢・体重・剤形適否・アレルギー歴を確認
- 保護者に対して服薬方法や注意点を説明(誤飲防止を含む)
- 薬歴とお薬手帳の両方に記録
- 服薬期間中の問い合わせに対応し、その内容も記録
診療報酬改定の歴史と背景
乳幼児服薬指導加算は比較的新しい加算項目ですが、その背景には小児の服薬支援強化と薬剤師業務の質向上の政策的意図があります。
以下は過去10年間の主な改定の流れです。
年度 | 改定内容 |
---|---|
2012年 | 小児加算(当時の名称)として一部薬局で試行的導入 |
2014年 | 乳児加算・幼児加算が細分化、要件が曖昧で算定率低迷 |
2016年 | 服薬指導要件が明文化、お薬手帳記載義務化 |
2018年 | 乳幼児加算として統合、点数は12点に統一 |
2020年 | 外用薬や吸入薬でも算定可能である旨が通知に明記 |
2022年 | オンライン服薬指導時の加算適用が認められる |
2024年 | 薬歴記録要件がさらに強化、監査時の返戻事例増加 |


乳幼児服薬指導加算の算定要件を徹底解説
乳幼児服薬指導加算を算定するには、単に「服薬指導をした」だけでは不十分です。
診療報酬の通知や厚生労働省のQ&Aを踏まえ、必ず以下の要件をすべて満たす必要があります。
必須要件(全て満たす必要あり)
- 対象:6歳未満の乳幼児
生年月日から算定日までの満年齢で判定します。 - 確認事項の実施
年齢、体重、剤形適否、アレルギー歴、既往歴などを受付時に確認。 - 服薬指導の実施
服用方法、注意点、誤飲防止策などを保護者に説明し、理解を確認。 - 記録の作成
薬歴とお薬手帳の両方に指導内容と確認事項を記載。 - フォローアップ対応
服薬期間中の問い合わせや副作用報告に対応し、その内容も薬歴に残す。

剤形別の指導ポイント
剤形ごとに注意すべき点は異なります。ここでは現場で使える指導のコツを整理します。
粉薬(ドライシロップ含む)
- 少量の水でペースト状にして頬内側に塗る方法
- スポイトで0.5mlずつ水に溶かして与える
- 甘味のある飲料やゼリーに混ぜて服用(ただし相互作用に注意)
シロップ
- 計量カップやスポイトで正確に計量
- 開封後の保存条件と使用期限の注意喚起
- 服用後は口腔内を軽くすすぐ指導
OD錠
- 口腔内での崩壊時間を説明(無理に噛ませない)
- 口内が乾燥している場合は少量の水を事前に与える
外用薬(軟膏・クリーム)
- FTU(Finger Tip Unit)法で適量を説明
- 部位別の塗布量と回数を具体的に伝える
- 手洗いの徹底を指導
吸入薬(定量噴霧式・パウダー)
- 吸入姿勢や呼吸タイミングの指導
- 使用後のうがいを徹底
- スペーサーの活用法を案内

保護者対応マニュアル(年齢別)
0〜1歳
- 哺乳瓶やスプーンで与える方法を説明
- 授乳タイミングと服薬タイミングの関係
- 誤嚥防止姿勢(半座位)を推奨
1〜3歳
- 好きな飲料や食品に混ぜる方法
- 「ごっくん練習」の提案
- 服薬後の褒め言葉でモチベーション維持
4〜5歳
- 錠剤・OD錠への移行検討
- 自分で服用する習慣づけ
- お薬の役割を簡単に説明して納得感を与える
算定漏れを防ぐためのチェックリスト
- 年齢確認を生年月日で行っているか?
- 体重や剤形適否を受付時に確認しているか?
- お薬手帳に必ず記録しているか?
- 問い合わせ対応記録も薬歴に残しているか?
- 外用薬や吸入薬も算定対象として認識しているか?

症例集:現場で活用できる20のケース
乳幼児服薬指導加算を算定できる場面は想像以上に多くあります。ここでは典型的な20の症例を挙げます。
- 2歳 男児、抗菌薬ドライシロップ服用困難 → ゼリーオブラート提案
- 4歳 女児、外用薬のみ → FTU法で塗布量説明
- 3歳 男児、解熱鎮痛薬、手帳忘れ → シール発行・次回来局時貼付
- 1歳 女児、シロップ保存条件説明 → 冷蔵庫保管と期限明記
- 5歳 男児、吸入ステロイド → スペーサー使用法と吸入後うがい
- 0歳 男児、母乳育児中の服薬 → 授乳タイミングの調整指導
- 2歳 女児、複数薬混合時の注意 → 甘味飲料使用時の相互作用説明
- 3歳 男児、OD錠初回 → 舌上崩壊と水少量での服用指導
- 4歳 男児、粉薬と牛乳混合禁止薬 → 代替飲料提案
- 2歳 女児、抗アレルギー薬長期服用 → 飲み忘れ時の対応
- 1歳 男児、外用抗菌薬 → 部位別塗布法と保管法
- 5歳 女児、喘息発作時薬 → 発作時優先投与手順説明
- 0歳 女児、服薬器具使用法 → スポイトやシリンジの洗浄法
- 3歳 男児、経鼻投与薬 → 投与姿勢と嫌がる場合の対策
- 4歳 女児、歯科処方薬 → 食後服用徹底と歯磨きの順序
- 2歳 男児、便秘薬 → 水分摂取の重要性説明
- 1歳 女児、整腸剤粉薬 → 混合食品と保管法
- 3歳 男児、発熱時坐薬 → 体温・間隔・使用上限説明
- 5歳 男児、旅行時服薬 → 持ち運び方と気温管理
- 0歳 女児、服薬拒否強い場合 → 保護者心理的サポート提案
記録文例集(20例)
薬歴・お薬手帳への記録は、監査での返戻防止に直結します。
- 体重11kg、粉薬服用困難 → ゼリーオブラート使用法指導、了承
- 外用薬(顔部位)FTU法で塗布量説明、同意
- 手帳忘れ → シール発行、次回来局時貼付予定
- シロップ保管条件(冷蔵庫)と期限説明、了承
- 吸入薬スペーサー使用法と吸入後うがい指導
- 授乳中服薬タイミング調整説明
- 粉薬混合時の飲料制限説明
- OD錠服用法(舌上崩壊)説明
- 粉薬と牛乳混合禁止説明
- 長期服用薬の飲み忘れ時対応説明
- 外用抗菌薬の部位別塗布法説明
- 喘息発作時薬投与順序指導
- 服薬器具洗浄法説明
- 経鼻投与薬姿勢指導
- 歯科処方薬の服用順序説明
- 便秘薬の水分摂取促進指導
- 整腸剤の混合食品説明
- 坐薬使用間隔・上限説明
- 旅行時服薬の保管方法説明
- 服薬拒否時の心理的サポート法提案
よくある質問
Q1. 外用薬だけでも算定可能ですか?
はい、要件を満たせば可能です。塗布方法や量の説明も服薬指導の一部として評価されます。
Q2. お薬手帳を忘れたら算定できませんか?
指導内容をシールに記載し、次回来局時に手帳へ貼付すれば算定可能です。
Q3. オンライン服薬指導でも算定できますか?
はい、2022年度改定以降、オンラインでも要件を満たせば算定できます。
Q4. 乳幼児服薬指導加算と小児特定加算は併算定できますか?
できません。どちらか一方のみの算定になります。
Q5. 算定漏れを防ぐには?
年齢・記録・お薬手帳・外用薬の認識、この4点を意識すれば大半の漏れは防げます。
まとめ
乳幼児服薬指導加算は、薬剤師の専門的な介入を正しく評価する制度です。
粉薬・シロップ・外用薬・吸入薬、すべてが対象になり得るため、現場での応用範囲は広いです。
制度の理解不足や記録不備による算定漏れを防ぎ、保護者の安心とお子さまの安全を守りながら薬局経営にも貢献しましょう。

乳幼児服薬指導加算クイズ
第1問: 乳幼児服薬指導加算の算定対象年齢は何歳未満でしょうか?
- ① 5歳未満
- ② 6歳未満
- ③ 7歳未満
正解: ② 6歳未満
乳幼児服薬指導加算は、6歳未満の乳幼児またはその保護者への服薬指導で算定できます。満年齢で判定します。
第2問: 外用薬のみの処方でも乳幼児服薬指導加算は算定できるでしょうか?
- ① できる
- ② できない
正解: ① できる
内服薬に限らず、外用薬や吸入薬でも適切な使用法を指導し記録すれば算定対象となります。
第3問: 乳幼児服薬指導加算を算定するにはお薬手帳への記録が必要でしょうか?
- ① 必要
- ② 不要
正解: ① 必要
薬歴とお薬手帳の両方に記録することが必須要件です。どちらか片方だけでは算定できません。
第4問: お薬手帳を忘れた場合、算定できる正しい対応はどれでしょうか?
- ① 算定できない
- ② 指導内容をシールに記載し、次回来局時に貼付すれば算定可
- ③ 保護者の口頭同意だけで算定可
正解: ②
お薬手帳を忘れた場合は、指導内容をシールに記載し、次回来局時に貼付する形で算定可能です。
第5問: 乳幼児服薬指導加算と小児特定加算は併算定できるでしょうか?
- ① できる
- ② できない
正解: ② できない
両者は併算定不可です。対象患者であってもどちらか一方を選んで算定します。
参考文献


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