※本記事は2026年7月6日時点で確認できる厚生労働省・地方厚生局資料をもとに作成しています。算定・届出の最終判断は、必ず管轄の地方厚生局・最新通知・疑義解釈で確認してください。
① ゆずまるとなぎさの掛け合い




② 前書き:かかりつけ要件の地域活動で一番大事なこと
かかりつけ薬剤師の届出準備をしていると、多くの薬局でつまずくのが「医療に係る地域活動の取組に参画していること」です。
勤務経験、勤務時間、研修認定、プライバシー配慮などは比較的チェックしやすい一方で、地域活動は次のような疑問が出やすいです。
初心者が迷いやすいポイント
- 地域活動って、健康相談会のこと?
- 薬剤師会の研修会に出ればOK?
- 学校薬剤師は地域活動になる?
- 薬局内イベントでも認められる?
- 年1回だけでもいい?
- どんな書類を残せば届出で説明しやすい?
この記事の結論はシンプルです。
結論
かかりつけ要件の地域活動は、地域包括ケアに関係し、地域の人や多職種と顔の見える関係を作り、届出薬剤師本人が主体的・継続的に関わったことを文書で説明できる活動が通りやすいです。
単に「参加しました」では弱く、誰が、いつ、どこで、誰に対して、どんな役割で、どのように医療・介護・地域住民に関わったのかを示せることが重要です。
なお、令和8年度診療報酬改定では、旧来の「かかりつけ薬剤師指導料」は削除され、服薬管理指導料の中で「かかりつけ薬剤師が行った場合」として整理されました。ただし、かかりつけ薬剤師として必要な指導等を行う保険薬剤師の要件には、引き続き「医療に係る地域活動の取組に参画していること」が含まれています。[1]
また、地方厚生局の様式90では、地域活動について、届出時までに過去1年間の活動がわかる文書を添付する形になっています。[4]
つまり、今後は「なんとなく地域活動をした」ではなく、届出時に説明できる地域活動として準備することが大切です。

③ 本文:かかりつけ要件の「地域活動」とは何か?
まず全体像:かかりつけ薬剤師は「個人の能力」だけでなく「地域との接点」も見られる
かかりつけ薬剤師と聞くと、患者さん一人ひとりの薬を継続的に管理する薬剤師、というイメージが強いと思います。
もちろんそれは正しいです。
しかし、制度上のかかりつけ薬剤師は、薬局内で服薬指導をするだけの存在ではありません。患者さんが地域で生活していくために、医師、看護師、ケアマネジャー、介護職、行政、学校、地域包括支援センターなどとつながりながら、医薬品の専門職として関わることが期待されています。
厚労省の疑義解釈では、「医療に係る地域活動の取組に参画していること」について、次のような考え方が示されています。[5]
地域活動の考え方
- 地域包括ケアシステムの構築に向けた活動であること
- 地域住民を含む、地域における総合的なチーム医療・介護の活動であること
- 地域において人のつながりがあり、顔の見える関係が築ける活動であること
- 主体的・継続的に参画していること
ここで大事なのは、「地域」「医療・介護」「顔の見える関係」「主体的」「継続的」の5つです。
薬剤師として地域に出る、地域の会議に参加する、住民向けに薬の正しい使い方を伝える、多職種と患者支援について話し合う。こうした活動が、かかりつけ要件における地域活動の中心になります。
令和8年度改定後の位置づけ:旧かかりつけ薬剤師指導料は削除、でも要件は残る
令和8年度診療報酬改定では、旧「かかりつけ薬剤師指導料」は削除され、服薬管理指導料の中に「かかりつけ薬剤師が行った場合」の区分が設けられました。具体的には、原則3月以内に再度処方箋を持参し手帳を提示した患者に対する「1のイ」、それ以外の患者に対する「2のイ」という整理です。[1]
ただし、かかりつけ薬剤師として必要な指導等を行う保険薬剤師の要件には、次のような項目が示されています。[1]
| 要件 | 初心者向けの意味 |
|---|---|
| 保険薬剤師として3年以上の保険薬局勤務経験 | 薬局薬剤師として一定の実務経験が必要 |
| 当該薬局に週31時間以上勤務 | 原則としてその薬局にしっかり勤務している必要がある |
| 当該薬局に継続して6か月以上在籍 | 令和8年度改定後は、旧要件より在籍期間が見直されている |
| 研修認定を取得 | 認定薬剤師など、制度上認められる研修認定が必要 |
| 医療に係る地域活動の取組に参画 | 今回の記事のテーマ。地域の医療・介護・住民活動に主体的に関わること |
また、地方厚生局の届出一覧では、令和6年度のかかりつけ薬剤師指導料等の施設基準を届け出ていた薬局でも、令和8年6月1日以降に該当区分を算定するためには、改めて届出が必要である旨が示されています。[2]
注意
この記事では、わかりやすさのために「かかりつけ要件」「かかりつけ薬剤師要件」と表現しますが、令和8年度改定後の届出名は地方厚生局資料上では「服薬管理指導料の注1」の施設基準として整理されています。最新の届出名称・様式は必ず管轄の地方厚生局で確認してください。
地域活動は「薬局の活動」ではなく「届出薬剤師本人の関与」が大事
ここは非常に大事です。
厚労省の疑義解釈では、薬局として対応している場合でも、届出に係る薬剤師が関与していることが必要とされています。[5]
つまり、会社や薬局として地域活動をしていても、届出する薬剤師本人がまったく関わっていなければ弱いです。
よくある勘違い
- 薬局長が地域ケア会議に出ているから、全員OK
- 会社が健康フェアを開催しているから、全店舗の薬剤師がOK
- 薬剤師会に薬局として加入しているから、地域活動あり
- 店内に薬物乱用防止のポスターを貼っているからOK
これらは、届出薬剤師本人の関与が説明できないと弱くなります。
届出で説明しやすいのは、次のような状態です。
- 届出薬剤師本人の氏名が参加者名簿にある
- 案内文・依頼文・委嘱状に薬剤師本人または薬局名が記載されている
- 活動報告書に本人の役割が書かれている
- 講師、相談員、出席者、派遣薬剤師などの役割が明確
- 活動日時、場所、主催者、参加人数、内容が記録されている
様式90の記載上の注意でも、地域活動については「事業の概要、参加人数、場所及び日時、当該活動への関わり方等」がわかる文書を添付することとされています。[4]


地域活動を判断する5つのチェックポイント
初心者の方は、地域活動に該当しそうか迷ったら、次の5つで考えると整理しやすいです。
| チェック項目 | 見るポイント | 通りやすさ |
|---|---|---|
| 医療・介護との関係 | 薬、健康、介護、在宅、感染対策、学校保健などと関係するか | 強い |
| 地域性 | 地域住民、行政、学校、医師会、薬剤師会、地域包括支援センターなどが関わるか | 強い |
| 多職種・住民との接点 | 顔の見える関係を作れるか | 強い |
| 主体性 | 単なる聴講ではなく、発言、相談対応、講師、派遣、運営協力などがあるか | 強い |
| 記録性 | 日時、場所、主催、参加人数、本人の関わり方を文書で残せるか | 非常に重要 |
この5つを満たしやすい活動ほど、届出書類として整えやすくなります。
あわせて読みたい:薬局が地域支援体制加算を取る方法と実例|準備・届け出完全ガイド
地域包括ケアとの関係を初心者向けに説明
「地域包括ケア」という言葉が出てくると、少し難しく感じるかもしれません。
超ざっくり言えば、地域包括ケアとは、高齢者や患者さんが住み慣れた地域で暮らし続けられるように、医療・介護・予防・生活支援などを地域でつなぐ考え方です。厚労省も、地域包括ケアシステムについて、地域の実情に応じて作り上げていく必要があるものとして説明しています。[6]
薬剤師が地域活動に参加する意味は、まさにここにあります。
- 薬が飲めていない高齢者を、ケアマネジャーと一緒に支える
- 残薬や重複投薬の問題を、多職種会議で共有する
- 地域住民に薬の正しい使い方や受診勧奨の目安を伝える
- 学校で薬物乱用防止や環境衛生に関わる
- 休日夜間の医療提供体制を薬剤師として支える
このように、薬局の外に出て地域の中で薬剤師の専門性を発揮することが、かかりつけ要件の地域活動の本質です。
ミニまとめ
かかりつけ要件の地域活動は、単なるボランティア活動ではありません。ポイントは、医療・介護・健康支援に関係し、地域の人や多職種とつながり、薬剤師本人が主体的に関わることです。
③ 本文の続き:どんな活動なら通りやすいのか?
最初に確認:「実際に通った活動」についての考え方
ここで大切な前提があります。
個別の薬局がどの活動で受理されたか、どの厚生局がどの活動をどう判断したかは、薬局名つきで詳細に公開されるものではありません。そのため、本記事で「この活動なら絶対に通る」と断定することはできません。
ただし、厚労省の疑義解釈で具体例として示されている活動や、様式90で求められる添付文書に落とし込みやすい活動は、届出実務上かなり説明しやすいです。[4][5]
この記事でいう「通りやすい活動」
この記事では、次の3条件を満たす活動を「通りやすい活動」と表現します。
- 厚労省の疑義解釈で例示されている、または例示に近い
- 地域包括ケア・医療・介護・学校保健・住民支援との関係が明確
- 届出薬剤師本人の関与を文書で残しやすい
では、具体的に見ていきましょう。
通りやすい活動1:地域ケア会議・多職種連携会議への参加
もっとも王道といえるのが、地域ケア会議や多職種連携会議への参加です。
厚労省の疑義解釈でも、地域で多職種が連携し、定期的に継続して行われている医療・介護に関する会議への主体的・継続的な参加が例示されています。[5]
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 活動例 | 地域ケア会議、在宅医療・介護連携会議、認知症支援会議、多職種症例検討会 |
| 関係者 | 医師、看護師、ケアマネジャー、地域包括支援センター、介護職、行政、薬剤師など |
| 薬剤師の役割 | 残薬、服薬困難、薬剤管理、ポリファーマシー、副作用疑い、在宅薬剤管理の助言 |
| 残す書類 | 開催案内、議事次第、参加者名簿、議事録、出席証明、活動報告書 |
通りやすい理由
地域ケア会議は、地域包括ケア、多職種連携、顔の見える関係、医療・介護への関与を説明しやすい活動です。さらに、会議資料や議事録などの記録が残りやすいため、届出添付書類として整理しやすいです。
届出用の書き方例
令和○年○月○日、○○地域包括支援センター主催の地域ケア会議に出席。医師、看護師、ケアマネジャー、介護職、行政担当者等○名が参加。薬剤師として、対象高齢者の残薬状況、服薬管理上の課題、一包化・服薬カレンダー活用、訪問薬剤管理の必要性について意見を述べた。
通りやすい活動2:行政・薬剤師会等が主催する住民向け健康講座
次に通りやすいのが、地域住民向けの薬・健康に関する講座や相談会です。
厚労省の疑義解釈では、地域の行政機関や医療・介護関係団体等が主催する住民への研修会等への主体的・継続的な参加が例示されています。[5]
たとえば、次のような活動です。
- 市町村主催の高齢者向け薬の正しい使い方講座
- 地域包括支援センター主催のフレイル予防教室での薬の話
- 薬剤師会主催の薬と健康の週間イベントでの相談対応
- 自治体の健康フェアでのお薬相談ブース担当
- 公民館・老人クラブ・地域サロンでの服薬管理講話


住民向け講座で通りやすくするコツは、主催者と対象者を明確にすることです。
| 弱い例 | 強い例 |
|---|---|
| 薬局内でチラシを配った | 市主催の健康フェアで薬剤師としてお薬相談を担当した |
| 待合室でポスターを掲示した | 地域包括支援センター主催の講座で服薬管理について講演した |
| 薬局で健康食品の説明会をした | 薬剤師会主催の薬と健康の週間で、OTC・残薬・お薬手帳相談に対応した |
届出用の書き方例
令和○年○月○日、○○市健康づくり課主催の住民向け健康講座に薬剤師として参加。地域住民○名に対し、薬の飲み忘れ対策、お薬手帳の活用、残薬整理、受診勧奨の目安について講話を行い、終了後に個別相談へ対応した。
通りやすい活動3:学校薬剤師の業務
学校薬剤師の業務も、厚労省疑義解釈で地域活動に該当する事例として示されています。[5]
学校薬剤師は、単なる学校の設備点検ではなく、学校保健・環境衛生・薬物乱用防止・児童生徒の健康支援に関わる地域活動として説明しやすいです。
| 学校薬剤師業務 | 地域活動としての説明ポイント |
|---|---|
| 飲料水・プール水検査 | 学校環境衛生を通じた児童生徒の健康保持 |
| 教室環境検査 | 照度、換気、空気環境などへの関与 |
| 薬物乱用防止教室 | 児童生徒への薬物乱用防止教育 |
| 学校保健委員会への参加 | 学校医、学校歯科医、養護教諭、保護者等との連携 |
通りやすい理由
委嘱状、年間計画、実施報告書、検査記録などが残りやすく、届出薬剤師本人の関与を示しやすい活動です。
残しておきたい書類
- 学校薬剤師の委嘱状
- 年間活動計画
- 学校環境衛生検査の実施記録
- 薬物乱用防止教室の案内・資料
- 学校保健委員会の出席記録
通りやすい活動4:薬物乱用防止活動
薬物乱用防止活動も、厚労省疑義解釈で例示されています。[5]
具体的には、学校、行政、警察、薬剤師会などの依頼に基づき、薬剤師として薬物乱用防止教室や啓発活動に関わるケースです。
ただし、ここでも注意点があります。
薬局内でポスターを貼っただけ、啓発資材を置いただけでは弱いです。疑義解釈でも、薬局内でのポスター掲示や啓発資材の設置のみでは要件を満たしているとはいえないとされています。[5]
| 活動 | 通りやすさ | 理由 |
|---|---|---|
| 学校で薬物乱用防止教室の講師 | 高い | 学校・地域・薬剤師の専門性が明確 |
| 薬剤師会の薬物乱用防止キャンペーンに相談員として参加 | 高い | 外部団体主催で本人関与を記録しやすい |
| 薬局にポスター掲示のみ | 低い | 主体的・継続的参画の説明が難しい |
通りやすい活動5:休日夜間薬局・休日夜間診療所への派遣
行政機関、地域医師会、歯科医師会、薬剤師会の協力のもとで実施している休日夜間薬局としての対応や、休日夜間診療所への派遣も、疑義解釈で例示されています。[5]
この活動は、地域の救急・休日夜間医療体制を支える活動として説明しやすいです。
特に、薬剤師会からの派遣依頼や当番表がある場合は、記録として残しやすくなります。
残すべき書類
- 休日夜間当番表
- 派遣依頼文
- 勤務実績表
- 対応日時・場所・担当者がわかる記録
- 薬剤師会や行政からの案内
届出用の書き方例
令和○年○月○日、○○薬剤師会の休日夜間診療所派遣事業に参加。○○市休日急患診療所において、来院患者に対する調剤、服薬説明、医師・看護師との情報共有を行い、地域の休日夜間医療提供体制に薬剤師として関与した。
通りやすい活動6:注射針回収など、行政や関係団体の依頼に基づく活動
疑義解釈では、行政機関や学校等の依頼に基づく医療に係る地域活動の一例として、注射針の回収なども挙げられています。[5]
ただし、注射針回収を地域活動として説明する場合は、単に薬局で回収箱を置いているだけではなく、次のような点を整理するとよいです。
- 行政、薬剤師会、医師会等の事業として行っているか
- 地域の在宅医療、糖尿病治療、感染対策、安全な廃棄に関係しているか
- 届出薬剤師本人が管理・説明・回収対応に関与しているか
- 回収手順、回収実績、事業概要を文書化できるか
この活動は、地域の安全な医療廃棄物管理や在宅療養支援と結びつけて説明すると、医療に係る地域活動として整理しやすくなります。
通りやすい活動ランキング
初心者向けに、届出書類として整えやすい順に整理すると、次のようになります。
| 順位 | 活動 | 理由 | 必要書類 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 地域ケア会議・多職種連携会議 | 疑義解釈の例示に近く、地域包括ケアとの関係が明確 | 案内、議事録、名簿、報告書 |
| 2位 | 学校薬剤師 | 委嘱状があり、本人関与を示しやすい | 委嘱状、活動記録、年間計画 |
| 3位 | 休日夜間診療所派遣 | 地域医療提供体制への関与が明確 | 当番表、派遣依頼、勤務記録 |
| 4位 | 行政・薬剤師会主催の住民向け健康講座 | 地域住民への医療・健康支援として説明しやすい | チラシ、講演資料、参加者数、報告書 |
| 5位 | 薬物乱用防止活動 | 学校・行政との関係があれば強い | 依頼文、実施記録、講義資料 |
逆に、地域活動として弱くなりやすい活動
次の活動は、完全にダメとは言い切れませんが、かかりつけ要件の地域活動としては説明が弱くなりやすいです。
| 弱くなりやすい活動 | 理由 | 改善案 |
|---|---|---|
| 薬局内のポスター掲示のみ | 疑義解釈上、掲示や資材設置のみでは要件を満たすとはいえない | 薬剤師会や行政の啓発活動に相談員として参加する |
| 社内研修への参加 | 地域活動ではなく社内教育に見える | 地域の多職種研修や行政主催研修に参加する |
| オンライン講演を視聴しただけ | 地域との顔の見える関係や主体性が弱い | 地域単位の意見交換会やグループ討議に参加する |
| 薬局独自の販売促進イベント | 医療に係る地域活動ではなく販促に見える可能性 | 行政・地域包括・薬剤師会と連携した健康支援イベントにする |
| 薬剤師会に入会しているだけ | 入会だけでは活動参加を説明しにくい | 研修会、相談会、休日当番、地域事業に実際に参加する |
地域活動の記録テンプレート
地域活動は、参加した後の記録が命です。
届出時に慌てないように、活動のたびに次のテンプレートで記録を残しておきましょう。
地域活動記録テンプレート
1. 活動名
例:○○地区地域ケア会議、薬と健康の週間相談会、○○小学校薬物乱用防止教室
2. 主催者
例:○○市、○○地域包括支援センター、○○薬剤師会、○○小学校
3. 日時
例:令和○年○月○日 14:00〜15:30
4. 場所
例:○○市役所会議室、○○公民館、○○小学校体育館
5. 参加人数
例:地域住民35名、多職種12名、児童90名
6. 参加者・関係職種
例:医師、看護師、ケアマネジャー、行政、介護職、薬剤師、地域住民
7. 届出薬剤師本人の役割
例:講師、相談員、会議出席者、助言者、派遣薬剤師、学校薬剤師
8. 活動内容
例:残薬管理について助言、お薬手帳の活用を説明、薬物乱用防止について講話
9. 医療に係る地域活動としての意義
例:地域住民の適正服薬支援、在宅療養者の服薬課題共有、学校保健への関与
10. 添付資料
例:開催案内、チラシ、議事録、参加者名簿、委嘱状、講義資料、活動写真、報告書
活動証明書をもらうときの依頼文例
地域活動に参加したら、可能であれば主催者に出席証明や活動証明をお願いしておくと安心です。
活動証明書依頼文例
○○様
いつもお世話になっております。○○薬局の○○です。
先日参加いたしました「○○活動」について、薬局における施設基準届出資料として、参加記録を保管する必要がございます。
つきましては、可能な範囲で、以下の内容がわかる参加証明または実施記録をご作成いただくことは可能でしょうか。
- 活動名
- 開催日時
- 開催場所
- 主催者
- 参加人数
- 当方の参加者氏名
- 当方の役割
お忙しいところ恐縮ですが、ご確認のほどよろしくお願いいたします。
初心者向け:今から地域活動を作る5ステップ
まだ地域活動をしていない薬局は、いきなり大きなイベントを企画する必要はありません。
まずは、地域の既存の活動に参加するのが現実的です。
| ステップ | やること | 具体例 |
|---|---|---|
| 1 | 地域の窓口を探す | 薬剤師会、地域包括支援センター、市町村健康づくり課 |
| 2 | 参加できる活動を聞く | 地域ケア会議、健康講座、休日当番、学校保健活動 |
| 3 | 届出薬剤師本人が参加する | 薬局長だけでなく、届出予定者本人が参加 |
| 4 | 活動後すぐ記録する | 日時、場所、人数、役割、内容を記録 |
| 5 | 添付資料を1つのフォルダに保管 | 紙・PDF・写真・メールをまとめる |
チェーン薬局・新人薬剤師でもできる地域活動の作り方
大手チェーンや若手薬剤師の場合、「自分で地域活動を作るのは難しい」と感じるかもしれません。
その場合は、次の順番で探すと始めやすいです。
- 店舗が所属している地域薬剤師会の活動予定を確認する
- 管理薬剤師に、地域ケア会議や休日当番の参加機会があるか聞く
- 地域包括支援センターに、薬の講話や相談会の需要があるか確認する
- 学校薬剤師を担当している先輩薬剤師の補助として参加できるか確認する
- 会社のエリアマネージャーに、地域活動の届出予定者本人参加が必要であることを共有する
ポイントは、「薬局として」ではなく「届出予定の薬剤師本人として」参加実績を作ることです。


詳しくはこちら:薬学管理料は何を評価?最新改定・算定要件と実務のコツ
④ 症例や具体例や実践例など
実践例1:地域ケア会議で残薬問題に関わったケース
ケース
地域包括支援センターから、独居高齢者Aさんの服薬管理について地域ケア会議で相談したいと連絡があった。薬局の届出予定薬剤師が会議に出席し、残薬、飲み忘れ、薬剤整理について薬剤師の立場から助言した。
活動として強い理由
- 地域包括支援センター主催で地域性が明確
- ケアマネジャー、訪問看護、行政など多職種と連携している
- 薬剤師が残薬・服薬管理に専門的に関与している
- 会議資料、議事録、参加者名簿が残せる
記録例
○○地域包括支援センター主催の地域ケア会議に出席。独居高齢者の服薬管理不良と残薬増加について、多職種と情報共有を行った。薬剤師として、一包化、服薬カレンダー、訪問薬剤管理の導入、処方医への情報提供の必要性について助言した。
実践例2:公民館で薬の飲み忘れ対策講座を行ったケース
ケース
市の健康づくり課から依頼を受け、地域住民向けに「薬の飲み忘れを防ぐコツ」という講座を実施した。届出予定薬剤師が講師を担当し、お薬手帳、残薬整理、服薬カレンダー、受診勧奨の目安について説明した。
活動として強い理由
- 行政主催で地域性が明確
- 地域住民を対象にしている
- 薬剤師の専門性を活かした内容
- チラシ、講義資料、参加人数、写真、報告書が残せる
記録例
○○市健康づくり課主催の住民向け講座に講師として参加。地域住民28名に対し、服薬アドヒアランス向上、お薬手帳の活用、残薬整理、自己判断による中止の危険性について説明した。講座後、個別相談として5名の服薬相談に対応した。
実践例3:薬物乱用防止教室に参加したケース
ケース
小学校から薬剤師会を通じて依頼があり、届出予定薬剤師が薬物乱用防止教室に講師補助として参加した。児童に対して、医薬品の正しい使い方、薬物乱用の危険性、身近な薬でも使い方を誤ると危険があることを説明した。
活動として強い理由
- 学校・薬剤師会の依頼に基づく活動
- 学校保健・薬物乱用防止に関係
- 薬剤師本人の役割が明確
- 依頼文、講義資料、実施報告が残せる
記録例
○○小学校の薬物乱用防止教室に、○○薬剤師会からの依頼に基づき講師補助として参加。児童約90名に対し、医薬品の適正使用、薬物乱用の健康被害、相談先について説明した。
実践例4:休日夜間診療所派遣に参加したケース
⑤ まとめ:かかりつけ要件の地域活動は「外に出る・つながる・記録する」


かかりつけ要件の地域活動は、初心者にはわかりにくい項目です。
しかし、考え方は難しくありません。
この記事の結論
かかりつけ要件の地域活動で通りやすいのは、地域の医療・介護・学校保健・住民支援に関係し、届出薬剤師本人が主体的に関わり、その内容を文書で説明できる活動です。
具体的には、次の活動が特に整理しやすいです。
- 地域ケア会議・多職種連携会議への参加
- 行政・薬剤師会・地域包括支援センター主催の住民向け健康講座
- 薬と健康の週間などの地域住民向け相談会
- 薬物乱用防止活動
- 休日夜間薬局、休日夜間診療所への派遣
- 学校薬剤師業務
- 行政や関係団体の依頼に基づく注射針回収などの医療関連活動
一方で、次のような活動は弱くなりやすいため注意が必要です。
- 薬局内でポスターを貼っただけ
- 啓発資材を置いただけ
- 社内研修に参加しただけ
- 薬剤師会に入会しているだけ
- オンライン講演を視聴しただけ
- 販売促進色が強い薬局イベント
地域活動で最も大切なのは、活動後の記録です。
届出時に説明できるよう、次の情報を必ず残しましょう。
最低限残すべき記録
- 活動名
- 主催者
- 日時
- 場所
- 参加人数
- 関係職種
- 届出薬剤師本人の氏名
- 本人の役割
- 活動内容
- 医療に係る地域活動としての意義
- 添付資料
地域活動は、点数や届出のためだけに行うものではありません。
地域の多職種と顔の見える関係を作ることで、在宅、残薬、ポリファーマシー、服薬困難、認知症、独居高齢者支援など、薬局だけでは解決しにくい課題に関わりやすくなります。
かかりつけ薬剤師として評価されるためには、患者さんの薬を一元的・継続的に管理するだけでなく、地域の中で「薬の専門家」として頼られる存在になることが大切です。

⑥ よくある質問
Q1. 薬局内で健康相談会をしただけでも地域活動になりますか?
薬局内の健康相談会だけで直ちに不可とは断定できませんが、かかりつけ要件の地域活動としては弱くなる可能性があります。
特に、薬局内でポスターを掲示しただけ、啓発資材を置いただけでは、疑義解釈上も要件を満たすとはいえないとされています。[5]
通りやすくするには、行政、地域包括支援センター、薬剤師会、学校、医師会など外部団体と連携し、地域住民を対象にした活動として記録を残すことが大切です。
Q2. 薬剤師会の研修会に参加すれば地域活動になりますか?
研修会の内容によります。
単なる知識習得の研修、特に一般的なオンライン聴講だけでは、地域活動としては説明が弱い可能性があります。
一方で、地域の医療・介護関係者が参加する多職種研修会で、地域課題について意見交換を行ったり、薬剤師として発言・事例検討に参加したりした場合は、地域活動として整理しやすくなります。
Q3. 年1回の参加でも大丈夫ですか?
様式90では、届出時までに過去1年間に医療に係る地域活動へ主体的に参加していることがわかる文書の添付が求められています。[4]
ただし、疑義解釈では「主体的・継続的」という考え方が示されています。[5]
そのため、年1回で必ず十分と考えるより、地域ケア会議、住民向け講座、休日当番、学校薬剤師業務など、継続性を説明できる活動を複数回または毎年続けるほうが安全です。
Q4. 学校薬剤師は地域活動として使えますか?
はい。厚労省の疑義解釈では、委嘱を受けて行う学校薬剤師の業務が、地域活動に該当する事例として示されています。[5]
届出資料としては、委嘱状、年間活動計画、環境衛生検査記録、学校保健委員会の出席記録、薬物乱用防止教室の資料などを保管しておくと説明しやすいです。
Q5. 薬物乱用防止のポスター掲示だけでも大丈夫ですか?
ポスター掲示だけでは弱いです。
疑義解釈では、薬局内でのポスター掲示や啓発資材の設置のみでは要件を満たしているとはいえないとされています。[5]
薬物乱用防止活動として整理するなら、学校や行政、薬剤師会などの依頼に基づき、教室、講話、相談会、啓発イベントに薬剤師本人が関与した記録を残しましょう。
Q6. 休日夜間診療所への派遣は地域活動になりますか?
はい。疑義解釈では、行政機関や地域医師会、歯科医師会、薬剤師会の協力のもとで実施している休日夜間薬局としての対応、休日夜間診療所への派遣が例示されています。[5]
当番表、派遣依頼文、勤務実績、対応日時・場所がわかる資料を残しておくとよいです。
Q7. 会社全体で地域活動をしていれば、各店舗の薬剤師も要件を満たしますか?
基本的には、届出薬剤師本人の関与が重要です。
疑義解釈では、薬局として対応している場合は、届出に係る薬剤師が関与していることが必要とされています。[5]
会社や店舗の活動実績があっても、届出予定者本人の参加記録がない場合は弱くなります。
Q8. 地域活動の証拠として写真は必要ですか?
必須とは限りませんが、写真があると活動実態を説明しやすくなる場合があります。
ただし、患者さん、児童、住民、会議資料など個人情報や機微情報が写り込まないように注意してください。基本は、案内文、議事録、参加者名簿、活動報告書、委嘱状などの文書を中心に保管するのが安全です。
Q9. オンラインの地域会議は地域活動になりますか?
オンラインだから直ちに不可とはいえません。
ただし、単なる録画視聴ではなく、地域の多職種会議として開催され、届出薬剤師本人が出席し、意見交換や症例検討に主体的に参加したことがわかる必要があります。
開催案内、出席者名簿、議事録、本人の発言・役割がわかる記録を残しましょう。
Q10. 地域活動の記録はどのくらい保存すればよいですか?
様式90では、届出時までに過去1年間の活動がわかる文書添付が求められています。[4]
ただし、施設基準の適合性を継続的に説明できるように、届出に使用した資料だけでなく、その後の活動資料も年度ごとに整理して保管しておくことをおすすめします。
⑦ 参考文献
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】」
https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001717704.pdf
最終確認日:2026年7月6日 - 関東信越厚生局「特掲診療料の届出一覧(令和8年度診療報酬改定)」
https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kantoshinetsu/shinsei/shido_kansa/shitei_kijun/tokukei_shinryo_r08.html
最終確認日:2026年7月6日 - 関東信越厚生局「別添2 服薬管理指導料の注1の施設基準に係る届出」
https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kantoshinetsu/r8-2-602.pdf
最終確認日:2026年7月6日 - 関東信越厚生局「様式90 服薬管理指導料の注1の施設基準に係る届出書添付書類」
https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kantoshinetsu/r8-t90.pdf
最終確認日:2026年7月6日 - 厚生労働省保険局医療課「疑義解釈資料の送付について(その3)平成28年5月19日」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000124651.pdf
最終確認日:2026年7月6日 - 厚生労働省「地域包括ケアシステム」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/index.html
最終確認日:2026年7月6日



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