※本記事にはPR・アフィリエイト広告を含みます。
この記事でわかること
- 調剤薬局におけるオンコールとは何か
- すべての薬局にオンコールが必要なのか
- オンコール手当はいくらが妥当なのか
- 実際に呼び出しはあるのか
- 呼び出された場合の勤務・賃金・シフトの考え方
- ① ゆずまるとなぎさの掛け合い
- ② 前書き:オンコールは「気合い」ではなく「仕組み」で考える
- ③ 本文:調剤薬局のオンコールとは?
- オンコールとは「営業時間外に連絡を受け、必要時に対応する当番」のこと
- 調剤薬局でオンコールが発生しやすい場面
- 医療情報ネットでも「24時間対応」は薬局機能として整理されている
- 調剤薬局でオンコールは必要なのか?
- オンコールが「必要になりやすい薬局」のチェックリスト
- 逆に、オンコールを無理に導入しない方がよい薬局
- 在宅患者訪問薬剤管理指導との関係
- 地域支援体制加算・医薬品供給体制との関係
- オンコール手当はどのくらいが妥当か?
- 初心者向け:妥当な手当の目安
- 手当を決めるときの考え方
- 呼び出しがあった場合は、待機手当とは別に支払うべき
- 宿日直許可とオンコールは同じではない
- 呼び出しは実際にあるのか?
- 呼び出された場合の勤務はどう扱う?
- 深夜に呼び出された翌日の勤務はどうする?
- ④ 症例・具体例・実践例
- ⑤ まとめ:オンコールは「必要性」と「労務設計」をセットで考える
- ⑥ よくある質問
- ⑦ 参考文献
① ゆずまるとなぎさの掛け合い




② 前書き:オンコールは「気合い」ではなく「仕組み」で考える
調剤薬局で働いていると、在宅医療、施設対応、かかりつけ薬剤師、地域支援体制加算、夜間休日対応などの流れで「オンコール」という言葉が出てくることがあります。
しかし、現場では次のようなモヤモヤが起こりがちです。
- オンコールって、そもそも何をするの?
- 普通の外来中心薬局でも必要なの?
- 電話だけなら手当なしでもいいの?
- 夜中に呼ばれたら、その時間は勤務になるの?
- 翌日の勤務はどうなるの?
- 管理薬剤師だけが全部持つものなの?
結論から言うと、調剤薬局のオンコールは、すべての薬局に必ず必要なものではありません。ただし、在宅医療、施設調剤、24時間対応、地域輪番、時間外対応を掲げる薬局では、実務上かなり重要になります。
また、オンコールは「電話を持っているだけだから勤務ではない」と単純に決められるものでもありません。厚生労働省の資料でも、オンコール待機時間全体が労働時間に該当するかは、呼び出し頻度、到着義務、待機中の活動制限などを踏まえて個別に判断するとされています【1】。
オンコールは「患者対応のための仕組み」であると同時に、「薬剤師の生活時間を制限する仕組み」でもあります。だからこそ、業務範囲・手当・呼び出し時の賃金・翌日の勤務調整を最初に決めておく必要があります。
この記事では、オンコールをまったく知らない薬剤師・管理薬剤師・薬局長・経営者向けに、制度面と現場運用をできるだけわかりやすく解説します。

③ 本文:調剤薬局のオンコールとは?
オンコールとは「営業時間外に連絡を受け、必要時に対応する当番」のこと
オンコールとは、営業時間外に緊急連絡が来たとき、薬剤師が電話相談、疑義照会、処方確認、調剤、配達、在宅訪問などを行えるようにしておく当番制のことです。
病院では医師・看護師・薬剤師のオンコールが比較的一般的ですが、調剤薬局でも在宅医療や施設対応を行う薬局では増えています。
| 用語 | 初心者向けの意味 | 調剤薬局での例 |
|---|---|---|
| オンコール | 呼ばれたら対応できるように待機すること | 夜間に施設から麻薬・解熱薬・抗菌薬などの相談が来る |
| 待機 | すぐ連絡に気づける状態でいること | 会社携帯を持ち、着信に対応する |
| 呼び出し | 実際に薬局や患者宅へ行くこと | 夜間に薬局を開けて調剤し、施設へ届ける |
| 時間外対応 | 営業時間外に相談・調剤すること | 休日・夜間の処方せん受付、電話相談 |
オンコールは「夜中に必ず出勤する制度」ではありません。まずは電話で内容を確認し、薬学的・医療安全上必要な場合に、調剤・訪問・配達などへ進む仕組みです。
調剤薬局でオンコールが発生しやすい場面
調剤薬局のオンコールは、主に次のような場面で発生します。
- 在宅患者の急な症状変化
- 施設入居者への臨時薬の処方
- 終末期患者の疼痛コントロール
- 麻薬、坐薬、抗菌薬、解熱鎮痛薬などの緊急調剤
- 医師の往診後に処方せんが発行された場合
- 訪問看護師から薬の使い方について相談がある場合
- 薬が足りない、飲み間違えた、保管方法がわからないなどの相談


医療情報ネットでも「24時間対応」は薬局機能として整理されている
厚生労働省の医療情報ネットでは、薬局検索の条件として「時間外の対応が可能」「24時間対応」「地域輪番制に参加」「時間外連絡先を店頭に掲示」「時間外連絡先を薬袋等に表示」などの項目があります【2】。
同ページでは、24時間対応について、薬局の営業時間外であっても薬剤師が電話などで常時連絡を受けられる体制を整え、必要に応じて相談対応や調剤を行うことと説明されています【2】。
つまり、調剤薬局におけるオンコールは、単なる社内ルールではなく、患者さんや地域に対して「営業時間外でも必要時に対応できる薬局です」と示すための重要な体制といえます。
調剤薬局でオンコールは必要なのか?
結論は、薬局の機能によって必要性が変わります。
| 薬局のタイプ | オンコールの必要性 | 理由 |
|---|---|---|
| 外来中心・在宅なし | 低い | 営業時間内対応で完結しやすい |
| かかりつけ薬剤師を積極算定 | 中等度 | 24時間相談体制の整備が必要になる場面がある |
| 個人在宅あり | 高い | 急変時、臨時薬、残薬、麻薬対応が発生しやすい |
| 施設在宅あり | 高い | 夜間・休日の処方追加や看護師からの相談がある |
| 地域輪番・休日夜間対応あり | 高い | 地域の医薬品提供体制として役割を持つ |
オンコールが「必要になりやすい薬局」のチェックリスト
次に当てはまる薬局は、オンコール体制の整備を検討する価値があります。
- 在宅患者を担当している
- 施設調剤を受けている
- 終末期・緩和ケアの患者がいる
- 麻薬調剤がある
- 往診医・訪問看護ステーションと連携している
- 薬局機能として24時間対応を掲げている
- 地域輪番制に参加している
- 地域支援体制加算や在宅関連の体制を強化したい
逆に、オンコールを無理に導入しない方がよい薬局
オンコールは、地域医療に役立つ一方で、薬剤師の私生活を制限し、疲弊を招くことがあります。次のような薬局では、いきなり本格導入するのは慎重に考えた方がよいでしょう。
- 薬剤師が1〜2名しかおらず、交代制が組めない
- 管理薬剤師だけに負担が集中している
- 呼び出し時の手当・賃金ルールがない
- 夜間に開局する安全体制がない
- 麻薬金庫、鍵、警備、記録、交通手段のルールが未整備
- 誰に相談してよいか、判断基準がない
「地域医療のためだから」「管理薬剤師だから」という理由で、特定の薬剤師にオンコールを押しつける運用は危険です。オンコールは個人の善意ではなく、薬局の業務設計として整えるべきものです。
在宅患者訪問薬剤管理指導との関係
在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定するには、あらかじめ地方厚生局への届出が必要です【3】。在宅を行う薬局では、患者さんの生活の場に薬剤師が関わるため、営業時間外の連絡や臨時対応が現実的に問題になります。
在宅対応を始めると、日中だけでは完結しない相談が出てきます。たとえば、夜に発熱した、疼痛が増悪した、坐薬の使い方がわからない、麻薬の残数が合わない、施設で薬が足りない、などです。
このとき、薬局側が「営業時間外なので対応できません」となると、患者・家族・医師・看護師が困る場面があります。そのため、在宅に力を入れる薬局ほどオンコール設計が重要になります。
地域支援体制加算・医薬品供給体制との関係
令和8年度診療報酬改定の概要では、地域での医薬品供給を通じた適切な医療提供体制の構築を促進する観点から、地域支援体制加算の要件見直しが示されています【4】。
また、医薬品の安定供給に向けた計画的な調達や在庫管理、他薬局との医薬品分譲実績、入手困難時の対応、地域の医療機関・薬局・医療関係団体との情報共有なども、薬局に求められる機能として整理されています【4】。
オンコールは、これらの要件そのものと完全にイコールではありません。しかし、地域で「夜間・休日でも必要な薬を届けられる薬局」として機能するには、時間外連絡、在庫確認、緊急調剤、他薬局との連携などが必要になります。


オンコール手当はどのくらいが妥当か?
ここが最も気になるところです。
まず大前提として、オンコール手当には全国一律の法定金額があるわけではありません。薬局ごとの就業規則、雇用契約、待機の拘束度、呼び出し頻度、地域性、深夜対応の有無によって変わります。
そのうえで、薬局実務としては、次の3階建てで設計するとわかりやすくなります。
| 区分 | 内容 | 考え方 |
|---|---|---|
| ① 待機手当 | 電話を持ち、連絡に出られる状態でいる手当 | 生活制限への補償 |
| ② 電話対応手当 | 実際に電話・薬歴確認・医師連絡をした時間 | 実労働として扱う |
| ③ 呼び出し勤務手当 | 薬局へ出勤、調剤、配達、訪問をした時間 | 実労働+割増賃金+交通費を検討 |
初心者向け:妥当な手当の目安
法定相場ではなく、薬局で制度設計するときの実務目安としては、次のように考えると整理しやすいです。
| オンコールの重さ | 例 | 待機手当の設計目安 |
|---|---|---|
| 軽い | 電話は少ない。折り返しでよい。出動はほぼない。 | 平日夜:1,000〜2,000円程度 |
| 中程度 | 施設・在宅あり。月に数回電話がある。 | 平日夜:2,000〜4,000円程度 休日:3,000〜6,000円程度 |
| 重い | 終末期・麻薬・施設が多く、出動可能性が高い。 | 休日:5,000〜10,000円以上も検討 |
上記は法律で決まった金額ではなく、薬局で制度設計する際の目安です。実際には、就業規則、雇用契約、地域の賃金水準、拘束度、呼出頻度を踏まえ、必要に応じて社会保険労務士などに確認してください。
手当を決めるときの考え方
オンコール手当は、単に「電話が鳴ったかどうか」だけで決めると不満が出ます。なぜなら、電話が鳴らなくても、当番者は生活を制限されているからです。
たとえば、オンコール当番中は次のような制限が生じます。
- 飲酒できない
- 遠出しにくい
- 映画館、温泉、旅行などに行きにくい
- 常にスマホを気にする
- 夜間に熟睡しづらい
- 家族との予定を入れにくい
- 呼び出しに備えて車や交通手段を確保する
このため、オンコール手当は「実際に働いた分」ではなく、待機による生活制限への補償として考えると納得感が出ます。
呼び出しがあった場合は、待機手当とは別に支払うべき
オンコールで実際に電話対応、薬歴確認、疑義照会、調剤、配達、訪問を行った場合、その時間は単なる待機ではありません。厚生労働省の資料でも、オンコール待機中に実際の診療が発生した場合、その診療に従事する時間は労働時間に該当するとされています【1】。
薬局に置き換えると、実際に次のような行為をした時間は、労働時間として扱うのが基本です。
- 患者・家族・施設・訪問看護師からの電話相談に対応した
- 薬歴や処方内容を確認した
- 医師へ疑義照会や処方提案をした
- 薬局へ出勤して調剤した
- 薬を配達した
- 患者宅・施設へ訪問した
- 薬歴、報告書、記録を作成した
実務上おすすめの設計
- 待機しているだけ:待機手当
- 電話対応した:対応時間を労働時間として記録
- 薬局へ出勤した:出勤から帰宅まで、または会社が定める合理的な範囲を労働時間として記録
- 深夜・休日に該当:割増賃金の対象になるか確認
- 移動が必要:交通費、タクシー代、駐車場代などの扱いを事前に決める
宿日直許可とオンコールは同じではない
宿日直許可は、労働基準監督署長の許可を受けた場合に、一定の断続的な宿日直勤務について労働時間規制の適用除外となる仕組みです【5】。
ただし、宿日直許可には、通常勤務とは異なる軽度・短時間の業務であること、十分な睡眠が取れること、常態としてほとんど労働する必要がないことなどの条件があります【5】。
さらに、許可がある場合でも、通常勤務と同じような業務に従事した時間は、労働時間として扱う必要があります【5】。
自宅で会社携帯を持つオンコールは、宿日直と同じ制度ではありません。薬局内で寝泊まりする宿直、休日に薬局内で待機する日直、自宅待機のオンコールは、それぞれ分けて考える必要があります。
| 区分 | 場所 | ポイント |
|---|---|---|
| 自宅オンコール | 自宅・外出先 | 行動制限の程度で労働時間性が変わる |
| 宿直 | 薬局・施設内 | 宿日直許可の有無が重要 |
| 休日当番 | 薬局内 | 通常勤務に近ければ労働時間 |
呼び出しは実際にあるのか?
あります。ただし、頻度は薬局の業態によって大きく違います。
| 薬局の状況 | 電話の頻度 | 出動の頻度 |
|---|---|---|
| 外来中心 | 少ない | かなり少ない |
| 在宅数名 | 月0〜数回 | 月0〜1回程度のこともある |
| 施設あり | 月数回以上になりやすい | 臨時処方で発生しやすい |
| 終末期・麻薬対応あり | 患者状態により増える | 夜間・休日出動の可能性が高い |
呼び出し内容として多いのは、次のようなものです。
- 発熱時の解熱剤が必要
- 疼痛増悪でレスキュー薬が必要
- 往診後に臨時薬が出た
- 施設で薬が足りない
- 眠前薬・便秘薬・吐き気止めなどが急に必要
- 麻薬の残数や使い方について確認したい
- 薬の飲ませ方、粉砕、一包化、簡易懸濁について相談したい
呼び出された場合の勤務はどう扱う?
呼び出された場合は、まず「どこからどこまでを勤務時間として記録するか」を決めておく必要があります。
おすすめは、次のように分けることです。
| 場面 | 勤務扱いの考え方 | 記録すべきこと |
|---|---|---|
| 電話を受けた | 対応時間は労働時間として扱う方向で整理 | 着信時刻、終了時刻、相談内容 |
| 薬歴を確認した | 業務に必要な確認のため労働時間 | 確認時刻、確認内容 |
| 医師へ連絡した | 業務連絡として労働時間 | 連絡先、内容、指示 |
| 薬局へ出勤した | 出勤後の調剤・監査・記録は労働時間 | 入店時刻、退店時刻、調剤内容 |
| 配達・訪問した | 移動を含めた扱いを社内規程で明確化 | 訪問先、到着時刻、終了時刻、交通費 |
深夜に呼び出された翌日の勤務はどうする?
ここを決めていない薬局は多いですが、とても重要です。
深夜2時に呼び出され、3時半に帰宅し、翌朝9時から通常勤務という運用を続けると、疲労が蓄積します。調剤・監査・服薬指導は集中力が必要な業務なので、安全面からも好ましくありません。
現実的には、次のようなルールを作るとよいでしょう。
- 深夜対応が2時間以上あった場合、翌日の出勤を遅らせる
- 午前休、半休、代休の付与を検討する
- 翌日は一包化監査や麻薬監査など高リスク業務を減らす
- オンコール明けは連続勤務にならないようにする
- 呼び出し回数が多い月はシフトを調整する
オンコール明けの勤務調整は、薬剤師への配慮だけでなく、医療安全対策でもあります。疲労した状態で通常通り監査・投薬をさせる運用は、長期的にはリスクが高くなります。
④ 症例・具体例・実践例
具体例1:電話相談だけで終わるケース
土曜日の21時、施設看護師から「眠前薬を飲ませ忘れたかもしれない。今から飲ませてよいか」と電話があった。
この場合、薬剤師は薬歴や処方内容を確認し、薬剤の種類、最終服用時刻、患者状態、転倒リスク、翌朝への影響などを踏まえて対応します。必要に応じて医師へ確認します。
薬局へ出勤しなくても、電話対応、薬歴確認、記録作成を行っているため、対応時間は労働時間として記録するのが望ましいです。
具体例2:薬局へ出勤して調剤するケース
日曜の18時、往診医から施設入居者に抗菌薬と解熱鎮痛薬の臨時処方が出た。翌朝まで待てないため、薬局で調剤して施設へ届ける必要がある。
この場合は、オンコール当番薬剤師が薬局へ出勤し、処方内容確認、疑義照会、調剤、監査、薬歴記載、施設への情報提供を行います。
この一連の時間は実労働です。待機手当とは別に、実際に働いた時間分の賃金、深夜・休日の割増、交通費などを整理する必要があります。
具体例3:終末期患者の麻薬対応
在宅の終末期患者で疼痛が増悪。医師から夜間に医療用麻薬の処方変更があり、家族と訪問看護師から至急対応を求められた。
このようなケースでは、薬局のオンコール体制が患者さんの苦痛緩和に直結します。一方で、麻薬調剤、金庫管理、記録、搬送、本人・家族への説明など、注意すべき点も多くなります。
終末期・麻薬対応がある薬局では、オンコール当番者を新人だけに任せず、管理薬剤師や経験者へ相談できる二段階体制にしておくと安全です。


実践例:オンコール運用ルールのひな形
薬局でオンコールを始めるなら、最低限、次の項目を文書化しておきましょう。
オンコール運用ルールに入れる項目
- オンコール対象日と時間帯
- 当番者の決め方
- 会社携帯・転送電話の管理方法
- 電話に出られなかった場合の折り返し時間
- 薬局へ出勤する判断基準
- 医師・訪問看護師・施設への連絡手順
- 麻薬、冷所品、鍵、警備の扱い
- 交通費、駐車場代、タクシー代の扱い
- 待機手当、呼出手当、深夜割増の扱い
- 翌日の勤務調整
- 薬歴・報告書・社内記録の残し方
- 事故・ヒヤリハット発生時の報告先
オンコール記録表の例
| 項目 | 記載例 |
|---|---|
| 日時 | 2026年7月10日 22:15〜23:05 |
| 連絡者 | 〇〇施設 看護師 |
| 患者 | A様 |
| 相談内容 | 発熱時頓服の使用可否 |
| 対応内容 | 薬歴確認、医師へ確認、施設へ回答 |
| 出動有無 | なし |
| 労働時間 | 50分 |
| 申し送り | 翌営業日に処方医へ経過確認 |
管理薬剤師・薬局長が気をつけること
管理薬剤師や薬局長がやりがちな失敗は、「自分が持った方が早い」と考えて、オンコールを全部抱え込むことです。
短期的にはそれで回るかもしれません。しかし、長期的には疲弊、家庭不和、退職、医療事故リスクにつながります。
オンコールを継続するなら、次のような体制にしましょう。
- 当番を複数人で回す
- 新人には必ず相談役をつける
- 出動基準を明文化する
- 対応後の記録を標準化する
- 月ごとの件数を集計する
- 手当と実労働時間を分けて管理する
- 負担が偏っている人を見える化する
管理薬剤師としての責任、店舗運営、在宅・人員管理を体系的に確認したい方は、拙著『はじめての管理薬剤師完全ガイド』も参考にしてください。
『はじめての管理薬剤師完全ガイド』Kindle版はこちら
⑤ まとめ:オンコールは「必要性」と「労務設計」をセットで考える



調剤薬局におけるオンコールは、すべての薬局に必須ではありません。
しかし、在宅医療、施設調剤、終末期対応、地域輪番、24時間対応を行う薬局では、現実的に必要性が高くなります。
一方で、オンコールは薬剤師の生活を制限します。電話が鳴らなくても、飲酒や遠出ができず、スマホを気にし続ける負担があります。そのため、待機手当を設定することには合理性があります。
さらに、実際に電話対応、薬歴確認、医師連絡、調剤、配達、訪問を行った場合は、待機手当とは別に、実労働として扱う必要があります。
この記事の結論
- オンコールは、営業時間外に薬剤師が対応できるようにする仕組み
- 外来中心薬局では必須とは限らない
- 在宅・施設・終末期・麻薬対応がある薬局では必要性が高い
- 待機手当は生活制限への補償として考える
- 呼び出しや電話対応が発生した時間は、実労働として記録する
- 深夜対応後の翌日勤務も調整した方が安全
- 管理薬剤師だけに負担を集中させない
- 出動基準、手当、記録、相談体制を文書化する
オンコール手当の最終整理
| 項目 | おすすめの考え方 |
|---|---|
| 待機手当 | 電話が鳴らなくても支給する |
| 電話対応 | 対応時間を記録し、労働時間として扱う |
| 薬局出勤 | 調剤・監査・記録・移動の扱いを明確化する |
| 深夜対応 | 深夜割増、翌日勤務調整を確認する |
| 休日対応 | 休日労働、代休、振替休日の扱いを就業規則で整理する |
オンコールを始める前の最終チェックリスト
- オンコールの対象患者・施設は明確か
- 対応時間帯は明確か
- 誰が当番か、いつ確認できるか
- 会社携帯・転送電話の管理方法は決まっているか
- 電話対応だけでよいケースと出動すべきケースが分かれているか
- 医師・看護師・施設との連絡ルールがあるか
- 待機手当の金額が決まっているか
- 呼び出し時の賃金・交通費が決まっているか
- 深夜対応後の翌日勤務調整があるか
- オンコール記録表があるか
- 管理薬剤師だけに負担が集中していないか
- 労務面で不安がある場合、社労士等に確認しているか
⑥ よくある質問
Q1. 調剤薬局にオンコールは必ず必要ですか?
必ず必要とは限りません。外来中心で在宅や施設対応がない薬局では、オンコールの必要性は高くない場合があります。一方、在宅患者、施設調剤、終末期、麻薬対応、地域輪番、24時間対応を行う薬局では、必要性が高くなります。
Q2. オンコール中に電話が鳴らなければ手当なしでよいですか?
法律上一律の金額が決まっているわけではありませんが、電話が鳴らなくても当番者は生活を制限されています。そのため、待機手当を支給する設計が望ましいです。特に、飲酒不可、遠出不可、短時間での折り返し義務などがある場合は、手当なしでは不満が出やすくなります。
Q3. オンコール手当はいくらが妥当ですか?
法定相場はありません。実務上は、平日夜で1,000〜4,000円程度、休日で3,000〜10,000円程度を目安に、拘束度や呼び出し頻度に応じて設計すると考えやすいです。ただし、これは一般的な制度設計の目安であり、就業規則や地域の賃金水準を踏まえて決める必要があります。
Q4. 呼び出された場合、待機手当だけでよいですか?
おすすめしません。電話対応、薬歴確認、医師連絡、調剤、配達、訪問などを行った時間は、実労働として記録し、待機手当とは別に賃金を支払う設計が望ましいです。
Q5. 深夜に薬局へ呼び出された場合、翌日は通常通り勤務ですか?
制度上の扱いは就業規則や勤務実態によりますが、医療安全の観点からは、深夜対応後に通常通りフル勤務させる運用は慎重に考えるべきです。出勤時間を遅らせる、半休にする、高リスク業務を避けるなどの調整が望ましいです。
Q6. 管理薬剤師がオンコールを全部持つべきですか?
管理薬剤師だけが全部持つ運用は避けた方がよいです。短期的には回っても、長期的には疲弊や退職リスクが高まります。複数人で当番制にし、新人には相談役をつけるなど、組織として対応する仕組みが必要です。
Q7. オンコール中の待機時間はすべて労働時間ですか?
一律には決まりません。呼び出し頻度、到着義務、待機中の行動制限などを踏まえて個別に判断されます。ただし、実際に電話対応や調剤などをした時間は労働時間として扱う必要があります【1】。
Q8. 自宅オンコールと宿直は同じですか?
同じではありません。自宅で電話を持つオンコール、薬局内で待機する宿直・日直、休日当番は分けて考える必要があります。宿日直許可がある場合でも、通常勤務と同じ業務が発生した時間は労働時間として扱う必要があります【5】。
Q9. オンコールを導入するとき、最初に決めるべきことは何ですか?
最初に決めるべきなのは、対象患者、対応時間、当番者、出動基準、手当、実労働時間の記録方法、翌日の勤務調整です。特に手当と勤務扱いを曖昧にすると、後からトラブルになりやすいです。
Q10. オンコールがつらい場合、どうすればよいですか?
まずは、対応件数、拘束時間、呼び出し頻度、睡眠への影響を記録しましょう。そのうえで、管理者や会社に当番制、手当、翌日勤務調整を相談します。個人の我慢で続けるのではなく、仕組みとして改善することが大切です。
⑦ 参考文献
- 厚生労働省「医師の働き方改革に関する資料:オンコール待機時間の考え方」
https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000872077.pdf
最終確認日:2026年7月13日 - 厚生労働省「医療情報ネット|薬局を色々な条件で探す」
https://www.iryou.teikyouseido.mhlw.go.jp/znk-web/juminkanja/S2350/initialize
最終確認日:2026年7月13日 - 東北厚生局「在宅患者訪問薬剤管理指導に係る届出」
https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/tohoku/shinsei/shido_kansa/zaitaku/index.html
最終確認日:2026年7月13日 - 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】」
https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001684593.pdf
最終確認日:2026年7月13日 - 厚生労働省「医療機関における宿日直許可 〜申請の前に〜」
https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001128680.pdf
最終確認日:2026年7月13日 - 日本薬剤師会「日本薬剤師会オフィシャルWebサイト」
https://www.nichiyaku.or.jp/
最終確認日:2026年7月13日


コメント