

調剤業務の中でも、特に注意が必要なのが「計量混合調剤加算」に関する記録です。
薬剤を正確に量り取り、混合する作業は、単なる自動分包では代替できない薬剤師の専門的な業務として評価されています。
しかし、実際には「加算を請求したのに査定された」「審査で返戻になった」といったトラブルも少なくありません。
その背景には、記録の不備や算定基準の誤解があることが多いのです。
本記事では、現在の制度に基づく計量混合加算の正しい理解と、実務で査定を避けるための具体的なポイントを、症例も交えてわかりやすく解説します。
計量混合調剤加算ってどんな加算?
計量混合調剤加算とは、複数の医薬品を薬剤師が自ら計量し、混合して最終製剤を調製した場合に算定できる加算です。
これは、単に一包化するのとは異なり、手作業での秤量・混合操作が行われることで、専門性の高い調剤行為として評価されます。
対象となる剤形は主に以下の3種類です。
- 液剤(シロップ・懸濁液など)
- 散剤・顆粒剤(ドライシロップや粉薬など)
- 軟膏・硬膏剤(保湿剤+ステロイドなど)
2025年(令和7年)時点での加算点数は以下の通りです。
剤形 | 点数 |
---|---|
液剤 | 35点 |
散剤・顆粒剤 | 45点 |
軟膏・硬膏剤 | 80点 |

計量混合調剤加算が認められる具体的な要件は?
加算が認められるには、単に混ぜただけでは不十分です。以下の条件を満たす必要があります。
- 2種類以上の薬剤を計量し、自ら混合調製すること
- 最終的に特定の剤形(液剤、散剤、軟膏)として完成していること
- 薬価収載品と同一剤形・規格でないこと(供給困難時などを除く)
- 添付文書・IF等で配合変化がないことを確認済であること
- 調剤録に具体的な記録(使用薬剤名、混合方法、理由など)を残していること
予製剤使用時の扱いは?
すでに調剤済の混合薬剤(予製剤)を使用した場合でも、計量混合加算は認められますが、所定点数の20%となります。
剤形 | 通常加算 | 予製剤使用時 |
---|---|---|
液剤 | 35点 | 7点 |
散剤・顆粒剤 | 45点 | 9点 |
軟膏・硬膏剤 | 80点 | 16点 |
よくある算定ミスと査定のポイントは?
以下のようなケースは、審査で査定や返戻対象となる可能性があります。
- 記録に「混合した」とだけ書いている(具体性不足)
- 機械で分包しただけで混合行為が実質ない
- 薬効や剤形が不適切に混ぜられている(配合禁忌など)
- 実際には一包化で済んでいたのに過剰に加算を算定した
査定を防ぐためには、「どの薬を」「なぜ混ぜて」「どうやって調製したか」を明記することが重要です。

軟膏を3種類混合しても加算点数は変わる?
軟膏を3種類混合しても、計量混合調剤加算は1回の調剤につき80点で固定です。
薬剤数に応じて点数が増えるわけではなく、あくまで「1回の混合行為」として評価されます。
たとえば以下のような混合でも、算定は1回分(80点)となります。
- ヒルドイドソフト軟膏+ロコイド軟膏+亜鉛華軟膏
- プロペト+デルモベート+尿素軟膏
混合薬剤数 | 加算回数 | 点数 |
---|---|---|
2剤混合 | 1回 | 80点 |
3剤混合 | 1回 | 80点 |
4剤混合以上 | 1回 | 80点 |

査定されないための記録の工夫
- 混合した薬剤名を正確に記載
- 混合理由(外用指導上の必要性、剤数軽減など)を明記
- 患者への説明を行った旨も記録
こうした記録があることで、審査側にも「必要な混合である」と明確に伝わり、査定を回避しやすくなります。

複数の混合がある場合、それぞれ加算できる?
処方内に複数の混合調剤が含まれている場合、剤形が異なればそれぞれ別個に計量混合調剤加算を算定可能です。
これは、混合の作業がそれぞれ独立して行われるため、調剤の手間と専門性が個別に発生するからです。
例:同一処方で3つの混合を実施したケース
- 散剤混合:ムコダインDS+メプチン配合散
- 液剤混合:アスベリンシロップ+ペリアクチンシロップ
- 軟膏混合:ロコイド軟膏+ヒルドイドソフト+亜鉛華軟膏
剤形 | 加算点数 |
---|---|
散剤 | 45点 |
液剤 | 35点 |
軟膏 | 80点 |
この場合、合計160点(45+35+80)を算定できます。

注意:同一剤形内の複数混合は1回分のみ
たとえば、散剤を「A剤+B剤」と「C剤+D剤」の2つに分けて混合しても、加算は1回分(45点)のみです。これは、同じ剤形内であれば「一連の混合作業」としてまとめて評価されるためです。
記録例のポイント
- 各剤形ごとに混合した薬剤名と混合理由を明記
- 患者ごとの塗布部位や飲みやすさなど、混合が必要な背景を記録
- 剤形ごとに分けて調剤録に記載(例:『軟膏混合:ロコイド+ヒルドイド、乾燥対策のため』『散剤混合:ムコダイン+メプチン、服薬簡素化』)

症例で理解する!計量混合調剤加算の実際
症例1:小児の咳嗽・鼻炎に対する散剤混合
患者:2歳 男児
処方:
アスベリン散10% 0.3g/回
ムコダインDS50% 0.5g/回
ペリアクチン散1% 0.2g/回
分3 毎食後 5日分 一包化希望あり
薬剤師がこの3剤を正確に秤量・混合し、1包化して調剤した場合、計量混合調剤加算(45点/散剤)を1回算定できます。
記録例:
アスベリン散・ムコダインDS・ペリアクチン散を1包化混合調製。2歳児で粉薬の服用困難があり、患者家族からの依頼と医師の指示に基づき一包化調剤とした。安定性・薬効上問題なし。調剤済。

症例2:成人アトピー性皮膚炎に対する軟膏混合
患者:28歳 女性
処方:
ロコイド軟膏+ヒルドイドソフト+亜鉛華軟膏
1日2回塗布 30gチューブ換算で調製指示あり
この3剤を秤量し、均一に混合・軟膏容器に充填した場合、軟膏混合として80点を算定可能です。
記録例:
アトピー性皮膚炎に対し、ロコイド軟膏・ヒルドイド・亜鉛華軟膏を混合調製。ステロイドと保湿剤・収斂作用を併用。部位は頸部~上肢、混合理由は塗布簡便化。混合後、安定性・分離なしを確認済。

症例3:ドライシロップと液剤の混合(液剤換算)
患者:5歳 男児
処方:
ムコダインDS(溶解調製)+アスベリンシロップを混合投与指示あり
この場合、最終的に液剤として仕上げた場合は「液剤35点」として加算算定可能です。
記録例:
医師指示により、ムコダインDSを溶解・アスベリンシロップと混合調製。液状化後均一性確認済。混合後冷蔵保存指導。配合安定性は添付文書およびIFにて確認済。
まとめ
計量混合調剤加算は、薬剤師の専門的な技術と判断が求められる調剤行為に対して評価される重要な加算です。液剤・散剤・軟膏など、剤形ごとの混合作業に対して明確な点数が設定されており、正しい知識と記録によって査定を防ぐことが可能です。
- 点数は剤形ごとに異なり、液剤35点/散剤45点/軟膏80点
- 予製剤を使った場合はそれぞれ20%の点数に
- 混合が複数あっても、剤形が異なればそれぞれ算定可能
- 同一剤形の混合は1調剤あたり1回の算定
- 調剤録への具体的な記録が査定回避の鍵
混合理由や薬効の整合性、患者の服薬状況までを丁寧に記録することで、審査側にも調剤の妥当性が伝わります。今後も制度の変更に対応しつつ、調剤業務の質と正確な報酬請求の両立を目指しましょう。

クイズでチェック!計量混合調剤加算の理解度
第1問:計量混合加算の点数で正しいのはどれ?
- A. 散剤は35点、液剤は45点、軟膏は80点
- B. 散剤は45点、液剤は35点、軟膏は80点
- C. 全部一律60点
- D. 混合する薬剤数によって点数が変わる
正解:B
散剤は45点、液剤は35点、軟膏は80点が正解です。2025年の改定以降、剤形ごとの評価に変更されました。
第2問:次のうち、加算対象にならないケースは?
- A. 散剤を2種類混合して1包化した
- B. ロコイドとヒルドイドを混合して容器に詰めた
- C. 錠剤を粉砕せず、そのまま袋に一緒に入れた
- D. アスベリンとムコダインを液剤として混合
正解:C
錠剤を袋にまとめて入れるだけでは「混合」とは見なされません。計量や混合操作が伴っていないため、加算の対象外です。
第3問:予製剤を使用した場合、どうなる?
- A. 加算できない
- B. 通常の点数で加算できる
- C. 点数が半分になる
- D. 所定点数の1/5になる
正解:D
予製剤(あらかじめ調製済の混合薬剤)を使用した場合は、所定点数の20%相当(1/5)になります。例えば、軟膏なら16点になります。
よくある質問
計量混合調剤加算は1日分ごとに算定できますか?
いいえ、1日分ごとではなく、1調剤ごとに1回の算定です。たとえ5日分や7日分であっても、加算点数は1回分の45点(散剤)や80点(軟膏)などで固定です。
混合薬剤が3種類以上あっても加算点数は増えますか?
いいえ、混合薬剤の数に関係なく1調剤につき1回の加算です。薬剤数が多くても、同じ剤形の中であれば点数は固定です。
散剤と軟膏を1処方内で混合した場合、それぞれ算定できますか?
はい、剤形が異なれば、それぞれの加算を個別に算定可能です(例:散剤混合45点+軟膏混合80点)。
予製剤を使ったときの点数は?
予製剤(調製済の混合剤)を使用した場合は、所定点数の1/5になります。
例:軟膏80点 → 16点、散剤45点 → 9点
記録に何を書けば査定を避けられますか?
最低限、以下の内容を調剤録に記載すると良いです:
- 混合した薬剤名
- 混合の理由(例:服薬アドヒアランス向上、部位別指示など)
- 混合方法(容器に混和、秤量済など)
- 配合変化の確認や安定性の記録
添付文書で「配合不適」となっている薬剤は混合してもよい?
基本的には避けるべきです。配合変化・不安定性が示されている場合は、調剤過誤のリスクが高くなります。調剤しなければならない事情がある場合は、必ず医師確認と記録を残しましょう。
参考文献
- 日本薬剤師会|調剤報酬点数表(令和7年4月1日版)
- 管理薬剤師ドット・コム|加算詳細解説:計量混合調剤加算
- カカリ|調剤報酬百科:計量混合調剤加算
- m3薬剤師|2025年度 調剤報酬改定での計量混合加算の変更点


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