労災処方箋はどこの薬局でも受けられる?指定薬局・様式5号・16号の3を薬局実務で解説


この記事の結論
労災処方箋は、薬局実務ではまず「労災指定薬局かどうか」を確認します。
- 労災指定薬局:原則、患者さんの窓口負担なしで労災として調剤できる
- 労災指定ではない薬局:いったん患者さんが立替払いし、後日請求になることがある
- 仕事中のけが:原則として様式第5号
- 通勤中のけが:原則として様式第16号の3
- 薬局で「費用の支給」を請求する場合:様式第7号(2)または様式第16号の5(2)が関係する
新人薬剤師・調剤事務さんは、まず「仕事中か通勤中か」「指定薬局か」「書類があるか」の3点で整理すると対応しやすくなります。
- 前書き:労災処方箋は、普通の保険処方箋と何が違う?
- まず結論:労災処方箋はどこの薬局でも受けられる?
- 労災指定薬局とは?
- 「療養の給付」と「療養の費用の支給」の違い
- 様式第5号と様式第16号の3の違い
- 薬局で最初に確認する3つのこと
- 薬局受付での具体的な流れ
- 様式第5号はどんなときに使う?
- 様式第16号の3はどんなときに使う?
- 様式第7号(2)と第16号の5(2)は何?
- 労災処方箋でやってはいけない対応
- 患者さんへの説明例
- 薬剤師が見るべき処方内容のポイント
- 事務さんが見るべき受付・請求のポイント
- レセコン入力で迷いやすいポイント
- 症例・実践例で理解する労災処方箋対応
- 新人薬剤師・事務さん向けチェックリスト
- 管理薬剤師・薬局長が整えておきたい院内ルール
- まとめ
- よくある質問
- 参考文献
前書き:労災処方箋は、普通の保険処方箋と何が違う?
薬局で働き始めたばかりの新人薬剤師さんや調剤事務さんにとって、労災処方箋はかなり戸惑いやすい分野です。
通常の健康保険の処方箋であれば、保険証やマイナ保険証、公費、負担割合、処方内容を確認して調剤へ進む流れが多いと思います。
しかし、労災処方箋では少し考え方が変わります。労災保険は、業務上または通勤による負傷・疾病などに対して必要な保険給付を行う制度であり、健康保険とは別の仕組みです。労災保険給付の請求は、所轄の労働基準監督署長あてに行う形になります。【1】



まず結論:労災処方箋はどこの薬局でも受けられる?
結論は、次のように分けて理解するとわかりやすいです。
| 薬局の種類 | 患者さんの支払い | 薬局実務のイメージ |
|---|---|---|
| 労災保険指定薬局 | 原則、窓口負担なし | 必要書類を確認し、労災として薬剤費請求を行う |
| 労災指定ではない薬局 | いったん全額立替払いになることがある | 患者さんが後日、療養の費用として請求する流れになることがある |
厚生労働省・労働局資料では、労災の療養には「療養の給付」と「療養の費用の支給」があると整理されています。労災病院や労災保険指定医療機関・薬局などで受けるものが「療養の給付」で、指定医療機関等で無料で治療や薬剤の支給を受けられる現物給付です。一方、近くに指定医療機関等がないなどの理由で指定医療機関等以外を利用した場合は、費用をいったん支払い、後で請求する「療養の費用の支給」が関係します。【2】【3】
新人さん向けの超ざっくり理解
労災指定薬局なら、患者さんは原則としてその場でお金を払わずに薬を受け取れます。
労災指定ではない薬局では、患者さんがいったん薬代を支払い、後から労基署へ請求する形になることがあります。
つまり、薬局実務での第一声は「当薬局が労災指定薬局かどうか」を確認することです。
あわせて読みたい:調剤薬局で労災対応をマスター!実務ガイドとQ&A
労災指定薬局とは?
労災指定薬局とは、労災保険の薬剤給付を取り扱う薬局として、都道府県労働局に指定された薬局のことです。
労働局の指定薬局向け資料では、薬剤の療養の給付は労災保険指定薬局で行われ、傷病労働者は自ら費用を負担することなく、政府が必要と認める範囲内で薬剤の支給を受けると説明されています。【3】


「療養の給付」と「療養の費用の支給」の違い
ここは労災処方箋対応の土台です。
| 区分 | 意味 | 薬局でのイメージ |
|---|---|---|
| 療養の給付 | 労災指定医療機関・指定薬局などで、原則無料で治療や薬剤の支給を受ける | 労災指定薬局で、必要書類を受け取り、薬局が薬剤費を請求する |
| 療養の費用の支給 | 指定医療機関等以外で療養を受けた場合などに、いったん支払った費用を後から請求する | 患者さんが薬代を立て替え、後日、労基署へ請求する流れになることがある |
薬局で初心者が混乱しやすいのは、「労災=必ず窓口負担ゼロ」と覚えてしまうことです。正しくは、労災指定薬局で療養の給付として扱える場合は、原則として窓口負担なしと理解しましょう。
注意
患者さんが「労災です」と言っていても、薬局が勝手に労災認定するわけではありません。労災かどうかの判断は、最終的には労働基準監督署長が行います。薬局では、患者さんの申出、処方箋、必要書類、事業場情報などを確認し、実務上の請求区分を整理します。
様式第5号と様式第16号の3の違い
労災処方箋で最初に覚えたい書類が、様式第5号と様式第16号の3です。
厚生労働省の主要様式ダウンロードコーナーでは、療養の給付関係として、業務災害用・複数業務要因災害用の様式第5号、通勤災害用の様式第16号の3が掲載されています。【4】
| 様式 | 使う場面 | 新人向けの覚え方 |
|---|---|---|
| 様式第5号 | 業務災害、複数業務要因災害で療養の給付を受けるとき | 仕事中・仕事が原因なら5号 |
| 様式第16号の3 | 通勤災害で療養の給付を受けるとき | 通勤中なら16号の3 |


薬局で最初に確認する3つのこと
労災処方箋が来たら、まず次の3つを確認します。
労災処方箋の初動チェック
- 当薬局は労災指定薬局か
- 患者さんのけが・病気は「仕事中」か「通勤中」か
- 様式第5号または様式第16号の3など、必要書類があるか
この3つを確認せずに、いきなり「労災ですね。お会計なしです」と案内してしまうと、後で書類不備や請求区分の誤りにつながることがあります。
特に新人さんは、患者さんの言葉だけで判断せず、管理薬剤師や先輩事務さんに早めに確認しましょう。
関連記事:リフィル処方箋とは?薬剤師が見るべき5つの実務ポイントを解説
薬局受付での具体的な流れ
ここからは、実際に患者さんが労災処方箋を持ってきた場面を想定して、薬局実務の流れを見ていきます。


ステップ1:処方箋の内容を確認する
まずは通常の処方箋と同じように、処方箋そのものを確認します。
- 処方箋の交付日
- 患者氏名、生年月日
- 医療機関名、医師名
- 薬品名、用法用量、日数
- 疑義照会が必要な点の有無
- 備考欄などに「労災」「労」などの記載があるか
処方箋に労災と書かれていても、それだけで薬局の請求処理が完了するわけではありません。労災の書類確認が別に必要です。
ステップ2:患者さんへ確認する
次に、患者さんへやさしく確認します。
受付での声かけ例
「こちらは労災でのお薬ということでよろしいでしょうか?」
「おけがは、お仕事中のものですか?それとも通勤中のものですか?」
「会社様から労災の書類、様式第5号や第16号の3などはお預かりされていますか?」
「病院では労災として手続きされていますか?」
患者さんは、労災制度に詳しくないことがほとんどです。「5号を持っていますか?」といきなり聞いても伝わらないことがあります。
そのため、初心者のうちは「仕事中のけがですか?通勤中ですか?会社から紙をもらっていますか?」という言い方の方が伝わりやすいです。
ステップ3:自局が労災指定薬局か確認する
自局が労災指定薬局であれば、療養の給付として処理できる可能性があります。
労災指定薬局では、医師が交付した処方箋に基づいて調剤し、薬剤の支給に関する費用は薬剤費請求書等により、毎月分を原則として翌月10日までに所轄労働局長へ請求することが示されています。【5】
一方、自局が労災指定薬局でない場合は、患者さんに「労災指定薬局であれば窓口負担なしで対応できる可能性があること」「当薬局で調剤する場合は立替払いとなり、後日請求になる可能性があること」を説明します。
注意:新人さんが勝手に判断しない
労災指定薬局ではない場合の患者負担、返金対応、後日書類提出時の扱いは、薬局ごとの運用や労働局・労基署への確認が必要になることがあります。新人薬剤師・事務さんは、必ず管理薬剤師や責任者へ確認しましょう。
様式第5号はどんなときに使う?
様式第5号は、正式には「療養補償給付及び複数事業労働者療養給付たる療養の給付請求書」です。初心者向けには、仕事中・業務が原因のけがや病気で、労災指定医療機関や労災指定薬局を利用するときの書類と理解するとよいです。
たとえば、次のようなケースです。
- 工場で作業中に手を切った
- 倉庫で荷物を運んでいて腰を痛めた
- 店舗のバックヤードで転倒した
- 業務中に薬品や器具でけがをした
このような「仕事中」「業務が原因」と考えられるケースでは、薬局受付では様式第5号が関係する可能性があります。
様式第16号の3はどんなときに使う?
様式第16号の3は、正式には「療養給付たる療養の給付請求書」です。初心者向けには、通勤中のけがや病気で、労災指定医療機関や労災指定薬局を利用するときの書類と理解するとよいです。
たとえば、次のようなケースです。
- 出勤途中に駅の階段で転倒した
- 通勤中に自転車で転倒した
- 帰宅途中に交通事故にあった
- 通勤経路上でけがをした
ただし、通勤災害に該当するかどうかは、単に「家と職場の間で起きた」だけでは判断できません。経路や逸脱・中断などが問題になることもあります。薬局では認定判断をせず、患者さんの申出と書類を確認し、不明点は労基署や勤務先への確認を促します。
様式第7号(2)と第16号の5(2)は何?
労災処方箋の話では、様式第5号と第16号の3だけでなく、様式第7号(2)と様式第16号の5(2)も出てきます。
厚生労働省の資料では、療養の費用を請求する場合、業務災害等では様式第7号、通勤災害では様式第16号の5を提出し、薬局から薬剤の支給を受けた場合には様式第7号(2)または様式第16号の5(2)を提出すると説明されています。【6】
| 様式 | 使う場面 | 薬局でのイメージ |
|---|---|---|
| 様式第7号(2) | 業務災害等で薬剤費を療養の費用として請求する場合 | 患者さんが立て替えた薬剤費を後日請求する場面で関係 |
| 様式第16号の5(2) | 通勤災害で薬剤費を療養の費用として請求する場合 | 通勤災害で立替払いした薬剤費を後日請求する場面で関係 |


労災処方箋でやってはいけない対応
労災処方箋では、良かれと思って行った対応が、後でトラブルになることがあります。新人さんは次の対応を避けましょう。
NG対応リスト
- 患者さんの「労災です」という一言だけで窓口負担なしにする
- 自局が労災指定薬局か確認しない
- 仕事中か通勤中か確認しない
- 様式第5号と第16号の3を混同する
- 労災か健康保険か不明なのに、自己判断で保険請求する
- 書類不備を放置したまま請求に回す
- 患者さんに「絶対に労災になります」と説明する
薬局は労災認定を行う機関ではありません。薬局の役割は、処方箋に基づく適切な調剤、服薬指導、必要書類の確認、請求実務の整理です。
患者さんへの説明例
新人さんや事務さんが困りやすいのが、患者さんへの説明です。難しい制度用語をそのまま伝えると、患者さんも混乱します。
労災指定薬局で、書類がある場合
「こちらは労災としてのお薬ですね。書類も確認できましたので、本日は労災で受付いたします。処方内容を確認して、通常のお薬と同じように安全確認をしてからお渡しします。」
労災指定薬局だが、書類がまだない場合
「労災としての受付には、会社様からの書類が必要になる場合があります。お薬は処方箋期限もありますので、対応方法を確認いたします。会社様または病院様から、様式第5号や第16号の3の案内はありましたか?」
自局が労災指定薬局ではない場合
「当薬局は労災指定薬局ではないため、労災として窓口負担なしでのお渡しができない可能性があります。当薬局で調剤する場合は、いったんお支払いいただき、後日請求の手続きが必要になることがあります。窓口負担なしでの対応をご希望の場合は、労災指定薬局をご利用いただく方法もあります。」
このとき、患者さんを突き放す言い方にならないよう注意しましょう。労災でけがをした患者さんは、痛みや不安を抱えて来局しています。制度説明は丁寧に、ただし断定しすぎず行うことが大切です。
あわせて読みたい:調剤薬局の個別指導は何種類?選定基準・準備・よくある指摘
薬剤師が見るべき処方内容のポイント
労災処方箋でも、薬剤師として見るべき基本は通常の処方箋と同じです。
- 用法用量は適切か
- 重複投薬はないか
- 併用禁忌・併用注意はないか
- アレルギー歴はないか
- 腎機能・肝機能に応じた注意が必要か
- 眠気やふらつきが仕事や運転に影響しないか
- 外用薬の使用部位や使用回数が患者さんに伝わるか
労災だからといって、薬学的確認が簡略化されるわけではありません。むしろ、けが直後で痛みが強い、鎮痛薬や湿布薬が重複しやすい、仕事復帰や運転への影響を確認する必要があるなど、薬剤師の確認が重要になる場面も多いです。
服薬指導で確認したいこと
- いつ、どこで、どのようにけがをしたか
- 痛みの程度
- 仕事に戻る予定があるか
- 車の運転や機械作業があるか
- 眠気の出る薬が処方されていないか
- 湿布薬・鎮痛薬の重複がないか
- 胃薬や便秘薬など副作用対策が必要か
事務さんが見るべき受付・請求のポイント
調剤事務さんは、労災処方箋でとても重要な役割を担います。薬剤師が処方内容を見る一方で、事務さんは受付情報と請求情報を整えます。
| 確認項目 | 見る理由 |
|---|---|
| 労災指定薬局か | 窓口負担なしで扱えるかに関係する |
| 仕事中か通勤中か | 様式第5号か第16号の3かの判断材料になる |
| 事業場情報 | 請求書類やレセコン入力に必要 |
| 負傷年月日 | 労災の傷病と処方内容の確認に関係する |
| 書類の原本・写しの扱い | 薬局内ルールに従い、請求時の不備を防ぐ |
労働局資料では、初回薬剤費請求書の提出には様式第5号等の原本が必要と案内しているものもあります。地域や運用により確認が必要な場合があるため、自局の労働局・労基署の案内、薬局内マニュアル、レセコン会社の運用資料も確認しましょう。【7】
レセコン入力で迷いやすいポイント
レセコンの操作方法はメーカーや薬局の設定によって異なりますが、考え方としては次の点を確認します。
- 保険区分を労災にする
- 労災番号・事業場情報を入力する
- 業務災害か通勤災害かを確認する
- 労災指定薬局として請求するのか、患者立替扱いかを整理する
- 書類未提出の場合の仮登録ルールを確認する
- 後日書類が届いた場合の差し替え・返金ルールを確認する
ここは薬局ごとの運用差が大きいところです。新人さんは、自分だけで判断せず、必ず店舗責任者や医療事務リーダーに確認しましょう。
症例・実践例で理解する労災処方箋対応


ケース1:仕事中に手を切った患者さん
状況
飲食店で勤務中、包丁で指を切った。病院で処置を受け、抗菌薬と鎮痛薬が処方された。患者さんは「会社から労災になると言われました」と話している。
このケースは、仕事中のけがなので、業務災害として様式第5号が関係する可能性があります。
薬局での確認は次の通りです。
- 当薬局が労災指定薬局か確認
- 患者さんが様式第5号を持っているか確認
- 病院でも労災として扱っているか確認
- 書類がなければ、会社からの提出予定を確認
- 抗菌薬・鎮痛薬の服薬指導を通常通り実施
服薬指導では、抗菌薬の飲み切り、鎮痛薬の服用間隔、副作用、傷の悪化時の受診目安を確認します。仕事復帰が近い場合は、眠気やふらつきが出る薬の有無も確認しましょう。
ケース2:通勤中に自転車で転倒した患者さん
状況
出勤途中、自転車で転倒して膝を負傷。整形外科で湿布薬と鎮痛薬が処方された。患者さんは「通勤中だから労災になると思う」と話している。
このケースは、通勤災害として様式第16号の3が関係する可能性があります。
ただし、薬局では通勤災害に該当するかを断定しません。通勤経路、寄り道、逸脱・中断などの判断は制度上の確認が必要になるため、患者さんには勤務先や労基署への確認を案内します。
薬局での実務ポイントは次の通りです。
- 「通勤中のおけがですね」と確認する
- 様式第16号の3の有無を確認する
- 労災指定薬局として扱えるか確認する
- 湿布薬の枚数、貼付部位、かぶれの注意を説明する
- 鎮痛薬の重複、胃部不快感、眠気を確認する
ケース3:書類がまだない患者さん
状況
患者さんが「会社があとで書類を出すと言っています」と話している。処方箋には労災と手書きで記載があるが、様式第5号や第16号の3は持参していない。
このケースは薬局で非常によくあります。
対応のポイントは、薬局内の運用ルールに従うことです。書類が後日提出される前提で仮受付する薬局もあれば、いったん自費で預かり、書類確認後に返金する薬局もあります。どちらが正しいというより、労働局・労基署の運用、自局の請求ルール、レセコン処理、管理薬剤師の判断を合わせることが重要です。
実務メモ
書類がない場合は、患者さんに「後日で大丈夫です」と安易に言い切らず、薬局内で確認してから案内しましょう。請求に必要な情報が不足していると、後から患者さん・会社・薬局の三者で確認が必要になり、手間が増えます。
ケース4:労災指定薬局ではない薬局に来た患者さん
状況
患者さんが労災処方箋を持参。しかし、その薬局は労災指定薬局ではない。
この場合、患者さんが窓口負担なしで薬を受け取れるとは限りません。指定薬局以外で薬剤の支給を受けた場合、患者さんがいったん費用を立て替え、後日、療養の費用として請求する流れになることがあります。労働局資料でも、療養の費用の支給は、傷病労働者が薬剤の支給を受けるために要した費用をいったん立替払いし、その費用相当額を労働基準監督署へ請求するものとされています。【3】
患者さんには、次のように説明します。
「当薬局は労災指定薬局ではないため、労災として窓口負担なしで対応できない可能性があります。お急ぎでなければ、労災指定薬局を確認していただく方法があります。当薬局で調剤する場合は、いったんお支払いが必要になり、後日請求の手続きになることがあります。」
新人薬剤師・事務さん向けチェックリスト
労災処方箋チェックリスト
- □ 処方箋に労災の記載があるか確認した
- □ 患者さんに仕事中か通勤中か確認した
- □ 自局が労災指定薬局か確認した
- □ 様式第5号または第16号の3の有無を確認した
- □ 書類がない場合の薬局内ルールを確認した
- □ レセコンの保険区分を確認した
- □ 薬剤師が通常通り処方監査した
- □ 服薬指導で仕事復帰・運転・眠気などを確認した
- □ 不明点は管理薬剤師や責任者に相談した
- □ 患者さんに断定しすぎない説明をした
管理薬剤師・薬局長が整えておきたい院内ルール
労災処方箋は、頻度が多くない薬局ほど、来局時に慌てやすいです。そのため、管理薬剤師や薬局長は、あらかじめ簡単な店舗ルールを作っておくと現場が安定します。
- 自局が労災指定薬局かをスタッフ全員が知っている
- 様式第5号、第16号の3、第7号(2)、第16号の5(2)の違いを一覧にしておく
- 書類未提出時の仮受付・預かり金・返金ルールを決めておく
- 労災のレセコン入力マニュアルを作る
- 労基署や労働局への確認先を掲示しておく
- 新人用の受付トーク例を用意しておく
- 労災処方箋対応後に、請求漏れがないか月次確認する
薬局の制度対応や請求実務は、売上・未収金・請求漏れにも関係します。数字や管理の基礎から学びたい方は、こちらも参考にしてください。
関連記事:薬剤師に計数管理が必要な理由|超初心者向けにやさしく解説
まとめ


労災処方箋は、どこの薬局でもまったく同じように窓口負担なしで受けられるわけではありません。
労災指定薬局であれば、必要書類を確認したうえで、原則として患者さんの窓口負担なしで薬剤の支給を行うことができます。一方、労災指定ではない薬局では、患者さんがいったん費用を立て替え、後日、療養の費用として請求する流れになることがあります。
薬局実務では、様式第5号と第16号の3の違いをまず押さえましょう。
- 様式第5号:仕事中・業務が原因のけがや病気で使うことが多い
- 様式第16号の3:通勤中のけがや病気で使うことが多い
- 様式第7号(2):業務災害等で薬剤費を後日請求する場合に関係
- 様式第16号の5(2):通勤災害で薬剤費を後日請求する場合に関係
新人薬剤師・調剤事務さんは、最初から完璧に制度を暗記する必要はありません。まずは、患者さんを待たせすぎず、しかし安易に断定せず、管理薬剤師や責任者へつなぐことが大切です。
労災処方箋対応は、患者さんの不安を減らし、薬局の請求ミスを防ぐための大切な実務です。今回のチェックリストを店舗マニュアルにして、スタッフ全員で共有しておきましょう。

よくある質問
Q1. 労災処方箋はどこの薬局でも窓口負担なしで受けられますか?
いいえ。窓口負担なしで労災として扱えるかは、その薬局が労災保険指定薬局かどうかが重要です。労災指定薬局であれば、必要書類を確認したうえで療養の給付として扱える可能性があります。指定薬局でない場合は、いったん患者さんが費用を立て替え、後日請求になることがあります。
Q2. 様式第5号と第16号の3の違いは何ですか?
様式第5号は、仕事中・業務が原因のけがや病気で療養の給付を受ける場合に使われる書類です。様式第16号の3は、通勤中のけがや病気で療養の給付を受ける場合に使われる書類です。薬局では「仕事中か」「通勤中か」を確認すると整理しやすくなります。
Q3. 患者さんが労災の書類を持っていない場合はどうしますか?
薬局内の運用ルールに従います。書類を後日提出してもらう、いったん自費や預かり金で対応する、勤務先や労基署へ確認してもらうなど、薬局ごとに運用が異なることがあります。新人さんは自己判断せず、管理薬剤師や責任者へ確認しましょう。
Q4. 労災か健康保険か迷う場合はどうすればよいですか?
薬局だけで労災認定を判断しないことが大切です。患者さんの申出、処方箋、会社からの書類、病院での扱いを確認し、不明点は勤務先や所轄の労働基準監督署への確認を案内します。健康保険で処理してよいかも含め、薬局内で責任者に相談しましょう。
Q5. 労災処方箋でも薬剤師の服薬指導は必要ですか?
もちろん必要です。労災であっても、処方監査、疑義照会、服薬指導、副作用確認は通常通り必要です。特に鎮痛薬、湿布薬、筋弛緩薬、抗菌薬などは、重複、眠気、胃腸障害、仕事復帰や運転への影響を確認しましょう。
Q6. 労災指定薬局では薬剤費をどのように請求しますか?
労災指定薬局は、薬剤の支給に関する費用について、薬剤費請求書等により請求します。労働局資料では、毎月分を翌月10日までに所轄労働局長へ請求する旨が示されています。実際の提出方法や必要書類は、地域の労働局資料や自局の運用を確認しましょう。
Q7. 患者さんに「労災になります」と言い切ってもよいですか?
避けた方が安全です。労災に該当するかどうかは、最終的には労働基準監督署長が判断します。薬局では「労災として手続きされる予定ですね」「必要書類を確認します」「最終的な判断は労基署になります」といった説明が無難です。
参考文献
- 厚生労働省|労働災害が発生したとき(最終確認日:2026年7月10日)
- 長崎労働局|指定薬局の手引(最終確認日:2026年7月10日)
- 鳥取労働局|労災保険指定薬局事務必携(最終確認日:2026年7月10日)
- 厚生労働省|主要様式ダウンロードコーナー(労災保険給付関係主要様式)(最終確認日:2026年7月10日)
- 岡山労働局|労災保険診療テキスト 指定薬局関係(最終確認日:2026年7月10日)
- 厚生労働省|療養(補償)等給付の請求手続(最終確認日:2026年7月10日)
- 香川労働局|初回薬剤費請求書の提出には様式第5号等の原本が必要です(最終確認日:2026年7月10日)


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