
ねえ、なぎさちゃん。不眠症の患者さんに最近よく聞かれる新しい薬、クービビックって知ってる?

あ、聞いたことあります!でも実際の効果や違いって、まだよく分からなくて…先輩、教えてください!
現代の日本では、ストレスや生活習慣の乱れによって不眠症に悩む人が増えています。
従来の睡眠薬には、依存性や持ち越し眠気といった課題がありました。
そんな中、2024年に登場した新しい薬「ダリドレキサント(クービビック)」が注目を集めています。
この記事では、薬剤師の視点から、ダリドレキサントの特徴・効果・使い方・他の薬との違いまで、わかりやすく解説します。
不眠症の治療に新しい選択肢を探している方は必見です!
ダリドレキサントとは?
ダリドレキサント(商品名:クービビック)は、不眠症の治療に使用されるデュアル・オレキシン受容体拮抗薬(DORA)です。
2024年に日本で発売され、入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒といった不眠症状に効果があります。
用法・用量は?
就寝の30分前に経口投与します。
推奨用量は25mgまたは50mgで、服用後は最低7時間の睡眠時間を確保する必要があります。
作用機序は?
オレキシンは脳の覚醒維持に関与する神経伝達物質で、OX1およびOX2受容体に作用します。
ダリドレキサントはこのオレキシン受容体に結合してブロックし、自然な睡眠への移行を促進します。
GABA受容体に作用する従来の睡眠薬とは異なり、依存や反跳性不眠のリスクが低いとされています。
副作用と注意点は?
主な副作用には、頭痛、傾眠、倦怠感などが報告されています。
まれに以下のような重篤な副作用が起こることがあります:
- 睡眠時遊行(夢遊病)
- 睡眠麻痺
- 幻覚や異常な夢
- 抑うつ気分や自殺念慮
また、他の中枢神経抑制薬(例:アルコール、ベンゾジアゼピン系薬剤、抗ヒスタミン薬など)との併用により、過度の鎮静作用が出る可能性があるため、十分な注意が必要です。
高齢者では転倒リスクが高まることがあるため、最小有効用量から開始するのが望ましいとされています。
新薬の2週間制限は?
ダリドレキサント(クービビック)は、新医薬品としての取り扱いにより、原則として処方は14日分までとされています(2025年11月末までの経過措置)。
ただし、症状や必要性に応じて最大30日分までの処方が認められるケースもあります。
薬剤師の指導ポイント
- 初回処方時に「14日分制限」があることを説明する
- 継続希望がある場合は、医師による効果判定・副作用確認後に延長可能であることを伝える
- 患者の服薬状況・効果・副作用をしっかり聞き取り、必要があれば医師に情報提供する
この制限は新薬の安全性確保のために設けられているものであり、患者との信頼関係を築きながら、適切な服薬管理を行うことが求められます。
他のDORAとの比較は?

薬剤名 | 半減期 | 主な特徴 |
---|---|---|
スボレキサント(ベルソムラ) | 約12時間 | 持ち越し眠気がやや多く、高齢者では慎重投与 |
レンボレキサント(デエビゴ) | 約31時間 | 作用時間が長く中途覚醒にも有効。日中の眠気に注意 |
ダリドレキサント(クービビック) | 約6〜8時間 | 作用時間が短く、翌朝の残眠感が少ないのが特徴 |
ダリドレキサントは、睡眠の質と日中の覚醒のバランスがよく取れたDORAとして注目されています。
服薬指導のポイントは?
- 服用は就寝直前(30分前)に行うよう説明し、服用後はすぐに床につくように指導します。
- 服用後は少なくとも7時間の睡眠時間を確保する必要があるため、十分な時間が取れない日は服用を控えるよう伝えます。
- アルコールとの併用は中枢抑制作用が増強されるため、服用当日の飲酒は避けるように指導します。
- 効果がすぐに出ない場合でも、自身で増量せず、医師の指示に従うよう強調します。
- 副作用として幻覚や夢遊などがまれに報告されているため、異常な症状があればすぐに受診するよう案内します。
- 高齢者には転倒リスクがあるため、トイレなどの動線確保についても確認を促します。
患者の生活リズムに合わせた服用タイミングの調整や、副作用に対する早期対応を含めた丁寧な説明が、ダリドレキサントの適正使用には重要です。

この薬は、脳の中で起きなさい!”と鳴っている目覚ましを、そっと止めてくれるような薬です。だから自然に眠れるんです。
症例紹介

症例1:50代女性・事務職・ストレス性の入眠困難と中途覚醒
既往歴: 高血圧、軽度の不安障害。現在はARB系降圧薬とビタミンB群を内服中。
背景: 仕事のストレスと更年期症状により、3年以上ゾルピデムを常用。入眠後3時間以内に目が覚め、その後再入眠が困難。起床時のふらつきや記憶障害を自覚。
介入: 主治医よりベンゾ系からの切替として、クービビック25mgを就寝30分前に服用するよう指導。
経過: 初週から入眠時間の短縮と中途覚醒の頻度減少を自覚。1か月後には、起床時のスッキリ感が増し、日中の集中力も向上。副作用なく継続中。本人は「自然な眠りが戻った」と満足している。
症例2:70代男性・退職後在宅・早朝覚醒と中途覚醒
既往歴: 糖尿病(DPP-4阻害薬内服中)、軽度認知機能低下。
背景: 退職後に日中活動量が減り、夜間の睡眠リズムが崩れる。3〜4回夜間にトイレで起き、そのたびに眠れなくなる。従来薬(エスタゾラム)では起床後のふらつきがあり中止。
介入: クービビック25mgに切替。服用前には水分制限とトイレ動線の確保を指導。睡眠環境の見直しも併用。
経過: 2週間後には夜間覚醒回数が1〜2回に減少し、再入眠がスムーズに。副作用なく経過。認知機能にも悪影響なし。本人と家族ともに改善を実感。
まとめ
ダリドレキサント(クービビック)は、DORA(デュアル・オレキシン受容体拮抗薬)に分類される新しい不眠症治療薬で、自然な眠気を促しながら、依存性や反跳性不眠のリスクが低いのが特徴です。
作用時間が短く、翌朝のスッキリ感を得やすいため、仕事世代や高齢者にも適した選択肢とされています。
服薬指導では、服用タイミングや睡眠時間の確保、併用薬との注意点、副作用への早期対応などをしっかり伝えることが重要です。
また、新薬の14日制限があるため、継続使用には定期的な評価と指導が求められます。
よくある質問
Q: クービビックは毎日飲んでも大丈夫?
A: はい、医師の指示に従って毎晩就寝前に服用できます。長期試験でも耐性や依存のリスクは少ないとされています。
Q: 飲んだ日に寝つけなかったらどうする?</ h3>
A: 効果発現には個人差があります。継続して使用することで改善されることもありますが、効果が乏しい場合は医師に相談してください。
Q: 飲酒と一緒に使えますか?
A: アルコールと併用すると鎮静作用が強まる恐れがあるため、服用日は飲酒を控えるようにしましょう。
Q: 高齢者でも使えますか?
A: はい。作用時間が短く翌朝のふらつきが少ないため、高齢者にも使いやすいですが、転倒などに注意し、必要に応じて低用量から開始します。
参考文献








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