「アレンドロン酸とリセドロン酸、どちらも週1回の骨粗鬆症薬だけど何が違う?」
「ボナロン35mgとアクトネル17.5mgはどちらが強い?」「腎機能が悪い患者では?」「歯を抜く予定があるときは?」「飲み忘れたらどうする?」
アレンドロン酸とリセドロン酸は、どちらも窒素含有ビスホスホネート(BP)製剤です。破骨細胞による骨吸収を抑制し、骨密度低下や骨折リスクを抑える目的で使用されます。
一方で、用量、腎機能での扱い、適応、飲み忘れ時の対応には違いがあります。
この記事の結論
- どちらもビスホスホネート製剤で、骨吸収を抑制する
- 週1回製剤はアレンドロン酸35mg、リセドロン酸17.5mg
- どちらも起床時に水約180mLで服用
- 服用後少なくとも30分は横にならず、水以外の飲食・他薬を避ける
- Ca・Mg・Feなどの多価陽イオンは吸収を妨げるため同時服用を避ける
- リセドロン酸はCrCl約30mL/min未満の高度腎障害で禁忌
- アレンドロン酸は重篤な腎障害で慎重投与だが、同じ禁忌設定ではない
- 両剤とも食道障害、低Ca血症、顎骨壊死、非定型大腿骨骨折に注意
- 抜歯予定があるから自己判断で休薬、ではなく主治医・歯科医で連携する
- 「mg数が大きい=強い」ではなく、薬ごとの承認用量で比較する



※図は比較ポイントを簡略化したものです。実際の投与可否・休薬・歯科処置時の対応は腎機能、骨折リスク、治療期間、口腔状態などを踏まえて判断し、最新の電子添文・ガイドラインを優先してください。
- アレンドロン酸とリセドロン酸の違いを比較
- 作用機序|どちらも破骨細胞の骨吸収を抑える
- 週1回の用量|35mg vs 17.5mgを単純比較しない
- 服用方法|両剤とも「起床時・水180mL・30分」が基本
- なぜ水以外ではダメ?|Ca・Mg・Feで吸収が低下
- 食道障害|飲み方を守れない患者では要注意
- 腎機能|ここがアレンドロン酸とリセドロン酸の大きな違い
- 低カルシウム血症|投与前に補正する
- 顎骨壊死・顎骨骨髄炎|歯科受診の確認が重要
- 抜歯前に自己判断で休薬していい?
- 非定型大腿骨骨折|長期使用時の大腿部痛を見逃さない
- 外耳道骨壊死|耳の症状も長期使用では確認
- 飲み忘れ|週1回だからこそルールを確認
- 月1回製剤という選択肢|リセドロン酸には75mg製剤もある
- 処方変更|アレンドロン酸からリセドロン酸へ変わったら?
- 薬剤師が確認したいチェックリスト
- 疑義照会・確認を考えたい症例
- 服薬指導|患者さんへの説明例
- よくある質問
- まとめ|同じBPでも腎機能と用量・飲み忘れ対応が違う
- 参考文献・一次情報
アレンドロン酸とリセドロン酸の違いを比較
| 項目 | アレンドロン酸 | リセドロン酸 |
|---|---|---|
| 代表的先発 | ボナロン/フォサマック | アクトネル/ベネット |
| 分類 | 窒素含有ビスホスホネート | 窒素含有ビスホスホネート |
| 週1回用量 | 35mg 週1回 | 17.5mg 週1回 |
| 服用方法 | 起床時、水約180mL | 起床時、水約180mL |
| 服用後 | 30分横にならない・飲食/他薬を避ける | 30分横にならない・飲食/他薬を避ける |
| 腎機能 | 重篤な腎障害で慎重 | CrCl約30未満は禁忌 |
| 低Ca血症 | 禁忌 | 禁忌 |
| 食道通過障害 | 禁忌 | 禁忌 |
| 骨粗鬆症以外の適応 | 通常は骨粗鬆症 | 骨ページェット病にも適応あり |
| 重大な長期リスク | 顎骨壊死、非定型大腿骨骨折など | 顎骨壊死、非定型大腿骨骨折など |
作用機序|どちらも破骨細胞の骨吸収を抑える
骨は「作る」と「壊す」を繰り返しています。骨を壊す細胞が破骨細胞、骨を作る細胞が骨芽細胞です。
アレンドロン酸とリセドロン酸はいずれも骨表面のハイドロキシアパタイトに結合し、骨吸収部位で破骨細胞に取り込まれます。
窒素含有BPはメバロン酸経路のファルネシルピロリン酸合成酵素(FPPS)を阻害し、破骨細胞機能を低下させます。
その結果、骨吸収が抑制され、骨密度低下や骨折リスクを抑える方向に働きます。
週1回の用量|35mg vs 17.5mgを単純比較しない
アレンドロン酸
骨粗鬆症では通常、成人にアレンドロン酸として35mgを1週間に1回投与します。
リセドロン酸
骨粗鬆症では通常、成人にリセドロン酸ナトリウムとして17.5mgを1週間に1回投与します。
両剤は分子量、骨への親和性、薬理活性、承認用量が異なるため、mg数の大小をそのまま強さに置き換えることはできません。
実務ポイント:「35mgだから17.5mgの2倍効く」という説明はしません。それぞれの薬の標準用量として扱います。
服用方法|両剤とも「起床時・水180mL・30分」が基本
両剤に共通する最重要ポイントが服用方法です。
- 朝起きたら、まだ何も食べたり飲んだりしていない状態で服用
- コップ1杯程度の水(約180mL)で飲む
- 服用後少なくとも30分は横にならない
- 服用後30分は水以外の飲食を避ける
- 服用後30分は他の内服薬も避ける
このルールは「吸収率を保つ」ことと「食道への局所刺激を避ける」ことの両方に関係します。
なぜ水以外ではダメ?|Ca・Mg・Feで吸収が低下
ビスホスホネートはもともと経口吸収率が非常に低い薬です。
カルシウム、マグネシウム、鉄、アルミニウムなどの多価陽イオンと一緒に摂ると、薬と結合してさらに吸収が低下します。
同時に避けたいもの
- 牛乳・乳製品
- Ca/Mgを多く含むミネラルウォーター
- カルシウム製剤
- マグネシウム製剤
- 鉄剤
- 制酸剤
- 他の内服薬
「水なら何でもいい」ではなく、普通の水で飲むのが基本です。
食道障害|飲み方を守れない患者では要注意
両剤とも、食道炎、食道潰瘍、食道びらんなどの上部消化管障害が問題になります。
特に、服用後すぐ横になる、少量の水で飲む、錠剤を口腔内で溶かす・かむ、といった飲み方は食道粘膜への接触時間を長くし、障害リスクを高めます。
禁忌となる患者
- 食道狭窄やアカラシアなど、食道通過を遅らせる障害がある
- 30分以上、立位または座位を保てない
- 低カルシウム血症
服薬中に確認したい症状
- 飲み込みにくい
- 飲み込むと痛い
- 胸の痛み
- 新しく出た、または悪化した胸やけ
これらがあれば、継続可否を自己判断せず受診につなげます。
腎機能|ここがアレンドロン酸とリセドロン酸の大きな違い
リセドロン酸
リセドロン酸は腎排泄され、高度腎機能障害(CrCl約30mL/min未満)では禁忌です。
排泄遅延による曝露上昇に加え、高度腎障害患者では低カルシウム血症リスクが高まることも報告されています。
アレンドロン酸
アレンドロン酸も腎機能障害では注意が必要ですが、週1回35mg製剤では、リセドロン酸のように「CrCl約30mL/min未満=禁忌」という同一の規定ではありません。
電子添文・患者向医薬品ガイドでは、重篤な腎障害患者は特に注意が必要とされています。
処方監査ポイント:リセドロン酸17.5mgでCrClが30mL/minを下回っていたら、禁忌に該当する可能性があるため適応・最新腎機能を確認します。
低カルシウム血症|投与前に補正する
両剤とも低カルシウム血症は禁忌です。
BPによって骨吸収が抑制されると、血中Caがさらに低下する可能性があります。
ビタミンD欠乏、低栄養、副甲状腺機能異常などがある場合は特に注意し、必要に応じてCa・ビタミンDを補います。
顎骨壊死・顎骨骨髄炎|歯科受診の確認が重要
ビスホスホネート製剤では、まれですが顎骨壊死(MRONJ)が問題になります。
報告例の多くで抜歯などの侵襲的歯科処置が関連しているため、開始前・継続中の口腔管理が重要です。
薬剤師が確認したいこと
- 近いうちに抜歯・インプラント・外科的歯科処置がないか
- 義歯が合わず粘膜を傷つけていないか
- 歯周病や感染がないか
- 顎の痛み・腫れ・歯のぐらつきがないか
- 歯科医にBP服用中であることを伝えているか
抜歯前に自己判断で休薬していい?
「抜歯予定だからBPを今日から止める」という自己判断は勧めません。
休薬の必要性は、治療期間、骨折リスク、併用薬、口腔状態、侵襲的処置の内容などを踏まえて主治医と歯科医が判断します。
BPは骨に長く残るため、短期間の休薬だけでMRONJリスクがゼロになるとは言えません。
非定型大腿骨骨折|長期使用時の大腿部痛を見逃さない
長期BP治療では、まれに大腿骨転子下・骨幹部の非定型骨折が報告されています。
骨折前に大腿部や鼠径部の鈍い痛みが先行することがあります。
「転んでいないのに太ももの付け根がずっと痛い」という訴えは、単なる筋肉痛として流さず確認します。
外耳道骨壊死|耳の症状も長期使用では確認
ビスホスホネート使用者では、非常にまれですが外耳道骨壊死も報告されています。
慢性的な耳痛、耳漏、外耳炎症状が続く場合は耳鼻科受診を勧めます。
飲み忘れ|週1回だからこそルールを確認
リセドロン酸17.5mg
週1回製剤を飲み忘れた場合は、その日は服用せず、翌朝に1錠服用し、その後はあらかじめ決めた曜日に戻します。
アレンドロン酸35mg
飲み忘れた場合は2回分を一度に飲まず、患者向医薬品ガイドでは次の朝から服用するよう案内されています。
製品ごとの患者向医薬品ガイド・処方医の指示を確認し、「忘れた分を夜に飲む」「2錠まとめる」は避けます。
月1回製剤という選択肢|リセドロン酸には75mg製剤もある
リセドロン酸には週1回17.5mgだけでなく、骨粗鬆症で75mg月1回の製剤もあります。
週1回の服用を忘れやすい患者では、月1回製剤がアドヒアランス改善につながる可能性があります。
ただし、服用方法の制約自体がなくなるわけではありません。
処方変更|アレンドロン酸からリセドロン酸へ変わったら?
変更理由は処方箋だけでは断定できませんが、次のような可能性があります。
- 服薬継続性や曜日管理を見直した
- 月1回製剤を含む治療設計へ変更した
- 消化器症状・忍容性を再評価した
- 骨密度や骨折リスクを踏まえて薬剤を変更した
- 患者希望・剤形・供給状況を考慮した
逆にリセドロン酸からアレンドロン酸へ変更された場合は、腎機能も理由のひとつとして考えられます。
薬剤師が確認したいチェックリスト
- □ 週1回の服用曜日を理解しているか
- □ 起床後すぐ、水約180mLで服用しているか
- □ 服用後30分、横になっていないか
- □ 服用後30分、水以外の飲食・他薬を避けているか
- □ Ca・Mg・Fe製剤を同時に飲んでいないか
- □ 嚥下困難・胸やけ・胸痛がないか
- □ CrClはいくつか
- □ Ca・ビタミンD不足がないか
- □ 抜歯・歯科処置予定がないか
- □ 顎の痛み・歯のぐらつきがないか
- □ 大腿部・鼠径部痛がないか
- □ 飲み忘れ時の対応を理解しているか
疑義照会・確認を考えたい症例
ケース1:CrCl 25mL/minでリセドロン酸17.5mg
高度腎機能障害の禁忌に該当する可能性があります。最新のCrClと処方意図を確認します。
ケース2:朝食後にアレンドロン酸35mg
吸収が大きく低下する可能性があります。服用タイミングを確認し、処方用法が誤っていないか確認します。
ケース3:服用直後に横になっている
食道障害リスクが上がります。30分間は立位または座位を保つ必要があります。
ケース4:来週抜歯予定
自己判断で休薬せず、BP使用中であることを歯科医へ伝え、必要に応じて処方医と歯科医で連携します。
ケース5:長期服用中に鼠径部痛
非定型大腿骨骨折の前駆症状の可能性もあるため、受診を促します。
服薬指導|患者さんへの説明例
「この薬は週1回、朝起きて最初に飲みます。コップ1杯くらいの水で飲んで、その後30分は横にならず、食事や他の薬も待ってください。牛乳やミネラルウォーターではなく普通の水で飲んでください。」
「歯を抜く予定や大きな歯科治療があるときは、この薬を飲んでいることを歯医者さんに伝えてください。自分だけの判断で薬を止めず、医師や歯科医師に確認してください。」
よくある質問
Q1.アレンドロン酸35mgとリセドロン酸17.5mgはどちらが強い?
mg数だけでは比較できません。薬ごとに承認用量が異なり、骨折リスク、腎機能、継続性などで使い分けます。
Q2.牛乳で飲んでもいい?
避けます。カルシウムが薬と結合して吸収を妨げるため、普通の水約180mLで服用します。
Q3.朝の薬を一緒に飲んでもいい?
原則としてBP服用後少なくとも30分は他の内服薬を避けます。特にCa・Mg・Fe製剤は吸収を妨げます。
Q4.飲んだ後に二度寝していい?
少なくとも30分は横にならないでください。食道障害を防ぐ重要なルールです。
Q5.抜歯するなら休薬した方がいい?
自己判断では休薬しません。骨折リスクや治療期間も踏まえて、歯科医・処方医が判断します。
Q6.腎機能が悪い場合はどちらも使えない?
同じではありません。リセドロン酸はCrCl約30mL/min未満で禁忌ですが、アレンドロン酸は重篤な腎障害で慎重に使用する位置づけです。

※図は実務上の要点を整理したものです。mg数だけで比較せず、服用方法・腎機能・上部消化管症状・歯科処置・長期副作用まで含めて使い分けます。
まとめ|同じBPでも腎機能と用量・飲み忘れ対応が違う
- アレンドロン酸とリセドロン酸はどちらも窒素含有ビスホスホネート
- 週1回用量は35mg vs 17.5mgだが、mg数だけで強さを比較しない
- どちらも起床時、水約180mLで服用
- 服用後30分は横にならず、水以外の飲食・他薬を避ける
- リセドロン酸はCrCl約30mL/min未満で禁忌
- アレンドロン酸は重篤腎障害で慎重
- 両剤とも食道障害・低Ca血症・顎骨壊死・非定型大腿骨骨折に注意
- 抜歯時は自己判断で休薬せず医科歯科連携
- 飲み忘れても2回分をまとめて飲まない
参考文献・一次情報
※本記事は2026年10月時点のPMDA電子添文・患者向医薬品ガイド等をもとに作成しています。実際の薬剤選択・休薬・歯科処置時の対応は骨折リスク、腎機能、治療期間、口腔状態などにより異なります。最新の電子添文・ガイドラインと主治医の指示を確認してください。



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