

アズノール軟膏0.033%は、ジメチルイソプロピルアズレンを有効成分とする炎症性皮膚疾患治療剤です。ステロイド外用薬ではなく、抗炎症作用や創傷治癒促進作用などを持つ外用薬です。
- アズノール軟膏はステロイドではない
- 有効成分はジメチルイソプロピルアズレン
- 効能は湿疹/熱傷・その他の疾患によるびらん及び潰瘍
- 通常は症状により適量を1日数回塗布
- 副作用は皮膚刺激感などの過敏症状、接触性皮膚炎
- 本剤成分に過敏症の既往がある患者は禁忌
- 眼科用として使用しない
- 開封後は遮光して保存

- アズノール軟膏とは?
- アズノール軟膏はステロイド?
- 何に効く?効能・効果は2つ
- どう効く?作用機序
- 塗り方|「1日数回、適量」が正式な用法
- 顔・まぶた・目の周りには使える?
- 口の中には使える?
- アズノールうがい液との違い
- 副作用は?
- 禁忌|過敏症歴を確認
- 妊娠・授乳中は?
- 赤ちゃん・子どもに使える?
- デリケートゾーンやおしりに使える?
- やけどには使える?
- 傷・びらん・潰瘍に使うときの注意
- ステロイドと一緒に処方されたら?
- ワセリンとの違い
- 軟膏基剤としての特徴|なぜベタつく?
- 色が違う・少し液化しているけど大丈夫?
- 保存方法|開封後は遮光
- 薬局での処方監査ポイント
- 臨床成績はどう読む?
- 残っているアズノールを別の湿疹に使っていい?
- 他の軟膏と自宅で混ぜてもいい?
- 他の外用薬と「どちらを先に塗る?」
- アズノールと白色ワセリンをどう使い分ける?
- アズノールと亜鉛華軟膏は同じ?
- 「多めに塗れば早く治る?」への答え
- 使用中に受診・再相談したいサイン
- 薬局でよくある問い合わせ
- 疑義照会・処方確認を考えたい場面
- 具体例1|湿疹で処方
- 具体例2|ステロイドと2本処方
- 具体例3|やけどに処方
- 塗る量はどのくらい?「適量」をどう説明する
- アトピー性皮膚炎に使う薬?
- 「ステロイドを避けたいからアズノールだけ」にしていい?
- ラノリンが入っている|かぶれの原因になることは?
- 感染している皮膚にアズノールだけでいい?
- 褥瘡に使うことはある?
- おむつ部の赤みに使うときの考え方
- やけどで使うなら「最初に塗る薬」ではない
- ガーゼで覆ってもいい?
- 外用薬の順番|保湿剤・ステロイドと併用するとき
- 「青い軟膏だから効いている?」色の濃さは効果の指標ではない
- 有効期間は3年。ただし開封後は別に考える
- 薬剤師が処方意図を考えるポイント
- 薬局で使える30秒チェック
- 患者さんへの説明例
- 薬歴に残したい項目
- よくある質問
- まとめ|アズノールは「ステロイドではない青い抗炎症軟膏」
- 参考文献・一次情報
アズノール軟膏とは?
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 販売名 | アズノール軟膏0.033% |
| 有効成分 | ジメチルイソプロピルアズレン |
| 含量 | 300g中0.1g |
| 添加剤 | 精製ラノリン、白色ワセリン |
| 性状 | 淡青色〜淡青緑色の軟膏 |
| 薬効分類 | 炎症性皮膚疾患治療剤 |
見た目が青〜青緑色なのは、有効成分であるアズレン系成分の色によるものです。
アズノール軟膏はステロイド?
ステロイドではありません。
ステロイド外用薬は副腎皮質ステロイド受容体を介して強力に炎症反応を抑える薬ですが、アズノール軟膏は別の仕組みで抗炎症作用を示します。
| 比較 | アズノール軟膏 | ステロイド外用薬 |
|---|---|---|
| 分類 | 炎症性皮膚疾患治療剤 | 副腎皮質ステロイド外用薬 |
| 主な働き | 局所の抗炎症、創傷治癒促進など | 炎症反応を強く抑制 |
| 強さのランク | ステロイドのランク分類はない | ストロンゲスト〜ウィークなど |
| 皮膚萎縮など | ステロイド特有の副作用ではない | 長期・不適切使用で注意 |
ただし、「ステロイドではない=何にでも安全に塗れる」ではありません。効能・副作用・禁忌がある医療用医薬品です。
何に効く?効能・効果は2つ
PMDA電子添文の効能・効果は次の2項目です。
- 湿疹
- 熱傷・その他の疾患によるびらん及び潰瘍
日常診療では、皮膚炎、熱傷後の皮膚障害、びらん・潰瘍などで処方されます。
一方で、細菌感染・真菌感染・ウイルス感染そのものを治療する抗菌薬や抗真菌薬ではありません。感染が疑われる場合は、原因に応じた治療が別途必要です。
どう効く?作用機序
電子添文では、アズノール軟膏の抗炎症作用は次の作用などによるとされています。
- 白血球遊走阻止作用
- 肥満細胞からのヒスタミン遊離抑制作用
また、PGE2生合成阻害作用は示さず、下垂体―副腎系を介さないことから、炎症組織に対して直接的な局所作用を発揮すると考えられています。
動物実験では、抗炎症作用のほかに創傷治癒促進作用、抗アレルギー作用も確認されています。

塗り方|「1日数回、適量」が正式な用法
電子添文の用法・用量は、
「通常、症状により適量を1日数回塗布する」
です。
そのため「必ず1日2回」「必ず3回」と固定するのではなく、処方箋や医師の指示に従います。
薬局での基本説明
- 処方された回数を守る
- 患部を清潔にしてから塗る
- 必要以上に強くこすり込まない
- 使用前後に手を洗う
- ガーゼ保護などの指示がある場合はその指示に従う
外用薬の量は、病変の広さ、部位、被覆の有無によって異なります。「薄ければ薄いほどよい」「厚く塗るほど効く」と一律には言えないため、処方時の指示に合わせて説明します。
顔・まぶた・目の周りには使える?
電子添文では「眼科用として使用しないこと」と明記されています。
顔面に処方されることはありますが、目に入るような使い方は避けます。まぶた周囲など眼に近い部位では、処方医の指示範囲を確認し、眼球や結膜に入らないよう注意します。
口の中には使える?
アズノール軟膏0.033%は皮膚用の軟膏です。
同じ「アズレン」という名前でも、アズレンスルホン酸ナトリウムを含む含嗽薬などとは別製剤です。口腔内に自己判断でアズノール軟膏を塗るのは避けます。
アズノールうがい液との違い
| 項目 | アズノール軟膏 | アズノールうがい液 |
|---|---|---|
| 主成分 | ジメチルイソプロピルアズレン | アズレンスルホン酸ナトリウム |
| 剤形 | 軟膏 | 含嗽液 |
| 使用部位 | 皮膚 | 口腔・咽頭 |
| 使い方 | 患部へ塗布 | 希釈等してうがい |
「アズノール」という商品名が同じでも、成分・濃度・使用部位は異なります。
副作用は?
電子添文に記載されている主な副作用は次のとおりです。
| 頻度 | 副作用 |
|---|---|
| 0.1〜1%未満 | 皮膚刺激感などの過敏症状 |
| 頻度不明 | 接触性皮膚炎 |
塗った後に赤み・ヒリヒリ・かゆみ・腫れなどが強くなった場合は、使用を中止して医師・薬剤師へ相談します。
禁忌|過敏症歴を確認
本剤の成分に対して過敏症の既往歴がある患者には使用しません。
有効成分だけでなく、添加剤として精製ラノリン、白色ワセリンが含まれています。過去に同製剤でかぶれた経験がある場合は、処方時・調剤時に確認します。
妊娠・授乳中は?
妊娠
妊婦または妊娠している可能性がある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用します。
授乳
治療上の有益性と母乳栄養の有益性を考慮して、授乳の継続または中止を検討します。
「外用薬だから妊娠・授乳中でも無条件で安全」とは説明せず、処方医の判断に沿って使用します。
赤ちゃん・子どもに使える?
アズノール軟膏は小児に処方されることがありますが、電子添文に「おむつかぶれなら自由に使用できる」といった自己判断使用の記載があるわけではありません。
乳幼児の皮膚症状では、
- カンジダなどの感染症
- アトピー性皮膚炎
- 接触皮膚炎
- 細菌感染
など見た目が似る病態もあります。処方された症状・部位へ指示どおり使用するのが基本です。
デリケートゾーンやおしりに使える?
肛門周囲・外陰部周囲などの皮膚症状に処方されることはあります。
ただし、粘膜そのものや感染症が疑われる病変へ自己判断で塗るのではなく、処方された部位と使用方法を確認します。
かゆみが強い、分泌物がある、水疱・潰瘍が増えるなどの場合は、単なる皮膚炎以外の可能性もあります。
やけどには使える?
アズノール軟膏は熱傷によるびらん・潰瘍に適応があります。
ただし、やけどの初期対応ではまず適切な冷却と重症度評価が重要です。
次のような場合は、軟膏を塗って様子を見るだけではなく医療機関での評価が必要です。
- 広範囲の熱傷
- 顔面・手・関節周囲・陰部など重要部位
- 大きな水疱
- 白色・黒色に変化している
- 強い痛み、あるいは逆に感覚が乏しい
- 感染徴候がある
傷・びらん・潰瘍に使うときの注意
効能には「びらん及び潰瘍」が含まれますが、すべての傷を自己判断でアズノールだけで治療するという意味ではありません。
感染、壊死、褥瘡、深い創傷などでは、創傷の評価やデブリードマン、被覆材、抗菌薬など別の対応が必要になることがあります。
ステロイドと一緒に処方されたら?
同じ部位にステロイド外用薬とアズノール軟膏が処方されることがあります。
この場合、
- 同じ部位へ重ねる
- 朝夕で使い分ける
- 症状の段階に応じて切り替える
- 部位を分けて使う
など処方意図はさまざまです。
「ステロイドの後に必ずアズノールで仕上げる」など一律のルールはありません。処方医の指示を確認して患者さんへ具体的に説明します。
ワセリンとの違い
アズノール軟膏には白色ワセリンが基剤として含まれますが、白色ワセリン単剤とは目的が異なります。
| 比較 | アズノール軟膏 | 白色ワセリン |
|---|---|---|
| 有効成分 | ジメチルイソプロピルアズレン | 保護基剤そのもの |
| 抗炎症作用 | あり | 薬理学的な抗炎症成分なし |
| 主な役割 | 抗炎症+創傷治癒促進 | 皮膚保護・水分蒸散抑制 |
処方変更時には「同じ軟膏だから同じ」ではなく、目的の違いを説明します。
軟膏基剤としての特徴|なぜベタつく?
アズノール軟膏0.033%には、有効成分のジメチルイソプロピルアズレンに加えて、添加剤として白色ワセリンと精製ラノリンが使われています。
そのため、クリーム剤のように水分が多い製剤ではなく、比較的油性が強く、皮膚表面を覆うような使用感があります。
患者さんから「ベタつくから少量しか塗っていない」と言われることがありますが、ベタつきだけで自己判断して極端に量を減らすのではなく、処方された範囲へ必要量を使用します。
なぜ青い?
有効成分であるジメチルイソプロピルアズレン自体が暗青色の物質で、製剤も淡青色〜淡青緑色になります。
つまり、青い色は着色料を多量に加えているからではなく、有効成分の性質が反映された色です。
なぜ遮光が必要?
電子添文では、ジメチルイソプロピルアズレンは光により徐々に分解するとされています。そのため、製剤も開封後は遮光保存が必要です。
「洗面所の窓辺に置きっぱなし」など、直射日光が当たり続ける環境は避けます。
色が違う・少し液化しているけど大丈夫?
電子添文には、基剤が天然物由来のため色調や稠度に多少の違いがあること、一部液化することがあるものの効能その他に変わりはないと記載されています。
ただし、著しい変色、異臭、異物混入など通常と異なる状態があれば、使用前に薬局へ確認してください。
保存方法|開封後は遮光
貯法は室温保存です。
さらに電子添文では、開封後は遮光して保存するよう記載されています。
高温になる車内、直射日光の当たる窓際などは避けます。
薬局での処方監査ポイント
- 適応:湿疹、熱傷等によるびらん・潰瘍か
- 部位:眼科用になっていないか
- 過敏症歴:過去に同剤でかぶれていないか
- 他の外用薬:ステロイド等との塗り分け・重ね方は明確か
- 感染兆候:膿、強い疼痛、発熱などがないか
- 妊娠・授乳:必要に応じ処方意図を確認
臨床成績はどう読む?
電子添文には国内臨床試験の結果として、各種皮膚疾患での「有効以上」の割合が掲載されています。
| 対象 | 有効例数/評価例数 | 有効率 |
|---|---|---|
| 湿疹 | 109/180 | 60.6% |
| 皮膚炎 | 130/162 | 80.2% |
| 熱傷 | 26/29 | 89.7% |
| びらん性皮膚疾患 | 14/16 | 87.5% |
| 潰瘍性皮膚疾患 | 32/37 | 86.5% |
ただし、この数字は現在の患者さん一人ひとりにそのまま当てはまる「治る確率」ではありません。試験時代、評価方法、疾患の重症度、併用治療などが異なるため、患者説明で「湿疹なら60.6%効きます」と断定する使い方は避けます。
残っているアズノールを別の湿疹に使っていい?
基本的にはおすすめしません。
赤い、かゆい、ジュクジュクしているといった見た目だけでは、
- 湿疹・接触皮膚炎
- 白癬などの真菌感染
- とびひなどの細菌感染
- 帯状疱疹などのウイルス感染
- 虫刺され
を見分けにくいことがあります。
アズノール軟膏には抗菌薬・抗真菌薬としての適応はありません。以前処方された残薬を、原因が分からない新しい皮疹へ自己判断で流用しないよう説明します。
他の軟膏と自宅で混ぜてもいい?
自己判断で混ぜるのは避けます。
医療機関から「混合軟膏」として処方されることはありますが、基剤の相性、安定性、均一性、保存条件などを薬局で確認して調製しています。
患者さんが自宅で、
- アズノール+ステロイド
- アズノール+ワセリン
- アズノール+抗真菌薬
などを容器の中で混ぜると、処方どおりの濃度・塗布量にならない可能性があります。
他の外用薬と「どちらを先に塗る?」
これも一律の正解はありません。
外用薬の塗布順は、
- 同じ部位か別部位か
- 軟膏・クリーム・ローションなど剤形
- 保湿剤との併用
- 薬効をどの範囲へ出したいか
- 医師の処方意図
によって変わります。
「アズノールは必ず最後」「ステロイドは必ず先」と機械的に説明せず、処方指示が不明なら確認します。
アズノールと白色ワセリンをどう使い分ける?
白色ワセリンは主に皮膚を覆って水分蒸散や外部刺激から守る保護基剤です。
一方、アズノール軟膏は白色ワセリンなどを基剤としながら、ジメチルイソプロピルアズレンという有効成分を含む医薬品です。
したがって、
- 単純な保護・乾燥対策が目的 → ワセリン
- 湿疹や熱傷などによるびらん・潰瘍に対する薬理作用も期待 → アズノール
という違いがあります。
アズノールと亜鉛華軟膏は同じ?
同じではありません。
どちらも皮膚科や小児科でよく見る外用薬ですが、成分・性質・使い方が異なります。
処方時に「前は白い軟膏だったのに、今回は青い軟膏になった」と質問された場合は、色ではなく薬の目的が違うことを説明します。
「多めに塗れば早く治る?」への答え
アズノール軟膏は、塗布量を増やせば比例して治癒が速くなる薬ではありません。
電子添文は「症状により適量」としており、必要量は病変の面積や状態によって変わります。
患者さんには、処方時に指示された範囲をきちんと覆う量を使い、自己判断で極端に厚塗り・頻回塗布へ変更しないよう説明します。
使用中に受診・再相談したいサイン
次のような場合は「アズノールを続けて様子を見る」だけにしない方が安全です。
- 赤み・腫れ・痛みがどんどん強くなる
- 膿が出る
- 熱感が強い
- 水疱が増える
- 発熱を伴う
- 皮膚が黒っぽい・白っぽいなど色調が大きく変化
- 塗った後に明らかにかゆみ・刺激感が悪化
- 数日使用しても悪化傾向
特に感染症や深い熱傷では、アズノール軟膏だけでは治療が不十分な場合があります。
薬局でよくある問い合わせ
「青い色が服につきますか?」
製剤自体が淡青色〜淡青緑色なので、衣類やガーゼへ付着することはあり得ます。気になる場合は衣類への接触を避ける工夫を案内します。
「開封後はいつまで使えますか?」
電子添文には開封後の一律の使用期限は示されていません。開封後は遮光して適切に保管し、処方された治療期間内で使用するのが基本です。
古い残薬を長期間保管して別の症状に使うのは避けます。
「少し柔らかくなったけど捨てるべき?」
電子添文では、天然物由来の基剤のため色調や稠度に多少の差があり、一部液化することがあるものの、効能その他に変わりはないとされています。
ただし保管状況が不明、著しい変色・異臭・異物などがある場合は使用せず薬局へ相談します。
疑義照会・処方確認を考えたい場面
眼球・結膜への使用指示になっている
アズノール軟膏は眼科用として使用しないよう明記されています。眼そのものへの使用指示なら確認が必要です。
「口内炎へ塗布」と指示されている
アズノール軟膏は皮膚用です。口腔内への使用が意図されているなら、別製剤との取り違えや処方意図を確認します。
湿疹に見えるが感染兆候が強い
膿、強い熱感、急速な拡大などがある場合、単純な湿疹ではない可能性があります。必要に応じて処方医へ情報提供します。
ステロイドとアズノールの指示が患者に伝わっていない
「2本とも同じところに塗るのか」「部位を分けるのか」「時間を分けるのか」が分からない場合は、薬局で曖昧なまま説明せず確認します。
具体例1|湿疹で処方
処方:アズノール軟膏0.033%、1日数回。
確認:塗布部位、症状、他の外用薬との使い分けを確認します。
服薬指導:「ステロイドではない炎症を抑える軟膏です。処方された部位に、指示された回数で塗ってください。赤みやヒリヒリが強くなる場合は相談してください。」
具体例2|ステロイドと2本処方
処方:ステロイド軟膏+アズノール軟膏。
この場合、「どちらを先に塗るか」よりも、まず同じ部位か、別部位か、時間を分けるかを確認します。
処方箋だけでは意図が不明瞭なら、患者さんの説明だけで決めず、必要に応じ処方医へ確認します。
具体例3|やけどに処方
アズノール軟膏には熱傷によるびらん・潰瘍の適応があります。
薬局では、受傷範囲、水疱、感染徴候、痛みの程度を確認し、悪化時の受診目安も伝えます。
塗る量はどのくらい?「適量」をどう説明する
アズノール軟膏の電子添文では「症状により適量を1日数回塗布」とされており、製品固有の1回量は定められていません。そのため、患部の広さ・皮膚の状態・ガーゼ被覆の有無などを見て調整します。
外用薬では一般に、皮膚表面がうっすら光る程度を目安に塗布量を説明することがあります。ただし、びらんや潰瘍など創部に使う場合は、単純な湿疹と同じ塗り方ではないこともあります。処方時の指示や処置方法が優先です。
「薄く伸ばしすぎて薬がほとんど残らない状態にする必要はありません。処方された範囲をきちんと覆う量を使ってください。ガーゼを当てる指示がある場合はその方法に従いましょう。」
アトピー性皮膚炎に使う薬?
アズノール軟膏の添付文書上の効能は「湿疹」と「熱傷・その他の疾患によるびらん及び潰瘍」です。アトピー性皮膚炎の患者に処方されることはありますが、アトピー性皮膚炎そのものの標準治療をアズノール単独で置き換える薬ではありません。
炎症が強いアトピー性皮膚炎では、ステロイド外用薬やタクロリムスなど、炎症をよりしっかり抑える治療が必要な場合があります。アズノールが処方されている場合は、病変の状態、使用部位、他の外用薬との役割分担を確認します。
「ステロイドを避けたいからアズノールだけ」にしていい?
自己判断でステロイドを中止し、アズノールだけに置き換えるのはおすすめできません。アズノールとステロイドは作用機序も抗炎症作用の強さも異なります。
強い炎症を十分に抑えられないまま治療を弱めると、かえって症状が長引くことがあります。逆に、炎症が落ち着いた段階で非ステロイド外用薬や保護剤へ切り替える処方意図もあります。
「ステロイドが怖い」という患者さんには、強さ・部位・期間を適切に選べば有用な薬であることと、アズノールとは役割が異なることを説明します。
ラノリンが入っている|かぶれの原因になることは?
アズノール軟膏の添加剤には精製ラノリンと白色ワセリンが含まれています。ラノリンは油性基剤として皮膚科外用薬に使われますが、まれに接触皮膚炎の原因になることがあります。
「塗り始めてから患部以外まで赤くなった」「塗るたびにかゆみが増す」といった場合は、原疾患の悪化だけでなく、薬剤や基剤による接触皮膚炎も考えます。
電子添文でも接触性皮膚炎は頻度不明の副作用として記載されています。過去にラノリン含有製剤でかぶれた経験がある場合は薬局で共有すると安心です。
感染している皮膚にアズノールだけでいい?
アズノール軟膏には抗炎症作用がありますが、抗菌薬・抗真菌薬・抗ウイルス薬ではありません。感染がある病変では原因微生物に応じた治療が必要です。
| 見た目・症状 | 考えること | 対応 |
|---|---|---|
| 膿、強い熱感、急速に広がる赤み | 細菌感染 | 抗菌薬等の評価が必要 |
| 輪状に広がる、足趾間の皮むけ | 白癬など真菌感染 | 抗真菌薬の適応評価 |
| 水疱が集まる、ピリピリ痛む | ヘルペス・帯状疱疹など | 早期受診 |
見た目だけで湿疹と感染症を区別するのは難しいため、残薬の自己使用は避けます。
褥瘡に使うことはある?
アズノール軟膏は「その他の疾患によるびらん及び潰瘍」に適応があるため、褥瘡などの創部に処方されることがあります。
ただし褥瘡治療では、創の深さ、滲出液量、感染、壊死組織、圧迫の解除、栄養状態などの評価が不可欠です。アズノールを塗れば褥瘡治療が完結するわけではありません。
特に黒色壊死、強い悪臭、膿、発熱、周囲の急速な発赤がある場合は、創傷処置の見直しが必要です。
おむつ部の赤みに使うときの考え方
乳幼児や高齢者のおむつ部の皮膚炎にアズノール軟膏が処方されることがあります。おむつ部は尿・便・蒸れ・摩擦など複数の刺激が加わるため、薬だけでなくスキンケアも重要です。
- こすらずやさしく洗浄する
- 長時間濡れた状態を避ける
- 排泄後は早めに交換する
- 皮膚を乾燥させすぎない
赤みの周囲に小さな赤い発疹が散らばるなどカンジダを疑う所見がある場合は、アズノールだけでは改善しない可能性があります。
やけどで使うなら「最初に塗る薬」ではない
アズノールには熱傷によるびらん・潰瘍の適応がありますが、受傷直後の最優先は適切な冷却と重症度評価です。
流水で冷却した後、深さや範囲を評価してから外用薬を選択します。広範囲、顔面・関節・手掌・陰部、白色化や炭化、感覚低下を伴う熱傷は早めの医療機関受診が必要です。
ガーゼで覆ってもいい?
創部に使用するとき、ガーゼや被覆材を併用することがあります。しかし、すべての湿疹・びらんを密閉するのが正解ではありません。
滲出液量や感染の有無によって適切な被覆方法が変わるため、医師・看護師から処置指示がある場合はその方法を優先します。自己判断でラップ等を使って密閉するのは避けましょう。
外用薬の順番|保湿剤・ステロイドと併用するとき
複数の外用薬が出ている場合、「どれを先に塗るか」だけでなく、どの部位にどの薬を塗るのかを明確にすることが重要です。
例えば広範囲の保湿剤と限局した治療薬を併用する場合、塗布順によって治療薬が意図しない範囲へ広がることがあります。医師の指示がある場合はその順番を優先し、指示が不明瞭なら薬局で確認します。
「青い軟膏だから効いている?」色の濃さは効果の指標ではない
アズノール軟膏は有効成分の性質により淡青色〜淡青緑色ですが、電子添文では天然物由来の基剤の影響で色調や稠度に多少の違いが生じることがあるとされています。
青色が濃い・薄いだけで効果の強弱を判断することはできません。著しい変色や異臭、異物などがなければ、色調のわずかな違いだけで直ちに異常とは限りません。
有効期間は3年。ただし開封後は別に考える
電子添文上の有効期間は3年ですが、これは未開封で適切に保管された製品を前提とした期間です。開封後について「○か月で必ず廃棄」という一律の期限は電子添文には示されていません。
開封後は遮光し、処方された治療期間内で使うことが基本です。何年も前の残薬を新しい皮膚症状へ使い回さないようにします。
薬剤師が処方意図を考えるポイント
ステロイドではなくアズノール単剤
炎症が比較的軽い、創傷治癒を意識している、皮膚保護を兼ねたいなどの可能性があります。ただし処方箋だけで断定せず、診断名や使用部位を確認します。
ステロイド+アズノール
炎症の強い部位と軽い部位を塗り分ける、時期によって切り替える、別部位へ使用するなど複数の意図が考えられます。患者さんが「2本とも全部に塗る」と認識していないか確認します。
アズノール+抗菌薬・抗真菌薬
感染症そのものの治療薬と、炎症・びらんに対する補助的外用薬が併用されている可能性があります。塗布部位や順番が曖昧なら確認します。
薬局で使える30秒チェック
- 何に使う? 湿疹/熱傷・その他の疾患によるびらん・潰瘍
- 塗る場所は? 眼科用ではない
- 回数は? 「1日数回」だが処方指示を優先
- 他の外用薬は? ステロイド等との使い分けを確認
- 過敏症歴は? 過去のかぶれを確認
- 感染兆候は? 膿・熱感・強い疼痛・急速な悪化
- 保存は? 開封後遮光
特に、「ステロイドではない」「眼科用ではない」「1日数回は処方指示に従う」の3点を押さえると、服薬指導で迷いにくくなります。
患者さんへの説明例
「この青い軟膏はステロイドではなく、皮膚の炎症を抑えたり、傷の治りを助けたりするタイプの薬です。処方された場所へ、指示された回数で塗ってください。塗って赤みやヒリヒリ、かゆみが強くなる場合は使用を中止して相談してください。目の中には使わないでください。」
薬歴に残したい項目
- 使用部位
- 湿疹/熱傷/びらん・潰瘍などの処方目的
- 塗布回数
- ステロイド等との使い分け
- 過敏症歴
- 皮膚刺激感・接触皮膚炎の有無
- 感染徴候
- 眼周囲の場合の使用範囲
薬歴記載例
アズノール軟膏0.033%。 適応:湿疹。 前腕部に1日数回塗布指示。 ステロイド外用薬との併用なし。 過去のアズノール使用によるかぶれ歴なし。 眼科用ではないため目に入れないよう説明。 発赤・刺激感が増悪する場合は使用中止し相談するよう指導。
よくある質問
Q.アズノール軟膏はステロイドですか?
いいえ。ステロイド外用薬ではありません。ジメチルイソプロピルアズレンを有効成分とする炎症性皮膚疾患治療剤です。
Q.1日何回塗りますか?
電子添文では「症状により適量を1日数回塗布」です。実際は処方箋・医師の指示回数に従います。
Q.赤ちゃんのおむつかぶれに使えますか?
小児に処方されることはありますが、おむつ部の赤みにはカンジダ感染など別の原因もあります。処方された症状・部位へ使用し、自己判断で広く使い回さないようにします。
Q.顔に塗れますか?
顔面に処方されることはありますが、眼科用ではありません。特に目の近くでは処方医の指示範囲を守り、目に入らないよう注意します。
Q.傷口に使えますか?
びらん・潰瘍は適応に含まれますが、深い傷、感染創、壊死を伴う傷などでは別の処置が必要なことがあります。
Q.市販薬で同じものはありますか?
「アズノール軟膏0.033%」は医療用医薬品です。アズレン系成分を含む市販薬はありますが、成分・剤形・濃度・適応が異なるため同一製剤として置き換えないようにします。
Q.青い色は大丈夫?
アズノール軟膏は淡青色〜淡青緑色の製剤です。製剤本来の色です。

まとめ|アズノールは「ステロイドではない青い抗炎症軟膏」
- 有効成分はジメチルイソプロピルアズレン
- ステロイドではない
- 効能は湿疹、熱傷・その他の疾患によるびらん及び潰瘍
- 通常、症状により適量を1日数回塗布
- 抗炎症作用・創傷治癒促進作用などを持つ
- 副作用は皮膚刺激感等の過敏症状、接触性皮膚炎
- 過敏症既往は禁忌
- 眼科用として使用しない
- 開封後は遮光保存

参考文献・一次情報
※本記事は2026年10月2日にPMDA掲載情報を再確認しています。アズノール軟膏0.033%の電子添文は2023年6月改訂(第1版)です。実際の使用部位・回数・期間は処方医の指示に従ってください。



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