







服薬情報提供料は、薬剤師が患者さんの服薬状況や副作用に対して適切な情報提供や指導を行った際に加算できる、非常に重要な点数です。
しかし、日々の業務に追われて「いつの間にか取り逃していた…」なんて経験はありませんか?
重要なポイントは、「情報を提供するだけでなく、それを記録し、形として残すこと」です。
しかもこの点数、うまく活用すれば地域支援体制加算の要件にも関わってきます。
この記事では、服薬情報提供料を管理薬剤師の立場で“効率よく・簡単に”取得する仕組みづくりを、実践例を交えながら解説していきます。
目指すは、無理なく点数を増やしながら、地域支援体制加算の土台を整えること!
さあ、あなたの薬局でも今日から実践できる方法を一緒に学んでいきましょう!
服薬情報等提供料とは?
服薬情報等提供料は、薬剤師が患者の服薬状況、副作用、残薬、相互作用などを確認・評価し、医師や関係者に文書で提供する際に算定できる点数です。
診療報酬改定で内容が大きく見直され、3区分それぞれに明確な要件が定められました。
区分 | 点数 | 算定条件・概要 | 算定頻度 |
---|---|---|---|
服薬情報等提供料1 | 30点 | 医療機関等からの依頼で服薬状況等に関する文書を提供 | 月1回まで |
服薬情報等提供料2 | 20点 | 薬剤師の判断で、医療機関、ケアマネ、リフィル元の医師に対して情報提供 | 月1回まで |
服薬情報等提供料3 | 50点 | 入院予定患者の持参薬整理や副作用情報の提供など、より高度な評価が必要なケース | 3か月に1回まで |

重要なポイントは、“情報提供を文書で行う”こと。電話や口頭だけでは算定できません。FAX、共有カルテ、PDF添付メールなど記録が残る手段が必要です。
例えばこんなケースで算定可能です
- 他院との重複投薬が発覚し、処方提案を文書で報告
- 腎機能悪化に応じて投与量変更を医師に伝達
- 残薬が多く出ており調整提案を行った
- リフィル処方時の継続可否判断を文書化した
- 入院前に持参薬一覧を病院に提出

服薬情報等提供料をラクラク増やす3ステップ
服薬情報等提供料は制度上、「気づいたときに個別対応」しているだけでは点数を積み上げるのが難しいものです。
だからこそ、薬局全体で“仕組み化”し、日常業務の中で自然に算定できるようにすることが重要です。
ここでは、管理薬剤師視点で実行しやすい3つのステップをご紹介します。
STEP1:対象患者を“見える化”するチェックリストを作成
まずは「誰に対して」「どの区分が使えるか」を明確にしましょう。
対象薬剤や患者背景に応じた簡易チェックリストを設け、受付・投薬時に自動で対象を絞れる仕組みが理想です。
- ✅ 医師からの指示あり(→ 情報提供料1)
- ✅ ポリファーマシー(7剤以上)または腎機能低下など(→ 情報提供料2)
- ✅ 入院予定 or 入院中(→ 情報提供料3)

STEP2:文書提供テンプレートを標準化
情報提供で最も負担になるのが「文書作成」です。ここをいかに省力化するかがポイントです。
WordやGoogleドキュメントで次のようなテンプレートを用意しておくと、入力だけでそのままFAX送信できます。
- ・件名(◯◯様 服薬情報提供書)
- ・背景(併用薬、残薬、副作用の有無)
- ・提案(投与量の調整・中止・代替)
- ・薬剤師記名・日付
重要なポイント:様式は自由でも、「医学的な根拠・提案理由」が明記されているかが審査で見られます。

STEP3:月ごとの点数実績を管理・見える化
最終ステップは、月ごとの服薬情報等提供料の算定件数を管理表にして共有することです。スタッフ全体で意識を共有しないと継続的な運用は難しくなります。
できれば以下のような表をGoogleスプレッドシートで作成し、月次ミーティングなどで確認するのがおすすめです。
薬剤師名 | 服薬情報提供料1 | 2 | 3 | 合計点 |
---|---|---|---|---|
ゆずまる | 5件 | 3件 | 1件 | 260点 |
なぎさ | 6件 | 2件 | 0件 | 240点 |
特に大事なポイント:全員で実績を共有することで「今月は少ないな…」「あのケース、2で取れたのに」など気づきが得られます!
調剤後の報告書も服薬情報等提供料の件数に含められる?
結論から言うと、医師や医療・介護関係者に対して“文書で”情報提供を行っていれば、調剤後や在宅対応後の報告書も服薬情報等提供料として件数対象です。
以下のようなケースで、条件を満たせば服薬情報等提供料1~3のいずれかを算定できます。
対応内容 | 算定対象 | 要件 | 注意点 |
---|---|---|---|
調剤後の副作用・服薬状況フォロー | 〇 | 医師へ文書提供 | 内容に客観的根拠が必要 |
服薬調整支援(剤形変更や投与回数の提案) | 〇 | 医師・ケアマネへ文書 | 単なる確認だけでは不可 |
在宅訪問後の医師への報告書 | 〇 | 文書提供されている | FAX等で提供・記録要 |
在宅報告書(医師への送付なし) | × | ― | 薬局内保存のみでは不可 |
ケアマネへの文書提供 | 〇 | 記録保存が必要 | 「リフィル元医師」も対象 |
重要なポイントは、「誰に・何を・どうやって伝えたか」を明記すること。FAX送信や電子記録に残っていない口頭連絡は算定できません。

服薬情報等提供料2を服薬情報提供料1にするには?
服薬情報等提供料1(30点)は「医療機関からの求め」が必須です。つまり、薬剤師主導で情報提供したい場合でも、“依頼された形式”を整えることで2→1として算定可能になる場合があります。
ポイントは“実質的な依頼を形にする”ことです。
★1にするための4つの工夫
① 医師からの“口頭依頼”を記録し、書面化する
「残薬多くないですか?確認しておいて」など、診療時に口頭で依頼された内容を薬局側でFAX確認表などに記録→そのまま文書で返す形式にします。
重要なポイント:「依頼があった旨を記載」して情報提供書に明記することで、1で算定が可能です。
② 「お願いチェックリスト」を医師側に配布する
医師が薬局に頼みたいことを簡単にチェックして返送できる「依頼チェックシート」を作成しておきましょう。
- □ 残薬確認依頼
- □ 副作用の有無報告希望
- □ 服薬状況の把握依頼

③ 院内との連携フローを標準化
病院やクリニックと定期的なやり取りがある場合、「患者ごとに薬局にこれ確認して」という業務連携をルール化できれば、毎月1で算定できるベースになります。
④ 電子カルテの共用機能を活かす
一部の医療機関では、薬局がカルテへ書き込みできる機能があり、医師が「確認指示」を残すことが可能です。これを“依頼の証拠”として1で算定可能になります。
★注意:根拠のない“形式だけ依頼”は厳禁!
形式だけの「依頼あり」では審査で指摘される可能性があります。実際にやりとりがあり、それを文書化しているかが重要です。

実務での運用ポイント
- ✅ 訪問報告書を「医師用」「ケアマネ用」に分けて運用
- ✅ 提出先と目的をテンプレに記載して残す
- ✅ 月ごとの算定件数をエクセルやスプレッドシートで管理
地域支援体制加算とのつながりは?
服薬情報等提供料をしっかり活用することは、地域支援体制加算の算定要件の“実績作り”に直結します。
地域支援体制加算を取得するには、薬局が地域包括ケアに関与し、以下のような要件を満たす必要があります。
地域支援体制加算の主な算定要件(抜粋)
- ✅ 医療機関や介護関係者と連携し、文書による情報提供を行っている
- ✅ 多職種カンファレンスや退院時カンファへの参加
- ✅ 在宅患者への訪問指導の実施件数
- ✅ 服薬情報等提供料など、連携加算の届出・実績
つまり、服薬情報等提供料を取る=地域支援体制加算の要件を満たす活動をしている証明になるわけです。

服薬情報提供料を“地域連携実績”に活かす方法
服薬情報等提供料を地域支援体制加算の申請時に活かすには、以下のような整理が重要です。
- 文書提供先ごとに件数を集計(医師・ケアマネ・病院など)
- 月別、職員別に提供実績をExcel管理
- カンファレンス報告書や訪問記録と紐づけて保存
特に大事なポイントは、「何の目的で、誰に、どの頻度で」提供したかを明記しておくこと。これは保険者提出用のエビデンスになります。

加算で点数が増える=患者の負担になるという現実
服薬情報等提供料などの加算は、薬局経営上では「収益」として歓迎される一方で、その費用は患者さんの窓口負担として発生しているという事実を忘れてはいけません。
例えば、情報提供料1(30点)であれば3割負担の患者にとって約90円の負担増。
これが毎月・複数の加算と重なれば、患者にとっては気づかぬうちに負担が増えているかもしれません。
だからこそ、薬剤師としては、
- ✅ 「なぜこの加算が必要か?」を説明する姿勢
- ✅ 「ただ取る」のではなく「意味のある情報提供」を行う
- ✅ 「これは保険上必要な連携であり、医療安全のためです」と伝える
重要なポイントは、点数取得よりも患者にとって納得のいく価値提供をすることです。

患者さんへの説明、どうする?
服薬情報等提供料などの加算は、患者さんにとっては自己負担になることもあるため、丁寧で誠実な説明が重要です。以下に、状況に応じた説明例をご紹介します。
● 基本的な説明
本日、お薬の飲み方や副作用、他のお薬との飲み合わせを確認させていただき、その情報を主治医の先生へ文書でご報告いたしました。これは保険上“服薬情報提供料”という制度で、患者さんの服薬管理をより安全に行うためのものです。
● 副作用や服薬状況の報告時
お薬によるご不調について、主治医に文書で報告いたしました。医療チームで連携して、安全に治療を続けられるよう支援する仕組みです。
● 在宅医療・訪問指導時
お薬の残りや飲み方について確認した内容を、かかりつけの先生に報告しています。在宅での治療を安全に続けていただくための大切な対応です。
● 3割負担が気になる患者さんへの対応
数十円程度の自己負担が発生しますが、その分、お薬の重複や副作用などのリスクを医療機関としっかり共有しています。“見えないところの医療安全”を支える仕組みとして、厚労省が制度化しています。

服薬情報等提供料の具体的実践例
ここでは、実際に服薬情報等提供料を算定した症例をもとに、どのような患者に、どんな観察と報告が行われたのかを解説します。
【症例1】ポリファーマシー+残薬 → 情報提供料2(20点)
- 患者:70代女性、整形外科・内科・精神科の3院受診中
- 処方:同一成分のNSAIDsが2医療機関から重複処方されていた
- 対応:服薬状況をヒアリング→薬剤リストを作成→主治医に「重複による胃腸障害リスク」について文書で報告
- 結果:1剤中止、主治医から感謝され、薬局の評価向上
報告書例(要約)
現在、◯◯整形外科および△△内科よりNSAIDs(ロキソプロフェン、ジクロフェナク)が重複処方されており、胃障害のリスクが懸念されます。服薬状況は以下の通りで、患者自身も「胃が痛いことが増えた」との訴えがありました。どちらか一方の中止をご検討いただければ幸いです。

【症例2】在宅患者の持参薬整理 → 情報提供料3(50点)
- 患者:80代男性、在宅酸素療法中、入院前に訪問薬剤管理指導
- 処方:10剤以上服用、名前のわからない市販薬や残薬も多数
- 対応:訪問時に全薬剤を確認→整理→病院宛に持参薬一覧と服薬状況の報告書を作成し提出
- 結果:病院医師より「入院時の情報把握がスムーズだった」と好評
報告書例(要約)
以下に患者自宅にて確認した服薬中の薬剤をリスト化いたします。一部名称不明のOTC薬、残薬が多数見られましたが、使用状況も併せて記載いたしました。入院時の薬物療法調整の参考になれば幸いです。

【症例3】リフィル処方の継続評価 → 情報提供料2(20点)
- 患者:60代女性、高血圧+高脂血症、リフィル3回目
- 所見:「最近ふらつきやすい」との訴えあり、降圧剤の影響を疑う
- 対応:血圧ログと症状をまとめ、リフィル元医師へ文書報告
- 結果:薬剤変更の指示があり、症状軽快
重要なポイント:リフィル処方の継続判断時にも、情報提供料は算定可能です!
よくある質問(Q&A)
服薬情報等提供料1と2の違いは何ですか?
服薬情報等提供料1は「医療機関からの求め」があった場合に算定できます。服薬情報等提供料2は、薬剤師の判断で必要性があると認めて、情報提供を行った場合に算定できます。
服薬状況を聞いただけでも算定できますか?
いいえ、算定には文書での情報提供が必要です。患者の服薬状況や副作用等を確認し、それを医師や関係者へ書面で報告した場合にのみ対象となります。
患者からの訴えを医師に口頭で伝えたら算定できますか?
口頭での伝達だけでは算定できません。必ずFAX、電子カルテ、書面での報告など、記録が残る形で提供する必要があります。
在宅訪問後の報告書も対象になりますか?
はい、医師やケアマネージャーに対して文書で情報提供した場合は服薬情報等提供料として算定可能です。特に副作用や残薬、服薬支援の内容が含まれていれば有効です。
リフィル処方のフォローで算定できますか?
はい、リフィル処方の継続判断を薬剤師が行い、その内容を医師に報告した場合は情報等提供料2として算定可能です。特に副作用や血圧記録の報告などが有効です。
地域支援体制加算と関係があるのはなぜですか?
服薬情報等提供料は、他職種・医療機関との情報連携の実績として、地域支援体制加算の届出や継続要件に活用できます。件数や内容を記録・集計しておくことが重要です。
まとめ
服薬情報等提供料は、単なる点数加算ではなく、患者の安全確保と地域医療連携を支える重要な業務です。特に管理薬剤師の立場では、組織的に取り組む体制づくりがカギになります。
- ✅ 情報提供料1は医師からの依頼時に確実に文書化
- ✅ 情報提供料2は薬剤師判断で積極的に算定可能
- ✅ 在宅や訪問報告も「文書で提供」すれば対象
- ✅ 実績は地域支援体制加算にも活用可能
重要なポイントは、「形式ではなく中身」。誰に、何を、どのように伝えるかを丁寧に記録し、仕組みとして回すことで、継続的な算定と地域評価につながります。
服薬情報等提供料を“取る”ことにとどまらず、“価値ある情報提供を通じた連携”として取り組むことが、これからの薬局に求められる役割です。

理解度チェッククイズ
第1問:服薬情報等提供料1を算定できるのはどのケース?
- A:薬剤師が患者の服薬状況を把握し、医師に電話連絡した
- B:医師から残薬確認の依頼を受け、文書で情報提供した
- C:薬剤師の判断で副作用を報告書にしてケアマネに送付した
正解:B
情報提供料1は「医療機関等からの求め」が要件です。Bのように医師から依頼され、文書で提供されたケースのみが該当します。
第2問:情報提供料2が算定できるのは?
- A:服薬状況を聞いて患者に助言したが報告はしなかった
- B:残薬の調整提案を文書で医師に送付した
- C:副作用を医師に電話で伝えたが記録は残していない
正解:B
情報提供料2は薬剤師の判断で算定可能ですが、「文書で提供」「記録として残す」ことが必要です。
第3問:情報提供料3が算定できるのはどれ?
- A:OTCの飲み合わせに注意した旨を患者に説明
- B:入院予定患者の持参薬を整理し、病院へ一覧を送付
- C:医師の依頼で高血圧の副作用疑いを電話で伝達
正解:B
情報提供料3は「高度な評価・整理・共有」が要件で、特に入院患者の持参薬整理などが典型例とされています。
参考文献
- 服薬情報等提供料1・2・3の算定要件まとめ(令和6年度改定対応)
- 令和6年度診療報酬改定の概要【調剤】(厚生労働省)
- 地域支援体制加算の算定要件(令和6年度改定対応)
- 地域支援体制加算とは?要件と変更ポイント解説
- 服薬情報等提供料とは?1・2・3の算定要件・点数と算定例
- 地域支援体制加算とは?算定要件や2024年度改定のポイント








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