※本記事は2026年8月26日時点の厚生労働省資料をもとに、薬局実務向けに整理しています。個別の算定は最新の告示・通知・疑義解釈、審査支払機関等の取扱いも確認してください。
結論
調剤時残薬調整加算は、原則として残薬調整によって「7日分以上相当」の調剤日数の変更が行われた場合に算定を検討する加算です。ただし、6日分以下でも、高額医薬品で患者負担等を軽減する必要性が特に高い場合や、薬学的専門的観点から調整が必要な場合は対象になり得ます。
注射薬では「1本減った=必ず7日分」と機械的に判断せず、その製剤の用法・用量・投与間隔から、変更数量が何日分相当に当たるかを確認するのが安全です。なお、厚労省資料で確認できる範囲を超えて、空打ち量や平均使用量を用いた独自の算定ルールが公的に示されているとは断定できません。
この記事の重要ポイント
- 2026年度改定で「調剤時残薬調整加算」が新設
- 通常は30点、在宅・かかりつけ薬剤師等の所定区分は50点
- 原則は7日分以上相当の調剤日数変更
- 6日分以下でも一定の理由があれば算定対象になり得る
- 注射薬は「本数」だけでなく用法・投与間隔から日数相当を考える
- 残薬の状態・理由・必要性を確認し、機械的に減数しない
- 6日分以下ではレセプトに理由と変更のあった主な薬剤名の記載が必要
- 疑義解釈や通知にない独自ルールを「厚労省が認めた」と断定しない



- 調剤時残薬調整加算とは?2026年度に新設された残薬対応の評価
- 調剤時残薬調整加算は何点?30点と50点の違い
- 「7日分以上相当」とは何を意味する?
- 注射薬の「7日分以上相当」はどう判断する?
- 具体例で確認|7日分以上相当になりやすいケース
- 6日分以下でも調剤時残薬調整加算を算定できる?
- 「6日以下=算定不可」ではないことが重要
- 残薬が7日分あれば自動的に算定できるわけではない
- 注射薬の残薬調整で薬歴に何を書く?
- レセプトで注意すること|6日分以下は理由記載が必要
- 処方箋の残薬対応欄も確認する
- 調剤時残薬調整加算と薬学的有害事象等防止加算の違い
- 注射薬でやりがちな5つの間違い
- 薬局で残薬調整を仕組み化する方法
- FAQ|調剤時残薬調整加算と注射薬
- まとめ|注射薬は「本数」ではなく日数相当の根拠を確認する
- 参考資料
調剤時残薬調整加算とは?2026年度に新設された残薬対応の評価
調剤時残薬調整加算は、2026年度(令和8年度)診療報酬改定で新設された評価です。対象は調剤管理料を算定する患者で、患者本人や家族等から得た情報などによって残薬が確認され、処方医の指示または処方医への照会結果に基づき、残薬調整のために調剤日数の変更が行われた場合に算定を検討します。
厚生労働省の改定概要では、実効性の高い残薬対策を評価する観点から新設されたことが示されています。重要なのは、単に「薬が余っていた」という事実ではありません。残薬を確認し、その状態や理由、調整する必要性を薬剤師が確認したうえで、実際の処方・調剤数量の変更につながることが基本です。
制度全体については、既存記事「調剤時残薬調整加算とは?旧制度との違いと疑義解釈を解説」で詳しく整理しています。本記事では特に、注射薬や投与間隔の長い薬で迷いやすい「7日分以上相当」の考え方に絞ります。
調剤時残薬調整加算は何点?30点と50点の違い
| 区分 | 主なケース | 点数 |
|---|---|---|
| イ | 在宅患者について、処方箋交付前に処方医へ相談し、提案が反映された処方箋を受け付けた場合 | 50点 |
| ロ | 在宅患者に対して実施した場合(イを除く) | 50点 |
| ハ | かかりつけ薬剤師により調剤日数の変更が行われた場合(イ・ロを除く) | 50点 |
| ニ | イ〜ハ以外 | 30点 |
一般的な外来患者で、在宅やかかりつけ薬剤師の区分に該当しない場合は「ニ」の30点が基本的な候補になります。一方、在宅患者やかかりつけ薬剤師による残薬調整では所定の要件を満たすと50点です。
点数だけで判断せず、どの区分に該当するのか、調剤管理料の算定対象であるか、残薬調整の要件を満たすかを順番に確認しましょう。
「7日分以上相当」とは何を意味する?
告示では、患者または家族等から収集した情報等に基づいて残薬が確認された患者について、処方医の指示または照会結果に基づき、残薬調整のために7日分以上相当の調剤日数の変更が行われた場合を基本としています。
内服薬であれば比較的分かりやすく、たとえば1日1回28日分の処方を残薬7日分に合わせて21日分へ変更すれば、7日分の変更です。しかし、注射薬や週1回製剤などは処方数量が「本」「キット」「筒」などで示されるため、その数量が何日分相当なのかを用法・用量から考える必要があります。
注意
「7日分以上」は残薬そのものの量だけを見るのではなく、残薬調整によって実際にどれだけ調剤日数相当が変更されたかを確認するのがポイントです。また、通知では残薬が7日分以上あったことだけを理由に機械的に調整する考え方ではなく、残薬の状態や必要性の確認が求められています。
注射薬の「7日分以上相当」はどう判断する?
注射薬では、まず「今回減らした数量が、処方上の用法・用量に照らして何日分に相当するか」を整理します。薬局内で説明可能な計算根拠を残すことが重要です。
週1回投与の注射薬
たとえば「1週間に1回、1回1キット使用」という処方で、残薬調整によって今回の交付量が1キット減ったとします。用法上、その1キットは1週間の投与1回分です。このようなケースでは、変更数量と投与間隔を対応させて「7日分相当か」を検討できます。
ただし、製剤ごとの用法や患者の実際の投与スケジュールが異なるため、「週1回製剤なら何でも1本=7日」と製品横断的に決めつけず、処方内容と添付文書上の用法を確認してください。
2週に1回、4週に1回など投与間隔が長い注射薬
2週に1回の用法で1回1本使用する薬なら、1本の変更は投与スケジュール上14日間の間隔に対応します。4週に1回ならさらに長い間隔です。こうした薬では、単純な「1日使用量」で割るよりも、処方された投与間隔と1回投与量を基準に整理する方が分かりやすい場合があります。
一方で、患者の投与日がずれている、導入期と維持期で用法が異なる、休薬期間があるなどのケースでは個別確認が必要です。
毎日使用する自己注射薬
毎日使用する自己注射薬は、1日の指示量と製剤中の総量から、変更した数量がおおむね何日分に相当するかを確認する方法が考えられます。ただし、ここで注意したいのが、理論上の容量と実際の使用可能量が必ずしも同じとは限らないことです。
空打ち、残量、デバイス特性、患者ごとの使用方法などが関係する薬では、薬局独自の計算を「厚生労働省が定めた公式換算式」として扱わないようにしましょう。公的資料に具体的な換算方法が示されていない部分は、処方医や審査上の取扱いも含めて慎重に判断するのが安全です。
具体例で確認|7日分以上相当になりやすいケース
例1:週1回・1回1キットの薬を1キット減らした
処方例
- 用法:週1回
- 1回量:1キット
- 自宅残薬:1キット
- 今回処方:4キット→3キットへ変更
処方上、1キットが週1回の1回投与分であれば、変更した1キットは投与間隔上1週間に対応します。残薬の状態、調整の必要性、処方医の指示・照会結果など他の要件も満たしているか確認します。
例2:2週に1回・1回1本の薬を1本減らした
処方例
- 用法:2週に1回
- 1回量:1本
- 自宅残薬:1本
- 今回処方から1本減量
用法上は1本が1回投与分で、次回投与まで2週間の間隔があります。このため、投与スケジュールから日数相当を整理できます。薬歴には「2週に1回、1回1本の用法」「残薬1本」「今回1本減量」など、第三者が判断過程を追える情報を残しておくと実務上分かりやすくなります。
例3:毎日使用する注射薬を減量した
毎日使用する薬では、処方された1日量と減量した製剤量の関係から日数相当を検討します。ただし、患者ごとに投与量が変動する薬、スライディングスケール、デバイスの空打ち等が影響する薬では単純計算だけで断定しないことが重要です。
「残薬1本だから算定」と先に結論を決めるのではなく、残薬量、現在の用法・用量、次回受診日、今回変更した数量を記録し、必要に応じて確認を行いましょう。
6日分以下でも調剤時残薬調整加算を算定できる?
一定の場合は算定対象になり得ます。ここは「7日分以上」という言葉だけを覚えていると見落としやすいポイントです。
厚生労働省の留意事項やレセプト記載要領では、6日分以下相当の調剤日数変更を行うケースも想定されています。代表的には、高額医薬品で患者負担等を軽減する必要性が特に高い場合や、薬学的専門的観点から今調整する必要がある場合です。
| 6日分以下で確認すること | 実務ポイント |
|---|---|
| 高額医薬品か | 患者負担等を軽減する必要性が特に高いかを確認 |
| 薬学的理由があるか | 投与期間、次回検査後の処方変更見込みなどを確認 |
| レセプト記載 | 7日分を超えないのに調整する必要性を記載 |
| 薬剤名 | 変更のあった主な薬剤名を記載 |
| 患者説明・薬歴 | 調整理由や説明内容を記録 |
2026年6月19日付のレセプト記載要領では、6日以下の場合の理由として「高額医薬品のため」「治療終了予定日との日数調整のため」「投与間隔が長い薬剤のため」「その他薬学的専門的観点」などに対応する記録コードが示されています。つまり、投与間隔が長い薬剤だからこそ、7日未満の数量調整でも今調整する合理性があるケースも制度上想定されています。
「6日以下=算定不可」ではないことが重要
たとえば残薬調整の結果が5日分相当だった場合、単純に「7日未満だから絶対に算定不可」とするのも正確ではありません。一方で、「6日以下でも何でも算定できる」わけでもありません。
6日以下であれば、なぜ残薬が7日分を超えるまで待たずに今回調整する必要があるのかを説明できることが重要です。薬学的な必要性が乏しく、次回以降まで待つことが合理的なケースで機械的に少量調整するのは避けるべきです。
疑義解釈では、添付文書で投与期間が定められた薬で通算すると期間超過が見込まれる場合や、次回診察時の検査結果等によって処方変更が見込まれる場合などが、薬学的専門的観点の例として示されています。
残薬が7日分あれば自動的に算定できるわけではない
残薬調整で最も避けたいのが、「7日分ある→加算を取りたい→減らす」という順番です。通知では、残薬の外形状態や保管状況、患者が次回受診日等を考えて意図的に残しているのかなどを確認し、調整の必要性を判断する考え方が示されています。
残薬調整前のチェックリスト
- 残薬の薬剤名・数量を確認したか
- 残薬の外形状態・保管状況を確認したか
- なぜ残ったのか確認したか
- 次回受診日・次回投与日を確認したか
- 今回減らしても治療継続に支障がないか
- 変更数量が何日分相当か説明できるか
- 6日以下なら今回調整する特別な理由があるか
- 処方医の指示または照会結果等に基づいているか
- 患者への説明を行ったか
- 薬歴・レセプトの必要事項を記録したか
注射薬の残薬調整で薬歴に何を書く?
注射薬は内服薬より「何日分変更したか」が見た目で分かりにくいため、算定判断の根拠を薬歴から追えるようにしておくことが大切です。
| 記録項目 | 記載する内容の例 |
|---|---|
| 残薬 | 薬剤名、規格、未使用・使用中、数量 |
| 用法・用量 | 週1回1本、2週に1回1本、1日○単位など |
| 残薬理由 | 打ち忘れ、入院、投与延期、処方変更など |
| 状態 | 保管状況、使用期限、外観など |
| 日数相当の根拠 | 投与間隔・1回量と変更数量の関係 |
| 医師との連携 | 照会日時、提案内容、回答、変更内容 |
| 患者説明 | 残薬から使用する順番、次回までの使用方法等 |
SOAP形式を使う場合も、形式そのものより「第三者が算定判断を追える情報」があるかを重視しましょう。
レセプトで注意すること|6日分以下は理由記載が必要
6日分以下相当の変更を行った場合には、残薬が7日分を超えないにもかかわらず調整する必要性を調剤報酬明細書へ記載します。さらに「変更のあった主な薬剤名」の記載も必要です。
厚生労働省の診療報酬情報提供サービスでは、2026年6月1日適用のコードとして、高額医薬品、治療終了予定日との日数調整、投与間隔が長い薬剤、その他薬学的専門的観点などが確認できます。レセコンで表示される選択肢や入力方法はベンダーによって異なるため、自薬局のシステムでも確認しておきましょう。
処方箋の残薬対応欄も確認する
2026年度改定では、残薬確認時の対応が分かるよう処方箋様式も見直されています。医師の指示により、保険医療機関へ疑義照会した上で調剤する方法のほか、「調剤する薬剤を減量した上で、保険医療機関へ情報提供」する運用も示されています。
地域や医療機関との取決め、簡素化プロトコルがある場合でも、プロトコルが存在すること自体が算定理由になるわけではありません。残薬調整の必要性と変更内容を個々の患者で確認することが基本です。
調剤時残薬調整加算と薬学的有害事象等防止加算の違い
2026年度改定では、残薬調整の評価と、重複投薬・相互作用・副作用歴などを踏まえた薬学的介入の評価が整理されています。残薬を理由に数量・日数を調整する場面は調剤時残薬調整加算、薬学的有害事象の防止を目的とした処方変更は薬学的有害事象等防止加算を確認します。
詳しくは「薬学的有害事象等防止加算とは?旧加算との違いを解説」もあわせて確認してください。
注射薬でやりがちな5つの間違い
- 「1本減ったから7日分」と決める
用法・用量・投与間隔を確認します。 - 残薬があるだけで算定する
残薬状態や調整の必要性を確認します。 - 6日以下はすべて算定不可と考える
高額薬や薬学的専門的理由など例外を確認します。 - 独自計算を公式ルールとして扱う
公的資料にない換算方法は断定せず、根拠を明確にします。 - レセプト記載を忘れる
6日以下では必要性と主な薬剤名の記載を確認します。
薬局で残薬調整を仕組み化する方法
個々の薬剤師の経験だけに頼ると、残薬の聞き取りや算定判断にばらつきが出ます。薬局内で「残薬確認→状態確認→理由確認→日数相当の換算→医師への確認→患者説明→薬歴・レセプト」という順番を共通化すると、算定漏れだけでなく不適切算定の防止にもつながります。
特に自己注射薬は、患者が「何本あるか」は答えられても、未開封なのか使用中なのか、次の投与日はいつなのかまで把握していないことがあります。「冷蔵庫に未開封は何本ありますか」「今使っているものはいつ開封しましたか」「次に打つ日はいつですか」と具体的に聞くと整理しやすくなります。
薬局の収益改善という視点では、加算を取ること自体を目的にせず、適切な薬学管理を行った結果として算定できる項目を取りこぼさないことが重要です。「処方箋単価の改善方法|薬局の収益を正しく上げる具体策」でも、加算の適正算定を含めた考え方を解説しています。
FAQ|調剤時残薬調整加算と注射薬
Q1. 注射薬を1本減らせば必ず算定できますか?
いいえ。1本が何日分相当かは用法・用量・投与間隔によって異なります。また、日数相当だけでなく残薬状態、調整の必要性、処方医の指示・照会結果等の要件も確認します。
Q2. 週1回製剤を1回分減らした場合は?
処方上「週1回・1回1本(1キット)」であれば、1回投与分と1週間の投与間隔の関係から7日分相当かを検討できます。製剤ごとの用法を必ず確認してください。
Q3. 6日分以下なら算定できませんか?
一定の理由があれば対象になり得ます。高額医薬品で患者負担等を軽減する必要性が特に高い場合や、薬学的専門的観点による場合などです。レセプトへの必要事項の記載も確認します。
Q4. 「投与間隔が長い薬剤」は6日以下の理由になりますか?
2026年6月1日適用のレセプト電算処理システム用コードには、「投与間隔が長い薬剤のため」という理由が用意されています。実際の患者で今回調整する必要性を確認したうえで使用します。
Q5. インスリンの空打ち分を含めた公式計算式はありますか?
少なくとも本記事で確認した厚生労働省の公表資料からは、「空打ちを何単位として差し引く」といった全製剤共通の公式換算式までは確認できませんでした。製剤の用法・デバイス特性を確認し、必要に応じて個別に照会してください。
Q6. 残薬が7日分以上あれば、患者希望だけで減らしてよいですか?
いいえ。残薬の状態、残薬が生じた理由、次回受診日等を踏まえた必要性を確認し、処方医の指示または照会結果等に基づいて対応します。
Q7. 6日以下のとき薬歴だけ書けばよいですか?
薬歴だけではなく、調剤報酬明細書に7日分を超えないにもかかわらず調整する必要性と、変更のあった主な薬剤名を記載する取扱いが示されています。
Q8. 複数薬を調整したら複数回算定できますか?
処方箋受付1回についての算定ルールを確認し、複数薬を調整したからといって単純に加算を複数回計上しないよう注意します。

まとめ|注射薬は「本数」ではなく日数相当の根拠を確認する
最後にもう一度
- 調剤時残薬調整加算は2026年度新設
- 原則は7日分以上相当の調剤日数変更
- 注射薬は用法・用量・投与間隔から日数相当を考える
- 1本=7日と一律に判断しない
- 6日以下でも高額薬・薬学的理由等で対象になり得る
- 6日以下はレセプト記載事項を忘れない
- 残薬があるだけで機械的に算定しない
- 公的資料にない独自換算を「公式」と断定しない


参考資料
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」(2026年8月26日確認)
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定 薬局・薬剤師業務の対人業務の充実化」(2026年8月26日確認)
- 厚生労働省「調剤報酬点数表」(2026年8月26日確認)
- 厚生労働省「診療報酬請求書等の記載要領等について」関連資料(2026年8月26日確認)
- 厚生労働省 診療報酬情報提供サービス(2026年8月26日確認)


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