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この記事の結論
かかりつけ薬剤師には、患者さんからの休日・夜間を含む相談に応じる体制が必要です。ただし、令和6年度診療報酬改定では、原則としてかかりつけ薬剤師が対応しつつ、当該薬局の別の保険薬剤師が対応しても差し支えないことが明確化されています【1】。
また、やむを得ず電話等に出られなかった場合も、速やかに折り返して連絡できる体制が整備されていればよいとされています【1】。
- 前書き:かかりつけ薬剤師の「24時間対応」は誤解されやすい
- 本文:まず「かかりつけ薬剤師」とは何かを超基本から整理しよう
- かかりつけ薬剤師指導料とは?
- 「24時間対応が必要」とはどういう意味?
- 令和6年度改定で何が変わった?
- 個人の連絡先を患者さんに教える必要はある?
- 患者さんへの説明例:個人番号を教えない場合
- かかりつけ薬剤師以外の薬剤師が対応してもよい?
- かかりつけ以外の薬剤師が対応したときの薬歴記載例
- 24時間対応の責任範囲:薬剤師はどこまで責任を負う?
- 対応できなかった場合はどうする?
- 自宅など薬局外で対応する場合の注意点
- かかりつけ薬剤師の勤務表は必要?
- もっと具体例を知りたい方へ
- 症例・具体例・実践例
- 薬局で作っておきたい24時間対応マニュアル
- 患者さんへの同意取得時に説明したいこと
- まとめ:24時間対応は「個人の犠牲」ではなく「薬局の安全体制」
- よくある質問
- 参考文献
前書き:かかりつけ薬剤師の「24時間対応」は誤解されやすい
かかりつけ薬剤師制度を学び始めた薬剤師さんが、最初につまずきやすいのが「24時間対応」という言葉です。
この言葉だけを見ると、次のように感じる方も多いのではないでしょうか。
- 患者さんに自分の個人携帯番号を教えないといけないの?
- 夜中の2時でも必ず自分が電話に出ないといけないの?
- 休みの日や旅行中も、患者さんから連絡が来たら対応しないといけないの?
- 自分が出られなかったら算定要件違反になるの?
- 別の薬剤師が対応したら、かかりつけ薬剤師指導料はどうなるの?
たしかに、制度上「休日、夜間を含む時間帯の相談に応じる体制」という表現が出てきます。しかし、これは「かかりつけ薬剤師本人が、私生活をすべて削って、常時オンコールで対応する」という意味ではありません。
大切なのは、患者さんが薬で困ったときに、薬局として安全に相談を受け、必要に応じて受診勧奨・医師連携・調剤対応につなげられる体制を作ることです。
この記事では、かかりつけ薬剤師の24時間対応について、超初心者の薬剤師さんにも分かるように、制度の考え方、責任範囲、個人連絡先の扱い、別の薬剤師が対応する場合、現場での説明例まで丁寧に整理します。
この記事で分かること
- かかりつけ薬剤師に24時間対応が必要とされる理由
- 「24時間対応」の正しい意味
- 個人の携帯番号を患者さんに教える必要があるのか
- かかりつけ薬剤師以外が対応する場合の考え方
- 対応できなかった場合の注意点
- 患者さんへの説明文例
- 薬歴・同意書・勤務表・連絡先の実務ポイント
本文:まず「かかりつけ薬剤師」とは何かを超基本から整理しよう


かかりつけ薬剤師とは、患者さんが使用している薬を一元的・継続的に把握し、服薬状況、副作用、残薬、併用薬、市販薬、健康食品などを確認しながら、必要な薬学的管理・指導を行う薬剤師です。
日本薬剤師会も、かかりつけ薬剤師・薬局の役割として、複数の医療機関から処方される薬の重複や相互作用を確認し、休日や夜間など開局時間外も電話で薬の使い方や副作用等の相談に応じることを説明しています【2】。
つまり、かかりつけ薬剤師の本質は「点数を取ること」ではなく、患者さんの薬物療法を継続的に見守り、困ったときにつながれる安心感を提供することにあります。

かかりつけ薬剤師指導料とは?
保険薬局で「かかりつけ薬剤師指導料」を算定する場合、施設基準に適合した薬局で、要件を満たす保険薬剤師が、患者さんの同意を得たうえで必要な指導等を行う必要があります。
調剤報酬点数表上、かかりつけ薬剤師指導料は処方箋受付1回につき算定する評価であり、令和7年4月1日施行の調剤報酬点数表では76点とされています【3】。
| 項目 | 初心者向けの理解 |
|---|---|
| 制度の目的 | 患者さんの薬を継続的・一元的に管理する |
| 患者さんの同意 | 必要。薬剤師側が勝手に決めるものではない |
| 主な業務 | 服薬状況確認、副作用確認、残薬確認、医師連携、相談対応など |
| 24時間対応 | 本人が常時電話番をする意味ではなく、休日・夜間を含む相談対応体制を整えること |
あわせて読みたい:【2024年改定対応】調剤基本料の点数・加算・維持戦略を完全解説
「24時間対応が必要」とはどういう意味?


かかりつけ薬剤師指導料では、患者さんから休日・夜間を含む時間帯の相談に応じる体制を取り、開局時間外の連絡先を伝えることが求められます【1】。
ここで重要なのは、制度が求めているのは「薬局を24時間開けること」ではなく、開局時間外でも、薬に関する相談を受けられる連絡体制を整えることです。
| 誤解 | 正しい理解 |
|---|---|
| 薬局を24時間営業しなければならない | 24時間営業の意味ではない。相談対応体制が必要 |
| かかりつけ薬剤師本人が必ず毎回電話に出る | 原則本人対応。ただし別の保険薬剤師の対応も可能 |
| 電話に出られなければ即アウト | やむを得ない場合は、速やかに折り返す体制が重要 |
| どんな相談でも薬局だけで完結させる | 緊急性があれば救急受診勧奨や医療機関連携が必要 |
注意:24時間対応は「何でも屋」になることではない
かかりつけ薬剤師は、薬に関する相談を受け、薬学的に判断し、必要に応じて医師や医療機関につなぐ役割を持ちます。しかし、救急医療の代わりになるわけではありません。
呼吸困難、意識障害、強い胸痛、アナフィラキシーが疑われる症状、大量服薬、重篤な副作用が疑われる状態などでは、薬局内で抱え込まず、救急受診や119番を案内する判断が必要です。
令和6年度改定で何が変わった?
令和6年度診療報酬改定では、働き方改革の観点も踏まえ、かかりつけ薬剤師指導料およびかかりつけ薬剤師包括管理料の24時間対応に係る要件が見直されました。
厚生労働省の資料では、かかりつけ薬剤師の休日・夜間対応について、次のような考え方が示されています【1】。
- 患者から休日・夜間を含む時間帯の相談に応じる体制をとる
- 開局時間外の連絡先を伝える
- 原則として、かかりつけ薬剤師が相談に対応する
- ただし、当該薬局のかかりつけ薬剤師以外の別の保険薬剤師が相談等に対応しても差し支えない
- 別の保険薬剤師が対応した場合、かかりつけ薬剤師指導料は算定できない
- やむを得ず問い合わせに応じられなかった場合は、速やかに折り返して連絡できる体制を整備する
- 薬局以外の場所で対応する場合は、必要に応じて薬剤服用歴等を閲覧できる体制が望ましい
ミニまとめ
令和6年度改定後の理解としては、「かかりつけ薬剤師本人が中心。ただし、薬局として支える体制も認められる」と考えると分かりやすいです。
個人の連絡先を患者さんに教える必要はある?


かかりつけ薬剤師指導料では、患者さんに開局時間外の連絡先を伝えることが求められます【1】。
ただし、これは必ずしも「薬剤師個人の私用携帯番号を患者さんへ直接教えなければならない」という意味ではありません。
実務上は、薬局の体制に応じて、次のような連絡先を設定しているケースがあります。
- 薬局の時間外対応用携帯電話
- 薬局代表番号から時間外用電話へ転送される仕組み
- 会社が貸与する業務用スマートフォン
- 当番薬剤師が持つオンコール用端末
- 地域の夜間・休日対応薬局につながる案内体制
大切なのは、患者さんが薬に関する緊急相談をしたいときに、どこへ連絡すればよいか分かる状態にしておくことです。
| 連絡先の種類 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|
| 個人の私用携帯 | 患者さんが直接つながりやすい | プライバシー、労務管理、退職時対応、記録管理の問題が出やすい |
| 会社貸与の業務用携帯 | 業務と私生活を分けやすい | 当番制や引き継ぎルールが必要 |
| 薬局代表番号の転送 | 患者さんに説明しやすい | 転送先、折り返し、留守電確認のルールが必要 |
| 薬局単位の時間外番号 | 複数薬剤師で支えやすい | 誰がいつ対応するか明確にする必要がある |
現場で注意したいこと
個人の私用携帯番号を使う場合、退職・異動後も患者さんから連絡が来る、深夜に私的な相談が続く、記録が薬局に残りにくい、他職員へ引き継げないなどの問題が起こりやすくなります。
可能であれば、薬局または法人として業務用連絡手段を整備し、個人に過度な負担が集中しない仕組みを作ることが望ましいです。
患者さんへの説明例:個人番号を教えない場合
患者さんへは、制度や薬局の体制を分かりやすく説明することが大切です。
説明例
「開局時間外にお薬のことで緊急のご相談がある場合は、こちらの時間外連絡先へご連絡ください。原則として担当のかかりつけ薬剤師が確認しますが、休みや対応中などで別の薬剤師が対応することもあります。その場合も薬局内で情報を共有し、必要に応じて担当薬剤師へ引き継ぎます。」
このように説明すると、患者さんも「担当薬剤師にしか相談できない」と誤解しにくくなります。
かかりつけ薬剤師以外の薬剤師が対応してもよい?


令和6年度改定後、休日・夜間を含む相談対応については、原則としてかかりつけ薬剤師が対応するものの、当該薬局のかかりつけ薬剤師以外の別の保険薬剤師が相談等に対応しても差し支えないとされています【1】。
ただし、別の保険薬剤師が対応した場合、かかりつけ薬剤師指導料は算定できないとされています【1】。
つまり、ここは次のように分けて理解します。
| 場面 | 対応可否 | 算定の考え方 |
|---|---|---|
| かかりつけ薬剤師本人が対応 | 可能 | 要件を満たせば、かかりつけ薬剤師指導料を算定し得る |
| 同じ薬局の別の保険薬剤師が相談対応 | 可能 | かかりつけ薬剤師指導料は算定できない |
| 別薬剤師が服薬指導を行う | 可能 | 要件に応じて別の評価を確認する |
| 別薬剤師が対応後、担当薬剤師へ共有しない | 対応として不十分 | 継続的管理の観点から問題になり得る |
初心者向けポイント
「別の薬剤師が対応してはいけない」のではありません。むしろ、患者安全のためには、担当薬剤師が不在でも薬局として対応できる体制が大切です。
ただし、誰が対応したか、何を確認したか、担当薬剤師へどう共有したかを薬歴等に残すことが重要です。
かかりつけ以外の薬剤師が対応したときの薬歴記載例
別の薬剤師が対応した場合、薬歴には少なくとも次の要素を残しておくと、後から経過を追いやすくなります。
- 相談日時
- 相談者
- 対応した薬剤師名
- 相談内容
- 確認した情報
- 薬学的判断
- 患者さんへの説明内容
- 受診勧奨や医師連絡の有無
- かかりつけ薬剤師への引き継ぎ内容
薬歴記載例
20XX年X月X日 21:15、患者本人より時間外連絡あり。担当かかりつけ薬剤師Aは休日のため、当番薬剤師Bが対応。相談内容は「本日夕食後に新規処方の抗菌薬を服用後、軽度の胃部不快感あり。発疹、呼吸苦、顔面腫脹なし」。服薬状況、アレルギー歴、併用薬を確認。重篤な過敏症を疑う所見は現時点で乏しいが、症状増悪、発疹、息苦しさ、顔や唇の腫れが出た場合は直ちに医療機関へ相談するよう説明。翌開局日に担当薬剤師Aへ引き継ぎ予定。
あわせて読みたい:【徹底解説】薬局長と管理薬剤師の違いと具体的な仕事内容
24時間対応の責任範囲:薬剤師はどこまで責任を負う?


かかりつけ薬剤師の時間外対応では、薬剤師が医師の代わりに診断したり、救急医療を代替したりするわけではありません。
責任範囲を初心者向けに整理すると、次のようになります。
| 薬剤師が行うこと | 薬剤師だけで抱え込まないこと |
|---|---|
| 服薬方法の確認 | 病名の確定診断 |
| 飲み忘れ時の対応相談 | 重症度が高い症状の自宅経過観察判断 |
| 副作用が疑われる症状の確認 | 救急受診が必要な状態の薬局内完結 |
| 併用薬・市販薬の飲み合わせ確認 | 処方変更の独断 |
| 必要時の受診勧奨・医師連携 | 医師への確認が必要な内容を自己判断で処理 |
夜間相談で迷ったら危険側に倒す
夜間・休日は検査値や診療録を十分に確認できないこともあります。情報が不十分な状態で「大丈夫です」と断定するのは危険です。
呼吸苦、強い胸痛、意識障害、けいれん、血便・黒色便、大量出血、高熱とぐったり、アナフィラキシーを疑う症状などは、薬局だけで判断せず、救急相談窓口や医療機関受診を案内します。
対応できなかった場合はどうする?
令和6年度改定資料では、やむを得ない事由により患者さんからの電話等による問い合わせに応じることができなかった場合、速やかに折り返して連絡することができる体制が取られていることが示されています【1】。
つまり、薬剤師が他の患者さん対応中、入浴中、移動中、電波不良、睡眠中などで即時に出られないこと自体を、すべて制度違反と考える必要はありません。
ただし、問題になるのは次のような状態です。
- 時間外番号を伝えているが、誰も確認していない
- 留守電が残っても翌日まで放置される
- 折り返しの基準が薬局内で決まっていない
- 担当者任せで、休暇中の代替体制がない
- 対応内容が薬歴に残らない
- 患者さんに「何時頃折り返す可能性があるか」の説明がない
薬局内で決めておきたいルール
- 時間外電話を誰が持つか
- 出られなかった場合、何分以内を目安に折り返すか
- 留守電・着信履歴の確認頻度
- 担当薬剤師不在時の代替薬剤師
- 救急受診を案内する基準
- 医師へ連絡する基準
- 翌営業日の情報共有方法
- 薬歴記載のテンプレート
自宅など薬局外で対応する場合の注意点
厚生労働省資料では、自宅等の保険薬局以外の場所で対応する場合、必要に応じて薬剤服用歴等が閲覧できる体制が整備されていることが望ましいとされています【1】。
これは、夜間に電話だけで相談を受けるとき、患者さんの処方歴、アレルギー歴、副作用歴、併用薬、腎機能、過去の疑義照会内容などが分からないと、安全な判断が難しくなるためです。
特に次の相談では、薬歴情報の確認が重要です。
- 新しく追加された薬で体調変化がある
- 抗凝固薬、糖尿病薬、抗がん薬、免疫抑制薬などリスクの高い薬を使用している
- 腎機能・肝機能に応じた用量調整が必要な薬を使用している
- 過去に薬剤アレルギーや重い副作用がある
- 飲み忘れや重複服用が疑われる
- 市販薬との併用相談がある
ただし、自宅で薬歴を閲覧できるようにする場合は、個人情報保護、端末管理、ログイン管理、画面の覗き見防止、通信環境、記録の残し方など、薬局としてルール整備が必要です。
現場の実務ポイント
「夜間でも薬歴を見られるようにする」ことは安全性を高めますが、同時に個人情報管理の責任も大きくなります。個人スマホに患者情報を保存する、スクリーンショットを残す、私用メモアプリに患者名を書く、といった運用は避けるべきです。
かかりつけ薬剤師の勤務表は必要?
かかりつけ薬剤師指導料では、患者さんがかかりつけ薬剤師から服薬指導等を受けられるよう、薬局における勤務日等の必要な情報を伝えることが求められています【1】。
初心者の方は「勤務表を渡す」と聞くと難しく感じるかもしれませんが、要するに患者さんが次回来局時に担当薬剤師へ相談しやすいようにするための情報提供です。
例えば、次のような内容を患者さんへ伝えます。
- 担当薬剤師の氏名
- 主な勤務曜日
- 勤務時間帯の目安
- 不在時は別の薬剤師が対応する可能性
- 開局時間外の連絡先
- 緊急時は医療機関や救急相談窓口へ相談すべきこと
患者さんへの説明例
「私は主に月・火・木・金の午前から夕方まで勤務しています。できるだけ私が継続してお薬の確認をしますが、不在時には他の薬剤師が対応し、内容は薬局内で共有します。緊急時にはこちらの時間外連絡先へご連絡ください。」
もっと具体例を知りたい方へ
管理薬剤師や薬局運営の立場では、かかりつけ薬剤師の24時間対応を「個人の頑張り」にしない仕組みづくりが大切です。薬歴管理、スタッフ間の情報共有、責任範囲の整理、患者説明の標準化などをもう少し体系的に学びたい方は、拙著『はじめての管理薬剤師完全ガイド』も参考にしてください。
症例・具体例・実践例


症例1:夜に「薬を飲み忘れた」と電話が来た
相談内容
70代女性。高血圧で降圧薬を服用中。夜20時に「朝の薬を飲み忘れた。今から飲んでよいか」と時間外連絡あり。
この場合、まず確認したいのは次の点です。
- 飲み忘れた薬の名前
- 通常の服用時点
- 次回服用までの時間
- 血圧の状態
- ふらつき、めまい、動悸、胸痛などの症状
- 過去にも飲み忘れがあるか
飲み忘れ対応は薬剤ごとに異なります。「飲み忘れたら気づいた時点で飲めばよい」と一律に説明するのは危険です。特に糖尿病薬、抗凝固薬、抗てんかん薬、免疫抑制薬などでは個別判断が必要です。
対応の考え方
薬剤名と次回服用時点を確認し、添付文書や薬歴を確認したうえで説明します。症状がある場合や判断に迷う場合は、医療機関への相談を案内します。翌営業日に、飲み忘れが続いていないか、服薬支援が必要かをフォローします。
症例2:別の薬剤師が夜間に副作用相談を受けた
相談内容
60代男性。担当かかりつけ薬剤師Aは休日。患者さんから時間外番号へ連絡があり、「今日から飲み始めた薬で発疹が出た」と相談。薬局の当番薬剤師Bが対応した。
この場合、別の保険薬剤師Bが対応すること自体は可能です。ただし、かかりつけ薬剤師指導料の算定とは分けて考え、対応内容を薬歴に残し、担当薬剤師Aへ確実に共有する必要があります。
確認すべき項目は次の通りです。
- 発疹が出た時刻
- 服用した薬剤名と服用時刻
- 発疹の範囲
- かゆみ、発熱、粘膜症状の有無
- 息苦しさ、顔面・口唇の腫れの有無
- 過去の薬剤アレルギー歴
- 他に新しく始めた薬、市販薬、健康食品
危険サイン
息苦しさ、顔面や口唇の腫れ、全身じんましん、意識がぼんやりする、発熱を伴う広範囲の発疹、目や口の粘膜症状などがあれば、重篤な過敏症の可能性を考え、救急受診を含めて案内します。
翌営業日には、担当かかりつけ薬剤師が経過を確認し、必要に応じて処方医へ情報提供します。
症例3:患者さんが「担当薬剤師じゃないなら相談したくない」と言った
かかりつけ薬剤師制度では、患者さんが担当薬剤師に信頼を寄せることは大切です。しかし、担当薬剤師が休みや対応中のときに相談が止まってしまうと、患者安全上の問題があります。
説明例
「担当薬剤師に相談したいお気持ちはよく分かります。本日は担当が不在ですが、お薬の安全に関わる内容かもしれませんので、まず私が内容を確認します。必要な内容は担当薬剤師に必ず共有し、改めて担当からご連絡することもできます。」
ポイントは、患者さんの希望を否定せず、まず安全確認を優先することです。
症例4:深夜に「薬が足りない」と電話が来た
深夜に「薬がなくなった」「明日の朝の薬がない」と相談が来ることもあります。
この場合、すぐに調剤対応できるかどうかは、処方箋の有無、薬局の在庫、地域の夜間休日対応体制、緊急性などによって変わります。
日本薬剤師会は、夜間・休日等に緊急性の高い処方箋調剤等に対応する薬局情報について、都道府県薬剤師会の情報公開ページを案内しています。また、通常診療で発行された処方箋等は、なるべく薬局の開局時間中に問い合わせるよう説明しています【4】。
対応の考え方
緊急性が高い薬か、休薬によりリスクが高い薬か、処方箋があるか、受診が必要かを確認します。抗てんかん薬、インスリン、ステロイド、抗凝固薬、免疫抑制薬などでは、切れたまま放置しないよう慎重に判断します。
関連記事:リフィル処方箋とは?薬剤師が見るべき5つの実務ポイントを解説
薬局で作っておきたい24時間対応マニュアル
かかりつけ薬剤師の時間外対応は、担当薬剤師個人の経験や気合いに依存させると危険です。薬局として、最低限のマニュアルを作っておくことが大切です。
| 項目 | 決めておく内容 |
|---|---|
| 連絡先 | 時間外番号、転送先、留守電設定 |
| 当番 | 曜日ごとの担当者、休暇時の代替者 |
| 折り返し | 着信確認、折り返しの目安、記録方法 |
| 薬歴閲覧 | 薬局外で閲覧できる範囲、端末管理、個人情報対策 |
| 受診勧奨 | 救急受診を案内する症状、医師へ連絡する基準 |
| 情報共有 | 担当薬剤師、管理薬剤師、薬局長への共有方法 |
患者さんへの同意取得時に説明したいこと
かかりつけ薬剤師の同意を取得するときは、患者さんにメリットだけを伝えるのではなく、実際の運用も分かりやすく説明する必要があります。
説明チェックリスト
- 担当する薬剤師の氏名
- 継続的に薬の管理を行うこと
- お薬手帳や併用薬を確認すること
- 開局時間外の相談先
- 原則担当薬剤師が対応すること
- 担当薬剤師が不在の場合、別の薬剤師が対応する場合があること
- 緊急時は医療機関や救急相談を優先する場合があること
- 費用負担が発生すること
まとめ:24時間対応は「個人の犠牲」ではなく「薬局の安全体制」



かかりつけ薬剤師には、休日・夜間を含む相談に応じる体制が求められます。
しかし、それは「薬剤師個人が365日24時間、必ず自分の私用携帯で対応し続ける」という意味ではありません。
令和6年度診療報酬改定では、原則としてかかりつけ薬剤師が対応するものの、当該薬局の別の保険薬剤師が対応しても差し支えないこと、やむを得ず応じられなかった場合は速やかに折り返せる体制を整えることが示されています【1】。
この記事の最重要ポイント
- かかりつけ薬剤師には休日・夜間を含む相談対応体制が必要
- 24時間営業や常時即時応答を意味するわけではない
- 個人の私用携帯番号を必ず教える必要があるわけではない
- 業務用携帯、転送電話、薬局単位の時間外番号などの体制整備が望ましい
- 原則はかかりつけ薬剤師対応だが、別の保険薬剤師の対応も可能
- 別の薬剤師が対応した場合、かかりつけ薬剤師指導料は算定できない
- 対応内容は薬歴に残し、担当薬剤師へ共有する
- 重症・緊急の可能性がある相談は薬局内で抱え込まず医療機関へつなぐ
かかりつけ薬剤師制度は、薬剤師個人を追い詰める制度ではなく、患者さんの薬物療法を継続的に支えるための制度です。
だからこそ、管理薬剤師や薬局長は、担当薬剤師だけに負担を背負わせず、薬局全体で安全に支える体制を整える必要があります。
あわせて読みたい:新入社員の薬剤師がやりがちな失敗あるある10選【調剤薬局での注意点】
よくある質問
Q. かかりつけ薬剤師は24時間ずっと電話に出ないといけませんか?
いいえ。制度上求められるのは、休日・夜間を含む相談に応じる体制です。原則としてかかりつけ薬剤師が対応しますが、別の保険薬剤師が対応することも可能です。また、やむを得ず出られなかった場合は、速やかに折り返して連絡できる体制が重要です【1】。
Q. 患者さんに個人の携帯番号を教える必要がありますか?
必ずしも個人の私用携帯番号である必要はありません。必要なのは、開局時間外の連絡先を患者さんへ伝えることです。実務上は、薬局の時間外用携帯、業務用スマホ、代表番号からの転送、当番制の連絡先など、薬局や法人として管理できる連絡手段が望ましいです。
Q. かかりつけ薬剤師以外が対応したら違反ですか?
いいえ。令和6年度改定では、当該薬局のかかりつけ薬剤師以外の別の保険薬剤師が相談等に対応しても差し支えないとされています【1】。ただし、別の保険薬剤師が対応した場合、かかりつけ薬剤師指導料は算定できません。
Q. 別の薬剤師が対応した場合、何を記録すべきですか?
相談日時、相談内容、対応薬剤師名、確認した情報、薬学的判断、患者さんへの説明、受診勧奨や医師連絡の有無、担当かかりつけ薬剤師への引き継ぎ内容を薬歴等に記録します。
Q. 時間外に電話へ出られなかったらどうなりますか?
やむを得ず問い合わせに応じられなかった場合は、速やかに折り返して連絡できる体制が取られていることが重要です【1】。ただし、時間外番号を誰も確認していない、折り返しルールがない、記録が残らないといった運用は避けるべきです。
Q. 夜間に患者さんから体調不良の相談が来たら、薬剤師が判断してよいですか?
薬剤師は、薬の副作用や服薬状況の観点から情報を確認し、必要な助言や受診勧奨を行います。ただし、診断や救急医療の代替はできません。呼吸苦、意識障害、強い胸痛、アナフィラキシーを疑う症状などがある場合は、救急受診や119番を案内します。
Q. かかりつけ薬剤師が休みの日に患者さんが来局した場合は?
別の薬剤師が対応して差し支えありません。ただし、担当かかりつけ薬剤師が対応していない場合、かかりつけ薬剤師指導料の算定可否には注意が必要です。対応内容は担当薬剤師へ共有し、継続的な薬学的管理が途切れないようにします。
Q. 患者さんに「担当薬剤師以外が対応する場合がある」と事前説明すべきですか?
はい。患者さんが不安にならないよう、同意取得時や勤務表・連絡先を伝える際に、担当薬剤師が不在の場合は同じ薬局の別の薬剤師が対応する場合があることを説明しておくとよいです。
Q. 時間外対応は薬局単位で考えてもよいですか?
令和6年度改定では、休日・夜間等のやむを得ない場合は薬局単位での対応でも可能となるよう見直しが行われています【1】。個人に過度な負担を集中させず、薬局として対応できる体制を整えることが重要です。
Q. 24時間対応のせいで薬剤師の負担が大きすぎる場合は?
個人の努力だけで対応するのではなく、業務用端末、当番制、折り返しルール、薬歴テンプレート、受診勧奨基準、管理薬剤師への報告ルールを整備しましょう。薬局全体で支える仕組みがなければ、患者安全にも職員の働き方にも悪影響が出ます。
参考文献
- [1] 厚生労働省「令和6年度診療報酬改定の概要【調剤】」
URL:https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001238903.pdf
最終確認日:2026年7月13日 - [2] 日本薬剤師会「かかりつけ薬剤師・薬局とは?」
URL:https://www.nichiyaku.or.jp/kakaritsuke/about/index.html
最終確認日:2026年7月13日 - [3] 日本薬剤師会「調剤報酬点数表(令和7年4月1日施行)」
URL:https://www.nichiyaku.or.jp/files/co/pharmacy-info/2025/%E8%AA%BF%E5%89%A4%E5%A0%B1%E9%85%AC%E7%82%B9%E6%95%B0%E8%A1%A8%EF%BC%88R7.4.1%E6%96%BD%E8%A1%8C%EF%BC%89.pdf
最終確認日:2026年7月13日 - [4] 日本薬剤師会「地域における薬局の外来対応・在宅対応・その他薬局機能に係る体制について」
URL:https://www.nichiyaku.or.jp/yakuzaishi/pharmacy-info/iyakuhinteikyoutaisei
最終確認日:2026年7月13日 - [5] 厚生労働省「別表第三 調剤報酬点数表」
URL:https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001218733.pdf
最終確認日:2026年7月13日 - [6] PMDA「全国のくすり相談窓口」
URL:https://www.pmda.go.jp/safety/consultation-for-patients/on-drugs/0001.html
最終確認日:2026年7月13日


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