長期収載品の選定療養は2026年6月からどう変わる?薬局での説明例つき
この記事でわかること
- 長期収載品の選定療養が2026年6月からどう変わったのか
- 「4分の1」から「2分の1」になると患者負担がどう変わるのか
- 薬局で選定療養になるケース・ならないケース
- 処方箋の「変更不可(医療上必要)」「患者希望」欄の見方
- 患者さんへクレームになりにくく説明する会話例
※本記事は、2026年7月2日時点で確認できる厚生労働省等の公開情報をもとに、薬局実務向けに整理しています。実際の請求・算定・レセコン設定は、最新の厚生労働省通知、対象医薬品リスト、支払基金・国保連・各レセコン会社の案内も確認してください。

ゆずまる先輩、長期収載品の選定療養って、2026年6月からまた変わったんですよね?患者さんに「なんで高くなったの?」って聞かれたら、どう説明すればいいですか?

ポイントはシンプルだよ。2026年6月から、患者さんが先発品を希望した場合の追加負担が「価格差の4分の1」から「価格差の2分の1」へ引き上げられたんだ。まずは制度の全体像を、超初心者向けに整理していこう。
前書き|2026年6月から「先発品を希望すると高くなる」の意味を整理しよう
2024年10月から始まった「長期収載品の選定療養」は、薬局現場でも患者説明が必要になる制度です。簡単にいうと、後発医薬品、いわゆるジェネリック医薬品がある先発医薬品を、患者さんの希望であえて選ぶ場合、通常の保険負担とは別に追加の料金がかかる仕組みです。
そして2026年6月から、この追加料金の水準が変わりました。これまでは、先発医薬品と後発医薬品の価格差の4分の1相当でしたが、2026年6月以降は価格差の2分の1相当になります。つまり、患者さんから見ると「同じ先発品を希望しているのに、2026年6月から窓口負担が増えた」と感じやすい改定です。[1][2]
まず結論2026年6月からの最大の変更点は、患者希望で長期収載品を選んだ場合の「特別の料金」が、先発品と後発品の価格差の2分の1相当になったことです。
ただし、医師が医療上必要と判断した場合や、薬局で後発医薬品を提供することが困難な場合などは、従来どおり保険給付として扱われ、選定療養の対象外となる場合があります。[3]
薬局では、単に「高くなります」と伝えるだけでは不十分です。患者さんにとっては、「なぜ高くなるのか」「ジェネリックに変えると何が違うのか」「自分は対象なのか」「医師が先発品を出したのに追加料金が必要なのか」がわかりにくいからです。
この記事では、薬局薬剤師・調剤事務・新人薬剤師の方でも迷わないように、制度の基本から、処方箋チェック、計算の考え方、患者さんへの説明例、薬歴記載例まで、現場で使える形で解説します。

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本文|長期収載品の選定療養とは?超初心者向けにやさしく解説
長期収載品とは何か
長期収載品とは、ざっくり言うと後発医薬品が発売された後も、薬価基準に収載され続けている先発医薬品のことです。患者さん向けに説明するなら、「ジェネリックが出ている先発品」と言うと伝わりやすいです。
| 用語 | 超初心者向けの意味 | 薬局での言い換え |
|---|---|---|
| 先発医薬品 | 最初に開発・承認された薬 | いわゆる先発品 |
| 後発医薬品 | 先発品の特許期間などが終了した後に販売される薬 | ジェネリック医薬品 |
| 長期収載品 | ジェネリックがある先発品 | 選定療養の対象になり得る先発品 |
| 選定療養 | 保険診療と併用できるが、患者が選んだ部分は追加負担になる仕組み | 患者希望の先発品に追加料金がかかる制度 |
後発医薬品は、先発医薬品と同じ有効成分を含む医薬品として承認されます。ただし、添加物、剤形、見た目、味、包装、適応の一部などが異なることがあるため、薬局では「安い薬だから全部同じです」と雑に説明するのではなく、同じ有効成分の薬として承認されているが、個別に確認が必要な点もあると伝えるのが安全です。[6]
ポイント
- 長期収載品=ジェネリックがある先発品
- 患者希望で長期収載品を選ぶと、選定療養の対象になり得る
- 医療上必要な場合や、後発品を提供できない場合は対象外になり得る
- 薬局では「先発か後発か」だけでなく、処方箋欄・患者希望・供給状況を確認する
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選定療養とは何か|患者さんの「希望」で先発品を選ぶと追加負担
長期収載品の選定療養は、患者さんが「ジェネリックではなく、先発品がいいです」と希望した場合に、保険の自己負担とは別に「特別の料金」を支払う仕組みです。
ここで大事なのは、すべての先発品が追加負担になるわけではないという点です。対象となるのは、後発医薬品がある先発医薬品のうち、厚生労働省が公表する対象医薬品リストに掲載されるものです。対象医薬品リストは薬価改定等で変わるため、現場ではレセコンマスタや厚労省リストの確認が欠かせません。[1][5]
患者さん向けに一言でいうと「ジェネリックがあるお薬で、患者さんの希望により先発品を選ぶ場合、通常の自己負担とは別に、国の制度で追加の料金がかかることがあります。」
2026年6月から何が変わった?
最大の変更点は、追加で支払う「特別の料金」の水準です。
| 時期 | 特別の料金の考え方 | 患者さんへの影響 |
|---|---|---|
| 2024年9月以前 | 長期収載品の選定療養なし | 通常の保険自己負担のみ |
| 2024年10月〜2026年5月 | 先発品と後発品の価格差の4分の1相当 | 先発品希望時に追加負担あり |
| 2026年6月以降 | 先発品と後発品の価格差の2分の1相当 | 先発品希望時の追加負担が増える |
厚生労働省の説明では、2026年6月からの「特別の料金」は、先発医薬品と後発医薬品の価格差の2分の1相当とされています。また、この「特別の料金」は課税対象であるため、消費税分も加えて支払う必要があります。[1]

つまり、制度自体が新しく始まったのは2024年10月で、2026年6月からは「追加料金の割合」が大きくなった、という理解でいいですか?

その通り。患者さんには「制度が変わって、2026年6月から先発品を希望した場合の追加負担が増えました」と説明すると伝わりやすいよ。
「2分の1」と聞いても、患者負担が単純に2倍になるわけではない
ここは薬局で誤解されやすいポイントです。2026年6月から「価格差の4分の1」が「価格差の2分の1」になるため、特別の料金部分だけを見ると負担は増えます。
ただし、窓口で支払う合計額は、特別の料金だけでなく、保険対象部分の自己負担も関係します。そのため、患者さんへは「全体の会計が必ず2倍になる」という説明は避けましょう。
説明で避けたい表現
- 「6月から薬代が2倍になります」
- 「先発品は全部高くなります」
- 「ジェネリックにしないと損です」
- 「国が決めたので仕方ないです」だけで終わる
正しくは、患者希望で対象の先発品を選ぶ場合、先発品と後発品の価格差に応じた特別の料金が増えるという説明です。
特別の料金はどう計算する?ざっくり式で理解する
超初心者向けに、まずはざっくりしたイメージで整理します。
ざっくり式特別の料金のもとになる金額 = 先発品の薬価 − 後発品の最高価格
2026年6月以降の特別の料金 = 上記の価格差 × 1/2 + 消費税相当
ただし、実際の請求では、厚労省マスタの値を使い、薬剤料の点数化、数量、日数、端数処理、消費税などが関係します。厚生労働省の計算方法通知では、「長期収載品と後発医薬品の価格差の2分の1」と「保険外併用療養費の算出に用いる価格」について、厚生労働省ホームページで公表している対象医薬品リスト、いわゆる厚労省マスタの数値を用いると整理されています。[2]
| 項目 | 意味 |
|---|---|
| 薬価 | 長期収載品の1錠・1gなど規格単位ごとの価格 |
| 後発品最高価格 | 同一成分・同一規格・同一剤形の後発品のうち、最も高い価格 |
| 価格差の2分の1 | 2026年6月以降の特別の料金の基礎になる部分 |
| 消費税 | 特別の料金は課税対象のため加算される |
簡単な例|先発品100円、後発品60円の場合
たとえば、先発品の薬価が100円、後発品の最高価格が60円だったとします。
| 計算項目 | 計算 | 結果 |
|---|---|---|
| 価格差 | 100円 − 60円 | 40円 |
| 2024年10月〜2026年5月 | 40円 × 1/4 | 10円+税相当 |
| 2026年6月以降 | 40円 × 1/2 | 20円+税相当 |
この例では、特別の料金の基礎になる金額が10円から20円に増えます。患者さんには、「先発品とジェネリックの価格差に応じて、追加でかかる部分が以前より大きくなりました」と説明すると、比較的伝わりやすいです。
ミニまとめ
- 2026年6月から、特別の料金は価格差の2分の1相当
- 特別の料金には消費税がかかる
- 後発品が複数ある場合は、最も薬価が高い後発品との価格差で計算
- 実際の請求はレセコン・厚労省マスタ・端数処理を確認
薬局実務で重要|選定療養になるケース・ならないケース

制度の計算はなんとなく分かってきました。でも、現場では「これは選定療養?保険給付?」の判断が一番こわいです。

薬局では、処方箋の記載、患者さんの希望、後発品の在庫、薬学的に後発品でよいかを順番に見るのがコツだよ。まずはケース別に整理しよう。
ケース1|「変更不可(医療上必要)」欄にチェックがある
処方箋で、対象となる長期収載品について「変更不可(医療上必要)」欄にチェックまたは「×」があり、保険医署名欄に署名または記名・押印がある場合は、医師が医療上必要と判断している扱いです。この場合、長期収載品で調剤しても選定療養ではなく、保険給付の対象となります。[3]
薬局での考え方
- 医師が「後発品へ変更しない医療上の理由あり」と判断
- 患者希望ではなく医療上必要
- 特別の料金は発生しない
ケース2|「患者希望」欄にチェックがある
「患者希望」欄にチェックまたは「×」がある長期収載品は、患者さんの希望を踏まえて先発品が処方されている扱いです。この場合、長期収載品を調剤すると選定療養の対象になります。[3]
ただし、薬局で制度を説明した結果、患者さんが「ではジェネリックでお願いします」と希望を変更した場合は、後発医薬品を調剤し、保険給付として扱うことができます。[3]
薬局での説明例「こちらのお薬は、処方箋上では患者さんのご希望により先発品を選ぶ扱いになっています。2026年6月から制度が変わり、先発品を希望される場合は、通常の自己負担とは別に追加の料金がかかります。ジェネリックに変更することも可能ですが、どちらをご希望されますか?」
ケース3|「変更不可」も「患者希望」も空欄
銘柄名で長期収載品が処方されていても、「変更不可(医療上必要)」欄にも「患者希望」欄にもチェックがない場合、薬局では後発医薬品を調剤できる一方、患者さんが長期収載品を希望すれば選定療養の対象になります。[3]
このパターンは薬局での確認がとても重要です。「処方箋に先発品名が書いてあるから、必ず先発品で保険給付」と早合点しないようにしましょう。
| 処方箋の状態 | 薬局での基本対応 | 選定療養の可能性 |
|---|---|---|
| 先発品名あり、変更不可なし、患者希望なし | 後発品への変更可否を確認し、患者希望を確認 | 患者が先発品希望なら対象 |
| 患者がジェネリック希望 | 後発品を調剤 | 対象外 |
| 患者が先発品希望 | 特別の料金を説明し、同意確認 | 対象 |
ケース4|一般名処方で患者さんが先発品を希望する
一般名処方の場合、基本的には「変更不可(医療上必要)」欄や「患者希望」欄にはチェック等を記載しません。一般名処方の処方箋を持参した患者さんが、薬局で長期収載品を希望した場合には、選定療養の対象となります。[3]
患者さん向け説明例「今回の処方は成分名で出ているため、ジェネリックでの調剤が可能です。もし先発品をご希望の場合は、2026年6月以降の制度により、通常の自己負担とは別に特別の料金がかかります。」
ケース5|薬局に後発品の在庫がなく、先発品を出さざるを得ない
後発医薬品の在庫状況等を踏まえ、薬局で後発医薬品を提供することが困難であり、長期収載品を調剤せざるを得ない場合は、患者さんが自ら先発品を選んだとはいえません。この場合は選定療養ではなく、保険給付として扱うことが示されています。[3]
注意在庫がない場合でも、説明なしに先発品へ変更するのは避けましょう。患者さんへ「本日は後発品の在庫がなく、同じ成分の先発品でご用意する形になります」と説明し、同意を得ることが大切です。
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ケース6|薬剤師が後発品では適切な服用が難しいと判断する
処方段階では後発医薬品も使用可能とされていても、薬局で患者さんの状況を確認した結果、後発医薬品では適切な服用が難しい場合があります。たとえば、剤形が患者さんに合わない、長期収載品と後発医薬品で効能・効果等に差異がある、アレルギーや服薬困難につながる懸念がある場合などです。
厚生労働省通知では、薬剤師が「後発医薬品では適切な服用等が困難であり、長期収載品を服用すべき」と判断した場合、医療上必要がある場合に該当し、保険給付とすることも想定されるとされています。[3]
薬歴に残したい視点
- 患者が先発品を希望しただけなのか
- 薬学的に後発品で問題がないか
- 剤形、服用性、効能・効果、添加物、供給状況を確認したか
- 患者へ説明し、同意を得たか
- 必要に応じて処方医へ確認したか
薬局での処方箋チェック手順|新人薬剤師・調剤事務向け
チェック1|対象医薬品か確認する
まず、その薬が長期収載品の選定療養の対象医薬品か確認します。厚生労働省は対象医薬品リストを公表しており、2026年6月1日からの対象医薬品リストも掲載されています。リストには、薬価基準収載医薬品コード、品名、成分名、規格、メーカー名、薬価、後発品最高価格などが掲載されます。[1][5]
実務では、レセコンや薬歴システム上でアラートが出ることが多いですが、制度開始・改定直後はマスタ更新のタイミングにも注意が必要です。
チェック2|処方箋の欄を見る
| 見る欄 | チェック内容 | 実務判断 |
|---|---|---|
| 変更不可(医療上必要) | チェック等と署名等があるか | 医療上必要なら保険給付 |
| 患者希望 | チェック等があるか | 先発品を出すなら選定療養 |
| 一般名処方 | 成分名で記載されているか | 患者が先発希望なら選定療養 |
| 空欄 | 変更不可・患者希望ともに記載なし | 患者希望確認が重要 |
チェック3|後発品の在庫・供給状況を確認する
後発品が選べる処方でも、実際に薬局で提供できなければ話が変わります。後発医薬品の供給不安がある薬では、採用品、近隣店舗在庫、卸在庫、取り寄せ可否も確認しましょう。
ただし、「在庫がないから先発品でいいですよね」と流れ作業で進めるのは危険です。患者さんへ説明し、後日交付や分割対応の可否、他薬局への紹介、医師への相談など、薬局ごとの運用に沿って対応します。
チェック4|患者さんの希望を確認する
厚生労働省通知では、処方医だけでなく、保険薬局の薬剤師も、後発医薬品が選択可能であること、長期収載品を患者さんが希望した場合には特別の料金が生じ得ること等を説明し、患者さんの希望を確認することとされています。[3]
確認フレーズ「今回のお薬はジェネリックを選ぶことができます。先発品をご希望の場合は、制度により追加の料金がかかります。ジェネリックと先発品のどちらをご希望されますか?」
チェック5|説明内容と患者希望を薬歴に残す
選定療養は、患者さんの希望確認が実務上とても重要です。あとから「そんな説明は聞いていない」とならないよう、説明内容、患者さんの希望、選定療養の有無、後発品を選ばなかった理由などを簡潔に記録しましょう。
| 場面 | 薬歴記載例 |
|---|---|
| 患者希望で先発品 | 長期収載品の選定療養について説明。後発品選択可、先発品希望時は特別の料金が発生する旨を説明。患者は先発品継続を希望し同意。 |
| 説明後に後発品へ変更 | 処方箋上は患者希望欄あり。薬局で制度説明後、患者より後発品希望あり。後発品へ変更調剤し、服用方法・外観差を説明。 |
| 後発品在庫なし | 後発品在庫・入荷状況確認。提供困難のため長期収載品で調剤する旨を患者へ説明し同意取得。患者希望による先発選択ではない。 |
| 薬学的理由で先発品 | 後発品候補を確認したが、患者の服用状況・剤形上の理由から適切な服用が困難と判断。必要に応じ処方医確認。長期収載品で調剤。 |
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患者さんから聞かれやすい疑問と回答の考え方
「医師が先発品を出したのに、なぜ追加料金がかかるの?」
この質問はかなり多いです。患者さんは「処方箋に書いてある薬=保険でそのまま出る薬」と理解していることが多いからです。
説明例「処方箋に先発品名が書かれていても、医療上どうしても先発品が必要という記載ではない場合があります。ジェネリックに変更できるお薬で、患者さんのご希望により先発品を選ぶ場合は、制度上、追加の料金がかかります。」
「ジェネリックは効き目が弱いんですか?」
不安を否定せず、まず受け止めます。そのうえで、後発医薬品は有効成分や効能・効果などについて承認を受けている医薬品であることを説明します。ただし、添加物や見た目、味、剤形などが異なる場合があるため、気になる点は薬剤師が確認する姿勢を見せると安心につながります。
説明例「ジェネリックは、同じ有効成分のお薬として承認されています。ただ、見た目や添加物、飲みやすさが変わることはあります。以前に合わなかった経験がある場合は、どの薬でどんな症状があったか一緒に確認しますね。」
「前はこんな料金じゃなかったのに?」
制度変更の時期を伝えると理解されやすいです。
説明例「2026年6月から国の制度が変わり、先発品とジェネリックの価格差に対する追加負担の割合が上がりました。そのため、同じお薬でも以前より窓口負担が増える場合があります。」
「高くなるならジェネリックに変えてください」
患者さんが説明後に後発品を希望した場合は、変更可能な処方であれば後発品を調剤します。外観や包装、飲み方、メーカー変更による違いを説明し、必要に応じてお薬手帳にも記録します。
説明例「承知しました。今回はジェネリックでご用意します。成分は同じですが、色や形、包装が変わる場合があります。飲み方は同じですので、変更後に気になることがあれば教えてください。」
「先生に先発品じゃないとダメと言われた気がする」
この場合、処方箋の「変更不可(医療上必要)」欄を確認します。患者さんの記憶だけで判断せず、処方箋記載、過去薬歴、副作用歴、処方医コメントを確認し、必要に応じて疑義照会や医療機関への確認を行います。
説明例「確認しますね。処方箋の記載上、医療上先発品が必要という扱いかどうかで、追加料金の有無が変わります。必要に応じて医療機関にも確認しますので、少しお待ちください。」
薬局内で統一したい説明フロー
選定療養は、スタッフごとに説明が違うとトラブルになりやすい制度です。新人薬剤師、ベテラン薬剤師、調剤事務、受付スタッフで、最低限の説明フローを統一しておきましょう。
薬局内フロー例
- 対象医薬品かレセコン・マスタで確認
- 処方箋の「変更不可(医療上必要)」「患者希望」を確認
- 後発品の在庫・供給状況を確認
- 患者さんへ後発品選択可否と特別の料金を説明
- 患者さんの希望を確認
- 選定療養の有無を会計に反映
- 説明内容と同意を薬歴に記録
受付スタッフが最初に伝える場合の短い説明
受付で長く説明しすぎると混乱することがあります。まずは制度の入口だけ伝え、詳細は薬剤師につなぐ運用が安全です。
受付での一言例「こちらのお薬は、ジェネリックがある先発品のため、先発品をご希望の場合は追加料金がかかる可能性があります。薬剤師から詳しくご説明しますね。」
薬剤師が投薬時に伝える標準説明
標準説明例「今回のお薬はジェネリックがある先発品です。2026年6月から制度が変わり、患者さんのご希望で先発品を選ぶ場合は、通常の自己負担とは別に、先発品とジェネリックの価格差の2分の1相当の特別の料金がかかります。ジェネリックでご用意することもできますが、どちらをご希望されますか?」
クレームになりにくい説明のコツ
| NG寄りの言い方 | おすすめの言い方 |
|---|---|
| 先発品は高くなります | 患者さんの希望で先発品を選ぶ場合、制度上、追加料金がかかります |
| ジェネリックにしないと損です | ジェネリックを選ぶと追加料金はかかりません |
| 国が決めたので仕方ないです | 国の制度変更により、2026年6月から負担の計算方法が変わっています |
| 同じ薬です | 同じ有効成分の薬ですが、見た目や添加物などが異なることがあります |
症例・具体例|薬局でよくある場面別の説明例

ここからは、実際の患者さん対応をイメージしたいです。説明例があると、そのまま現場で使いやすいです!

OK。制度説明は、患者さんの不安を減らす言い方が大事だよ。「高くなります」ではなく、「選べます。ただし先発品を希望する場合は追加料金があります」と伝えよう。
症例1|いつも先発品を希望している患者さん
患者背景
- 70代女性
- 以前から「先発品が安心」と話している
- 処方箋は銘柄名処方
- 「患者希望」欄にチェックあり
この場合、患者さんの希望で長期収載品を選ぶ扱いになるため、先発品を調剤すれば選定療養の対象です。
説明例「いつものお薬ですね。こちらはジェネリックがある先発品です。2026年6月から制度が変わり、患者さんのご希望で先発品を選ぶ場合は、通常の自己負担とは別に追加料金がかかります。今回も先発品でご希望されますか?ジェネリックへ変更することもできます。」
薬歴記載例長期収載品の選定療養について説明。2026年6月より特別の料金が価格差の2分の1相当となる旨、後発品選択可である旨を説明。患者は先発品継続を希望し、追加負担に同意。
症例2|処方箋は先発品名だが、欄は空欄
患者背景
- 50代男性
- 処方箋には先発品名で記載
- 「変更不可(医療上必要)」欄なし
- 「患者希望」欄なし
- 本人は制度を知らない
この場合、処方箋に先発品名が書かれていても、医療上必要とも患者希望とも明示されていません。薬局で後発品を調剤できる一方、患者さんが先発品を希望すれば選定療養の対象になります。
説明例「処方箋には先発品名で記載されていますが、こちらはジェネリックへ変更できるお薬です。ジェネリックであれば追加料金はかかりません。先発品をご希望の場合は、制度上、通常の自己負担とは別に特別の料金がかかります。どちらをご希望されますか?」
症例3|患者希望欄ありだが、薬局説明後に後発品を希望
処方箋の「患者希望」欄にチェックがあっても、薬局で説明した結果、患者さんが後発品を希望することがあります。この場合、後発品を調剤できる条件であれば、後発品を調剤し、保険給付として扱います。[3]
薬剤師:「承知しました。今回はジェネリックでご用意します。色や形、包装が変わることがありますので、お渡し時に一緒に確認しますね。」
薬歴記載例処方箋上は患者希望欄あり。長期収載品選定療養について説明したところ、患者より後発品希望へ変更の申し出あり。後発品へ変更調剤。外観差・服用方法を説明し理解確認。
症例4|後発品が供給不安で在庫なし
患者背景
- 一般名処方
- 後発品の採用品が出荷調整で入荷未定
- 卸在庫も確認したが入手困難
- 先発品は在庫あり
この場合、患者さんが先発品を積極的に選んだのではなく、薬局側で後発品を提供することが困難な状況です。長期収載品を調剤せざるを得ない場合は、選定療養ではなく保険給付として扱うことが示されています。[3]
説明例「本来はジェネリックでご用意できる処方ですが、現在このジェネリックが入荷しにくい状況です。本日は同じ成分の先発品でご用意します。患者さんの希望で先発品を選ぶ場合とは異なり、今回はこちらの在庫状況による対応です。」
症例5|ジェネリックに不安が強い患者さん
患者さんがジェネリックに不安を持つ理由はさまざまです。過去に副作用があった、見た目が変わると飲み間違えそう、家族から「先発品の方がいい」と言われた、などが考えられます。
説明例「不安に感じるのは自然なことです。ジェネリックは同じ有効成分のお薬として承認されていますが、見た目や添加物、飲み心地が変わることがあります。過去に合わなかった薬がある場合は、薬の名前や症状を確認して、無理に変更しない方がよいか一緒に考えましょう。」
症例6|医療上必要か患者希望か迷うケース
患者さんが「先生に先発品と言われた」と話しているが、処方箋上は変更不可欄が空欄というケースです。この場合、すぐに選定療養扱いにするのではなく、処方内容、過去経緯、患者の理解、薬歴、必要に応じて疑義照会を検討します。
対応例
- 処方箋の変更不可欄・患者希望欄を確認
- 患者さんが医師から何を説明されたか確認
- 過去に後発品で問題がなかったか薬歴を確認
- 医療上必要の可能性があれば処方医へ確認
- 判断内容を薬歴へ記録
2026年6月改定を薬局でスムーズに運用するための準備
準備1|対象医薬品リストとレセコンマスタを確認する
2026年6月1日からの対象医薬品リストは厚生労働省ページに掲載されています。対象医薬品は薬価改定やリスト更新により変わるため、薬局ではレセコンマスタ更新、対象薬のアラート、薬価・後発品最高価格の反映状況を確認しましょう。[1][5]
準備2|説明用の院内・薬局内掲示を確認する
厚生労働省は、患者向けの案内や医療機関・薬局向けの資料を公表しています。薬局では、患者さんが会計時に初めて知るのではなく、待合や受付で事前に制度を認識できるようにしておくと、説明がスムーズになります。
準備3|スタッフ間で説明文言を統一する
選定療養は、受付、入力、監査、投薬、会計の全員が関わる制度です。説明文言がスタッフごとに違うと、患者さんの不信感につながります。
薬局内で統一したい一文「2026年6月から制度が変わり、ジェネリックがある先発品を患者さんの希望で選ぶ場合、先発品とジェネリックの価格差の2分の1相当の特別の料金がかかります。」
準備4|薬歴テンプレートを作る
毎回ゼロから文章を書くと、記録漏れが起きます。選定療養の説明テンプレートを薬歴に登録しておくと便利です。
薬歴テンプレート長期収載品の選定療養について説明。後発品選択可、患者希望で長期収載品を選択する場合は特別の料金が発生する旨を説明。2026年6月以降は価格差の2分の1相当となることを説明。患者希望:先発品/後発品。理解・同意確認済み。
準備5|よくある質問集を受付に置く
患者さんから同じ質問が繰り返される場合、薬局内でFAQを用意しておくと対応の質が安定します。受付スタッフが答えにくい内容は「薬剤師から説明します」とつなぐルールにしましょう。
まとめ|2026年6月からの長期収載品選定療養は「説明力」が重要

最初は難しく感じましたが、「患者希望か」「医療上必要か」「後発品を提供できるか」を分けて考えると整理しやすいですね。

そうだね。制度の目的を押しつけるより、患者さんが安心して選べるように説明することが薬局の役割だよ。
この記事の重要ポイント
- 長期収載品の選定療養は、2024年10月から始まった制度
- 2026年6月から、特別の料金は価格差の4分の1相当から2分の1相当へ変更
- 特別の料金には消費税がかかる
- 後発品が複数ある場合、最も薬価が高い後発品との価格差で計算
- 医療上必要な場合、後発品の提供が困難な場合は選定療養の対象外になり得る
- 処方箋の「変更不可(医療上必要)」「患者希望」欄を必ず確認する
- 薬局では、後発品が選択可能なこと、先発品希望時に特別の料金が発生することを説明し、患者希望を確認する
- 説明内容と患者希望は薬歴に残す

長期収載品の選定療養は、単なる会計ルールではありません。患者さんの薬に対する不安、ジェネリックへの理解、医療費負担、薬局の在庫状況、処方医の意図が重なる制度です。
だからこそ薬局では、「制度なので高くなります」で終わらせず、患者さんが納得して選べる説明が重要です。新人薬剤師や調剤事務の方は、まず「対象薬か」「処方箋欄はどうか」「患者希望か」「後発品を提供できるか」の4点から確認していきましょう。
内部リンク:
・薬局で迷わない!ジェネリック選定療養と長期収載品の仕組み完全解説
・バイオ後続品とは?ジェネリックとの違いを初心者向けに解説
・調剤報酬の加算点数はどう活かす?薬局初心者向け完全ガイド
・在庫とは?適正在庫と在庫回転の基本をやさしく解説
よくある質問
Q1. 2026年6月から長期収載品の選定療養は何が変わりましたか?
患者希望で長期収載品を選んだ場合の「特別の料金」が、先発医薬品と後発医薬品の価格差の4分の1相当から、2分の1相当へ変更されました。特別の料金は通常の保険自己負担とは別に発生し、消費税の課税対象です。[1][2]
Q2. すべての先発品が選定療養の対象になりますか?
いいえ。対象になるのは、後発医薬品がある先発医薬品のうち、厚生労働省が公表する対象医薬品リストに掲載されるものです。薬価改定やリスト更新で対象が変わることがあるため、最新リストとレセコンマスタを確認しましょう。[1][5]
Q3. 医師が先発品を処方した場合も追加料金がかかりますか?
処方箋に先発品名が書かれているだけでは判断できません。「変更不可(医療上必要)」欄にチェック等があり、医療上必要と判断されている場合は保険給付です。一方、患者希望で先発品を選ぶ場合は選定療養の対象になります。[3]
Q4. 薬局に後発品の在庫がない場合も選定療養ですか?
後発品の在庫状況等により薬局で後発医薬品を提供することが困難で、長期収載品を調剤せざるを得ない場合は、患者さんが希望して先発品を選んだわけではないため、保険給付として扱うことが示されています。[3]
Q5. 患者希望欄にチェックがあっても、薬局でジェネリックに変更できますか?
薬局で選定療養について説明した結果、患者さんが後発医薬品を希望した場合は、後発医薬品を調剤し、保険給付として扱うことができます。[3]
Q6. 一般名処方で患者さんが先発品を希望した場合はどうなりますか?
一般名処方の処方箋を持参した患者さんが、薬局で長期収載品を希望した場合は、選定療養の対象になります。[3]
Q7. 特別の料金は医療費控除の対象になりますか?
医療費控除の対象可否は、支出の内容や税務上の判断が関係します。薬局窓口では断定せず、領収証・明細書を保管してもらい、税務署や国税庁情報を確認するよう案内するのが安全です。
Q8. ジェネリックに変えると効き目が変わりますか?
後発医薬品は、先発医薬品と同じ有効成分を含む医薬品として承認されます。ただし、添加物、見た目、味、剤形、適応の一部などが異なることがあります。患者さんに不安や過去の不具合がある場合は、個別に確認しましょう。[6]
Q9. 患者さんに「高くなるなら最初から説明して」と言われたら?
まず謝意を示し、制度変更と説明のタイミングを丁寧に伝えます。「説明が会計時になり申し訳ありません。こちらは2026年6月から制度が変わり、先発品を希望される場合は追加料金がかかるお薬です。ジェネリックに変更する選択肢もあります」と説明しましょう。
Q10. 薬歴には何を残せばよいですか?
制度説明をしたこと、後発品が選択可能であることを伝えたこと、先発品希望時の特別の料金を説明したこと、患者さんが先発品または後発品のどちらを希望したか、同意の有無を記録します。後発品在庫なしや薬学的理由で先発品とした場合は、その理由も残しましょう。
参考文献
- 厚生労働省「後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)の選定療養について」
URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_39830.html
最終確認日:2026年7月2日 - 厚生労働省保険局医療課「長期収載品の処方等又は調剤に係る選定療養における費用の計算方法について」の一部改正について(令和8年3月27日事務連絡)
URL:https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001275337.pdf
最終確認日:2026年7月2日 - 厚生労働省保険局医療課「長期収載品の処方等又は調剤について」の一部改正について(保医発0327第9号、令和8年3月27日)
URL:https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/15-4.pdf
最終確認日:2026年7月2日 - 全国健康保険協会「長期収載品の選定療養について」
URL:https://www.kyoukaikenpo.or.jp/about/business/saving/002/index.html
最終確認日:2026年7月2日 - 厚生労働省保険局医療課「長期収載品の処方等又は調剤に係る選定療養の対象医薬品について」(令和8年3月5日事務連絡)
URL:https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001666903.pdf
最終確認日:2026年7月2日 - PMDA「Q1 後発医薬品(ジェネリック医薬品)ってなんですか?」
URL:https://www.pmda.go.jp/safety/consultation-for-patients/on-drugs/qa/0010.html
最終確認日:2026年7月2日
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