2026年11月確認|薬剤師・管理薬剤師向け実務ガイド
「麻薬帳簿の受入・払出はいつ記載する?」「間違えた数字は二重線で訂正していい?」「患者さんから返ってきた麻薬は残高に足す?」「期限切れと調剤済麻薬の廃棄届は何が違う?」――日常的には件数が少ない薬局ほど、いざというときに迷いやすい実務です。
この記事では、麻薬及び向精神薬取締法第38条、厚生労働省の薬局における麻薬管理マニュアル、東京都・神奈川県の公的資料をもとに、法定ルールと実務上の推奨を区別して説明します。帳簿の記載例・保存期間・返却麻薬・廃棄・事故・年間届まで、1本で確認できる保存版です。
薬局の麻薬帳簿は麻薬小売業者免許を持つ薬局に備え付け、譲受・譲渡・廃棄・事故を品名・数量・日付で管理します。保存期間は最終記載日から2年間です。訂正は二重線等で元の記載を残し、訂正印を押します。患者から返却された調剤済麻薬は通常の販売可能在庫に加えず、廃棄用の記録も作成します。



- 麻薬帳簿とは?誰が備え、何を記録する?
- 麻薬帳簿の保存期間は2年間!薬局管理帳簿との違い
- 【記載例】麻薬帳簿の受入・払出・残高の書き方
- 麻薬帳簿を間違えた!正しい訂正方法とNG例
- 患者から麻薬が返却されたらどうする?残高への記入
- 麻薬廃棄届と調剤済麻薬廃棄届の違い【比較表】
- 麻薬が1錠足りない!在庫差異・紛失・破損が起きたら
- 麻薬の保管・棚卸し・実在庫照合で気をつけること
- 麻薬年間届はいつ?2026年の神奈川県の手続き
- 管理薬剤師が使える麻薬帳簿セルフチェックリスト
- 【ケース別】よくある4つの失敗と対応例
- よくある質問(FAQ)
- 関連記事|薬局管理の知識をまとめて確認
- まとめ|麻薬帳簿は「受払・残高・訂正・廃棄」の4点を確実に
- 参考文献・一次資料
麻薬帳簿とは?誰が備え、何を記録する?
麻薬帳簿(麻薬受払簿)は、薬局で扱う麻薬の譲受・譲渡・廃棄・事故を記録し、麻薬の流れと在庫を追跡できるようにする帳簿です。薬局開設許可とは別に、麻薬を取り扱うには麻薬小売業者免許が必要です。
麻薬及び向精神薬取締法第38条は、麻薬小売業者が麻薬業務所に帳簿を備え、所定の事項を記載することを定めています。東京都の研修資料では、麻薬の取扱いがない場合でも、免許を持つ麻薬小売業者は帳簿を備える必要があると案内しています。
根拠:麻薬及び向精神薬取締法第38条(厚生労働省法令等データベース)、東京都:麻薬小売業者における麻薬取扱いの留意点③(3ページ)、神奈川県:医療用麻薬・向精神薬の取扱い。
麻薬帳簿の法定記載事項
| 記載が必要な項目 | 具体例 | 根拠 |
|---|---|---|
| 譲り受けた麻薬の品名・数量・年月日 | 卸売業者からの仕入れ、患者等からの返却 | 法第38条第1項第1号 |
| 譲り渡した麻薬の品名・数量・年月日 | 麻薬処方箋による調剤・交付 | 同第2号(コデイン等の一部例外あり) |
| 事故届を提出した麻薬の品名・数量 | 所在不明・盗難・破損等で届け出た麻薬 | 同第3号 |
| 廃棄した麻薬の品名・数量・年月日 | 期限切れ品、調剤済麻薬の廃棄等 | 同第4号 |
法律では、特定のコデイン・ジヒドロコデイン・エチルモルヒネとその塩類の払出記録に例外があります。ただし、譲受や廃棄・事故の記録まで一律免除されるわけではありません。 対象品目ごとの扱いは薬局向け管理マニュアルと所管自治体へ確認してください。
麻薬帳簿の保存期間は2年間!薬局管理帳簿との違い
麻薬小売業者の麻薬帳簿は、最終記載日から2年間保存します。これは麻薬及び向精神薬取締法第38条第2項に明記されています。薬機法上の「薬局の管理に関する帳簿」の3年間と混同しないことが重要です。
| 帳簿・記録 | 保存期間の考え方 | 注意点 |
|---|---|---|
| 麻薬小売業者の麻薬帳簿 | 最終記載の日から2年間 | 麻薬及び向精神薬取締法第38条第2項 |
| 薬局の管理に関する帳簿 | 最終記載の日から3年間 | 薬機法施行規則第13条による別の帳簿 |
| 麻薬の譲受証・譲渡証等 | 帳簿とは別の保存規定・運用を確認 | 2年と一括りにせず法令・自治体手引で確認 |
| 処方箋・調剤録・保険関係の記録 | それぞれ独立した法令・保存規定による | 麻薬帳簿の2年を流用しない |
関連記事:薬局の管理帳簿とは?記載事項・保存期間・記載例。根拠:麻薬及び向精神薬取締法第38条。
「帳簿を閉じた日」ではなく最終記載の日が起算点
保存期間の起算点は、帳簿の最終記載日です。たとえば2026年9月30日が最後の記載であれば、その日から2年間保存するという考え方になります。保存する資料を廃棄する際は、店舗の文書保存規程で余裕を持たせる場合もあります。
電子帳簿なら紙の保存は不要?
電子入力だけで自動的に要件を満たすわけではありません。東京都の研修資料では、コンピュータ処理した帳簿について、所定事項を網羅した印刷物を定期的に出力して整理し、立入検査等の際に直ちに提示できるようにすると案内しています。パスワード、バックアップ、修正履歴、入力権限も必要です。
クラウド上の電子薬歴・在庫管理システムを使っている薬局でも、「紙の麻薬帳簿を別に用意しなければならないのか」「必要な頻度で印刷できるか」を本部や所管自治体の指導と照合してください。
参照:東京都資料:コンピュータ処理の場合の注意(6ページ)。
【記載例】麻薬帳簿の受入・払出・残高の書き方
麻薬帳簿は、品名・剤形・含量(濃度)ごとに管理口座を設けることが基本です。通常は金銭出納簿のような、日付・受入・払出・残高・備考欄を持つ形式が使いやすいでしょう。
以下は理解のための架空の「医療用麻薬A錠10mg」を用いた記載例です。実際の医薬品・患者を示すものではありません。譲受日と払出日などは、所定の記載ルールに沿った例です。
| 日付 | 受入(錠) | 払出(錠) | 残高(錠) | 備考(例) |
|---|---|---|---|---|
| 2026/11/1 | — | — | 20 | 前帳簿から繰越し |
| 2026/11/2 | 10 | — | 30 | ○○麻薬卸売業者/製品番号AB123(譲渡証照合) |
| 2026/11/3 | — | 6 | 24 | 患者A(調剤日) |
| 2026/11/5 | — | 4 | 20 | 患者B(調剤日) |
| 2026/11/6 | 5 | — | 25 | ○○麻薬卸売業者/製品番号AB124 |
①麻薬卸売業者から購入したとき
- 麻薬小売業者免許と仕入先の適法性を前提に、麻薬譲受証・麻薬譲渡証を所定の方法で交換する
- 譲渡証に記載された品名、規格、数量、製品番号等と現品を照合する
- 麻薬帳簿に受入を記載し、残高を更新する
- 譲渡証の日付と実際の到着日が異なる場合、譲渡証の日付を受入日とし、備考欄に実到着日を残す
神奈川県は麻薬卸売業者から麻薬を譲り受ける際に、麻薬譲受証を事前に交付するか、麻薬譲渡証との同時交換で受け取る必要があると案内しています。
根拠:神奈川県の譲受・譲渡手続き、東京都資料:麻薬帳簿記載例①(7ページ)。
②麻薬処方箋で調剤・交付したとき
調剤により麻薬を払い出した際は、品名・数量・年月日を記録し、残高を更新します。東京都の記載例では、麻薬処方箋によって調剤された日を払出日として記載し、備考欄に患者名を記載しています。患者氏名等の記録は、薬局の個人情報管理規程に従って保管しましょう。
③品名、剤形、含量・濃度が違うとき
例えば同じ成分名でも5mg錠と10mg錠、錠剤と注射剤は、同じ口座で数量を合算しないようにします。原末から倍散・倍液などを予製した場合は、別の口座で管理する取扱いが案内されています。計量単位も錠・枚・g・mL等で取り違えないようにします。
④期限切れ予定品を見つけたとき
期限切れのため廃棄予定になった医療用麻薬も、正式に廃棄するまでは残高に含めます。「廃棄する予定だから先に帳簿からマイナス」は不可です。使用可能な在庫とは明確に隔離・識別し、廃棄手続き後に帳簿処理します。
麻薬帳簿を間違えた!正しい訂正方法とNG例
麻薬帳簿は改ざんを防ぎ、いつ・何を・誰が修正したか確認できることが重要です。紙の場合は元の記載を読める状態で訂正します。
| やり方 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 間違えた数字を二重線で消し、横に正しい数字を書いて訂正印を押す | ○ | 以前の記載と訂正者が追える |
| 修正液や修正テープで隠して書き直す | × | 原記録が読めず、変更履歴が残らない |
| 鉛筆で書いて消しゴムで修正する | × | 記載が容易に消せてしまう |
| 空白行にあとから架空の受払を記入する | × | 事実と異なる記録を作ることになる |
| システム上で修正者・修正日時・内容が記録され、所定の出力ができる | 要件確認 | 電子処理の手順を自治体・本部で確認 |
訂正する手順【紙の帳簿】
- 間違えた文字・数字を二重線等で抹消する(元の記載は判読可能にする)
- 余白に正しい品名・数量等を記載する
- 訂正者の訂正印を押す
- 必要に応じて訂正理由や確認した納品書・処方箋等を備考に残す
- 訂正後の帳簿残高と実在庫を照合する
単純な転記誤りの訂正と、所在不明・自然減量・秤量誤差などの在庫差異は別問題です。数が合わないからと勝手に帳簿だけ修正することは避けます。秤量誤差などは管理薬剤師等が他の職員立会いの下で確認し、必要な記録と立会者の署名・記名押印を行います。
根拠:東京都資料:記載訂正・秤量誤差時の留意点、厚生労働省:薬局における麻薬管理マニュアル。
患者から麻薬が返却されたらどうする?残高への記入
患者の死亡・治療中止等で麻薬が不要になり、患者本人や家族から返却されることがあります。麻薬小売業者免許を持たない薬局は、患者等から麻薬を譲り受けることができません。 免許のある薬局では、他の医療機関・薬局から交付された調剤済麻薬も受け取れる場合があります。
患者から返却された麻薬についても、返却された品名・数量・日付を記録します。ただし、未開封でも患者から返された調剤済麻薬を販売可能な通常の在庫に戻して再交付してはいけません。 廃棄対象として識別し、通常在庫と区別します。
返却麻薬の記録例(通常の在庫とは別管理)
| 日付 | 通常在庫残高 | 返却麻薬(別管理) | 備考 |
|---|---|---|---|
| 2026/11/5 | 20錠 | (6錠受入) | 患者Aの家族から返却。通常在庫へ加算しない。 |
| 2026/11/5 | 20錠 | (6錠廃棄) | 管理薬剤師・他職員立会いの下で廃棄。方法・立会者を記録 |
| 2026/11/20 | 20錠 | (届出済) | 調剤済麻薬廃棄届提出日を記録 |
帳簿に括弧書きして通常の残高とは分ける方法や、廃棄用の補助簿を作成する方法が自治体資料に示されています。廃棄の際は回収が困難になる適切な方法を選び、薬局開設者または管理薬剤師が他の職員の立会いの下で実施します。廃棄記録には廃棄日、数量、方法、立会者等を残しましょう。
根拠:神奈川県:調剤済麻薬の廃棄・届出、薬局における麻薬管理マニュアル、愛知県:麻薬受払簿の記載例。


麻薬廃棄届と調剤済麻薬廃棄届の違い【比較表】
麻薬の廃棄は、未調剤・使用期限切れ等の在庫を廃棄する場合と、すでに麻薬処方箋により調剤された麻薬を廃棄する場合で手続きが異なります。ここを混同すると届出の前後を間違えるため、必ず区別します。
| 廃棄する麻薬 | 主な届出 | 届出のタイミング | 実施方法 |
|---|---|---|---|
| 期限切れの未調剤麻薬、使用見込みのない在庫、調剤・調製の誤り等 | 麻薬廃棄届 | 原則、廃棄する前に届け出る | 麻薬取締員等の立会いの下で廃棄 |
| 患者・家族から返却された調剤済麻薬等 | 調剤済麻薬廃棄届 | 廃棄後30日以内 | 薬局開設者または管理薬剤師が、他の職員の立会いの下で廃棄 |
| 所在不明、盗難、破損等の事故 | 麻薬事故届 | 事故発生後速やかに | 事故の状況と必要な対応を管轄窓口に確認 |
根拠:神奈川県:麻薬の廃棄・事故届の案内、厚生労働省:薬局における麻薬管理マニュアル。
期限切れ麻薬の廃棄は「事前届出」と立会い
期限切れ等で未調剤の麻薬を廃棄する場合は、通常「麻薬廃棄届」を事前に提出し、麻薬取締員等の立会いの下で廃棄します。神奈川県では廃棄が予約制であると案内しています。自己判断で捨てたり、廃棄予定の時点で帳簿上の残高だけ減らしてはいけません。
調剤済麻薬は廃棄後30日以内に届出
患者から返却された調剤済麻薬などは、所定の立会いの下で適切に廃棄し、廃棄後30日以内に「調剤済麻薬廃棄届」を提出します。30日以内の複数の廃棄をまとめて届出できる取扱いもありますが、個々の廃棄日・数量・立会者等の記録を省略できるわけではありません。
処方変更による廃棄はどちら?
調剤後に処方が変更されて交付が不要になった麻薬は、神奈川県の例示では調剤済麻薬廃棄届の対象とされています。一方、調剤・調製を誤った場合は麻薬廃棄届が必要になる例として挙げられています。単に「患者に渡す前か後か」だけで判定せず、調剤済みの状態や経緯を所管自治体に確認してください。
神奈川県では電子申請や廃棄予約にも対応
神奈川県では2025年3月から調剤済麻薬廃棄届の電子申請を県内全域で開始しました。また、2026年3月末には一部地域の麻薬廃棄手続きについてオンライン予約が案内されています。麻薬廃棄届の事前予約と、調剤済麻薬廃棄届の事後届出は別です。自治体で受付窓口や方法が変わるため、所在地に合った案内を確認してください。
案内・様式:神奈川県:麻薬廃棄届・調剤済麻薬廃棄届。
麻薬が1錠足りない!在庫差異・紛失・破損が起きたら
帳簿残高と実在庫が一致しない場合は、まず誤入力、規格の取り違え、納品・払出の未記載、返品品の混在等を慎重に確認します。理由を確かめずに「帳簿だけ数字合わせ」をしないことが重要です。所在不明、盗難、破損、流失など事故が生じた場合には、麻薬事故届の対象になることがあります。
- 麻薬の保管状況を維持し、管理薬剤師・本部の薬事担当へ直ちに報告する
- 麻薬帳簿、譲受・譲渡証、処方箋・調剤記録、廃棄記録を突合する
- 品名、規格、数量、時刻、最後の在庫確認日時、確認者、経緯を記録する
- 事故の疑いがある場合は所管自治体へ速やかに連絡し、麻薬事故届の要否を確認する
- 盗取が疑われる場合は警察への届出など必要な対応を行い、再発防止策を記録する
神奈川県の案内と厚生労働省の薬局向けマニュアルでは、所在不明等の事故が生じた場合の速やかな届出が示されています。調剤中の秤量誤差・自然減量が生じた場合の修正とは区別してください。
根拠:厚生労働省:薬局における麻薬管理マニュアル(事故届)。
麻薬の保管・棚卸し・実在庫照合で気をつけること
麻薬は他の医薬品と区別して堅固な設備で保管
麻薬は、施錠できる堅固な保管設備など、法令に適合する方法で保管する必要があります。保管場所が適切かどうかに加え、鍵の管理、在庫の出し入れ、持ち出しの防止、夜間の管理、紛失時の連絡先も確認しましょう。
帳簿と実際の数は定期的に突合する
麻薬帳簿の残高と現品を定期的に照合します。薬局が忙しいからと、棚卸しを年間届の直前だけに集中させると、差異の発生時点を追いにくくなります。独自の確認頻度は薬局の取扱数量やリスクに応じて定め、チェック日と担当者を残すと実務上便利です。
大量規格・散剤・液剤は単位と計量誤差に注意
散剤・液剤は錠数ではなくgやmL等の単位で管理することがあります。予製品には別口座を用い、含量・濃度・数量の換算ミスがないか確認します。実在庫の差異が秤量誤差によると考えられる場合にも、所定の確認と記録が必要です。
麻薬年間届はいつ?2026年の神奈川県の手続き
麻薬帳簿は、毎年の麻薬年間届の集計元になる重要な記録です。神奈川県の2026年の麻薬年間届の受付期間は2026年10月1日~11月30日と案内されています。集計対象は原則として前年10月1日から当年9月30日までの譲受・譲渡・在庫等です。麻薬を扱う免許があり、期間中の所有・取扱いがなかった場合も、所定の届出が必要です。
年間届の作成で確認する数字
| 確認項目 | 2026年分の考え方 | 照合する記録 |
|---|---|---|
| 期首在庫 | 2025年10月1日時点の数量 | 前年の帳簿残高 |
| 期間中の譲受数量 | 2025年10月1日~2026年9月30日の譲受 | 麻薬譲受記録・麻薬譲渡証 |
| 期間中の譲渡数量 | 同期間の調剤・譲渡 | 麻薬帳簿の払出記録 |
| 期末在庫 | 2026年9月30日時点の数量 | 帳簿残高と実在庫の照合 |
| 廃棄・事故等 | 別の欄・調整方法を様式に従い確認 | 廃棄届、事故届、帳簿記録 |
神奈川県は2026年4月1日から一部地域の年間届の提出先を変更しています。川崎市・相模原市・横須賀市・藤沢市・茅ヶ崎市・寒川町の業務所は県薬務課、横浜市は各区福祉保健センター等、その他の地域は県の保健福祉事務所等と案内されています。2025年の提出窓口をそのまま使わないようにします。
2026年の正式な提出期間・提出先:神奈川県:麻薬取扱者免許の手続き・麻薬年間届。
管理薬剤師が使える麻薬帳簿セルフチェックリスト
以下は薬局内での自主点検を想定したチェックリストです。厚生労働省・自治体が発行した正式な検査票ではありません。
- □ 麻薬小売業者免許の有効期間・所在地・免許名義を確認した
- □ 麻薬帳簿を業務所に備え付けている(取扱いがない場合も)
- □ 品名・剤形・含量・濃度ごとに口座が分かれている
- □ 譲受時に譲渡証・譲受証・製品番号・数量を照合した
- □ 受入年月日と実到着日が異なる場合の記載方法を守っている
- □ 処方箋による払出数量・日付を都度記録している
- □ 帳簿残高と現物在庫を定期的に照合している
- □ 返品された調剤済麻薬を通常の在庫に混ぜていない
- □ 期限切れの未調剤麻薬は廃棄前まで残高に含めている
- □ 誤記は二重線・訂正印で修正し、修正テープを使っていない
- □ 麻薬廃棄届と調剤済麻薬廃棄届の違いを説明できる
- □ 廃棄日・届出日・立会者等が帳簿や廃棄補助簿に残っている
- □ 事故が起きた場合の報告・連絡・届出手順を把握している
- □ 最終記載日から2年間の保存体制が整っている
- □ 電子処理の場合、所定の帳簿を印刷・提示でき、修正履歴を追える
- □ 年間届の提出時期・様式・最新の提出先を把握している
【ケース別】よくある4つの失敗と対応例
ケース1:10錠受け入れたのに帳簿へ100錠と記載していた
譲渡証と現品を照合し、記載だけの誤りと確認できた場合は、誤記の数字を判読できる二重線等で消し、正しい10錠を記載して訂正印を押します。残高の後続行に影響がある場合は、その修正の影響と経過も整理します。
ケース2:患者の家族が未使用の医療用麻薬を返してきた
麻薬小売業者免許のある薬局では、所定の方法で返却を受けて記録し、通常在庫から分離して保管します。開設者または管理薬剤師が他の職員立会いの下で廃棄し、廃棄後30日以内に調剤済麻薬廃棄届を提出します。
ケース3:使用期限が切れた未調剤の麻薬を発見
通常在庫から区別・隔離して管理し、廃棄まで帳簿上の残高に含めておきます。麻薬廃棄届の手続きと立会いの日程を所管窓口に確認し、正式に廃棄後、帳簿を更新します。
ケース4:棚卸しで帳簿より1錠少ない
まず処方箋・交付・納品・廃棄記録等を照合し、原因を確認します。所在不明が判明した場合は麻薬事故届が必要になるため、速やかに所管窓口へ報告・相談します。勝手に数字を合わせて終わらせてはいけません。
よくある質問(FAQ)
Q1.麻薬帳簿は何年間保存しますか?
麻薬小売業者の帳簿は、麻薬及び向精神薬取締法第38条第2項により、最終記載の日から2年間です。通常の薬局管理帳簿の3年間とは異なります。
Q2.麻薬の処方が一度も来なくても帳簿は必要ですか?
麻薬小売業者免許を持つ薬局では、麻薬の取扱いがない場合でも帳簿を備え付ける必要があると東京都の研修資料に示されています。
Q3.麻薬帳簿は鉛筆で記載できますか?
できません。容易に消えないボールペン等を使用してください。
Q4.帳簿の数字を間違えたら修正テープを使えますか?
使いません。二重線等で原記載を読める状態にし、正しい内容を書いて訂正印を押します。
Q5.患者からの返却品を通常の受入に加算してよいですか?
いけません。患者からの返却品は廃棄対象であり、通常の販売可能在庫に混ぜず、括弧書き等で区別するか廃棄補助簿に記載します。
Q6.調剤済麻薬廃棄届はいつまでですか?
所定の方法で廃棄後、30日以内に届け出ます。
Q7.期限切れ麻薬は薬局内で廃棄してから届出すればよい?
いいえ。未調剤の期限切れ麻薬は原則として麻薬廃棄届を事前に提出し、麻薬取締員等の立会いの下で廃棄します。
Q8.廃棄予定の麻薬は帳簿残高から先に引いてよい?
廃棄完了までは帳簿上の残高に含めます。使用しない在庫として隔離・識別することと、帳簿から減らすことは別です。
Q9.麻薬帳簿はExcelで管理できますか?
電子処理には所定の条件があります。修正履歴、入力管理、バックアップ、定期的な印刷物の出力等が必要になる場合があるため、ソフトの仕様と所管自治体の案内を確認してください。
Q10.コデイン製剤はすべて麻薬帳簿の記載が不要ですか?
いいえ。法律には一部のコデイン等の譲渡記録の例外がありますが、製剤の規制区分や譲受・廃棄等の記載まで一律に免除するものではありません。
Q11.麻薬の在庫差異は帳簿の訂正だけで解消できますか?
解消できません。原因を確認し、所在不明・破損等の事故であれば麻薬事故届の要否を判断し、所管自治体へ速やかに相談します。
Q12.麻薬年間届はいつ提出しますか?
神奈川県では2026年の提出期間を2026年10月1日~11月30日と案内しています。所在地ごとに提出先・方法が異なるため、正式な県・自治体の案内を確認してください。
関連記事|薬局管理の知識をまとめて確認

まとめ|麻薬帳簿は「受払・残高・訂正・廃棄」の4点を確実に
麻薬帳簿は、薬局の医療用麻薬がいつ・どこから入り、いつ・誰に払い出され、なぜ減少したかを確認するための重要な法定記録です。譲受・払出をその都度記載し、残高を現物と照合します。誤記は履歴が残る形で訂正し、返却品と通常在庫を混ぜず、廃棄の種類ごとの届出期限を守ることが大切です。
麻薬帳簿の保存期間は最終記載日から2年間。調剤済麻薬廃棄届は廃棄後30日以内。期限切れ等の未調剤麻薬の廃棄は事前届出・立会い。 まずはこの3点を共有しましょう。


参考文献・一次資料
- 厚生労働省:麻薬及び向精神薬取締法第38条
- 厚生労働省:薬局における麻薬管理マニュアル(訂正通知)
- 神奈川県:医療用麻薬・向精神薬・覚醒剤原料の取扱い(2026年更新)
- 神奈川県:麻薬取扱者免許・2026年麻薬年間届の手続き
- 東京都:麻薬小売業者における麻薬取扱いの留意点③(帳簿の記載・保管管理)
- 愛知県:麻薬小売業者のみなさまへ(麻薬帳簿記載例)
※本記事は2026年11月時点の公的資料をもとにした一般的な解説です。所管自治体、免許の状況、製剤区分、個別の廃棄事由等によって必要な手続きが異なります。具体的な案件は所管薬務課・保健所等に確認してください。記載例は説明用の架空例です。



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