小学生に薬を学校へ持たせるには?服薬依頼書・1回分の準備と注意点を薬剤師が解説
結論:小学生に薬を持たせる前に学校へ確認し、指定の服薬依頼書があれば提出。薬は学校の指示に沿って原則1回分を記名して準備します。
「とりあえず薬をランドセルに入れておく」のではなく、先に担任・養護教諭などへ連絡してください。
学校によって、持参できる薬、保管場所、服薬依頼書の様式、教職員による介助の範囲が異なります。


風邪、花粉症、抗菌薬、てんかん、ADHDなどの治療で、学校にいる時間帯にも薬を使う必要が出ることがあります。
しかし、学校への薬の持たせ方には全国すべての学校で完全に同じ手順があるわけではありません。日本学校保健会では「医療用医薬品預り書(依頼書)」などの様式例が示されていますが、実際の運用は学校や教育委員会のルールを確認する必要があります。【1】
この記事の結論は?
学校に薬を持たせる基本はこの5つです。
- 薬を持たせる前に学校へ連絡する
- 服薬依頼書・与薬依頼書など指定書類を確認する
- 学校の指示に従って必要な1回分だけを準備する
- 氏名・服用時刻などを分かるようにする
- 薬の変更・中止があったら必ず学校へ伝える
特に重要なのが「学校ごとのルールを先に確認する」ことです。
学校によっては「処方薬のみ」「服薬依頼書がある場合のみ」「市販薬は預からない」といった運用があります。例えば静岡県立浜松視覚特別支援学校では、2026年度の案内で、医師の診断・処方を受け、保護者から正式な書面で依頼があった場合に教職員が薬の使用を介助するとしています。【2】
この記事で分かることは?
- 小学生に薬を学校へ持たせるときの基本手順
- 服薬依頼書・与薬依頼書とは何か
- 「1回分の薬」をどう準備するのか
- 薬袋や外袋に何を書けばよいか
- 先生に服薬をお願いできる条件
- 市販薬・頓服薬・緊急薬の注意点
- 飲み忘れ・飲み間違いを防ぐ方法

小学生に薬を学校へ持たせてもいい?
学校が認めた方法であれば、学校生活中に必要な薬を持参することはあります。ただし、保護者だけの判断で持たせず、最初に学校へ相談しましょう。
日本学校保健会も、学校に持参する必要のある医薬品がある場合には、保護者から学校へ知らせ、子どもの健康状態について共通理解を図ることが大切としています。【3】


まず学校へ確認する
担任または養護教諭などへ、次のように伝えるとスムーズです。
この一言で、学校側から必要な書類や持参方法を案内してもらえます。
服薬依頼書・与薬依頼書は必ず必要?
全国共通の1種類の様式が一律に使われているわけではありません。学校が指定する書類がある場合は、その様式を使います。
名称も学校によって異なり、次のようなものがあります。
- 服薬依頼書
- 与薬依頼書
- 投薬依頼書
- 医療用医薬品預り書
- 服薬確認書
日本学校保健会の「学校における薬品管理マニュアル令和4年度改訂【追補版】」にも、「医療用医薬品預り書(依頼書)」が様式例として用意されています。【1】
つまり、「ネットで見つけた服薬依頼書を印刷して出せばOK」ではありません。
必ず通っている小学校が指定している書式を確認してください。
何を書くの?
学校の書式によりますが、一般的には次のような情報を記載します。
- 児童氏名・学年・クラス
- 保護者氏名・連絡先
- 処方した医療機関・医師
- 薬品名
- 使用目的
- 1回量
- 服用する時間
- 飲み方・使用方法
- 保管方法
- 副作用などの注意事項
学校によっては薬剤情報提供書、いわゆる「薬の説明書」の提出を求める場合もあります。静岡県立沼津特別支援学校の案内でも、薬剤情報提供書や薬の説明書を依頼書と一緒に提出する方法が示されています。【4】
薬はどうやって「1回分」に準備する?
学校から「1回分で」と指定された場合は、その時間に使用する分だけが明確に分かる形にします。
例えば昼食後に粉薬を1包飲む処方なら、その日の昼食後分1包を準備するイメージです。
沼津特別支援学校では一例として、日常的・一定期間に服用する薬や緊急時の薬について「1回分」を提出するよう案内しています。【4】


PTPシートはむやみに1錠ずつ切らない
錠剤のPTP包装について、厚生労働省は誤飲防止の観点から、調剤・与薬時などに不要に1錠ずつ切り離さないよう注意喚起しています。【5】
学校側から「1回分にしてください」と言われても、自己判断で薬を裸錠にしたり、すべてのPTPを細かく切り分けたりせず、まず薬局に相談してください。
薬の種類によっては、薬剤師が安定性や処方内容を確認したうえで、一包化など別の方法を検討できる場合があります。
外袋に書いておくと分かりやすいこと
- 学年・組
- 児童氏名
- 「昼食後」など使用するタイミング
ただし、学校側が指定する記載方法があればそちらを優先してください。
粉薬はどうする?
薬局ですでに「朝・昼・夕」など1回分ずつ分包されている場合は、通常は学校で使用する分が分かるようにして準備します。
複数の薬を一緒に飲む必要がある場合も、保護者だけで混ぜ直したり別容器へ移したりせず、薬局に「学校へ持参するため、昼の1回分が分かりやすいようにしたい」と相談してください。
シロップ・坐薬・吸入薬は?
液剤、坐薬、吸入薬などは錠剤や粉薬と準備方法が異なります。
特に保存条件や使用手順がある薬では、学校側の保管体制も確認する必要があります。冷所保存が必要な薬なら「学校でどのように保管できるか」を事前に確認しましょう。
学校へ何を伝えておけば安全?
薬の名前だけでなく、「いつ・どれだけ・何のために・何に注意するか」を共有することが重要です。
| 伝えること | 例 |
|---|---|
| 服用時刻 | 昼食後 |
| 1回量 | 1包、1錠など |
| 目的 | アレルギー症状の治療など |
| 注意事項 | 眠気など |
| 保管方法 | 室温・冷所など |
| 緊急連絡先 | 保護者の連絡先 |
PMDAも、処方薬については医師・薬剤師から指示された用法・用量を守り、自己判断で量を変更したり中止したりしないよう案内しています。【6】
そのため学校でも、「今日は昼ごはんを少ししか食べなかったから半分にしよう」といったその場の自己判断で量を変えることは避ける必要があります。
先生に薬を飲ませてもらうことはできる?
一定条件で医療資格のない人が医薬品使用を介助することが「原則として医行為ではない」と整理される場合はありますが、学校で実際に誰がどこまで対応するかは学校の体制・ルールによります。
厚生労働省の通知では、容態が安定しているなど一定条件を満たし、本人または家族から具体的な依頼があり、医師の処方・薬剤師の服薬指導等に基づく場合について、医薬品使用の介助が原則として医行為に当たらない場合が整理されています。【7】
文部科学省も、医療資格を持たない者が行うことが適切か判断する際の参考として、この考え方を教育委員会や学校へ周知しています。【8】
「法律上、条件を満たせば介助できる場合がある」ことと、「どの学校でも担任の先生が薬を飲ませてくれる」ことは別です。
実際の対応は必ず学校へ確認してください。
市販薬を学校へ持たせてもいい?
市販薬を認めるかどうかも学校によって異なります。自己判断で持たせず確認してください。
日本学校保健会では、教員が学校の一般用医薬品を児童生徒へ独自の判断で与えることはできない旨が説明されています。必要に応じて児童生徒自身が持参する場合についても、注意事項などを指導することが示されています。1
実際に、処方薬のみを対象とし、市販薬には対応しないと明記している学校もあります。2


エピペンや発作時の薬も1回分だけ持たせればいい?
いいえ。エピペン、発作時の坐薬などの緊急薬は、通常の「昼食後の1回分」と同じ考え方だけでは対応できません。
食物アレルギーなどでは、学校側が保護者・主治医等と情報を共有し、緊急時の対応方法を事前に決めておくことが重要です。文部科学省も学校のアレルギー疾患対応に関するガイドライン等を示しています。【9】
エピペン、てんかん発作時の薬、重い喘息発作に関係する薬などは、この記事の一般的な「1回分の持参方法」だけで判断しないでください。
主治医、学校、必要に応じて学校医・学校薬剤師等と事前に対応を決めておきましょう。
持たせ方にはどんな違いがある?
| ケース | 準備の考え方 | 注意点 |
|---|---|---|
| 昼食後の定期薬 | 学校指定なら1回分 | 服薬依頼書を確認 |
| 短期間の風邪薬 | 学校の受入可否を確認 | 処方薬のみの学校もある |
| 市販薬 | 事前確認必須 | 学校によって対応不可 |
| 頓服薬 | 使用条件を明確化 | 誰が判断するか確認 |
| エピペン等の緊急薬 | 個別対応を事前調整 | 緊急時対応計画が重要 |
薬局実務ではどこを確認する?
薬局では「学校で昼の分を飲ませたい」と伝えてもらえると、安全な準備方法を一緒に考えやすくなります。


薬局実務では、次の確認が重要です。
- 学校で使用するのはどの薬か
- 何時頃に使用するのか
- 学校からどのような準備を求められているか
- 剤形変更や一包化を検討できる処方か
- 保存方法に問題がないか
- 眠気など学校生活に影響し得る注意点がないか
特に複数の薬があると、「どれが昼の薬なのか」が保護者にも学校にも分かりにくくなることがあります。
学校へ持参する予定がある場合は、調剤時に薬剤師へ伝えてください。
子どもの薬そのものの飲ませ方については、こちらの記事も参考になります。
関連記事:子供の薬の安全な飲ませ方と注意点
学校へ薬を持たせる手順は?
迷ったら、この順番で準備してください。
- 学校へ連絡する
担任・養護教諭などに学校での服薬が必要なことを伝えます。 - 必要書類を確認する
服薬依頼書・与薬依頼書等があるか確認します。 - 薬局へ相談する
「学校で昼に使う薬です」と伝え、1回分を分かりやすく準備できるか相談します。 - 氏名等を確認する
学校指定の方法に従って記名します。 - 薬と書類をまとめる
必要なら薬剤情報提供書も一緒にします。 - 指定された人へ渡す
ランドセルに入れっぱなしにせず、学校指定の方法で提出します。
「学校へ電話」→「依頼書をもらう」→「薬局で1回分を相談」→「記名」→「指定方法で提出」
この流れなら、かなり迷いにくくなります。
飲み忘れたらどうすればいい?
自己判断で「帰宅後に2回分飲む」「気づいた時点で必ず飲む」と決めないでください。
飲み忘れた場合の対応は、薬の種類や服用間隔によって異なります。
PMDAも、処方された薬は医師・薬剤師から指示された用法・用量を守るよう案内しています。【6】
あらかじめ薬局で、
と確認しておくと安心です。
よくある質問は?
Q1. 服薬依頼書は全国共通ですか?
全国共通の1様式がすべての学校で使われているわけではありません。日本学校保健会には様式例がありますが、実際には学校指定の書類を確認してください。【1】
Q2. 薬は必ず1回分にしなければいけませんか?
全国一律のルールとして断定はできません。ただし、誤薬防止などのため1回分を求める学校があります。学校の指示を確認してください。
Q3. 薬に名前を書けばランドセルに入れていいですか?
学校によって本人管理、担任管理、保健室管理などが異なります。先に学校へ確認してください。
Q4. 先生が薬を飲ませてくれますか?
学校の体制や児童の状態、薬の内容によって異なります。「どの学校でも先生が必ず飲ませてくれる」とは言えません。
Q5. 市販の頭痛薬を持たせてもいいですか?
学校ごとの確認が必要です。市販薬を預からない学校もあるため、自己判断で持たせないようにしましょう。
Q6. 薬局でも学校用の1回分にしてもらえますか?
処方内容や薬の安定性などによります。まず薬剤師へ「学校で使う」と相談してください。家庭で自己流に小分けするより安全です。
Q7. PTPシートを1錠ずつ切って持たせてもいいですか?
厚生労働省はPTPシートを不要に1錠ずつ切り離さないよう注意喚起しています。学校から1回分を求められた場合も、具体的な準備方法は薬剤師へ相談してください。【5】
Q8. 学校で飲み忘れたら帰宅後に2回分飲めばいいですか?
2回分をまとめて飲むとは限りません。薬ごとに対応が違うため、医師・薬剤師から指示された方法に従ってください。
Q9. エピペンも服薬依頼書だけ出せば大丈夫ですか?
通常の定期薬とは別に考える必要があります。アナフィラキシーなど緊急対応が必要な場合は、学校・主治医等と個別の対応方法を事前に共有してください。【9】
Q10. 処方が変わったらどうすればいいですか?
古い依頼内容のままにせず、学校へ変更を伝えてください。新しい依頼書や薬剤情報提供書が必要かも確認しましょう。
まとめるとどうすればいい?

小学生に薬を学校へ持たせるときの4ポイント
- 最初に学校へ確認する
- 指定の服薬依頼書・与薬依頼書を使用する
- 学校の指示に沿って必要な1回分を分かりやすく準備する
- 薬の変更、飲み忘れ、緊急薬は自己判断せず学校・医師・薬剤師と共有する


今すぐ何をすればいい?
学校で薬を飲む必要があると分かったら、まず担任または養護教諭へ連絡してみてください。
「昼に服用する処方薬があります。学校で飲む場合に必要な服薬依頼書と、薬の持参方法を教えてください。」
その後、学校から言われた内容を持って薬局へ相談するとスムーズです。
あわせて読みたい:子供の薬の安全な飲ませ方と注意点
学校でけがをして薬局を利用したときの医療証・学校保険についてはこちら。
お子さん自身に「なぜ薬を飲むの?」をやさしく伝えたい場合は、薬育絵本『ゆずまるとふしぎなおくすりの森』も著書一覧で紹介しています。
参考文献は?
※制度・学校運用は変更される可能性があります。公開前および実際の利用時には、通学している学校・教育委員会・主治医・薬剤師等へ最新情報をご確認ください。
- 公益財団法人日本学校保健会「学校における薬品管理マニュアル令和4年度改訂【追補版】」
最終確認日:2026年8月17日 - 静岡県立浜松視覚特別支援学校「お薬について」
最終確認日:2026年8月17日 - 公益財団法人日本学校保健会「保健室における知っておくべき薬の知識」
最終確認日:2026年8月17日 - 静岡県立沼津特別支援学校「薬に関する依頼書について」
最終確認日:2026年8月17日 - 厚生労働省「PTP包装シート誤飲防止対策について」
最終確認日:2026年8月17日 - PMDA「Q9 医師から処方されたくすりを使用する場合、どんなことに注意したらよいですか?」
最終確認日:2026年8月17日 - 厚生労働省「医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について(その2)」
最終確認日:2026年8月17日 - 文部科学省「医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について」
最終確認日:2026年8月17日 - 文部科学省「アレルギー疾患対応」
最終確認日:2026年8月17日



コメント