

薬局での調剤業務の中でも、特に医師の処方意図をくみ取る力と薬剤師の技術が問われるのが「自家製剤加算」です。
これは、市販されている剤形や規格では対応できない処方に対して、薬剤師が工夫を加えて調製した場合に算定できる加算で、調剤報酬の一部を担っています。
しかし、その算定要件は非常に細かく、条件を満たしていなければ審査で却下されることも少なくありません。
「割線のある錠剤を半分に割っただけで加算していいのか?」や、「供給不足時の対応は?」など、現場では迷う場面も多くあります。
この記事では、自家製剤加算の基本から具体的な算定条件、点数の計算方法、そして実際のケーススタディまで、薬局薬剤師がすぐに実務に活かせるよう詳しく解説します。


- 自家製剤加算とは?制度の背景と目的
- 算定要件は?どんなケースで算定できるのか?
- 自家製剤加算の点数【2026年度・令和8年度】
- 制度改定のポイント:供給不足時の対応
- 割線がない錠剤でも自家製剤加算は取れるの?
- どんなときに算定される?具体的なケーススタディ
- 算定の際の注意点とレセプト記載例
- レセプト摘要欄に記載するコメント例
- 粉砕調製時のレセプト摘要コメント例
- 自家製剤加算を30秒で判断するチェックフロー
- 内服薬は「7日分ごと」の計算に注意
- 供給不足で自家製剤加算を算定するときの実務
- 錠剤分割・粉砕・脱カプセルはどう考える?
- 自家製剤加算で間違えやすい7つのNGパターン
- 調剤録には何を残す?実務チェックリスト
- 自家製剤加算と計量混合調剤加算の違い
- レセプト査定・返戻を防ぐための最終確認
- 2026年度の一次情報
- まとめ
- クイズで確認!自家製剤加算の理解度チェック
- よくある質問(Q&A)
- 参考文献
自家製剤加算とは?制度の背景と目的
薬局での調剤業務では、市販されている剤形では対応できない処方に対し、薬剤師が医師の指示に基づいて調製した場合に算定できる加算が「自家製剤加算」です。
代表的な例としては「錠剤を粉砕して散剤とする」「主薬を溶解して点眼剤を無菌に製する」「基剤を加えて坐剤にする」などがあります。単に既製剤を分包するだけでは算定対象外です。
算定要件は?どんなケースで算定できるのか?
- 医師の明確な指示に基づくこと(剤形変更、粉砕、無菌処理等)
- 調製後と同一剤形・同一規格の医薬品が薬価基準に収載されていないことが原則。収載品があっても、供給上の問題で必要数量を確保できない場合は例外があります。
- 既製剤を単に分包・小分けする操作では対象外(調剤録にもその旨記録)
- 錠剤を分割する場合は、所定点数の20%(100分の20)を算定。ただし、分割後と同一規格の医薬品が薬価基準に収載されている場合は原則算定できません。
- 自家製剤加算を算定した調剤について、計量混合調剤加算は算定できません。別の調剤行為については、それぞれの要件を個別に確認します。
- 調剤録には、使用した賦形剤の名称・分量、粉砕・加温・滅菌の作業内容などを明記する必要あり
自家製剤加算の点数【2026年度・令和8年度】
2026年度(令和8年度)の自家製剤加算は、内服薬・屯服薬・外用薬の剤形ごとに次の点数で算定します。内服固形剤等は自家製剤を行った投与日数が7日またはその端数を増すごとに算定し、予製剤または錠剤分割は所定点数の20%です。
| 区分 | 剤型 | 点数 |
|---|---|---|
| 内服薬(錠・散・顆粒等) | 一調剤につき(7日分ごと) | 20点(割線分割は4点) |
| 屯服薬(同剤形) | 一調剤につき | 90点(割線分割は18点) |
| 液剤(内服・屯服共通) | 一調剤につき | 45点 |
| 外用薬(錠・軟膏・坐剤等) | 一調剤につき | 90点(割線分割は18点) |
| 点眼・点鼻・点耳・浣腸剤 | 一調剤につき | 75点 |
| 外用液剤 | 一調剤につき | 45点 |
※内服薬は「7日分ごとに20点」。端数は切り上げされます。
制度改定のポイント:供給不足時の対応
令和6年度改定により、薬価収載されている同一規格製剤があっても、薬剤供給に支障があり必要数量を確保できない場合は自家製剤加算を算定可能となりました。
供給上の問題で算定する場合は、摘要欄に調剤に必要な数量を確保できなかった薬剤名と、確保できなかったやむを得ない事情を記載します。
割線がない錠剤でも自家製剤加算は取れるの?
割線(かっせん)がない錠剤を分割して調製した場合でも、自家製剤加算の算定は可能です。
① 点数は「所定点数の100分の20」
2022年度(令和4年)の改定で、割線の有無に関係なく錠剤の分割には20%の点数が適用されることになりました。
| 剤形 | 通常点数 | 分割時点数(20%) |
|---|---|---|
| 内服薬(7日分ごと) | 20点 | 4点 |
| 屯服薬 | 90点 | 18点 |
| 外用薬(坐剤など) | 90点 | 18点 |
② 同一規格が薬価収載されている場合は対象外
例えば、1mg錠を半分にして0.5mgにした場合、0.5mgの製剤が薬価収載されているなら、自家製剤加算は算定できません。代替製剤がある場合はそちらを優先使用する必要があります。
③ 摘要欄への記載例
- 「医師指示により〇〇錠(割線なし)を1/2分割調製。0.5mg製剤は薬価未収載」
- 「嚥下困難対応として割線なし錠剤を分割(医師了解あり)」

どんなときに算定される?具体的なケーススタディ
ケース①:カプセル剤から散剤への調製
医師から「ドライシロップが供給できないため、代わりにカプセル剤を粉砕し散剤に」との指示。薬局ではカプセルを開封し、賦形剤を加えて1日量ごとに調製。
→ この場合、薬価収載品の供給が不安定であったことから、自家製剤加算の算定が可能です。
ケース②:錠剤の割線分割で半錠処方
ある1mg錠を医師の指示で1/2錠に分割して調剤する処方を想定します。分割後と同じ0.5mg規格の製剤が薬価基準に収載され、必要数量を確保できる場合は自家製剤加算を算定できません。
→ 錠剤分割は所定点数の20%ですが、分割後と同一規格の医薬品が薬価基準に収載されている場合は原則算定できません。ただし、その規格が供給上の問題で必要数量を確保できない場合は例外を確認します。
ケース③:粉砕した薬と別剤の計量混合がある処方
朝食後の錠剤を粉砕して自家製剤加算の対象となる調製を行い、別の服用時点では散剤2種類を計量・混合する処方を想定します。
→ 自家製剤加算を算定した同じ調剤行為に計量混合調剤加算を重ねることはできません。一方、別の調剤行為については、それぞれが各加算の要件を満たすか個別に判断します。

算定の際の注意点とレセプト記載例
- 調剤録への記載:粉砕、滅菌、加温など調製操作の詳細、使用した賦形剤と量を記録
- レセプト摘要欄:「〇〇剤供給不足のため、医師の指示により粉砕調製」「割線分割により半錠調製」など
- 供給不足時の摘要:必要数量を確保できなかった薬剤名と、確保できなかったやむを得ない事情を摘要欄に記載
- 嚥下困難者用製剤加算は廃止され、現在はすべて自家製剤加算に一本化
- 外来服薬支援料2とは併算定不可(重複請求防止)

レセプト摘要欄に記載するコメント例
自家製剤加算を算定する場合、審査での確認対象となるため、以下のような理由や処方意図を明確に記載する必要があります。
供給不足による散剤調製
- 「〇〇DS供給不能のため、同成分〇〇Cap脱カプセル・賦形散調製」
- 「〇〇細粒製剤が流通困難のため、〇〇錠を粉砕・散剤として調製」
錠剤の割線分割
- 「医師の指示により〇〇錠を割線にて1/2分割調製」
- 「0.5mg錠剤供給不安定のため、1mg錠を割線分割し調製」
嚥下困難患者への剤形変更
- 「嚥下困難のため、〇〇錠を粉砕調製(医師指示あり)」
- 「医師依頼により坐剤調製、〇〇末加賦形・成形(外用加算対象)」
点眼剤・点鼻剤などの無菌調製
- 「医師依頼により〇〇注を無菌調製し点眼剤とした」
- 「処方指示に基づき、〇〇原薬を希釈し点鼻剤とした(滅菌操作実施)」
処方欄だけでは算定理由が分からない場合は、理由が明確になるよう摘要欄へ記載します。供給上の問題で算定する場合は、薬剤名と必要数量を確保できなかったやむを得ない事情の記載が必要です。

粉砕調製時のレセプト摘要コメント例
錠剤・カプセル剤を粉砕して散剤や混合製剤として調製した場合、以下のようなコメントをレセプト摘要欄に記載します。
医師の指示による粉砕
- 「医師指示により〇〇錠を粉砕し散剤として調製」
- 「嚥下困難のため〇〇Capを脱カプセル・粉砕(医師依頼)」
供給不足による粉砕対応
- 「〇〇DS供給停止のため、〇〇錠を粉砕し散剤として調製」
- 「同成分散剤が流通困難なため、錠剤粉砕調製(薬価収載品不足対応)」
剤形変更による粉砕
- 「粉砕指示あり、錠剤を粉砕し1日1回分混合製剤として調製」
- 「服薬コンプライアンス改善目的で、粉砕混合調製(医師同意)」
服用時点が異なる複数薬剤の粉砕混合
- 「朝食後内服薬:医師指示に基づき2剤を粉砕し調製(自家製剤加算の要件を確認)」
- 「夕食後薬:別の調剤行為として計量混合を実施(各加算の要件を個別に確認)」
レセプト摘要には「なぜ粉砕したのか」「どの剤をどう調製したのか」の具体記述が重要です。粉砕が指示ベースか供給対応かを明記しましょう。

自家製剤加算を30秒で判断するチェックフロー
自家製剤加算は、処方を見るたびに点数表を最初から読み直すより、「なぜ調製が必要か → 同一剤形・同一規格があるか → 医師の指示があるか → どんな操作をしたか」の順で確認すると判断しやすくなります。
- その患者に既製剤のままでは対応できない理由があるか
嚥下困難、必要な剤形がない、必要規格がない、供給上の問題で必要数量を確保できないなどを確認します。 - 医師の指示に基づく調製か
錠剤分割を含め、自家製剤は医師の指示に基づくことが基本です。薬剤師が自己判断で処方内容を変更して算定するものではありません。 - 調製後と同一剤形・同一規格の医薬品が薬価基準に収載されていないか
同一剤形・同一規格品が収載されている場合は原則算定できません。 - 収載品がある場合、供給上の問題で必要数量を確保できない状況か
この場合は例外があり、摘要欄への所定の記載が必要です。 - 単なる小分け・分包ではなく、特殊な調剤技術を伴っているか
粉砕、溶解、基剤の添加、ろ過、加温、滅菌など、患者が服用できるようにするための調製かを確認します。 - 自家製剤加算と計量混合調剤加算を同じ調剤行為で重ねていないか
自家製剤加算を算定した調剤については、計量混合調剤加算は算定できません。
①医師指示 ②調製前後の剤形・規格 ③供給状況 ④実際に行った製剤工程。
この4点が整理できると、算定可否だけでなく調剤録・摘要欄の記載もスムーズになります。
内服薬は「7日分ごと」の計算に注意
自家製剤加算で特に計算ミスが起こりやすいのが、錠剤・カプセル剤・散剤・顆粒剤などの内服固形剤です。2026年度も、自家製剤を行った投与日数が7日またはその端数を増すごとに20点を算定します。
| 投与日数 | 通常の自家製剤 | 錠剤分割・予製剤(20%) |
|---|---|---|
| 1〜7日 | 20点 | 4点 |
| 8〜14日 | 40点 | 8点 |
| 15〜21日 | 60点 | 12点 |
| 22〜28日 | 80点 | 16点 |
たとえば14日処方なら20点×2、15日処方なら20点×3です。15日分を「2週間と1日だから40点」としないよう注意してください。
一方、屯服薬や外用薬などは、内服固形剤のような「7日分ごと」の考え方ではなく、原則として自家製剤による1調剤行為に対して所定点数を算定します。
供給不足で自家製剤加算を算定するときの実務
2024年度改定で実務上大きかったのが、同一剤形・同一規格の薬価収載品が存在していても、供給上の問題で必要数量を確保できない場合を除外扱いとしないことが明確になった点です。この考え方は2026年度の留意事項でも確認できます。
ただし、「在庫が少なかった」「取り寄せが面倒だった」だけで自動的に算定できるという意味ではありません。通知上は、供給上の問題により当該医薬品が入手困難で、調剤時に必要な数量を確保できない場合が対象です。
供給不足時に確認すること
- 調製後と同一剤形・同一規格の薬価収載品は何か
- 今回の処方に必要な数量はいくつか
- その必要数量を確保できなかったか
- 確保できなかった理由が供給上の問題によるものか
- 摘要欄に対象薬剤名を記載したか
- 摘要欄に「必要数量を確保できなかったやむを得ない事情」を記載したか
摘要欄は「供給不足」だけでは情報不足になりやすい
2026年度の記載要領では、供給上の問題により自家製剤加算を算定する場合、調剤に必要な数量を確保できなかった薬剤名と、確保できなかったやむを得ない事情を記載することが示されています。
したがって、単に「供給不足のため」とだけ入力するより、実際の状況が分かるように記録する方が制度趣旨に沿っています。
「○○錠0.5mg:供給上の問題により調剤必要数を確保できず、医師指示に基づき○○錠1mgを1/2分割」
※実際の記載は、使用しているレセコンや個別の処方内容に合わせてください。
錠剤分割・粉砕・脱カプセルはどう考える?
錠剤を半錠にする場合
医師の指示に基づいて錠剤を分割する場合は、所定点数の20%です。現在の留意事項では、割線の有無そのものではなく「錠剤を分割する場合」として扱われます。
ただし、分割後と同一規格の医薬品が薬価基準に収載されている場合は原則算定できません。たとえば1mg錠を1/2錠にして0.5mg相当にするなら、0.5mg規格の収載状況を確認する、という流れです。
錠剤を粉砕して散剤にする場合
錠剤を粉砕して散剤とすることは、自家製剤の代表例として厚労省通知にも示されています。ただし、粉砕したという作業だけで自動的に算定できるわけではありません。
患者の状態、医師の指示、同一剤形・同一規格品の有無、薬学的に粉砕可能かを確認します。徐放製剤や腸溶製剤など、粉砕によって製剤特性が失われる薬もあるため、算定以前に薬学的妥当性の確認が必要です。
カプセルを開けて中身を調製する場合
脱カプセルも、既製剤のままでは患者に適さず、医師の指示に基づいて剤形を変更するケースでは検討対象になります。ただし、カプセルを開けても薬学的に問題がないか、内容物に特殊な製剤設計がないかを先に確認します。
自家製剤加算で間違えやすい7つのNGパターン
NG1:粉砕したら必ず算定する
粉砕は自家製剤の代表例ですが、粉砕した事実だけでは不十分です。同一剤形・同一規格品の有無、医師指示、薬学的妥当性まで確認します。
NG2:半錠なら割線の有無だけで判断する
現在は「錠剤を分割する場合」として所定点数の20%を算定します。重要なのは、分割後と同一規格の医薬品が薬価基準に収載されているかです。
NG3:同一成分の別剤形が存在するだけで一律に算定不可とする
通知上の判断軸は同一剤形・同一規格です。「同じ成分があるか」だけで判断すると、制度の条件を取り違える可能性があります。
NG4:供給不足なら摘要欄に何も書かなくてよい
供給上の問題で算定する場合は、確保できなかった薬剤名と、必要数量を確保できなかったやむを得ない事情の記載が必要です。
NG5:自家製剤加算と計量混合調剤加算を同じ調剤に重ねる
自家製剤加算を算定した場合、その調剤について計量混合調剤加算は算定できません。処方全体ではなく、どの調剤行為に対する加算なのかを整理しましょう。
NG6:薬剤師判断だけで処方剤形を変更する
自家製剤は医師の指示に基づいて行うことが基本です。処方意図と異なる剤形変更が必要なら、疑義照会など適切な手順で確認します。
NG7:調剤録に製剤工程を残さない
自家製剤を行った場合は、賦形剤の名称・分量等を含めた製剤工程を調剤録等へ記載することが求められています。
調剤録には何を残す?実務チェックリスト
調剤録の記録は「自家製剤加算を取った」という結果だけではなく、何をどう調製したのかが追える内容にします。
- 元になった医薬品名・規格
- 医師からの調製指示の内容
- 粉砕・分割・脱カプセル・溶解・滅菌などの工程
- 賦形剤を使用した場合は名称と分量
- 供給上の問題が関係する場合は、その状況
- 疑義照会を行った場合は照会内容と回答
- 薬学的に問題がないと判断した根拠を確認できる情報
特に、自家製剤は医薬品の特性を十分理解し、薬学的に問題ないと判断される場合に限って行うとされています。点数が取れるかどうかより先に、安全に調製できるかを確認することが大前提です。
自家製剤加算と計量混合調剤加算の違い
| 比較 | 自家製剤加算 | 計量混合調剤加算 |
|---|---|---|
| 主な考え方 | 既製剤の剤形では対応できず、特殊な技術工夫をして製剤 | 2種類以上の対象薬剤を計量・混合して調剤 |
| 代表例 | 錠剤を粉砕して散剤化、主薬を溶解して点眼剤化など | 散剤2種類の計量混合、軟膏剤の混合など |
| 同じ調剤での併算定 | 不可。自家製剤加算を算定した場合、同じ調剤について計量混合調剤加算は算定しない | |
| 共通点 | 薬学的に問題ないことを確認して実施する | |
計量混合調剤加算について確認したい場合は、関連記事もあわせて確認してください。
レセプト査定・返戻を防ぐための最終確認
自家製剤加算で迷ったときは、請求直前に次の順で見直すと抜けを減らせます。
- 医師の指示は確認できるか
- 調製後と同一剤形・同一規格品の収載状況を確認したか
- 供給不足の例外を使う場合、必要数量を確保できなかった状況か
- 供給不足の場合の摘要欄記載を行ったか
- 実際の製剤工程を調剤録等に記録したか
- 錠剤分割・予製剤なら20%の点数で計算したか
- 内服固形剤なら7日または端数ごとの算定回数が合っているか
- 同じ調剤に計量混合調剤加算を重ねていないか

2026年度の一次情報
自家製剤加算は解説サイトだけで判断せず、最終的には厚生労働省の現行点数表・留意事項・記載要領を確認するのが安全です。

まとめ
「自家製剤加算」は、薬剤師がその専門性を発揮して行う調製に対して正当に評価される重要な加算です。
特に近年の薬剤供給不安や多剤併用による服薬困難など、患者ごとのニーズに合わせた調剤が求められる中で、この加算の正しい理解と活用は薬局業務の質向上に直結します。
算定には「医師の指示」「剤形の調整」「薬価未収載や供給困難の状況」など明確な根拠が必要であり、記録・レセプト摘要記載が重要な審査ポイントになります。
また、令和6年度改定で「薬剤の供給不安定時に限り例外的に算定できる」制度が明確化され、薬剤師の裁量がさらに問われる時代になりました。
日々の業務で「これは算定対象かな?」と迷ったときには、添付文書・供給状況・医師指示の有無・剤形の妥当性を総合的に確認し、正しい情報をもとに判断しましょう。

クイズで確認!自家製剤加算の理解度チェック
Q1. 自家製剤加算を算定できるのはどのケース?
- ① 錠剤をそのまま分包しただけ
- ② 散剤が流通停止中のため、カプセル剤を脱カプセル・散剤調製した
- ③ 点眼薬を薬局で分注した
- ④ 医師の指示なく自宅で錠剤を半分にした
正解:②
散剤が流通していないため、代替剤形を薬剤師が調製することは自家製剤加算の要件を満たします。①は通常調剤で加算対象外、③は分注のみでは対象外、④は患者の行為であり加算対象外です。
Q2. 以下のうち、自家製剤加算の点数が「一調剤につき75点」である剤形は?
- ① 内服液剤
- ② 点眼剤
- ③ 散剤
- ④ 坐剤
正解:②
点眼・点鼻・点耳・浣腸剤の自家製剤加算は「一調剤につき75点」と定められています。①は45点、③は7日分ごとに20点、④は90点です。
Q3. 供給不足を理由に自家製剤加算を算定する場合、摘要欄で必要な対応は?
- ① 「供給不足」とだけ書けばよい
- ② 必要数量を確保できなかった薬剤名と、確保できなかったやむを得ない事情を記載する
- ③ 摘要欄への記載は不要
- ④ 同一剤形・同一規格品が薬価収載されていれば、供給状況に関係なく必ず算定不可
正解:②
2026年度の留意事項では、供給上の問題により薬価収載品を必要数量確保できず自家製剤加算を算定する場合、摘要欄に確保できなかった薬剤名と確保できなかったやむを得ない事情を記載します。

よくある質問(Q&A)
Q1:粉砕して散剤にした場合、同成分の散剤があれば必ず算定できませんか?
A1:判断の軸は単なる「同成分の製剤があるか」ではなく、調製した医薬品と同一剤形・同一規格を有する医薬品が薬価基準に収載されているかです。収載されていても、供給上の問題で必要数量を確保できない場合は例外があります。
Q2:割線なしの錠剤を分割して加算する場合、割線付きと同様に20%の点数で算定できますか?
A2:はい。令和4年度の改定以降は、割線の有無にかかわらず錠剤分割による自家製剤加算は所定点数の20%に統一されています。ただし、分割後と同一規格の薬が薬価収載されていれば算定不可となる点は変わりません。
Q3:計量混合調剤加算とは併算定できますか?
A3:自家製剤加算を算定した同じ調剤行為について、計量混合調剤加算は算定できません。別の調剤行為については、それぞれが各加算の要件を満たすか個別に判断します。
Q4:6歳未満の乳幼児へ矯味剤を加えて調製した場合は加算できますか?
A4:はい。乳幼児向けに適用する場合、成人や6歳以上の処方には不要な矯味剤や賦形剤を加える調製であれば、医師の了解を得たうえで自家製剤加算の対象となります。
参考文献
- 自家製剤加算の解説と最新疑義解釈(Pharmacist‑M3)
- 令和6年度版 自家製剤加算の解説(Medical‑Peer)
- 自家製剤加算とは?算定要件・点数解説(Yakuyomi)
- 厚生労働省 告示:調剤報酬点数表に関する事項



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