労災指定薬局で7号様式は受け付けられる?患者請求ならどう対応するか超初心者向けに解説
この記事でわかること
- 労災指定薬局で「7号様式」を持ってきた患者さんに対応できるのか
- 様式第5号と様式第7号の違い
- 患者さんが自分で請求する場合に薬局がすること
- 薬局窓口で間違えやすいポイント
- 新人薬剤師・事務さん向けの実践フロー


- 前書き:7号様式は「薬局が労災請求する紙」ではなく「患者さんが費用請求する紙」
- まず結論:労災指定薬局で7号様式は受け付けられる?
- そもそも労災とは?超初心者向けに一言でいうと
- 様式第5号と様式第7号の違い
- 薬局用の7号は「様式第7号(2)」
- 7号様式を持参した患者さんへの窓口対応フロー
- 薬局で「受け付けられる」の意味を分けて考える
- 具体例1:労災指定薬局で、患者さんがすでに自費で支払っていたケース
- 具体例2:患者さんが未払いで「7号を持ってきたから労災で無料にして」と言うケース
- 具体例3:通勤災害なのに7号を持ってきたケース
- 薬局がやってはいけない対応
- 薬局内で決めておくと便利なルール
- 薬局窓口で使えるチェックリスト
- まとめ:患者請求なら7号様式の薬局証明対応はあり得る。ただし無料扱いとは別
- よくある質問
- 参考文献
前書き:7号様式は「薬局が労災請求する紙」ではなく「患者さんが費用請求する紙」
労災処方箋の対応で、初心者が混乱しやすいのが「5号」と「7号」の違いです。 ざっくり言うと、労災指定薬局で患者さんが自己負担なしで薬を受け取る通常の流れでは、主に様式第5号を使います。一方で、様式第7号は、患者さんがいったん医療機関や薬局で費用を支払い、その後に労働基準監督署へ費用の支給を請求するための書類です。
厚生労働省の労災保険給付関係主要様式では、いったん負担した治療費について費用の支給を受けるための様式として第7号が案内されており、薬局から薬剤の支給を受けた場合は別様式を使用することが示されています。薬局用としては「療養補償給付及び複数事業労働者療養給付たる療養の費用請求書(薬局) 第7号(2)」が掲載されています。【1】【3】 また、東京労働局の案内では、療養補償給付等について、5号は病院や薬局等を経て所轄労働基準監督署長へ、7号は所轄労働基準監督署長へ提出する整理になっています。【2】


まず結論:労災指定薬局で7号様式は受け付けられる?
薬局窓口での実務的な答えは、次のように整理するとわかりやすいです。
| 患者さんの状況 | 薬局での考え方 | 対応の目安 |
|---|---|---|
| すでに薬局で薬剤費を支払っている | 患者さんがあとから労基署へ費用請求するケース | 様式第7号(2)の薬剤師証明欄などに対応する |
| まだ支払っていない | 労災指定薬局で無料扱いにしたいケース | 原則、様式第5号の提出・確認が必要 |
| 通勤災害である | 業務災害とは様式番号が違う | 通勤災害は第16号の5(2)などを確認 |
| 労災か健康保険か不明 | 薬局で労災認定はできない | 会社・労基署・医療機関に確認してもらう |
労災指定薬局の実務全体を確認したい方は、こちらの記事も参考になります。 関連記事:調剤薬局で労災対応をマスター!実務ガイドとQ&A
そもそも労災とは?超初心者向けに一言でいうと
労災とは、仕事中や通勤中のケガ・病気について、労災保険から必要な給付を行う制度です。東京労働局では、労災保険について、業務上の事由または通勤による労働者の負傷・疾病・障害・死亡に対して、労働者や遺族のために必要な保険給付を行う制度と説明しています。【5】 薬局に関係するのは、主に療養補償給付や療養給付です。薬局では、労災処方箋に基づいて調剤し、薬剤費や調剤報酬に相当する部分を労災として扱う場面があります。
- 仕事中のケガ:業務災害
- 通勤中のケガ:通勤災害
- 労災指定薬局で無料扱い:5号または16号の3が中心
- いったん自費で払ってあとから請求:7号または16号の5が中心


様式第5号と様式第7号の違い
ここが今回の最重要ポイントです。薬局窓口では、まず「5号なのか、7号なのか」を見分ける必要があります。
| 項目 | 様式第5号 | 様式第7号 |
|---|---|---|
| 正式な位置づけ | 療養の給付請求書 | 療養の費用請求書 |
| ざっくり言うと | 労災指定医療機関・薬局で無料扱いにするための書類 | いったん支払った費用をあとから請求するための書類 |
| 薬局の関わり | 薬局が労災請求の流れに乗せる | 薬局は薬剤師証明欄・療養内容・費用額などを記載する |
| 提出先の考え方 | 病院や薬局等を経て労基署へ | 原則、請求人が労基署へ |
| 患者負担 | 原則なし | いったん患者が支払う |
厚生労働省の主要様式ダウンロードページでは、仕事または通勤が原因のケガや病気について、労災保険の指定医療機関等で無料で治療を受けるための様式として第5号・第16号の3が案内されています。一方、いったん負担した治療費について費用の支給を受けるための様式として第7号・第16号の5が案内されています。【1】
薬局用の7号は「様式第7号(2)」
ここも間違いやすいポイントです。 「7号」と一言で言っても、医療機関用、薬局用、柔道整復用、はり・きゅう用、訪問看護用などに分かれています。薬局で使うのは、様式第7号(2)です。
| 区分 | 業務災害・複数業務要因災害 | 通勤災害 |
|---|---|---|
| 病院・診療所など | 様式第7号(1) | 様式第16号の5(1) |
| 薬局 | 様式第7号(2) | 様式第16号の5(2) |
| 柔道整復 | 様式第7号(3) | 様式第16号の5(3) |
| はり・きゅう | 様式第7号(4) | 様式第16号の5(4) |
| 訪問看護 | 様式第7号(5) | 様式第16号の5(5) |
厚生労働省の様式一覧でも、薬局用として「療養補償給付及び複数事業労働者療養給付たる療養の費用請求書(薬局) 第7号(2)」が掲載されています。通勤災害の場合は第16号の5(2)です。【1】


7号様式を持参した患者さんへの窓口対応フロー
患者さんが7号様式を持ってきたとき、薬局窓口では次の順番で確認すると安全です。
- 業務災害か通勤災害か確認する
- 薬局用の様式か確認する
- すでに患者さんが薬剤費を支払い済みか確認する
- 処方箋・調剤日・薬剤費の記録と一致するか確認する
- 薬剤師証明欄、療養内容、費用額などを記載できるか確認する
- 患者さんへ「最終的な提出先は労基署です」と説明する
ステップ1:業務災害か通勤災害か確認する
まず、仕事中のケガなのか、通勤中のケガなのかを確認します。
- 仕事中のケガ:業務災害 → 様式第7号(2)
- 通勤中のケガ:通勤災害 → 様式第16号の5(2)
患者さんが「労災です」と言っていても、業務災害なのか通勤災害なのかで様式が変わります。薬局で断定するのではなく、患者さん・会社・労基署の確認内容に沿って対応しましょう。
ステップ2:薬局用の様式か確認する
薬局で確認するべきは、様式第7号(2)または様式第16号の5(2)です。 様式第7号(1)は、病院・診療所などの費用請求で使われる様式です。薬局で薬剤費の証明を行う場合は、薬局用の様式かどうかを確認します。
ステップ3:すでに患者さんが支払い済みか確認する
ここが最重要です。 7号は、基本的に患者さんがいったん費用を支払ったあとに、その費用を請求するための書類です。したがって、患者さんがまだ支払っていない状態で「この7号で無料にしてください」と言ってきた場合は、通常の流れとは違います。
ステップ4:処方箋・調剤日・薬剤費の記録と一致するか確認する
様式第7号(2)には、薬局が証明する欄があります。厚生労働省の薬局用様式第7号(2)では、薬剤師の証明欄、療養の内容、療養に要した費用の額、調剤期間、調剤実日数などの記載欄が確認できます。【3】 薬局としては、レセコン・調剤録・領収証・明細書・処方箋控えなどと照合して、事実に基づいて記載します。
| 確認項目 | 見るもの | 注意点 |
|---|---|---|
| 患者氏名 | 処方箋、調剤録、本人確認情報 | 漢字・カナの誤りに注意 |
| 調剤日 | 処方箋、調剤録 | 処方日と調剤日を混同しない |
| 薬剤費・調剤報酬 | レセコン、領収証、明細書 | 患者が支払った金額と整合するか確認 |
| 医師の処方に基づくか | 処方箋 | 労災対象傷病に関係する処方か確認 |
| 薬局名・所在地 | 薬局情報 | 押印・署名運用は社内ルールも確認 |
ステップ5:患者さんへ提出先を説明する
7号様式は、薬局が労災へ直接請求するための書類ではなく、患者さんが費用請求を行うための書類です。東京労働局の案内では、7号・16号の5の提出先は所轄労働基準監督署長とされています。【2】 薬局では、次のように説明するとわかりやすいです。


薬局で「受け付けられる」の意味を分けて考える
今回の質問で大切なのは、「受け付けられる」という言葉の意味を分けることです。
| 受け付ける意味 | 可否 | 理由 |
|---|---|---|
| 薬局が薬剤師証明欄などを記載する | 可能な場合あり | 薬局用の様式第7号(2)に薬剤師証明欄等があるため |
| 患者さんが支払い済みの費用請求に協力する | 可能な場合あり | 患者請求のための書類として使う |
| 7号で薬局が労災へ直接請求する | 通常の考え方とは異なる | 7号は患者さんの費用請求書 |
| 未払いのまま7号で無料扱いにする | 原則避ける | 無料扱いの通常書類は5号・16号の3 |
具体例1:労災指定薬局で、患者さんがすでに自費で支払っていたケース
たとえば、次のようなケースです。
この場合、薬局では次のように対応します。
- その患者さんの調剤記録があるか確認
- 該当する処方箋・調剤日・薬剤費を確認
- 薬局用の様式第7号(2)か確認
- 薬剤師証明欄、療養内容、費用額などを記載
- 患者さんへ、提出先は労基署であることを説明
このケースでは、患者さんがすでに薬局に支払っており、患者さん自身があとから費用請求する流れなので、薬局としては事実確認のうえで証明欄の記載に対応することがあります。
具体例2:患者さんが未払いで「7号を持ってきたから労災で無料にして」と言うケース
次は、注意が必要なケースです。
この場合、薬局としてはそのまま7号で無料扱いにしないほうが安全です。 労災指定薬局で無料扱いにする通常の流れでは、業務災害なら様式第5号、通勤災害なら様式第16号の3を確認します。7号は、いったん負担した費用を請求するための書類だからです。【1】
具体例3:通勤災害なのに7号を持ってきたケース
通勤中のケガの場合、業務災害用の7号ではなく、通勤災害用の第16号の5(2)を使います。 患者さんが「通勤中に転んだ」と話しているのに、会社から様式第7号(2)を持たされている場合は、薬局でそのまま進める前に確認が必要です。
薬局がやってはいけない対応
初心者が特に注意したいのは、次のような対応です。
- 7号を出されたので、未収のまま労災請求に回す
- 業務災害か通勤災害か確認せずに記載する
- 薬局用でない様式に薬局分を書いてしまう
- 患者さんに「必ず戻ってきます」と説明する
- 労災認定されるかどうかを薬局で断定する
- 調剤録や領収証と合わない金額を書く
- 医師の処方に基づかない内容まで証明する


薬局内で決めておくと便利なルール
労災の7号対応は頻度が高くないため、薬局内でルールを決めておくと現場が混乱しにくくなります。
| 決めておくこと | 理由 |
|---|---|
| 7号記載の担当者 | 新人が単独判断しないようにする |
| 記載前に確認する資料 | 処方箋、調剤録、領収証、明細書などを統一する |
| 患者説明の定型文 | 「必ず戻る」などの誤説明を防ぐ |
| 通勤災害時の確認先 | 様式違いを防ぐ |
| 記載後のコピー保管 | 後日の問い合わせに備える |
薬局内の制度対応や管理薬剤師業務を体系的に整理したい方は、著書一覧も参考にしてください。 詳しくはこちら:ゆずまるの著書・執筆した本
薬局窓口で使えるチェックリスト
最後に、7号様式を持参されたときのチェックリストをまとめます。
- □ 患者さんはすでに薬剤費を支払い済みか
- □ 業務災害か通勤災害か確認したか
- □ 業務災害なら様式第7号(2)か
- □ 通勤災害なら様式第16号の5(2)か
- □ 処方箋・調剤録・領収証と内容が一致するか
- □ 薬剤師証明欄に記載できる事実があるか
- □ 労災認定や支給可否を薬局で断定していないか
- □ 提出先は労基署であると説明したか
- □ コピー保管など薬局内ルールに沿っているか


まとめ:患者請求なら7号様式の薬局証明対応はあり得る。ただし無料扱いとは別
労災指定薬局で7号様式を持参された場合の考え方をまとめます。
- 様式第7号は、いったん負担した費用をあとから請求するための書類
- 薬局用は様式第7号(2)
- 通勤災害の場合は様式第16号の5(2)
- 患者さんが支払い済みで、患者さん自身が請求する場合は、薬局が証明欄等に対応することがある
- 未払いのまま無料扱いにするなら、通常は5号・16号の3の確認が必要
- 薬局は支給可否を断定せず、事実に基づく証明にとどめる

労災対応の基本から復習したい方は、こちらの記事もあわせて確認してください。 あわせて読みたい:調剤薬局で労災対応をマスター!実務ガイドとQ&A
よくある質問
Q1. 労災指定薬局なのに7号様式を出されたら、断るべきですか?
一律に断る必要はありません。患者さんがすでに薬剤費を支払っており、患者さん自身が労基署へ費用請求するために薬局証明を求めている場合は、様式第7号(2)の内容を確認して対応することがあります。 ただし、患者さんがまだ支払っておらず、7号で無料扱いを希望している場合は、通常の流れとは異なります。業務災害なら様式第5号、通勤災害なら様式第16号の3を確認しましょう。
Q2. 薬局用の7号はどれですか?
業務災害・複数業務要因災害で薬局用に使うのは、様式第7号(2)です。通勤災害で薬局用に使うのは、様式第16号の5(2)です。厚生労働省の主要様式ダウンロードページにも薬局用として掲載されています。【1】
Q3. 様式第7号(1)を持ってきた場合、薬局で書いてよいですか?
薬局用は様式第7号(2)です。第7号(1)は薬局用ではないため、患者さんに「薬局用の様式が別にあります」と説明し、会社または労基署へ確認してもらうのが安全です。
Q4. 7号様式なら、患者さんからお金をもらわなくてよいですか?
いいえ。7号様式は、いったん負担した費用をあとから請求するための書類です。患者さんがまだ支払っていない場合に、7号だけで無料扱いにするのは通常の考え方とは異なります。
Q5. 薬局が7号様式を労基署へ提出するのですか?
通常、7号は患者さんが費用請求するための書類で、提出先は所轄労働基準監督署長です。東京労働局の案内でも、5号は病院や薬局等を経て提出、7号は所轄労働基準監督署長へ提出する整理になっています。【2】
Q6. 労災として認められるか、薬局で判断してよいですか?
薬局で労災認定の可否を断定するのは避けましょう。薬局が行うのは、処方箋に基づいて調剤した事実や費用額など、薬局で確認できる内容の証明です。支給可否の最終判断は労働基準監督署の領域です。
Q7. 領収証をなくした患者さんでも7号対応できますか?
薬局側で調剤録やレセコン記録、会計記録などから支払い事実や費用額を確認できるかが重要です。薬局内のルールに沿って確認し、必要に応じて領収証再発行ではなく支払証明書等の対応可否を検討します。運用は薬局・法人ごとに異なるため、管理者へ確認しましょう。
Q8. 会社が「薬局で7号を書いてもらえば無料になる」と説明していました。どうすればよいですか?
患者さんには、7号は「いったん支払った費用をあとから請求する書類」であることを丁寧に説明しましょう。無料扱いを希望する場合は、会社または労基署に様式第5号または第16号の3の確認を依頼してもらうのが安全です。
Q9. 公務災害でも同じ対応ですか?
公務災害は、民間企業等の労災保険とは制度や様式が異なる場合があります。公務災害の薬局対応については、別記事で整理しています。
参考文献
- 厚生労働省「主要様式ダウンロードコーナー(労災保険給付関係主要様式)」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/rousaihoken.html 最終確認日:2026年7月11日
- 東京労働局「保険給付の手続き」 https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/rousai_hoken/tetuduki.html 最終確認日:2026年7月11日
- 厚生労働省「療養補償給付及び複数事業労働者療養給付たる療養の費用請求書(薬局) 様式第7号(2)」 https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/rousaihoken06/dl/04.pdf 最終確認日:2026年7月11日
- 厚生労働省「療養(補償)等給付の請求手続」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/gyousei/rousai/040325-14.html 最終確認日:2026年7月11日
- 東京労働局「労災保険とは」 https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/rousai_hoken/rousai.html 最終確認日:2026年7月11日
- 厚生労働省「労働災害が発生したとき」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/rousai/index.html 最終確認日:2026年7月11日


コメント