「テリボンとフォルテオ、どちらもテリパラチドだけど何が違う?」
「週1回・週2回・毎日注射はどう使い分ける?」「自己注射できる?」「悪心や血圧低下は?」「24か月終わったらどうする?」
テリボンとフォルテオは、どちらも骨形成促進作用をもつ副甲状腺ホルモン(PTH)製剤です。
ただし、製剤、投与頻度、自己注射の可否、投与直後の注意、使い方には大きな違いがあります。
この記事の結論
- テリボン=テリパラチド酢酸塩、フォルテオ=テリパラチド(遺伝子組換え)
- どちらも骨折危険性の高い骨粗鬆症に使用
- テリボン56.5μg:週1回皮下注
- テリボン28.2μgオートインジェクター:週2回皮下注
- フォルテオ:20μgを1日1回皮下注
- いずれも総投与期間は24か月まで
- テリボン28.2μgとフォルテオは自己注射が可能
- テリボン56.5μgでは投与後30分程度の観察が重要
- 両剤とも一過性血圧低下・悪心・高Ca血症に注意
- 高Ca血症、骨肉腫リスクが高い患者、妊婦などは禁忌
- 治療終了後は、得られた骨量を維持するため骨吸収抑制薬への移行を考える



※図は比較ポイントを簡略化したものです。実際の薬剤選択・投与間隔・自己注射・治療期間は骨折リスク、Ca値、腎機能、既往歴、過去のPTH/PTHrP製剤使用歴などを踏まえて判断し、最新の電子添文・ガイドラインを優先してください。
- テリボンとフォルテオの違いを比較
- 作用機序|どちらも間欠的PTH作用で骨形成を促進
- 適応|どちらも「骨折危険性の高い骨粗鬆症」
- テリボン56.5μg|週1回投与
- テリボン28.2μg|週2回オートインジェクター
- フォルテオ|20μgを毎日自己注射
- 投与頻度|週1回・週2回・毎日の違い
- 血圧低下・めまい|テリボンで特に実務上重要
- フォルテオでも立ちくらみに注意
- 高カルシウム血症|両剤で共通の重要ポイント
- Ca製剤・活性型ビタミンDとの併用
- ジゴキシン|高Ca血症で作用増強に注意
- 尿路結石|既往がある患者は慎重に
- 腎機能|禁忌ではないが重度腎障害は慎重
- 骨肉腫リスク|PTH製剤に共通する重要な禁忌
- 妊娠|両剤とも使用しない
- 24か月上限|製剤を変えてリセットできるわけではない
- 治療終了後|骨吸収抑制薬へつなぐ
- 処方意図|テリボンからフォルテオへ変更されたら?
- フォルテオからテリボンへ変更されたら?
- 薬剤師が確認したいチェックリスト
- 疑義照会・確認を考えたい症例
- 服薬指導・自己注射指導の例
- よくある質問
- まとめ|同じテリパラチドでも「投与頻度・自己注射・管理方法」が違う
- 参考文献・一次情報
テリボンとフォルテオの違いを比較
| 項目 | テリボン | フォルテオ |
|---|---|---|
| 一般名 | テリパラチド酢酸塩 | テリパラチド(遺伝子組換え) |
| 分類 | PTH製剤 | PTH製剤 |
| 適応 | 骨折危険性の高い骨粗鬆症 | 骨折危険性の高い骨粗鬆症 |
| 投与法 | 56.5μg週1回 または28.2μg週2回 |
20μg 1日1回 |
| 自己注射 | 28.2μgオートインジェクターは可 | 可 |
| 総投与期間 | 24か月まで | 24か月まで |
| 主な注意 | 投与直後の血圧低下、悪心など | 血圧低下、高Ca血症、悪心など |
| 投与後の治療 | 骨吸収抑制薬などへ移行を検討 | 骨吸収抑制薬などへ移行を検討 |
作用機序|どちらも間欠的PTH作用で骨形成を促進
テリパラチドはPTHの活性部分である1-34領域に相当し、PTH1受容体を介して骨芽細胞系へ作用します。
PTHは持続的に高い状態では骨吸収促進に傾きますが、間欠的に投与すると骨形成促進作用が優位になります。
そのため、テリボン・フォルテオはいずれも骨形成促進薬として位置づけられます。
適応|どちらも「骨折危険性の高い骨粗鬆症」
両剤とも、単に骨密度が低いだけではなく、骨折リスクが高い骨粗鬆症患者が対象です。
高リスクを考える背景
- 既存椎体骨折がある
- 多発骨折がある
- 骨密度が著しく低い
- 高齢
- ステロイド使用など骨折リスク因子が多い
「注射だから内服より強い」というより、高骨折リスク患者で骨形成促進が必要な治療フェーズに用いる薬です。
テリボン56.5μg|週1回投与
テリボン皮下注用56.5μgは、通常成人に56.5μgを1週間に1回皮下注します。
投与は24か月(104週)までです。
医療機関で投与されることが多く、自己注射用製剤ではありません。
テリボン28.2μg|週2回オートインジェクター
テリボン皮下注28.2μgオートインジェクターは、通常28.2μgを1日1回、週2回投与します。
原則として3日または4日の間隔をあけます。
総投与回数は208回、総投与期間は24か月までです。
医師・薬剤師・看護師から使用方法の指導を受けたうえで、患者本人が自己注射できます。
実務ポイント:テリボンには「週1回56.5μg」と「週2回28.2μg」があります。同じ商品名でも用法が異なるため、製剤名まで確認します。
フォルテオ|20μgを毎日自己注射
フォルテオは、通常成人にテリパラチド20μgを1日1回皮下注します。
総投与期間は24か月までです。
ペン型注入器を用いて患者本人が自己注射します。
毎日投与のため、注射操作を習慣化できるか、手指機能、認知機能、家族支援の有無まで確認する必要があります。
投与頻度|週1回・週2回・毎日の違い
| 製剤 | 投与頻度 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| テリボン56.5μg | 週1回 | 医療機関管理しやすい |
| テリボン28.2μg | 週2回 | 自己注射可能、毎日より負担が少ない |
| フォルテオ20μg | 毎日 | 自己注射、投与習慣が必要 |
注射回数の少なさだけで選ぶのではなく、通院頻度、自己注射能力、副作用歴、生活リズムを考えます。
血圧低下・めまい|テリボンで特に実務上重要
テリボンでは投与直後から数時間後に、一過性の急激な血圧低下、意識消失、けいれん、転倒が起こることがあります。
56.5μg製剤では、投与後30分程度は患者の状態を観察することが推奨されています。
確認したい症状
- めまい
- 立ちくらみ
- 動悸
- 気分不良
- 悪心
- 冷汗
- 顔面蒼白
症状が出た場合は、治まるまで座るか横になるよう指導します。
フォルテオでも立ちくらみに注意
フォルテオでも一過性の血圧低下や立ちくらみがみられることがあります。
特に初回自己注射時は、注射後すぐ立ち歩かず、体調変化を確認できる環境で使用するよう説明します。
高カルシウム血症|両剤で共通の重要ポイント
テリパラチドは投与後4〜6時間をピークに、一過性の血清Ca上昇を起こすことがあります。
両剤とも高カルシウム血症患者は禁忌です。
持続性高Caを疑う症状
- 悪心・嘔吐
- 便秘
- 腹痛
- 嗜眠
- 筋力低下
- 口渇・多尿
血清Caを評価するときは、投与直後の一過性上昇を考慮して採血時刻にも注意します。
Ca製剤・活性型ビタミンDとの併用
カルシウム製剤や活性型ビタミンDを併用していると、血清Ca上昇リスクが高まります。
ただし骨粗鬆症患者ではCa・ビタミンD補充が必要なことも多いため、併用自体を避けるのではなく、Ca値と摂取量を確認します。
ジゴキシン|高Ca血症で作用増強に注意
テリパラチドによる高Ca血症が起きると、ジギタリス製剤の作用が増強される可能性があります。
ジゴキシン使用患者では、Ca値、不整脈、脈拍変化をより慎重に確認します。
尿路結石|既往がある患者は慎重に
テリパラチドは尿中Ca排泄を増加させることがあります。
尿路結石がある、または既往がある患者では、症状や尿中Caなどを確認しながら慎重に使用します。
腎機能|禁忌ではないが重度腎障害は慎重
腎機能障害患者では薬物動態やCa代謝が変化する可能性があります。
重度腎障害では特に慎重に使用し、Cr/eGFR、Ca、P、必要に応じPTHなどを確認します。
骨肉腫リスク|PTH製剤に共通する重要な禁忌
動物試験で骨肉腫がみられたことから、骨肉腫発生リスクが高いと考えられる患者には使用しません。
代表的な禁忌
- 骨ページェット病
- 原因不明のALP高値
- 骨端線が閉じていない若年者
- 骨への影響が考えられる放射線治療歴
- 原発性悪性骨腫瘍・骨転移
- 骨粗鬆症以外の代謝性骨疾患
妊娠|両剤とも使用しない
妊婦または妊娠している可能性のある女性は禁忌です。
妊娠可能性がある患者では、治療開始前に妊娠の可能性を確認します。
24か月上限|製剤を変えてリセットできるわけではない
テリボン、フォルテオとも総投与期間に上限があります。
重要なのは、別のテリパラチド製剤へ変更したから24か月がゼロから再スタートになるわけではない点です。
過去のPTH/PTHrP製剤使用歴を必ず確認します。
処方監査ポイント:「以前フォルテオを1年使用→今回テリボン開始」のような患者では、過去の治療歴を必ず確認します。
治療終了後|骨吸収抑制薬へつなぐ
PTH製剤で増やした骨量は、その後何もしなければ徐々に失われる可能性があります。
そのため24か月終了後は、ビスホスホネート、デノスマブなどの骨吸収抑制薬へ移行して骨量を維持する治療設計が重要です。
処方意図|テリボンからフォルテオへ変更されたら?
単純な「効かなかった」だけではありません。
- 通院注射から自己注射へ切り替えたい
- 毎日投与で治療を組み直したい
- 副作用や投与直後症状を考慮した
- 生活リズムや通院負担を考慮した
フォルテオからテリボンへ変更されたら?
- 毎日自己注射の負担が大きい
- 週1回・週2回投与の方が継続しやすい
- 自己注射手技や認知・視力・手指機能に問題がある
- 医療機関で管理した方が安全
ただし、切替時は総投与期間の扱いを必ず確認します。
薬剤師が確認したいチェックリスト
- □ 過去のテリパラチド・アバロパラチド使用歴はあるか
- □ 総投与期間24か月を超えないか
- □ 高Ca血症がないか
- □ 骨ページェット病・骨腫瘍・骨転移・放射線治療歴はないか
- □ Cr/eGFRはどうか
- □ 尿路結石歴がないか
- □ ジゴキシンを使用していないか
- □ Ca・活性型ビタミンD製剤を併用していないか
- □ 投与後のめまい・血圧低下・悪心がないか
- □ 自己注射手技を理解できているか
- □ 注射忘れが頻発していないか
- □ 治療終了後の次薬が決まっているか
疑義照会・確認を考えたい症例
ケース1:過去にフォルテオ24か月使用済み、テリボン新規
テリパラチド製剤の総投与期間上限を超える可能性があります。過去の投与歴を確認し、処方医へ照会します。
ケース2:Ca 11.5mg/dLでフォルテオ
高Ca血症は禁忌です。投与前に原因評価と治療計画の確認が必要です。
ケース3:テリボン56.5μg投与後に強いめまい・冷汗
一過性血圧低下の可能性があります。座位・臥位で安静にし、バイタル確認につなげます。
ケース4:テリボン28.2μgを連日自己注射している
用法は週2回、原則3〜4日間隔です。誤使用の可能性があり、直ちに使用状況を確認します。
ケース5:24か月終了後に次薬なし
骨量維持のため後治療が重要です。次の骨粗鬆症治療計画を確認します。
服薬指導・自己注射指導の例
テリボン28.2μg
「この薬は週2回、原則3〜4日間隔で自己注射します。毎日使う薬ではありません。注射後にめまいや気分不良が出たら、無理に立たず座るか横になってください。」
フォルテオ
「1日1回、毎日自己注射する薬です。最大24か月までの治療です。注射後に立ちくらみや悪心が出た場合は、落ち着くまで座るか横になってください。」
よくある質問
Q1.テリボンとフォルテオはどちらが強い?
単純な強弱では比較できません。投与頻度・製剤特性・患者の自己注射能力・副作用・治療歴で使い分けます。
Q2.テリボンは毎日使う?
いいえ。56.5μgは週1回、28.2μgオートインジェクターは週2回です。
Q3.フォルテオは毎日?
はい。20μgを1日1回自己注射します。
Q4.24か月終わったらもう治療しなくていい?
いいえ。PTH製剤終了後は、骨量維持のため骨吸収抑制薬などの後治療を検討します。
Q5.テリボンとフォルテオを連続して24か月ずつ使える?
原則として単純に24か月ずつ追加できるわけではありません。過去のテリパラチド・PTH/PTHrP製剤使用歴を必ず確認します。

※図は実務上の要点を整理したものです。単純な強弱ではなく、投与頻度・自己注射の可否・副作用・24か月上限・終了後の後治療まで含めて使い分けます。
まとめ|同じテリパラチドでも「投与頻度・自己注射・管理方法」が違う
- テリボンとフォルテオはいずれも骨形成促進型のPTH製剤
- テリボン56.5μgは週1回
- テリボン28.2μgは週2回
- フォルテオ20μgは毎日
- いずれも総投与期間は24か月まで
- テリボン28.2μgとフォルテオは自己注射可能
- 一過性血圧低下・悪心・高Ca血症に注意
- 骨肉腫リスクが高い患者、高Ca血症、妊婦などは禁忌
- 過去のPTH/PTHrP製剤使用歴を必ず確認
- 治療終了後は骨吸収抑制薬などの後治療へつなぐ
参考文献・一次情報
- PMDA:テリボン皮下注用56.5μg(2026年4月改訂)
- PMDA:テリボン皮下注28.2μgオートインジェクター(2026年4月改訂)
- PMDA:フォルテオ皮下注キット600μg(2025年11月改訂)
- 関連記事:プラリアとイベニティの違い
※本記事は2026年10月時点のPMDA電子添文等をもとに作成しています。実際の薬剤選択・投与間隔・自己注射・治療終了後の後治療は、骨折リスク、腎機能、Ca値、治療歴、生活背景などにより異なります。最新の電子添文・ガイドラインと主治医の指示を確認してください。


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