皆様こんにちは
薬局薬剤師のゆずまるです。
同種同効薬のことを少しずつ書いていこうと思います。
昨今、ジェネリック医薬品の出荷調整が多い中、特に影響の大きかったもののひとつにエディロールがありましたよね。
まだ記憶に新しいことと思います。
エディロールの出荷調整で大ピンチの薬局もあったと思います。
今回も前作に引き続き骨シリーズの薬の記事を書いてみました。参考にしていただけたら幸いです。
骨治療薬シリーズ第ニ段ビタミンD編
記事作成に参考にした文献はこちら
カルシウムについて書いた前作はこちら
ビタミンDって何?
ビタミンDは腸管からのカルシウム吸収を助けてくれ、骨を丈夫にするのを助けてくれる脂溶性のビタミンです。
食べ物から摂取するほかに、日光を浴びることでカラダの中からつくり出すことができます。
脂溶性ビタミンと水溶性ビタミン
ビタミンには水に溶けやすい水溶性ビタミンと、油に溶けやすい脂溶性ビタミンに分けられます。
水溶性ビタミンは血液などの体液に溶け込んでいるため、過剰分は尿として排出されます。
一方、脂溶性ビタミンは水ではなく脂に溶けやすい性質があります。
そのため主に脂肪組織や肝臓に貯蔵されやすいのが特徴で体の中から抜けにくいのが特徴です。
水溶性ビタミン | ビタミンB群(B1、B2、B6、B12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン)、ビタミンC |
脂溶性ビタミン | ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK |
ビタミンDは脂溶性ビタミンであるため、過剰摂取するとカラダから排泄することができず、体に蓄積してしまうこともあるため注意が必要です。
ビタミンDの種類
ビタミンDにはD2からD7の6種類ありますが、一般的には高い生理活性を示すビタミンD2(エルゴカルシフェロール)とビタミンD3(コレカルシフェロール)の2つが大切であると言われています。
ビタミンD2(エルゴカルシフェロール)
ビタミンD2であるエルゴカルシフェロールは植物や酵母が作るエルゴステロールから作られます。
このエルゴステロールはキノコ類に多く含まれているため、ビタミンD2はキノコ類に多く含まれていると言われています。
乾燥シイタケ
キノコ類の中でも乾燥シイタケは、ビタミンD2をたくさん含む食材として知られています。
シイタケなど、きのこ類の多くはエルゴステロールという物質が含まれています。
このエルゴステロールに紫外線や太陽の光があたるこビタミンD2に変わります。
その為購入したきのこはすぐに食べずに1~2時間程度日光浴させるのがおすすめ。
なんでもひっくり返して傘の裏側を表面にした方がビタミンD2をよく作ってくれるそう。
ビタミンD2は比較的安定性が高いため、乾燥シイタケは冷蔵庫内で長時間保存しても、半年後でもビタミンD2含量はほぼ同じであると言われています。
紫外線照射による各種キノコ中のビタミン D2含量に関する研究桐渕壽子日本家政学会誌 Vol. 41 No. 54 01~406 (1990)
ビタミンD3(コレカルシフェロール)
ビタミンD3であるコレカルシフェロールはビタミンD群の中でも最も活性が高いものと言われています。
卵黄や魚類、魚の肝油やレバーなどに多く含まれています。
体内ではコレステロール生合成の最終中間体である7-デヒドロコレステロールからも作られると言われています
紫外線を浴びると出来る?ビタミンDの体での作られ方
ビタミンDを体に取り入れる方法は2つあります。食品から摂取することと日光を浴びることです。
ビタミンDは皮膚にある7-デヒドロコレステロールが紫外線に当たることによって作られます。
ヒトを含む哺乳動物の皮膚には、7─デヒドロコレステロール(プロビタミンD3やプロカルシフェロールとも言う)がコレステロール生合成過程の中間体として存在します。
日光の紫外線を浴びることでプレビタミンD3(プレカルシフェロール)となり、体温による熱異性化によりビタミン D3(カルシフェロール)が生成します。
その後、ビタミンD3は、肝臓で水酸化され、さらに腎臓でも水酸化されることで1,25-ジヒドロキシビタミンD(活性型ビタミンD)となります。
1,25-ジヒドロキシビタミンD(活性型ビタミンD)は、腸、骨、腎臓、副甲状腺の細胞でビタミンD受容体に結合し、血中のカルシウムとリン酸濃度を調整し骨密度の維持を司っています。
ビタミンD2とD3効果に違いはある?
ビタミンD2 とビタミンD3 は、側鎖構造のみが異なる同族体であり、両者の分子量はほぼ等しく、体内で同様に代謝されます。
ビタミンD3の方がビタミンD2より効力が大きいという報告もよく見かけますが、現時点では両者の換算は困難のよう。
ビタミンDの食事摂取基準でも、両者を区別せず、単にビタミンDとして両者の合計量で算定している
とりあえず分けて考える必要はなさそうだ。
紫外線の種類
太陽の光には目で見ることができる光(可視光線)の他に目で見ることができない赤外線や紫外線が含まれています。
紫外線は地表に届く光の中で最も波長の短いもので、波長の違いによって「UVA」=紫外線A波、「UVB」=紫外線B波、「UVC」=紫外線C波、の3種類に分類されます。
「UVC」はオゾン層によって吸収されて、地上には到達しません。
ビタミンD3を作る紫外線はUVBと呼ばれる光が作ってくれます。
280~320nm(ナノメートル)の波長の光をUVBとしています。
UVBは服やガラスを通れないため、屋内で過ごすことの多い高齢者、外出するときに必ず日焼け止めを塗る人はビタミンD不足になってしまう可能性があるため注意が必要です。
過度に日光を恐れずにビタミンD3をつくることのバランスを考えながら生活することが大切です。
ビタミンD摂取基準
日本人の食事摂取基準(2020年版)では1日の摂取の目安量が、18歳以上の男女ともに8.5㎍、耐用上限量が100㎍と設定されています。
下記に参考に食事摂取基準(2020年版)を載せます。
※耐容上限量…その量を超えて摂取すると過剰摂取による潜在的な健康障害のリスクが高まると考えられる量のことです。
ビタミンDが多い?少ない?治療の上で基本的な考え方
ビタミンDが不足すると、小腸や腎臓でのカルシウム吸収量が減少し、体内でのカルシウム利用能が低下します。
その結果、小児ではくる病、成人では骨軟化症の発症リスクが高まるといわれています。
高齢者においては、ビタミンD不足の状態が長期にわたって続くと、血中副甲状腺ホルモン濃度が上昇し、骨密度が低下します。
したがって
- 正常なカルシウム利用能が保持されていること。
- 副甲状腺ホルモン濃度が上昇しないこと。
これらを踏まえた上で活性型ビタミンDの血中濃度を維持していくことが骨折や骨粗鬆症などの予防の観点から重要と考えられています。
ビタミンDが増えすぎると
ビタミンDは消化管でのカルシウム吸収を増加させる働きがあります。
そのため、ビタミンDが増えすぎるとは高カルシウム血症をもたらします。
代表的な高カルシウム血しょうの症状は下記のとおり。
- 吐き気、嘔吐、食欲不振
- 筋力低下
- 神経精神障害
- 脱水、多尿、過度の喉の渇き
- 腎臓結石、腎不全
- 不整脈
骨粗鬆症治療薬~ビタミンD~
骨粗鬆症の治療薬のビタミンD製剤。たくさんあるけど何がどう違うの?
ここから治療薬についてご紹介。
アルファカルシドール
アルファカルシドール(1 α-ヒドロキシビタミンD3)は国内で初めて発売された活性型ビタミンD3製剤です。
アルファカルシドール(1 α-ヒドロキシビタミンD3)はカルシトリオールのプロドラッグで肝臓で25位が水酸化されカルシトリオールに変換される。
腎臓での 1 α水酸化による活性化を受けないでビタミン D 受容体と結合し作用を発揮する。
代表的な製品はアルファロール、ワンアルファ
アルファカルシドールの有効性の評価
ガイドライン上の評価は以下の通り
- 骨密度B
- 椎体骨折B
- 非椎体骨折B
- 大腿骨近位部骨折C
カルシトリオール
カルシトリオール(1 α, 25- ジヒドロキシビタミン D3)はビタミン D3 の最終活性化物です。
カルシトリオールは既に肝臓や腎臓での代謝まで済ませてある活性型ビタミンD3そのものの構造となります。
活性型ビタミンD3をそのままの形で取りいれる製剤のため肝臓や腎臓での活性化が不要なことが特徴。
肝臓や腎臓を介することなく体内へ補給することが出来ます。
代表的な製品名はロカルトロール。
ロカルトトールの有効性の評価
ガイドライン上の評価は以下の通り
- 骨密度B
- 椎体骨折B
- 非椎体骨折B
- 大腿骨近位部骨折C
エルデカルシトール
エルデカルシトール [2 β -(3hydroxypropyloxy)-calcitriol] は活性型ビタミンD3製剤でカルシトリオールの誘導体である。
活性型ビタミンD3のカルシウム代謝改善および骨代謝改善作用に着目し、より強力な骨量増加作用を持たせることを目的として合成されたと言われています。
Ca代謝改善効果に加えBPに匹敵する骨代謝改善効果を持つことが特徴
代表的な製剤はエディロール。
エディロールの比較試験
様々な比較試験のデータがガイドラインに載っていたため転記。
幅広い年齢層と重症度で臨床試験が実施されており、骨密度、骨折抑制効果、QOLに対する効果、転倒抑制効果など、様々な分野でアルファカルシトールを上回る成績が得られている。
エディロールの有効性
ガイドライン上の評価は以下の通り
- 骨密度A
- 椎体骨折A
- 非椎体骨折B
- 大腿骨近位部骨折C
骨粗鬆症患者全般に応用可能であり高カルシウム血症に注意し臨床検査を適宜実施しつつ投与が望ましい。
薬局やドラッグストアで購入できるビタミンD含有商品を一部紹介
医療用のビタミンD製剤が出荷調整で入荷の目処がたたないとき本当に困った状態が続きました。
調べてみると市販でもビタミンDが含有されている商品はは意外と多い。
市販のサプリメントはエビデンスを謳うことは出来ないが用法用量を正しく守った上での服用は可能です。
お店で手軽に購入できる商品も紹介致します。
カワイ肝油ドロップS
カワイ肝油ドロップSは、肝油の主成分として知られるビタミンA・Dが配合されております。
水なしでかんで服用できるバナナ風味のゼリー状ドロップ剤ですので、どなたにでも服用しやすくなっております。
商品詳細 | カワイ肝油ドロップS |
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効能・効果 | ●次の症状の緩和:目の乾燥感。骨歯の発育不良、夜盲症(とり目)、くる病の予防。 ●次の場合のビタミンADの補給:妊娠・授乳期、病中病後の体力低下時、発育期、老年期。 |
用法・用量 | 成人(15歳以上):1日1回2粒 1歳以上15歳未満:1日1回1粒 ※噛んで服用してください。 |
成分・分量 | (2粒中) ビタミンA:4,000国際単位 ビタミンD:400国際単位 |
商品構成 | 300粒 |
新カルシチュウD3
カルシチュウは牛乳500mlパック1本分以上のカルシウム(約600mg)が1日2錠で効率よく補給できます。
カルシウムの吸収を促進するビタミンD3と、骨の正常な代謝を維持するマグネシウムを配合。
構成成分は医療用のデノタスチュアブルと一緒。
ビタミンDだけでなくカルシウムやマグネシウムを効率良く補給したい人におすすめです。
第2類医薬品
商品詳細 | 新カルシチュウD3 |
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効能・効果 | 中高年期・妊娠授乳期・発育期のカルシウムの補給 |
用法・用量 | 成人(15歳以上)・・・1回量:2錠/1日服用回数:1回 7歳以上15歳未満・・・1回量:1錠/1日服用回数:1回 7歳未満・・・服用しないで下さい。 ※噛んで服用してください。 |
成分・分量 | 2錠(1日最大服用量)中 沈降炭酸カルシウム 1525mg (カルシウムとして 610mg) 炭酸マグネシウム 118.4mg (マグネシウムとして 30mg) コレカルシフェロール(ビタミンD3) 400IU |
商品構成 | 100錠 |
サプリメント
サプリメントは医薬品のように効能効果は謳えないが手頃な価格帯で必要な栄養素を補うことができます。
サプリメントも一部紹介いたします。
良いサプリメントの選び方
サプリメントはいろいろな種類があるので「何を選んだらいいのかわからない」という人は多いかと思います。
数あるサプリメントの中から、安心して選べるサプリメントの選び方についても合わせて紹介!
GMP規格を遵守して製造されているか?GMP認定マークがついてるか?を見ることはサプリメントを選ぶ際の大切なポイントです。
GMPってなに?
GMPとは Good Manufacturing Practice の略で「適正製造規範」といいます。
GMPは原料の受入れから最終製品の出荷に至るまでの全工程において、「適正な製造管理と品質管理」を求めています。
原材料の受け入れ・製造・出荷までのすべての工程について製品が安全につくられ、一定の品質が保たれるように必要な要件をまとめた工場の管理基準のこと。
GMPの認定を行っているのは「公益財団法人日本健康・栄養食品協会」と「一般社団法人日本健康食品規格協会」の2つです。
このいずれかの機関が、厚生労働省の「健康食品GMPガイドライン」に基づいて、申請のあった健康食品製造会社の工場ごとに審査・査察を行い認定を行っています。
どこで見分ける?GMPに準拠してるサプリメント
医薬品は、GMPに則って製造することが義務づけられていますが、食品に分類されるサプリメントに関してはGMPを守ることは義務ではありません。
そのためGMP基準に乗っ取った印である「GMP製品マーク」があるかないのかで、優れた品質の製品として判断するひとつの目安となっています。
GMPに準拠しているからといって、全ての製品に必ずしもGMPマークがついている訳ではないみたいです。
GMP認証を受けた企業はこちらからも確認できます。
「ビタミンD1000 乳化型」FANCL
FANCLのサプリメントは品質、製法ともにオススメ!
特に製法にはこだわりを感じる製品が多い。個々の成分の持続性や吸収性など考えて作られているなぁと感じる。
もちろんGMPには準拠して作られています。
製品特長
- ビタミンD有効量30 ㎍(1,200IU)を1粒に配合
- 食事や紫外線(日光)による体内合成だけでは必要量を補うのが困難な1 日に必要なビタミンD30 ㎍(1,200IU)を 1 粒で補給。
- ジェル化コーティング
- 通常、ビタミンDは胆汁酸で乳化されてから体内に吸収されるのに対し同製品はあらかじめ乳化することで、体内への吸収力を高めています。
- ジェル化コーティングを行うことで、乳化型ビタミンDを腸まで効率よく届けます。
- 飲みやすさも追求!こだわりのコーティング&小粒タイプ
- 丸型タブレットの小粒タイプに加え、水分を含むと表面がジェル状になるコーティングを採用し、のどに通りやすく、飲みやすさを追求しています。
DHC社「ビタミンD 」
サプリメントの人気メーカー・DHCからもビタミンD製品は発売されています。
DHCサプリメントは日本最大級の品揃えに加え、高品質・高い安全性・低価格を目指して販売しているサプリメント。
DHCはGMP基準に準拠した国内工場のみで製造する徹底的ぶりでとにかく安全性を追求しています。
DHCのサプリメントは数々の容量の製品が多いのが特徴的。
ベーシックな30日シリーズや手軽に試せる15日・20日シリーズ。お得な60日・90日シリーズなどをラインアップしています。
アイテム数も多く低価格で購入出来るのは嬉しいですよね。
製品の特徴
- 活性が高いとされるビタミンD3を含有
- 1粒あたりにビタミンDが25μgが配合
- 30日、60日、90日分と数多くのラインナップ
- 低価格、高品質
最後に
ビタミンD製剤は脂溶性ビタミン剤で体に蓄積しやすいのが特徴です。
そのため服用は自身の判断で行わずに必ずかかりつけの医師、薬剤師へ相談した上で購入していきましょう。
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他にもたくさん記事を書いていく予定ですのでよろしければご覧いただけてたら幸いです★
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