処方箋単価の改善方法|薬局の収益を正しく上げる具体策を初心者向けに解説【2026年】

薬局実務・調剤

※本記事は、2026年8月6日時点の調剤報酬制度をもとに作成しています。実際に算定する際は、最新の告示・通知・疑義解釈、地方厚生局の案内、自社の算定ルールを必ず確認してください。

この記事の結論

処方箋単価を改善するために、薬価の高い薬や処方日数の長い処方箋を集める必要はありません。

薬局が取り組むべきなのは、次の5つです。

  1. 現在の処方箋単価を正しく把握する
  2. 調剤報酬の算定漏れをなくす
  3. 施設基準と届出を定期的に確認する
  4. 服薬指導・残薬調整・服薬フォローの質を高める
  5. かかりつけ、在宅、地域連携を少しずつ育てる

患者さんに必要な薬学的サービスを提供し、その仕事を正しく記録・算定することが、最も安全で再現性の高い改善方法です。

後輩薬剤師なぎさ
後輩薬剤師なぎさ

店長から「処方箋単価を上げて」と言われました。でも、薬剤師が処方内容を自由に変えることはできませんよね?

ゆずまる
ゆずまる

その通りだよ。処方箋単価の改善は、薬価の高い薬を増やすことではありません。薬剤師が行った仕事を整理し、算定漏れを防ぎ、患者さんへの支援を充実させることが基本です。

重要な注意

単価を上げることだけを目的に、必要性のない加算を算定したり、事実と異なる薬歴を作成したり、患者さんを誘導したりしてはいけません。

「実際に行った薬学的管理を、要件に沿って正しく評価してもらう」ことが大前提です。

 

 

  1. 処方箋単価とは何ですか?
  2. 処方箋単価を改善するメリットは何ですか?
  3. 最初に現在の処方箋単価を把握する
    1. 最低限確認したい7つの数字
    2. 総単価より技術料単価を重視する
  4. 処方箋単価を改善する具体的な方法10選
    1. 1.レセコンの算定漏れを毎日確認する
    2. 2.施設基準と届出状況を一覧化する
    3. 3.2026年度の調剤基本料を確認する
    4. 4.地域支援・医薬品供給対応体制加算を確認する
    5. 5.残薬を聞き取り、必要な処方調整につなげる
    6. 6.重複投薬・相互作用・副作用リスクを確認する
    7. 7.服薬指導を「説明」から「問題解決」に変える
    8. 8.吸入薬やハイリスク薬の指導を標準化する
    9. 9.かかりつけ薬剤師と服薬フォローを育てる
    10. 10.在宅医療と地域連携を少しずつ始める
  5. 長期処方が多い薬局で確認したいポイント
  6. 処方箋単価を改善するときのKPI
  7. 一人薬剤師の店舗では何から始める?
  8. 30日で始める処方箋単価改善プラン
    1. 1週目:数字と届出を確認する
    2. 2週目:算定漏れの原因を探す
    3. 3週目:服薬指導を改善する
    4. 4週目:結果を確認する
  9. 処方箋単価を上げるためにしてはいけないこと
    1. 必要のない加算を算定する
    2. 薬歴を後から都合よく書き換える
    3. 高額薬や長期処方を誘導する
    4. 患者さんを特典で誘引する
    5. 処方箋を選んで受け付ける
  10. 処方箋単価の改善に関するよくある質問
    1. 処方箋単価はいくらなら高いですか?
    2. ジェネリック医薬品を増やせば単価は上がりますか?
    3. かかりつけ患者を増やせば単価は上がりますか?
    4. 在宅を始めれば必ず収益が増えますか?
    5. 算定できそうなら、とりあえず請求してもよいですか?
  11. まとめ|処方箋単価は患者さんへの支援を積み重ねて改善する
  12. 参考資料

処方箋単価とは何ですか?

処方箋単価とは、薬局が受け付けた処方箋1枚当たりの平均金額です。

処方箋単価=調剤報酬の合計金額÷処方箋受付回数

例えば、1か月の調剤報酬が405万円、処方箋受付回数が450回だった場合、処方箋単価は9,000円です。

ただし、処方箋単価の中には、大きく分けて次のものが含まれています。

区分 主な内容 薬局での改善可能性
薬剤料 処方された医薬品の価格 薬局側では原則としてコントロールできない
調剤基本料 薬局の規模、集中率、体制などの評価 薬局の区分や運営体制によって変わる
薬剤調製料 内服薬、外用薬、一包化などの調製に対する評価 正しい算定確認が必要
調剤管理料 処方内容や薬歴などを確認する業務の評価 処方日数や薬剤数に応じて正しく算定する
薬学管理料 服薬指導、残薬調整、情報提供、在宅などの評価 薬剤師の取り組みによって改善しやすい
各種加算 施設基準、特別な指導、地域連携などの評価 届出・実績・記録の整備が重要

処方箋単価が高い薬局であっても、高額な医薬品の処方が多いだけという場合があります。

反対に、総単価は低くても、薬剤師の服薬支援や在宅業務が適切に評価され、技術料の割合が高い薬局もあります。

そのため、薬局経営を改善するときは、総額の処方箋単価だけでなく、次の数字を分けて確認することが大切です。

  • 薬剤料を含む総処方箋単価
  • 薬剤料を除いた技術料単価
  • 処方箋100枚当たりの加算算定件数
  • 薬学管理料の平均点数
  • 算定できなかった理由の件数

処方箋単価を改善するメリットは何ですか?

処方箋単価を改善すると、同じ処方箋枚数でも薬局の収益を改善できます。

例えば、月450枚の薬局で、1枚当たりの技術料を平均100円改善できた場合、単純計算では月4万5,000円、年間では54万円の差になります。

1枚当たり300円改善できれば、月13万5,000円、年間162万円です。

もちろん、すべての処方箋で同じ加算を算定できるわけではありません。しかし、小さな算定漏れや届出漏れが複数重なると、年間では大きな差になることがあります。

また、単価改善のために服薬状況を詳しく確認するようになると、次のような効果も期待できます。

  • 重複投薬や相互作用を発見しやすくなる
  • 残薬や飲み忘れを把握しやすくなる
  • 副作用の早期発見につながる
  • 医師や訪問看護師への情報提供が増える
  • 患者さんから相談される薬局になりやすい
  • 在宅やかかりつけにつながる可能性が高まる

処方箋単価の改善は、患者さんへのサービスを減らして利益を出す方法ではありません。

患者さんに必要な支援を増やし、その仕事を適切に評価してもらう取り組みです。

最初に現在の処方箋単価を把握する

処方箋単価を改善する前に、現在地を確認しましょう。

単価だけを見て「高い」「低い」と判断すると、改善する場所を間違えてしまいます。

最低限確認したい7つの数字

  1. 月間処方箋受付回数
  2. 調剤報酬の総額
  3. 薬剤料を含む処方箋単価
  4. 技術料だけの処方箋単価
  5. 薬学管理料の平均点数
  6. 主要な加算の算定件数
  7. 返戻・査定・算定漏れの件数

可能であれば、次のように処方箋を分類して確認します。

  • 新患と再来患者
  • 処方元医療機関別
  • 診療科別
  • 処方日数別
  • 内服薬、外用薬、注射薬
  • 一般患者と在宅患者
  • 小児、高齢者、ポリファーマシー患者

整形外科の門前薬局と、内科・精神科・在宅を幅広く受け付ける薬局では、処方内容や算定できる項目が異なります。

他店の単価と単純に比較するのではなく、まずは自店の前月、前年同月、直近3か月平均と比較するのがおすすめです。

総単価より技術料単価を重視する

薬価の高い注射薬や抗がん剤、希少疾病用医薬品などが処方されると、薬剤料を含む処方箋単価は大きく上がります。

しかし、高額な医薬品は仕入金額も高いため、処方箋単価が高いからといって、そのまま利益が大きいとは限りません。

在庫金額が増え、廃棄リスクや資金繰りへの負担が増えることもあります。

管理薬剤師が日常的に追いかける数字としては、次のように分けると分かりやすくなります。

総処方箋単価
処方内容や薬価を含めた薬局全体の売上傾向を確認する数字

技術料単価
薬局の体制、服薬指導、薬学的管理がどの程度評価されているかを見る数字

加算算定率
必要な患者さんに必要な支援を実施できているかを見る数字

処方箋単価を改善する具体的な方法10選

1.レセコンの算定漏れを毎日確認する

最初に取り組みたいのは、新しい加算を無理に増やすことではありません。

本来算定できる項目が、正しく算定されているかを確認することです。

算定漏れが起こりやすい原因には、次のようなものがあります。

  • レセコンの初期設定が古い
  • マスターの設定が店舗ごとに異なる
  • 薬剤師によって算定判断が異なる
  • 必要なコメントや記録が不足している
  • 施設基準を届け出たのにレセコンへ反映されていない
  • 患者情報の登録が不足している
  • 算定できないと思い込み、確認せず外している

おすすめは、閉局前または翌朝に「算定確認リスト」を見る方法です。

毎日の算定確認リスト

  • 一包化や粉砕などの調製内容は反映されているか
  • 乳幼児、小児、ハイリスク薬などの対象患者はいないか
  • 残薬調整や処方変更を行った患者はいないか
  • 吸入指導や特別な説明を行った患者はいないか
  • 医療機関へ文書で情報提供した患者はいないか
  • 在宅患者の訪問日、算定間隔、報告書は適切か
  • 施設基準に基づく加算が反映されているか

ただし、レセコンに候補が表示されたからといって、必ず算定できるわけではありません。

実際に実施した内容、対象患者、算定間隔、文書交付、医療機関への情報提供、薬歴記載などを確認してください。

2.施設基準と届出状況を一覧化する

施設基準を満たしていても、必要な届出が完了していなければ算定できない項目があります。

また、過去に届出をしていても、診療報酬改定によって名称や要件、実績の判断期間が変わることがあります。

2026年度改定では、調剤基本料や地域の医薬品供給体制、在宅体制、電子的な情報連携など、薬局に関係する複数の項目が見直されています。[1]

施設基準は、次の項目を一覧表にして管理すると分かりやすくなります。

確認項目 記録する内容
施設基準名 正式名称と区分
届出日 厚生局へ提出した日
算定開始日 実際に算定できる日
必要な人員 薬剤師数、勤務時間、経験年数など
必要な設備 調剤室、相談設備、測定機器など
必要な実績 在宅、情報提供、残薬調整など
確認期間 毎月、年間、届出時など
次回確認日 再届出や更新確認をする日

厚生労働省は、2026年度改定に伴う薬局用の施設基準届出チェックリストを公開しています。チェックリストを提出するだけでは届出にならないため、該当する施設基準ごとに正式な届出が必要です。[2]

管理薬剤師が交代したときに、届出内容や実績管理が引き継がれていないケースもあります。

届出書の控え、受理通知、実績管理表、研修記録などは、一つのフォルダにまとめておきましょう。

管理薬剤師の引き継ぎノートの作り方はこちら

3.2026年度の調剤基本料を確認する

調剤基本料は、薬局の処方箋受付回数、処方箋集中率、同一グループの受付回数などによって区分が変わります。

2026年度改定では、調剤基本料1は47点、調剤基本料2は30点、調剤基本料3は区分により20点・25点・37点となっています。[1]

調剤基本料は、薬剤師が患者ごとに変更できるものではありません。

一方で、次の数値が正しく集計されているかは確認が必要です。

  • 処方箋受付回数
  • 特定医療機関からの集中率
  • 上位3医療機関の集中率
  • 同一グループ全体の処方箋受付回数
  • 薬局の開設時期
  • 医療モール内薬局への該当

処方箋集中率を下げるために、特定の患者さんを不自然に誘導したり、受付する処方箋を選別したりしてはいけません。

面処方箋を増やす場合も、地域の患者さんが利用しやすい薬局づくりを進めた結果として増やすことが大切です。

薬剤師・薬局の調剤応需義務についてはこちら

4.地域支援・医薬品供給対応体制加算を確認する

2026年度改定では、従来の後発医薬品調剤体制加算が削除され、地域支援・医薬品供給対応体制加算へ再編されました。[1]

主な点数は次のとおりです。

区分 点数
地域支援・医薬品供給対応体制加算1 27点
地域支援・医薬品供給対応体制加算2 59点
地域支援・医薬品供給対応体制加算3 67点
地域支援・医薬品供給対応体制加算4 37点
地域支援・医薬品供給対応体制加算5 59点

後発医薬品調剤体制加算がなくなったからといって、後発医薬品の使用割合が重要ではなくなったわけではありません。

例えば、地域支援・医薬品供給対応体制加算1では、後発医薬品の使用割合85%以上が施設基準の一つになっています。

さらに、計画的な在庫管理、他薬局への分譲実績、供給困難時の対応、一定の備蓄など、地域の医薬品供給拠点としての体制が求められます。[1]

単にジェネリック医薬品へ変更するだけではなく、供給不安がある中でも患者さんへ薬を届けられる体制が評価される方向になっています。

5.残薬を聞き取り、必要な処方調整につなげる

残薬確認は、患者さんの負担軽減、飲み間違いの防止、医療費の適正化につながる重要な業務です。

2026年度改定では、残薬調整に関する評価として「調剤時残薬調整加算」が新設されました。

患者さんや家族からの情報をもとに残薬を確認し、処方医の指示によって一定以上の調剤日数の変更が行われた場合などが対象です。区分により30点または50点が設定されています。[1]

残薬を確認するときは、単に「薬は余っていませんか?」と聞くだけでは不十分です。

次のように具体的に確認しましょう。

  • 朝・昼・夕・寝る前のうち、忘れやすい時間はあるか
  • 何日分くらい残っているか
  • 薬ごとに残っている数が違わないか
  • 体調が悪いときだけ飲んでいる薬はないか
  • 自己判断で中止した薬はないか
  • 別の医療機関から同じ作用の薬が出ていないか
  • 一包化や服薬カレンダーが必要ではないか
後輩薬剤師なぎさ
後輩薬剤師なぎさ

「残薬はありません」と言われて終わることが多いです。どう聞けばよいですか?

ゆずまる
ゆずまる

「朝の薬と夕方の薬では、どちらが余りやすいですか?」のように具体的に聞くと答えてもらいやすいよ。薬袋や自宅の残薬を持参してもらう方法もあります。

残薬調整を単価アップの手段として扱うのではなく、患者さんの服薬上の問題を解決した結果として、適切な評価につなげましょう。

6.重複投薬・相互作用・副作用リスクを確認する

複数の医療機関を受診している患者さんでは、同じ成分や同じ作用の薬が重複していることがあります。

腎機能や肝機能、年齢、体重、検査値、併用薬によっては、用量の確認が必要になる場合もあります。

2026年度改定では、従来の重複投薬・相互作用等防止加算が見直され、「薬学的有害事象等防止加算」が新設されました。

薬剤服用歴や電子処方箋などの情報に基づき、処方医へ照会し、処方変更につながった場合などが評価されます。区分により30点または50点です。[1]

確認したい項目は次のとおりです。

  • 同一成分や同効薬の重複
  • 併用禁忌や重大な相互作用
  • 腎機能に対して過量になっていないか
  • 高齢者で転倒リスクを高める薬が多くないか
  • 抗コリン作用を持つ薬が重なっていないか
  • 眠気、ふらつき、便秘、食欲低下などがないか
  • 処方期間や休薬期間が適切か

疑義照会を行ったときは、問い合わせた事実だけでなく、判断した理由、患者さんから聞き取った内容、医師の回答、変更後の対応まで記録します。

7.服薬指導を「説明」から「問題解決」に変える

服薬指導が毎回同じ説明だけになると、患者さんから新しい情報を得にくくなります。

薬の名前や用法を読み上げるだけではなく、患者さんごとの問題を確認することが重要です。

例えば、次の流れで質問します。

  1. 前回から体調はどう変わったか
  2. 薬を飲んで困ったことはなかったか
  3. 飲み忘れや飲みにくさはなかったか
  4. 検査値や自宅での測定値はどうだったか
  5. 市販薬、健康食品、他院の薬に変更はないか
  6. 今回の処方変更を患者さんは理解しているか
  7. 次回までに確認すべき項目は何か

患者さんの回答によって、吸入指導、残薬調整、医療機関への情報提供、服薬フォローなどが必要になる場合があります。

算定項目を先に探すのではなく、患者さんの困りごとを先に見つけることがポイントです。

8.吸入薬やハイリスク薬の指導を標準化する

吸入薬、インスリン、抗凝固薬、免疫抑制薬、抗がん薬などは、使い方や副作用の確認が特に重要です。

吸入薬では、処方されていても正しく吸入できていない患者さんがいます。

次の項目を標準化しておくと、指導の質をそろえやすくなります。

  • 吸入前の準備
  • 息を吐くタイミング
  • 吸入時の速さや強さ
  • 息止め
  • 吸入後のうがい
  • デバイスの清掃方法
  • 残量の確認方法
  • 実際の吸入手技の確認

2026年度改定では、吸入薬指導加算の対象が見直され、インフルエンザ患者への吸入薬指導も評価対象に含まれる形になっています。点数は30点で、算定間隔などの要件があります。[1]

「吸入薬が出たから算定する」のではなく、文書や練習用吸入器などを使用し、必要な指導と医療機関への情報提供を行った場合に検討します。

9.かかりつけ薬剤師と服薬フォローを育てる

2026年度改定では、従来の「かかりつけ薬剤師指導料」が削除され、服薬管理指導料の中で、かかりつけ薬剤師が指導した場合と、それ以外の薬剤師が指導した場合を区分する仕組みに見直されました。[1]

服薬管理指導料は、患者さんの来局間隔やお薬手帳の提示などにより45点または59点となり、その中でかかりつけ薬剤師による指導かどうかが区分されます。

さらに、一定の対象患者に対して継続的な確認や指導を行う「かかりつけ薬剤師フォローアップ加算」、患家を訪問して残薬などを確認する「かかりつけ薬剤師訪問加算」が新設されています。[1]

かかりつけ薬剤師を増やすために、同意書を機械的に勧めるのは避けましょう。

まずは次のような患者さんへ、継続的に同じ薬剤師が関わるメリットを説明します。

  • 複数の医療機関から薬を処方されている
  • 薬の種類が多い
  • 残薬や飲み忘れが多い
  • 副作用への不安が強い
  • 家族が服薬管理をしている
  • 退院後で処方内容が大きく変わった
  • 在宅療養への移行を検討している

重要なのは同意件数ではなく、同意後に一元的・継続的な管理ができているかです。

10.在宅医療と地域連携を少しずつ始める

在宅業務は処方箋単価の改善につながる可能性がありますが、単価だけを目的に始めるべきではありません。

訪問時間、移動時間、報告書作成、医師やケアマネジャーとの連携、緊急対応、医薬品の準備など、外来とは異なる業務負担があります。

まずは、現在来局している患者さんの中に、通院や来局が難しくなっている人がいないか確認します。

  • 家族が毎回薬を取りに来ている
  • 認知機能が低下し、薬の管理が難しい
  • 残薬が大量にある
  • 退院後に処方が複雑になった
  • 歩行が難しく、来局が負担になっている
  • 訪問看護や介護サービスを利用している

患者さんや家族、処方医、ケアマネジャーなどと相談し、必要性がある場合に在宅訪問へつなげます。

2026年度改定では、在宅訪問薬剤管理指導の算定間隔や夜間・休日の連絡体制などが見直されています。施設基準や人員体制を確認せずに始めないよう注意してください。[1]

長期処方が多い薬局で確認したいポイント

2026年度改定では、内服薬の調剤管理料が、28日分以上の長期処方と27日分以下に大きく区分されました。

  • 28日分以上:1剤につき60点
  • 27日分以下:1剤につき10点
  • 内服薬以外など:10点

このため、長期処方が多い診療科では、処方日数や剤数の登録が正しいか確認することが重要です。[1]

ただし、単価を上げるために医師へ長期処方を依頼したり、患者さんへ長期処方を勧めたりするものではありません。

医師が診療上必要と判断して発行した処方箋について、処方日数と剤数を正しく登録・算定します。

また、28日以上の処方を残薬調整によって27日以下へ変更した場合など、通常とは異なる取り扱いになるケースがあります。疑義解釈や留意事項を確認してください。

処方箋単価を改善するときのKPI

KPIとは、目標までの進み具合を確認するための数字です。

処方箋単価だけを目標にすると、薬価や処方日数の影響を受け、薬局の努力が見えにくくなります。

次の数字を組み合わせて確認するのがおすすめです。

KPI 確認する目的 確認頻度
処方箋受付回数 患者数の変化を確認 毎日・毎月
総処方箋単価 調剤報酬全体の変化を確認 毎月
技術料単価 薬局の取り組みを確認 毎月
薬学管理料単価 対人業務の評価を確認 毎月
残薬確認率 服薬状況を確認できているか 毎週
処方変更につながった件数 薬学的介入の成果を確認 毎月
服薬情報等提供件数 医療機関との連携を確認 毎月
服薬フォロー件数 調剤後の継続支援を確認 毎週・毎月
在宅訪問件数 地域への対応状況を確認 毎月
返戻・査定件数 算定精度を確認 毎月

管理表を複雑にしすぎると続きません。

最初は、次の5項目だけでも十分です。

  • 処方箋受付回数
  • 技術料単価
  • 主要加算の件数
  • 算定漏れの件数
  • 返戻・査定件数

一人薬剤師の店舗では何から始める?

一人薬剤師の店舗では、すべての改善策を同時に始めると業務が回らなくなります。

特に、患者さんが集中する時間帯に細かなチェック項目を増やしすぎると、待ち時間の増加や調剤ミスにつながるおそれがあります。

次の順番がおすすめです。

一人薬剤師店舗の優先順位

  1. 施設基準とレセコン設定の確認
    一度確認すれば、その後の算定漏れを継続的に減らせます。
  2. 1日3件だけ重点確認する
    多剤服用、残薬あり、処方変更ありの患者を優先します。
  3. 質問を1つ追加する
    「余っている薬はありますか」など、毎回一つだけ確認項目を増やします。
  4. 閉局前に5分だけ見直す
    算定候補と記録不足を確認します。
  5. 月末に数字を集計する
    単価だけでなく、取り組み件数を確認します。

一人薬剤師の場合は、算定件数を増やすことよりも、調剤の安全性と記録時間を確保することが優先です。

業務量が限界を超えている場合、単価改善の前に、人員配置、応援体制、受付方法、調剤補助、営業時間などを見直す必要があります。

30日で始める処方箋単価改善プラン

1週目:数字と届出を確認する

  • 直近3か月の処方箋受付回数を集計する
  • 総単価と技術料単価を分ける
  • 主要加算の算定件数を確認する
  • 施設基準の届出書類を確認する
  • レセコンの設定を確認する

2週目:算定漏れの原因を探す

  • 算定できなかった処方箋を1日3件確認する
  • 記録不足、実施不足、設定不足に分ける
  • 薬剤師ごとの判断の違いを確認する
  • よくある算定項目を一覧化する

3週目:服薬指導を改善する

  • 残薬確認の質問を統一する
  • 副作用確認の質問を作る
  • 吸入薬などの指導手順を作る
  • 服薬フォローが必要な患者を選ぶ
  • 医療機関へ伝えるべき情報を整理する

4週目:結果を確認する

  • 技術料単価がどう変化したか
  • 算定漏れが何件減ったか
  • 薬学的介入が何件あったか
  • 返戻や査定が増えていないか
  • 待ち時間や残業時間が増えていないか

単価が上がっていても、残業時間や患者さんの待ち時間が大幅に増えている場合は、運用方法を見直しましょう。

処方箋単価を上げるためにしてはいけないこと

必要のない加算を算定する

算定要件を満たしていない加算を算定してはいけません。

薬歴に文章が書かれていても、実際に患者さんへ指導していなければ算定の根拠にはなりません。

薬歴を後から都合よく書き換える

算定するために、実施していない指導や聞き取っていない内容を追加してはいけません。

薬歴は患者さんへ行った薬学的管理の記録であり、請求のためだけの文章ではありません。

高額薬や長期処方を誘導する

薬局側が単価を上げる目的で、高額な薬や長期処方を患者さんへ勧めることは適切ではありません。

処方内容を決めるのは、患者さんを診察した医師です。

患者さんを特典で誘引する

ポイントや金品など、経済上の利益によって患者さんを自薬局へ誘引することには制限があります。

2026年度改定でも、処方箋受付サイトによる利益提供や、高齢者施設への金品・物品提供などに関する考え方が明確化されています。[1]

処方箋を選んで受け付ける

単価が低い、手間がかかる、在庫がないなどの理由だけで、処方箋の受付を不適切に断ってはいけません。

在庫がない場合は、取り寄せ、他薬局の案内、処方医への相談など、患者さんが治療を継続できる方法を検討します。

処方箋単価の改善に関するよくある質問

処方箋単価はいくらなら高いですか?

一律の基準はありません。

診療科、処方日数、薬剤の種類、在宅患者の割合、高額薬の有無によって大きく変わります。

他店と比較するよりも、自店の技術料単価や薬学管理料単価を前月・前年と比較する方が実務的です。

ジェネリック医薬品を増やせば単価は上がりますか?

2026年度改定では、従来の後発医薬品調剤体制加算は削除されています。

ただし、後発医薬品の使用割合は、地域支援・医薬品供給対応体制加算などの施設基準に関係します。

患者さんへの説明、供給状況、医師の変更不可指示、選定療養などを確認した上で適切に対応します。

かかりつけ患者を増やせば単価は上がりますか?

単に同意件数を増やすだけでは不十分です。

継続的な服薬管理、残薬確認、服薬フォロー、医療機関との連携などを実施できる体制が必要です。

患者さん本人が特定の薬剤師を選び、メリットを理解した上で同意することが前提です。

在宅を始めれば必ず収益が増えますか?

必ず増えるとは限りません。

訪問件数が少ない段階では、移動時間、車両費、人件費、報告書作成、緊急対応などの負担が大きくなる場合があります。

単価だけでなく、1件当たりの所要時間や人件費も確認しましょう。

算定できそうなら、とりあえず請求してもよいですか?

おすすめできません。

対象患者、実施内容、算定間隔、施設基準、記録、文書交付、情報提供など、すべての要件を確認してから算定します。

不明な場合は、自社の調剤報酬担当者、レセコン会社、地方厚生局などへ確認しましょう。

まとめ|処方箋単価は患者さんへの支援を積み重ねて改善する

処方箋単価の改善という言葉を聞くと、「高い薬を増やす」「加算をたくさん取る」という印象を持つかもしれません。

しかし、薬局が実際に取り組むべきなのは、患者さんに必要な薬学的サービスを提供し、その内容を正しく記録・算定することです。

処方箋単価改善の5ステップ

  1. 総単価と技術料単価を分けて把握する
  2. 算定漏れと届出漏れをなくす
  3. 服薬指導で患者さんの問題を見つける
  4. 残薬調整、服薬フォロー、情報提供につなげる
  5. かかりつけ、在宅、地域連携を無理なく育てる

一度にすべてを変える必要はありません。

まずは、直近1か月の技術料単価と主要加算の算定件数を確認し、算定できなかった理由を調べてみましょう。

小さな確認と改善を積み重ねることが、患者さんから信頼される薬局と、安定した薬局経営につながります。

後輩薬剤師なぎさ
後輩薬剤師なぎさ

単価だけを見るのではなく、技術料や薬学的介入の件数も確認することが大切なのですね。

ゆずまる
ゆずまる

そうだね。焦って加算を増やすのではなく、患者さんの問題を一つずつ解決しよう。その仕事を正しく記録・算定することが、処方箋単価改善の近道です。

参考資料

  • 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】」[1]
  • 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定に係る施設基準届出チェックリスト」[2]
  • 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」

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