調剤ベースアップ評価料の請求ミスに注意!届出区分とレセプトが違うとどうなる?【2026年8月】
届出と請求が一致していない場合、返戻・査定等の審査対応につながる可能性があり、すでに不適切な請求として支払いを受けていれば、状況によっては返還が必要になることもあります。
ただし、厚生労働省は「不一致なら一律に返戻する」とまでは公表していません。自己判断で慌てて処理せず、まず受理内容・算定開始月・レセコン設定・実請求データを確認することが重要です。【[1]】


2026年8月19日、厚生労働省は「ベースアップ評価料等に係る診療報酬請求について」という事務連絡を発出しました。
内容はかなり短い通知ですが、薬局実務では見逃せません。
厚労省は、施設基準の届出で受理された評価項目と、実際の診療報酬請求内容に疑義が生じているケースが散見されるとして、8月診療分以降は受理済みの施設基準を改めて確認し、適切に請求するよう求めています。【[1]】
この記事では、調剤ベースアップ評価料を算定している保険薬局向けに、何を確認すればよいのかを初心者にも分かるように整理します。
実際の請求・返戻・査定・取下げ・返還については、審査支払機関、保険者、管轄の地方厚生局等によって個別確認が必要になる場合があります。
この記事の結論は?
- 調剤ベースアップ評価料は2026年6月から4点で、施設基準を満たして届出を行った薬局が処方箋受付1回につき算定します。【[2]】
- 薬局の調剤ベースアップ評価料にはⅠ・Ⅱなどの複数区分はありません。「区分40」は点数表上の区分番号で、届出ランクではありません。【[3]】
- 2026年8月19日、厚労省は施設基準の受理内容と請求内容に疑義があるケースが散見されるとして注意喚起しました。【[1]】
- 6月・7月診療分は改定対応が多岐にわたったため審査支払上の「特段の対応」が調整されましたが、8月診療分以降について同じ扱いが続くとは通知されていません。【[1]】
- 不一致があったからといって一律に「即返戻」とは断定できませんが、返戻・査定等の対象となり得ます。支払後に不適切請求が判明した場合には返還が必要になるケースもあります。【[4]】【[5]】

この記事で何が分かる?
- 2026年8月19日の厚労省通知の意味
- 調剤ベースアップ評価料4点の基本ルール
- 「届出区分」という言葉で誤解しやすいポイント
- 施設基準とレセプトが違った場合に起こり得ること
- 6月・7月診療分と8月診療分以降の違い
- 管理薬剤師・本部が請求前に確認すべき項目
- すでに間違えて請求した場合の考え方
2026年8月19日に厚労省は何を通知した?
答え:施設基準として受理された内容と、実際のレセプト請求内容が一致しているか再確認するよう求めています。
厚生労働省は2026年8月19日、「ベースアップ評価料等に係る診療報酬請求について」という事務連絡を発出しました。【[1]】
対象には次の項目が含まれています。
- 外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)
- 外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)
- 歯科外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)(Ⅱ)
- 訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ)(Ⅱ)
- 入院ベースアップ評価料
- 歯科技工所ベースアップ支援料
- 調剤ベースアップ評価料
- 看護職員処遇改善評価料
つまり、今回の通知は病院だけの話ではありません。
保険薬局の「調剤ベースアップ評価料」も明確に対象として列挙されています。


「8月診療分」は9月請求
今回の通知に書かれているのは、「令和8年8月診療分以降」です。
診療・調剤報酬は原則として診療翌月の10日までに請求します。【[6]】
したがって、8月診療分は通常、2026年9月に請求するレセプトを指します。
「2026年8月19日に通知が出た=8月10日までに提出済みの7月診療分を全部やり直す」という意味ではありません。
通知が明確に適正請求を求めているのは8月診療分以降です。
調剤ベースアップ評価料は何点で、誰が算定できる?
答え:2026年6月から4点。施設基準に適合し、地方厚生局等へ届け出た保険薬局が、処方箋受付1回につき算定します。
| 項目 | 2026年6月~2027年5月 |
|---|---|
| 点数 | 4点 |
| 算定単位 | 処方箋の受付1回につき |
| 施設基準 | あり |
| 届出 | 必要 |
| 点数表の区分番号 | 40 |
| 調剤行為コード | 470000010 |
厚生労働省の調剤報酬点数表では、「区分40 調剤ベースアップ評価料」として定められています。【[3]】
また、診療報酬情報提供サービスの調剤行為マスターでは、2026年度の調剤ベースアップ評価料について、調剤行為コード470000010、4点が登録されています。【[7]】
2027年6月以降は所定点数の200%とされているため、現在の告示どおりなら8点となる設計です。【[2]】
関連記事:「調剤物価対応料とは?1点を3月に1回算定|患者負担・算定タイミングを薬剤師が解説【2026年】」
調剤ベースアップ評価料には「届出区分」がある?
答え:薬局の調剤ベースアップ評価料には、医科の外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)のようなⅠ・Ⅱ・1~24などの算定区分はありません。
ここは今回の記事で最も誤解してほしくないポイントです。
病院・診療所では、ベースアップ評価料の種類や算定区分が複数あります。一方、2026年度の保険薬局については、「調剤ベースアップ評価料」という単一の施設基準です。【[2]】【[8]】
「区分40」はランクではない
調剤報酬点数表にある「区分40」は、あくまで点数表上の項目番号です。
「調剤ベースアップ評価料40」という40段階目の施設基準があるわけではありません。
| 言葉 | 意味 |
|---|---|
| 区分40 | 調剤報酬点数表上の項目番号 |
| 4点 | 2026年6月時点の算定点数 |
| 470000010 | レセプト上の調剤行為コード |
| 調剤ベースアップ評価料 | 薬局が届出を行う施設基準・算定項目 |
「届出区分」と「請求区分」ではなく、より正確には、
①地方厚生局に受理されている施設基準
②算定開始できる月
③レセコンに設定されている調剤ベースアップ評価料
④実際の請求データ
の4つです。
届出内容とレセプトが違うとどうなる?
答え:一律に返戻されるとは限りませんが、返戻・査定など審査上の確認対象になり得ます。支払後に不適切請求が判明すれば、返還が必要となる場合もあります。
2026年8月19日の厚労省通知は、施設基準の受理内容と請求内容に疑義が生じているとしています。【[1]】
ただし、この通知自体には「不一致は必ず返戻する」「8月以降は全件査定する」とは書かれていません。
したがって、現時点で「1件でもズレたら必ず返戻」と断定するのは正確ではありません。
返戻
レセプトの内容に確認・修正が必要と判断され、医療機関・薬局側へ戻されるものです。
支払基金では、施設基準に関する内容も受付・事務点検ASPチェックの対象となり得ることが示されています。【[4]】
査定
請求した点数の全部または一部が認められず、減点されるものです。
施設基準を満たさない・届出がない・算定可能な時期と請求月が合わないなど、算定根拠が確認できないケースでは注意が必要です。
返還
すでに支払いを受けた後で不適切な診療・調剤報酬請求が判明した場合には、自己点検の上で自主的な返還手続きが必要となることがあります。
地方厚生局も、適時調査や個別指導等で不適切な調剤報酬請求が判明した場合には、自己点検して返還手続きを行う取り扱いを案内しています。【[5]】
審査を通過して支払いを受けた後でも、後日の調査等で不適切な算定が判明すれば返還につながる可能性があります。
6月・7月診療分は見逃してもらえた?
答え:「見逃してもらえた」「請求ミスが免責された」と考えるのは危険です。
厚労省の8月19日通知では、2026年6月・7月診療分について、診療報酬改定に伴う対応が多岐にわたったことを踏まえ、審査支払において「特段の対応」を行うよう調整したとされています。【[1]】
しかし、具体的に「どの誤りをどこまで認める」とは通知に書かれていません。
したがって、
- 6月・7月なら間違えていても問題ない
- 届出前でも4点を算定してよい
- 一度支払われたものは確認不要
と解釈することはできません。


8月診療分以降は何が違う?
答え:厚労省が明確に、受理された施設基準を再確認した上で適切に請求するよう求めています。
| 診療月 | 厚労省通知上の扱い | 薬局の対応 |
|---|---|---|
| 2026年6月 | 改定対応が多岐にわたり、審査支払で特段の対応を調整 | 免責とは考えず自己点検 |
| 2026年7月 | ||
| 2026年8月以降 | 受理済み施設基準を確認し適切に請求 | 請求前照合を必須化 |
つまり、2026年8月24日現在、最優先すべきなのは9月に提出する8月診療分のレセプトを確定する前に点検することです。
診療・調剤報酬は原則として診療翌月10日までの請求です。【[6]】
9月10日の請求直前になって全患者を確認するのではなく、8月中にレセコン設定そのものを見直しておく方が安全です。
どんな請求ミスが起こりやすい?
答え:届出の有無だけでなく、「算定開始月」「レセコン設定」「店舗間コピー」がズレやすいポイントです。
届出前から4点を算定
調剤ベースアップ評価料は、施設基準に適合するものとして届け出た薬局で算定する点数です。【[3]】
「制度が6月に始まったから、すべての薬局で6月から自動的に4点」と考えるのは誤りです。
受理済みなのに算定漏れ
反対に、施設基準が受理され算定可能なのに、レセコン設定がOFFのままで4点を請求していないケースも考えられます。
過剰請求だけでなく、算定漏れも施設基準と請求内容の不一致です。
他店舗の設定をコピー
薬局実務では、法人内の複数店舗へ同じレセコン設定を展開することがあります。
しかし施設基準の届出・受理状況や算定開始時期が店舗ごとに異なる場合、A店の設定をB店へそのままコピーするとズレが生じます。
「区分40」を施設基準ランクと誤認
前述のとおり、区分40は点数表上の番号です。
「当薬局は区分40で届け出た」という表現は誤解を生みやすいため、社内では「調剤ベースアップ評価料の施設基準が受理済み」と表現した方が安全です。
管理薬剤師は何を確認すればいい?
答え:受理内容→算定開始月→マスター→実請求の順で照合してください。
- 施設基準の届出控えを確認する
様式103で何を提出したか確認します。 - 地方厚生局で受理された内容を確認する
提出しただけで終わらせず、受理内容を確認します。 - 算定開始月を確認する
「制度開始月」と「自薬局が算定可能になった月」を混同しないようにします。 - レセコンのマスターを確認する
調剤ベースアップ評価料4点、調剤行為コード470000010がどの条件で付く設定になっているか確認します。 - 実際の請求データを確認する
6月・7月・8月を月別に抽出し、算定開始月と一致しているか確認します。 - 本部・請求担当とダブルチェックする
「届出担当は総務、請求担当は店舗」という会社ほど情報の分断に注意します。
9月請求前チェックリスト
- □ 調剤ベースアップ評価料の届出をした店舗か
- □ 地方厚生局の受理内容を確認したか
- □ 算定開始月を確認したか
- □ レセコンで4点が自動算定される条件を確認したか
- □ 未届出店舗へ設定がコピーされていないか
- □ 6月・7月請求も自己点検したか
- □ 8月診療分のテストレセプトを確認したか
- □ 本部・経理・請求担当と結果を共有したか
あわせて読みたい:「調剤ベースアップ評価料は8月に何を提出する?中間報告書の書き方・対象職員・提出期限を薬局向けに解説【2026年】」
すでに間違えて請求した場合はどうする?
答え:自分だけで修正方法を決めず、まず誤りの範囲を特定し、請求状況に応じて審査支払機関や管轄機関へ確認してください。
重要なのは、いきなり全レセプトを再請求することではありません。
まだ請求前
レセコン設定を修正し、8月診療分の請求データを再生成・再点検します。
請求した直後
支払基金では、請求済みレセプトについて取下げ依頼の手続きがあります。【[9]】
ただし、保険種別や請求時期によって手続きが異なるため、実際の処理方法は支払基金・国保連等へ確認してください。
すでに支払い済み
不適切な請求だった可能性がある場合は、対象月・対象患者・件数・点数を自己点検します。
地方厚生局は、調査・指導等で不適切な調剤報酬請求が判明した場合、自主的な返還手続きを行う取り扱いを示しています。【[5]】
やってはいけない対応
- 「4点だけだから大丈夫」と放置する
- 返戻されていないから正しいと判断する
- 店舗だけで勝手に過去請求を変更する
- 請求担当と届出担当が別々に修正する
- 6月・7月は特別扱いだから確認不要と考える
薬局実務ではどこでミスが起こりやすい?
薬局実務で起こりやすいのは、制度を知らないことよりも「届出担当者とレセプト担当者が別」という情報連携の問題です。
例えば、本部が様式103を提出していても、店舗側には「6月1日から自動算定でよい」という情報だけが伝わることがあります。
逆に、店舗では受理済みと思っていたものの、本部側で差戻し・再提出対応中だったということも制度変更時には起こり得ます。

とくに複数店舗を運営している法人では、店舗コードごとに「届出済・受理済・算定開始・レセコン反映」を一覧化するのがおすすめです。
関連記事:「処方箋単価の改善方法|薬局の収益を正しく上げる具体策を初心者向けに解説【2026年】」
調剤ベースアップ評価料と調剤物価対応料は何が違う?
| 比較 | 調剤ベースアップ評価料 | 調剤物価対応料 |
|---|---|---|
| 目的 | 対象職員の賃金改善 | 物価上昇への対応 |
| 2026年6月時点 | 4点 | 1点 |
| 算定頻度 | 処方箋受付1回につき | 3月に1回 |
| 施設基準・届出 | 必要 | 調剤ベースアップ評価料と同じ届出ではない |
| 今回の8月19日通知 | 明確に対象 | 通知で列挙されたベースアップ評価料等とは別項目 |
名称と開始時期が近いため混同しやすいですが、別の点数です。
調剤物価対応料について詳しく知りたい方は、関連記事もあわせて確認してください。
よくある質問は?
調剤ベースアップ評価料は何点ですか?
2026年6月から2027年5月までは4点です。処方箋受付1回につき算定します。現在の告示では2027年6月以降は所定点数の200%となります。【[2]】
すべての薬局が自動的に4点を算定できますか?
いいえ。施設基準に適合するものとして地方厚生局長等へ届け出た保険薬局で算定します。【[3]】
調剤ベースアップ評価料にⅠ・Ⅱはありますか?
2026年度の薬局の調剤ベースアップ評価料には、医科の外来・在宅ベースアップ評価料のようなⅠ・Ⅱの区分はありません。
「区分40」とは届出区分ですか?
いいえ。調剤報酬点数表上の区分番号です。施設基準のランクを示す「40」ではありません。【[3]】
届出とレセプトが違えば必ず返戻されますか?
厚労省は「必ず返戻」とは公表していません。ただし施設基準と請求内容の不一致は審査上の確認対象となり得るため、返戻・査定等につながる可能性があります。【[1]】【[4]】
6月・7月診療分は請求ミスでも大丈夫ですか?
そうとはいえません。厚労省は改定対応が多岐にわたったため審査支払で特段の対応を調整したとしていますが、請求ミスを免責するとした通知ではありません。【[1]】
8月19日の通知は8月提出分から対象ですか?
通知は「8月診療分以降」としています。8月診療分は通常9月に請求します。【[1]】【[6]】
すでに請求してしまったらどうすればいいですか?
まず対象月・対象件数・誤りの内容を確認してください。請求済みレセプトについては取下げ手続きが利用できる場合がありますが、保険種別や時期により対応が異なるため、審査支払機関等へ確認してください。【[9]】
支払い済みならそのままでいいですか?
不適切な請求と判明した場合は、支払い済みでも返還が必要となることがあります。【[5]】
8月中間報告と今回のレセプト確認は同じ手続きですか?
別です。様式104による賃金改善中間報告と、施設基準に沿ったレセプト請求の確認は目的が異なります。両方をそれぞれ確認してください。
あわせて読みたい:「調剤ベースアップ評価料は8月に何を提出する?中間報告書の書き方・対象職員・提出期限を薬局向けに解説【2026年】」
結局、8月診療分までに何を確認すればいい?
- 調剤ベースアップ評価料は2026年6月から4点
- 薬局にはⅠ・Ⅱなどの届出区分はなく、「区分40」は点数表上の番号
- 厚労省は8月19日、施設基準の受理内容と請求内容の不一致について注意喚起
- 6・7月診療分の「特段の対応」を免責とは解釈しない
- 8月診療分=9月請求前に、受理内容・算定開始月・レセコン・実請求を照合する
管理薬剤師・本部担当者へ
今回最優先でやることは難しくありません。
「届出控え」と「8月のレセプト」を横に並べて確認することです。
4点という小さな点数でも、処方箋受付回数が多ければ件数は積み上がります。請求後に大量の修正をするより、9月請求前にレセコン設定を1回確認する方が圧倒的に楽です。
管理薬剤師として施設基準・店舗管理・確認業務全体を整理したい方は、自著『はじめての管理薬剤師完全ガイド』も、日々の管理業務を整理する際の選択肢として活用してください。

参考文献
- 【[1]】厚生労働省「ベースアップ評価料等に係る診療報酬請求について」令和8年8月19日。最終確認日:2026年8月24日
- 【[2]】厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】」2026年3月5日。最終確認日:2026年8月24日
- 【[3]】厚生労働省「調剤報酬点数表に関する事項」区分40 調剤ベースアップ評価料。最終確認日:2026年8月24日
- 【[4]】社会保険診療報酬支払基金「受付・事務点検ASPチェック/施設基準に係る確認」。最終確認日:2026年8月24日
- 【[5]】中国四国厚生局「診療(調剤)報酬の返還手続きについて」。最終確認日:2026年8月24日
- 【[6]】社会保険診療報酬支払基金「令和8年度診療(調剤)報酬請求書等の受付日について」。最終確認日:2026年8月24日
- 【[7]】厚生労働省 診療報酬情報提供サービス「令和8年度調剤行為マスター」。最終確認日:2026年8月24日
- 【[8]】厚生労働省「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」第109 調剤ベースアップ評価料。最終確認日:2026年8月24日
- 【[9]】社会保険診療報酬支払基金「再審査請求(取下げ)の方法」。最終確認日:2026年8月24日


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