処方箋・調剤録の保存期間が3年から5年へ|2027年5月20日から薬局は何を変える?【2026年9月最新】

処方箋の保存期間が3年から5年へ変わることと調剤録の保管を解説するアイキャッチ 制度・法規・保険

『処方箋の保存期間は3年じゃなかったの?5年になるのはいつ?』

これまで保険薬局で働いてきた薬剤師なら、『処方箋と調剤録は3年間保存』と覚えている方が多いと思います。しかし、その常識が変わります。

2027年5月20日から、保険薬局における処方箋と調剤録の保存期間は、原則3年間から5年間へ延長される予定です。

厚生労働省は2026年9月9日の中央社会保険医療協議会(中医協)で、薬機法等改正に伴う保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則等の見直しを提示し、同日答申されました。改定案では、保険薬局が患者の療養の給付に関して扱った処方箋・調剤録を『その完結の日から5年間』保存することが示されています。

この記事の結論

  • 2027年5月20日から保険薬局の処方箋・調剤録は原則5年保存へ
  • 現在の3年保存から2年間延長される
  • 起算点は『その完結の日』
  • 紙の処方箋だけでなく、調剤録の保存体制も見直しが必要
  • 薬歴・管理帳簿など別の記録は、それぞれ根拠法令と保存期間を分けて考える
  • 施行直前に慌てないよう、2026年度中に廃棄ルール・保管容量・電子データのバックアップを確認しておく
後輩薬剤師なぎさ
後輩薬剤師なぎさ
処方箋は3年保存って国試でも実務でも覚えていました。急に5年になるんですか?
薬剤師ゆずまる
ゆずまる
そう。施行日は2027年5月20日。今すぐ5年に変わるわけではないけれど、薬局は保管場所や廃棄手順を早めに見直しておいた方がいいよ。
処方箋の保存期間が5年へ変わる要点と調剤録・施行日・薬局の準備を示す図
処方箋・調剤録の保存期間変更で押さえる4つの要点
  1. 処方箋の保存期間はいつから5年になる?調剤録も同じ?
  2. なぜ3年から5年に延長されるの?
  3. 『その完結の日から5年間』とはどういう意味?
  4. 紙の処方箋はどうする?保管スペースへの影響
    1. 追加2年分の保管量を計算してみよう
  5. 電子処方箋なら紙を5年置かなくていい?
    1. 電子保存で押さえる3要件
    2. そのまま使えるベンダーへの質問文
  6. 調剤録とは?処方箋と何が違う?
  7. 薬歴も5年保存になるの?
  8. 2027年5月20日までに管理薬剤師がやること
    1. 1.現在の文書保存ルールを棚卸しする
    2. 2.紙の保管容量を計算する
    3. 3.廃棄スケジュールを変更する
    4. 4.レセコン・電子薬歴ベンダーへ確認する
    5. 5.スタッフ教育資料を更新する
  9. 迷わないための準備スケジュール
  10. 古い処方箋はいつ捨てていい?施行日前後の注意
  11. コピペで作れる文書管理台帳テンプレート
  12. 個別指導・監査では何を意識する?
  13. 個人情報保護の負担も2年分増える
  14. 保存期間変更で起こりやすい5つの失敗
  15. 新人薬剤師向け|覚え方は『2027年5月20日・3年から5年』
  16. よくある質問
    1. Q1.処方箋の保存期間は現在何年ですか?
    2. Q2.いつから5年保存ですか?
    3. Q3.薬歴も今回3年から5年になりますか?
    4. Q4.電子処方箋なら保存義務はありませんか?
    5. Q5.2024年の処方箋も5年残す必要がありますか?
    6. Q6.管理薬剤師は今すぐ何をすればいいですか?
  17. まとめ|処方箋・調剤録は2027年5月20日から5年保存へ

処方箋の保存期間はいつから5年になる?調剤録も同じ?

今回の変更で最初に押さえたいのは、施行日が2027年5月20日とされていることです。

2026年9月9日に開催された第656回中医協総会では、『薬機法等改正に伴う保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則等の所要の見直し』が議題となりました。厚生労働省が示した個別改定項目では、令和9年5月20日に改正法の一部が施行されることに伴い、保険薬局の処方箋と調剤録の保存期間を3年間から5年間へ延長すると明記されています。

現行の保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則第6条では、処方箋・調剤録を『その完結の日から3年間』保存することになっています。改定案では、この『3年間』の部分が『5年間』に変わります。

項目 現在 2027年5月20日以降
処方箋 完結の日から3年間 完結の日から5年間
調剤録 完結の日から3年間 完結の日から5年間

高齢者医療に関する基準についても同様に、療養の給付および保険外併用療養費に係る処方箋・調剤録の保存期間が3年間から5年間へ延長されます。

つまり『一部の特殊な処方箋だけ5年』という話ではなく、保険薬局の日常業務に直結するルール変更です。

なぜ3年から5年に延長されるの?

今回の見直しは、2025年5月21日に公布された薬機法等の一部改正を背景にしています。薬局・薬剤師を取り巻く制度は、医薬品提供体制、医療DX、医薬品販売制度などを含めて段階的に見直されています。

処方箋・調剤録の保存期間についても、薬機法側の制度改正との整合を図るため、保険診療上のルールである薬担規則等を改める形です。

ここで大切なのは、『5年保存になったから薬局の仕事が単純に2年分増える』とだけ考えないことです。記録を長く保持することで、過去の調剤内容を後から確認できる期間も長くなります。問い合わせ、監査、個別指導、患者からの照会、医療安全上の振り返りなどで過去記録を確認する場面を考えると、保存期間の延長は情報管理の重要性がさらに高まる変更ともいえます。

後輩薬剤師なぎさ
後輩薬剤師なぎさ
じゃあ、2027年5月20日になったら倉庫にある古い処方箋を全部さらに2年残せばいいんですか?
薬剤師ゆずまる
ゆずまる
そこは経過措置や施行通知の確認が必要だよ。今ある過去分を全部一律5年と自己判断せず、施行前に出る正式通知を確認して廃棄ルールを更新しよう。

『その完結の日から5年間』とはどういう意味?

改定案の条文で重要なのが、単に『5年間』ではなく『その完結の日から5年間』と書かれている点です。

保存期間の話では『いつから数えるのか』が非常に重要です。受け付けた日なのか、調剤した日なのか、月末なのか、年度末なのかで廃棄できる時期が変わるからです。

薬局では大量の処方箋を日々扱うため、実務上は月単位・年単位で箱やファイルを分け、保存期限を表示して管理しているところが多いでしょう。制度改正後も、各薬局の文書管理規程と実際の運用が法令上の保存義務を満たしているか確認する必要があります。

たとえば『2027年分』とだけ箱に書いて倉庫へ置き、3年経ったら機械的に廃棄する運用を続けると、新制度では保存期間不足が生じる可能性があります。箱のラベルに『廃棄可能年月』を併記する、廃棄前に管理薬剤師が確認する、電子台帳で保管箱を管理するなど、誰が見ても期限を誤らない仕組みにしておくと安全です。

紙の処方箋はどうする?保管スペースへの影響

紙処方箋を多く扱う薬局では、今回の改正で最も分かりやすい問題が保管スペースです。

仮に1日100枚の処方箋を扱う薬局なら、年間では単純計算で数万枚になります。3年分から5年分へ延びれば、保管する紙の量は大きく増えます。すでにバックヤードや倉庫が狭い店舗では、『施行されてから置き場所を考える』では遅い可能性があります。

まず確認したいのは、現在どこに何年分を保存しているかです。店舗内、社内倉庫、外部保管サービスなど、保管先を一覧にします。そのうえで、5年保存になった場合に必要な容量を概算します。

紙処方箋の事前チェック

  • 現在何年分を店舗内に保管しているか
  • 1年分で段ボール・保存箱が何箱になるか
  • 追加2年分を置くスペースがあるか
  • 湿気・水濡れ・火災・害虫対策は十分か
  • 患者情報が第三者から見えない保管になっているか
  • 外部倉庫を使う場合の搬出・返却・廃棄手順は明確か
  • 廃棄時に機密文書として確実に処理できるか

追加2年分の保管量を計算してみよう

難しい計算は不要です。まず、直近12か月分の保存箱を数えます。たとえば1年分が12箱なら、保存期間が2年延びることで必要になる追加スペースの目安は12箱×2年=24箱分です。

ただし、処方箋枚数には季節差があり、在宅の指示書や疑義照会の記録を同じ箱へ入れている薬局もあります。余裕をみて「直近1年分×2.2」程度を仮置きし、実際の箱サイズで棚に収まるか確認すると現実的です。

確認する数字 計算方法
1年分の保存箱 直近12か月の実数 12箱
追加2年分 1年分×2 24箱
余裕を含む目安 1年分×2.2 約27箱

数字が出れば、「店舗の棚を増やす」「本部倉庫へ移す」「外部保管を検討する」のどれを選ぶか、会社へ具体的に相談できます。処方箋枚数から推測するより、実際の箱数を数える方が早くて正確です。

処方箋には氏名、生年月日、保険情報、処方内容など重要な個人情報が含まれます。『保存していればよい』のではなく、保存期間中に紛失・漏えいしないことも重要です。

電子処方箋なら紙を5年置かなくていい?

電子処方箋の普及が進むと、『電子なら保存期間を気にしなくていいのでは?』と思うかもしれません。しかし、電子化と保存義務は別の話です。

電子データで保存する場合も、必要な期間にわたって適切に記録を保持し、必要時に確認できる状態を維持することが重要です。単にサーバーにデータが残っているだけではなく、アクセス権限、バックアップ、システム更新時のデータ移行、障害時の復旧なども含めて考える必要があります。

特に注意したいのが、レセコンや電子薬歴を入れ替えるときです。『旧システムのデータは見られなくなった』『ベンダーとの契約終了後に過去データを取り出せない』となると、保存義務を満たすうえで問題になり得ます。

2027年5月20日までにシステム更新を予定している薬局は、ベンダーへ『処方箋・調剤録の5年保存への対応』『旧データの閲覧可能期間』『バックアップ方式』『解約・機種変更時のデータ出力方法』を確認しておくと安心です。

厚生労働省は電子処方箋について、薬局向けスターターキットや運用資料を公開しています。電子処方箋の導入状況にかかわらず、今後は紙と電子が混在する期間も想定し、どの記録をどこで保存しているかを明確にしておく必要があります。

電子保存で押さえる3要件

厚生労働省の「薬局内における文書の電子化等について」では、電子保存にあたり、見読性・真正性・保存性の3要件を守る必要があると説明されています。超初心者向けに言い換えると、次の意味です。

要件 かんたんな意味 薬局での確認例
見読性 必要なときに画面表示や出力ができる 5年前の記録を検索し、読める形で印刷できるか
真正性 勝手な書き換えや、誰が変更したか分からない状態を防ぐ 権限設定、変更履歴、操作ログがあるか
保存性 保存期間中、記録を失わず使える状態を保つ バックアップ、復旧手順、機種変更時の移行方法があるか

「クラウドだから安心」「ベンダーが保存しているはず」で終わらせず、実際に過去データを1件検索して出力するテストまで行いましょう。アクセス権限やバックアップを含む対策は、薬局のサイバーセキュリティ対策チェックリストも参考にしてください。

そのまま使えるベンダーへの質問文

質問例

「2027年5月20日から予定されている処方箋・調剤録の5年保存について、当店のシステムで5年間の検索・表示・出力が可能か教えてください。バックアップ期間、旧端末や契約終了後のデータ出力、システム更新時の移行方法、対応に必要な費用と作業時期も確認したいです。」

回答は口頭だけで終わらせず、メールや案内文を文書管理フォルダへ保存します。複数システムを使っている場合は、レセコンだけでなく電子薬歴、電子処方箋関連サービス、外部バックアップの担当先にも同じ質問をすると漏れを防げます。

調剤録とは?処方箋と何が違う?

今回の改正は『処方箋』だけではありません。調剤録も5年保存の対象です。

初心者の方は、処方箋・調剤録・薬歴が頭の中で混ざりやすいので整理しておきましょう。

記録 ざっくりした役割 今回の改正
処方箋 医師等が患者に必要な医薬品・用法用量などを記載した文書 3年→5年
調剤録 薬剤師が調剤した内容などを記録するもの 3年→5年
薬剤服用歴(薬歴) 服薬状況、指導内容、確認事項など薬学的管理の記録 今回の3年→5年の条文と同一視しない
薬局の管理帳簿 薬局管理に関する法定記録 別の根拠規定を確認

『薬局の記録は全部5年になる』とまとめて覚えるのは危険です。文書ごとに根拠法令、記載事項、保存期間が異なるためです。

特に新人教育では、『処方箋が5年になった=薬歴も自動的に同じルールに変わった』と誤解しないよう、社内マニュアルを文書別に整理するのがおすすめです。薬歴の基本そのものを確認したい方は、薬歴の書き方入門|SOAP方式と実例から読むと整理しやすくなります。

薬局の管理帳簿については、ゆずまるブログの薬局の管理に関する帳簿とは?記載事項・記載例・保存期間を薬剤師が解説でも詳しく整理しています。

薬歴も5年保存になるの?

ここは検索されやすく、誤解も生じやすいポイントです。

2026年9月9日に中医協で示された今回の改定項目が直接示しているのは、保険薬局における処方箋及び調剤録の保存期間を3年から5年へ延長することです。

したがって、『今回の資料を根拠に、薬歴を含む薬局内の全記録が一律5年になった』と説明するのは正確ではありません。

薬歴には調剤報酬上の記録要件があり、薬局の管理帳簿には薬機法上のルールがあります。麻薬、覚醒剤原料、向精神薬などを扱う場合には、さらに別の帳簿や記録が関係します。記録類を一括して『3年』『5年』と覚えるのではなく、文書ごとの保存期間一覧を店舗に置く方が実務では安全です。

後輩薬剤師なぎさ
後輩薬剤師なぎさ
全部まとめて5年って覚えた方が簡単そうだけど、それだと逆に間違えるんですね。
薬剤師ゆずまる
ゆずまる
そうなんだ。法定書類は『何の記録か』『どの法律・規則が根拠か』をセットで確認するのが基本だよ。

2027年5月20日までに管理薬剤師がやること

今回の変更は、施行日に突然知っても調剤自体が止まるような改正ではありません。しかし、管理薬剤師や薬局長にとっては、早めに準備しておくほど楽なタイプの制度改正です。

1.現在の文書保存ルールを棚卸しする

最初に、店舗で保存している書類を一覧にします。処方箋、調剤録、薬歴、管理帳簿、医薬品の譲受・譲渡関係、麻薬関係書類、向精神薬関係、在宅関係などを分け、『保存期間』『保存場所』『廃棄方法』『責任者』を表にします。

今回変更される処方箋・調剤録だけを直すのではなく、この機会に文書管理全体を見直すと、監査や個別指導の際にも説明しやすくなります。

2.紙の保管容量を計算する

直近1年分の処方箋が何箱あるか数えれば、追加2年分に必要なスペースを概算できます。処方箋枚数が多い店舗ほど影響は大きくなります。

棚を増設するのか、社内倉庫へ移すのか、外部の機密文書保管サービスを利用するのか。本部判断が必要なら、2027年春ではなく2026年度中に相談しておくとよいでしょう。

3.廃棄スケジュールを変更する

『毎年4月に3年前の箱を廃棄』といった店舗独自のルールがある場合、改正後もそのまま実行すると保存期間不足になるおそれがあります。

文書管理表、年間業務予定、店舗チェックリスト、引き継ぎノートなど、3年と記載されている場所を洗い出しておきましょう。

4.レセコン・電子薬歴ベンダーへ確認する

電子保存している記録については、5年間の閲覧・出力が確保されるか確認します。バックアップの保存世代やクラウド契約の仕様もチェックポイントです。

『画面上では5年前のデータが見えるが、正式な記録として必要な項目を出力できない』という状態にならないよう、ベンダーから今後の対応案内が出たら保管しておきましょう。

5.スタッフ教育資料を更新する

新人薬剤師や事務スタッフが『処方箋は3年』と覚えたままだと、将来誤廃棄につながります。施行前後に朝礼や店舗ミーティングで共有し、マニュアルの古い記載を更新します。

管理薬剤師向けチェックリスト

  • □ 処方箋の現在の保存場所を確認
  • □ 調剤録の保存方法を確認
  • □ 5年分の保管容量を試算
  • □ 廃棄予定表の3年を洗い出す
  • □ 電子データの閲覧可能期間をベンダーに確認
  • □ バックアップと災害対策を確認
  • □ 個人情報を守れる保管方法か確認
  • □ 施行前の正式通知・経過措置を確認
  • □ 店舗マニュアルを更新
  • □ スタッフへ周知

迷わないための準備スケジュール

施行日だけをカレンダーに入れても、保管場所の確保やシステム改修は間に合わないことがあります。次の順番なら、小規模薬局でも一つずつ進められます。

時期の目安 やること 完了の証拠
今から2026年末 対象文書、保存場所、箱数、現在の廃棄日を棚卸し 文書一覧と写真、箱数メモ
2027年1~2月 追加2年分の場所・費用を決定し、ベンダーへ確認 見積書、回答メール、社内決裁
2027年3~4月 保存・廃棄マニュアル、箱ラベル、電子台帳を修正 改訂版と改訂履歴
施行前1か月 正式通知や経過措置を確認し、全スタッフへ周知 研修記録、確認者一覧
施行後 古いデータの検索・出力と、廃棄予定表を再点検 点検記録、是正内容

本部がある薬局では、店舗だけで決めず、法務・情報システム・倉庫担当と役割を分けます。個人薬局では、管理薬剤師が「誰に、いつ確認したか」を1枚の進捗表へ残すだけでも、対応漏れを減らせます。

異動や退職をはさんでも準備が止まらないよう、保存場所、鍵の管理、廃棄業者、ベンダー窓口、次回確認日を引き継ぎ項目に入れましょう。実務用の形は管理薬剤師の引き継ぎノートの作り方で紹介しています。

初心者が最初の30分でやること

  1. いちばん新しい保存箱と、いちばん古い保存箱のラベルを確認する
  2. 直近1年分の箱数を数える
  3. 店舗マニュアルで「3年保存」と書かれたページを探す
  4. レセコン・電子薬歴の問い合わせ窓口をメモする
  5. 正式通知を確認する担当者と次回確認日を決める

古い処方箋はいつ捨てていい?施行日前後の注意

現場で最も気になるのが、『今すでに保存している3年分の処方箋をどう扱うのか』です。

ここは、2026年9月10日時点で公表されている中医協の個別改定項目だけを見て、薬局独自に経過措置を断定しないことが重要です。資料では2027年5月20日の施行と、保存期間を3年から5年へ延長する改定案が示されていますが、実際の切り替え時には施行通知やQ&Aなどで細かな取扱いが示される可能性があります。

そのため、今の段階でおすすめなのは『まだ捨てられるものを全部5年残す』と決め打ちすることでも、『2027年5月19日までなら全部3年で捨てる』と考えることでもありません。

施行直前の厚生労働省・地方厚生局の通知を確認し、会社や薬局の文書管理規程を正式に更新してから廃棄するのが安全です。

特に廃棄を外部業者へ定期委託している薬局では、自動回収の設定や保管箱のラベルを早めに確認してください。

コピペで作れる文書管理台帳テンプレート

保存期間を覚えるだけでは、担当者が変わったときに運用が崩れます。Excelやスプレッドシートに次の列を作り、文書ごとに1行で登録してください。

管理項目 記入例
文書名 2027年6月分の処方箋
根拠・保存期間 薬担規則/完結の日から5年
媒体 紙・電子・両方
保管場所 店舗倉庫A棚/システム名
管理単位 月別・箱番号2027-06
廃棄予定 経過措置と起算日を確認後に入力
確認責任者 管理薬剤師
最終点検日 2027年○月○日

ポイントは、廃棄予定日を最初から推測で確定しないことです。施行通知で適用関係を確認したあと、起算点に沿って入力します。箱にも台帳と同じ管理番号を付けると、棚から取り出した記録と電子台帳を照合できます。

廃棄時には、対象箱、確認者、廃棄日、委託先、溶解・裁断などの方法を記録します。誤廃棄が疑われたとき、「たぶん捨てていない」ではなく、台帳で説明できる状態が目標です。

個別指導・監査では何を意識する?

保険薬局では、法令や療養担当規則に沿った運用が求められます。保存期間が5年へ変わった後に、旧来の3年ルールで処方箋や調剤録を廃棄してしまえば、必要な記録を提示できない状態になりかねません。確認される場面や準備の全体像は、調剤薬局の個別指導|種類・選定基準・準備もあわせて確認してください。

重要なのは、管理薬剤師だけが変更を知っている状態にしないことです。実際に文書を箱詰めする事務スタッフ、倉庫管理担当、本部担当者、廃棄業者など、処方箋のライフサイクルに関わる人へ情報をつなぐ必要があります。

また、電子保存では『データはあるはず』ではなく、実際に過去記録を検索・表示・出力できるか定期的に確認することが大切です。システム障害やアカウント権限変更で閲覧できなくなるケースも考え、復旧手順まで含めて確認しましょう。

個人情報保護の負担も2年分増える

保存期間が延びるということは、薬局が患者の個人情報を保持する期間も長くなるということです。

処方箋をバックヤードの誰でも触れる棚へ無造作に置く、廃棄予定の箱を通路へ長期間放置する、外部倉庫への搬送記録がない、といった運用は避ける必要があります。

紙なら施錠、入退室管理、保管箱の識別、機密廃棄がポイントになります。電子ならID・パスワード、権限管理、ログ、バックアップ、端末のセキュリティ、委託先管理などが重要です。

『5年保存』は単なる収納問題ではなく、5年間安全に守り、必要なときに取り出せる状態を維持するという情報管理の問題として考えると分かりやすいでしょう。

保存期間変更で起こりやすい5つの失敗

よくある失敗 防ぎ方
薬局内の書類を全部5年と覚える 文書名と根拠規定を1行ずつ台帳にする
施行前の記録も自己判断で一律処理する 通知・Q&Aと社内方針が確定するまで廃棄予定を保留する
箱の作成年だけで廃棄する 完結の日を意識し、廃棄可能時期と確認者を表示する
電子なら自動的に要件を満たすと思う 検索・表示・出力・復旧を実機で試す
管理薬剤師だけが知っている 事務、本部、倉庫、廃棄業者まで同じ手順を共有する

とくに危険なのは、古い「3年保存」のラベルや自動廃棄予定が残ることです。ルールを説明するだけでなく、カレンダー、箱ラベル、廃棄業者への依頼書、システム設定まで実物を確認してください。

制度の細部が追加公表されたときは、この記事の記憶だけで判断せず、必ず最新の原文へ戻ります。店舗マニュアルには参照した通知名・URL・確認日を残すと、次の担当者も同じ根拠をたどれます。

新人薬剤師向け|覚え方は『2027年5月20日・3年から5年』

今回の改正をシンプルに覚えるなら、まず次の3点で十分です。

  1. いつ? 2027年5月20日
  2. 何が? 保険薬局の処方箋・調剤録
  3. どうなる? 3年保存から5年保存へ

そのうえで、『薬歴や管理帳簿まで全部同じとは限らない』と付け加えておけば、実務上の誤解をかなり防げます。

後輩薬剤師なぎさ
後輩薬剤師なぎさ
国試の知識もアップデートしないとですね。まずは『2027年5月20日、処方箋と調剤録が5年』で覚えます!
薬剤師ゆずまる
ゆずまる
それでOK。実務では施行通知まで確認して、自分の薬局の廃棄ルールを更新するところまでがセットだよ。

よくある質問

Q1.処方箋の保存期間は現在何年ですか?

2026年9月10日時点では、保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則上、患者の療養の給付に関する処方箋・調剤録はその完結の日から3年間保存する規定です。2027年5月20日から5年間へ延長する改定が示されています。

Q2.いつから5年保存ですか?

厚生労働省の2026年9月9日資料では、改正法の一部施行日である2027年5月20日に合わせて必要な改正を行うとされています。

Q3.薬歴も今回3年から5年になりますか?

今回の中医協資料で明示された変更対象は『処方箋及び調剤録』です。薬歴を含むすべての薬局記録が一律5年になる、と読み替えないよう注意してください。

Q4.電子処方箋なら保存義務はありませんか?

電子化すれば記録管理が不要になるわけではありません。必要な期間、適切に保存し、必要時に確認できる体制が必要です。システム更新や契約変更時にも過去データを扱えるか確認しましょう。

Q5.2024年の処方箋も5年残す必要がありますか?

施行日前に作成・完結した記録の経過的な取扱いは、今後の施行通知等を確認して判断するのが安全です。2026年9月10日時点では、薬局独自に一律の扱いを断定しないことをおすすめします。

Q6.管理薬剤師は今すぐ何をすればいいですか?

まず現状の保存場所、1年分の紙量、廃棄予定、電子データの保存仕様を確認してください。追加2年分を保管できるかを試算し、マニュアルの『3年保存』という記載を洗い出しておくとスムーズです。

まとめ|処方箋・調剤録は2027年5月20日から5年保存へ

処方箋の保存期間5年化と調剤録に備えて薬局が進める4ステップのまとめ図
薬局が施行前に進める準備4ステップ

2026年9月9日の中医協で、薬局実務に直結する重要な変更が示されました。

  • 保険薬局の処方箋・調剤録の保存期間は3年から5年へ
  • 施行予定日は2027年5月20日
  • 条文上は『その完結の日から5年間』
  • 高齢者医療に関する基準も同様に5年へ
  • 紙処方箋の保管スペースと廃棄ルールの見直しが必要
  • 電子保存ではバックアップ・データ移行・閲覧可能期間を確認
  • 薬歴や管理帳簿など別記録をすべて一律5年と誤解しない
  • 施行前の通知・Q&Aで経過措置を最終確認する

保存期間の変更は地味に見えますが、処方箋を毎日扱うすべての保険薬局に関係します。特に紙処方箋が多い店舗は、2年分増えるだけでも保管量への影響が大きくなります。

2027年春になってから慌てるのではなく、2026年度中に『どこへ保存するか』『いつ廃棄するか』『電子データは5年間確実に見られるか』を確認しておきましょう。

制度の正式な施行通知や経過措置が公表されたら、本記事も更新します。

一次情報:厚生労働省 第656回中央社会保険医療協議会総会(2026年9月9日)個別改定項目:薬機法等改正に伴う薬担規則等の見直し中医協答申書

※本記事は2026年9月10日時点の厚生労働省公表資料をもとに作成しています。施行時の具体的な経過措置、通知、Q&A等は今後更新される可能性があります。

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