「フォシーガとジャディアンス、どちらもSGLT2阻害薬だけど何が違う?」
「糖尿病だけじゃなく心不全やCKDにも使うのはなぜ?」「10mgと25mgはどう使い分ける?」「食事がとれない日はどうする?」
フォシーガ(ダパグリフロジン)とジャディアンス(エンパグリフロジン)は、いずれもSGLT2阻害薬です。近位尿細管でSGLT2を阻害し、尿糖排泄を増やす作用は共通しています。
一方で、適応、用量の意味、1型糖尿病への適応、心不全・CKDでの使い方には違いがあります。薬剤師実務では「同じSGLT2阻害薬」とまとめず、処方目的を見抜くことが重要です。
この記事の結論
- フォシーガ:2型糖尿病・1型糖尿病・慢性心不全・慢性腎臓病に適応
- ジャディアンス:2型糖尿病・慢性心不全・慢性腎臓病に適応。1型糖尿病には適応なし
- フォシーガは糖尿病では5mg開始、心不全・CKDでは10mg 1日1回
- ジャディアンスは通常10mg 1日1回。2型糖尿病で効果不十分なら25mgへ増量可
- ジャディアンス25mgは心不全・CKDの効果を強める目的の用量ではない
- 両剤とも脱水、尿路・性器感染、ケトアシドーシス、低血糖併用に注意
- 発熱・嘔吐・下痢・食事摂取不良・脱水・手術前後では一時休薬を含む対応を確認する
- 「どちらが強い」ではなく、適応・腎機能・患者背景・併用薬で考える



※図は理解を助けるために簡略化しています。個別の優劣・推奨を示すものではありません。実際の適応・用量・安全性は最新の電子添文を優先してください。
フォシーガとジャディアンスの違いを比較
| 項目 | フォシーガ | ジャディアンス |
|---|---|---|
| 一般名 | ダパグリフロジン | エンパグリフロジン |
| 2型糖尿病 | 適応あり | 適応あり |
| 1型糖尿病 | 適応あり(インスリン併用) | 適応なし |
| 慢性心不全 | 適応あり | 適応あり |
| 慢性腎臓病 | 適応あり | 適応あり |
| 糖尿病の通常用量 | 5mg 1日1回、効果不十分で10mg | 10mg 1日1回、効果不十分で25mg |
| 心不全・CKD | 10mg 1日1回 | 10mg 1日1回 |
作用機序|SGLT2を阻害すると何が起こる?
SGLT2は腎臓の近位尿細管にあり、原尿中のグルコース再吸収に関わります。SGLT2阻害薬はこの再吸収を抑え、尿中へグルコースを排泄させます。
またナトリウム排泄や浸透圧利尿にも影響し、体液量や腎糸球体内圧に関係する作用を通じて、心不全やCKDでの臨床効果につながると考えられています。
フォシーガの用量|5mgと10mgの意味
2型糖尿病
通常、ダパグリフロジンとして5mgを1日1回。効果不十分時は10mgへ増量できます。
1型糖尿病
インスリン製剤との併用で、通常5mgを1日1回。必要に応じ10mgまで増量できます。インスリン中断はできません。
慢性心不全・慢性腎臓病
10mgを1日1回です。
ジャディアンスの用量|10mgと25mgの違い
2型糖尿病
通常、エンパグリフロジンとして10mgを1日1回、朝食前または朝食後に服用します。血糖コントロールが不十分な場合は25mgへ増量できます。
慢性心不全・慢性腎臓病
10mgを1日1回です。
重要:ジャディアンス25mgは、心不全やCKDの効果を増強する目的で使う規格ではありません。25mgは2型糖尿病で血糖コントロール不十分時に増量する規格です。
処方意図をどう読む?
フォシーガ10mg、ジャディアンス10mgが処方されていても、糖尿病とは限りません。慢性心不全やCKD目的で処方されることがあります。
- 糖尿病目的か
- 心不全目的か
- CKD目的か
- フォシーガなら1型糖尿病か
処方目的を確認すると、服薬指導で強調すべきポイントが変わります。
腎機能|eGFR低下時はどう考える?
SGLT2阻害薬は腎機能低下に伴って血糖降下作用が弱くなる一方、心不全・CKDでは血糖低下とは別の目的で使われます。
したがって、eGFRだけで「効かない薬」と判断せず、何の適応で使っているかをまず確認します。透析中や末期腎不全など、適応外・慎重判断となる状況は最新の電子添文を確認してください。
共通の重要副作用① 脱水・体液量減少
尿量増加により脱水、血圧低下、腎機能悪化が起こることがあります。特に高齢者、利尿薬併用、食事・水分摂取低下、発熱・下痢・嘔吐時は注意します。
共通の重要副作用② ケトアシドーシス
SGLT2阻害薬では、血糖値がそれほど高くなくてもケトアシドーシスが起こることがあります。
- 悪心・嘔吐
- 食欲低下
- 腹痛
- 強い口渇
- 倦怠感
- 呼吸困難
- 意識障害
こうした症状がある場合は、血糖値だけで否定せず受診につなげます。
リスクが上がる状況
- 発熱・感染症
- 嘔吐・下痢
- 食事摂取不良
- 脱水
- 過度な糖質制限
- インスリン減量・中断
- 手術前後
シックデイ|「飲めない・食べられない」は重要
食事や水分を十分にとれない状態では、脱水やケトアシドーシスのリスクが上がります。患者向け資材でも、一時的に中止が必要になる場合があるため医師へ相談するよう案内されています。
薬局では「風邪ですか?」だけでなく、食事がとれているか、水分がとれているか、嘔吐や下痢がないかを具体的に確認します。
尿路感染・性器感染
尿糖排泄が増えるため、尿路感染症や性器感染症が起こることがあります。排尿痛、頻尿、発熱、陰部のかゆみ・発赤・痛みなどを確認します。
低血糖|単剤より併用薬を見る
SGLT2阻害薬単独では低血糖は起こりにくい一方、インスリンやSU薬などと併用するとリスクが上がります。併用薬まで含めて確認します。
薬剤師が確認したいチェックリスト
- □ 適応は糖尿病・心不全・CKDのどれか
- □ フォシーガなら1型糖尿病か
- □ 腎機能・eGFR
- □ 利尿薬併用
- □ 血圧低下・めまい・脱水症状
- □ 食事・水分摂取ができているか
- □ 発熱・嘔吐・下痢などシックデイ状態がないか
- □ 手術予定がないか
- □ 尿路・性器感染症状
- □ インスリン・SU薬併用による低血糖
- □ 過度な糖質制限をしていないか
疑義照会・確認を考えたい5症例
ケース1:ジャディアンス25mgが「心不全目的」で開始
心不全に対する通常用量は10mgです。2型糖尿病の合併や血糖コントロール状況、処方意図を確認します。
ケース2:フォシーガ5mgをCKD目的で新規開始
CKDでは通常10mgです。糖尿病適応なのか、過去の使用歴があるのか確認します。
ケース3:発熱・嘔吐でほぼ食べられないのに継続中
脱水・ケトアシドーシスリスクがあります。服用継続の可否を処方医へ確認します。
ケース4:SGLT2阻害薬+利尿薬で強いふらつき
体液量減少や血圧低下を疑い、血圧、体重、水分摂取、腎機能を確認します。
ケース5:悪心・腹痛・倦怠感があるが血糖150mg/dL
血糖がそれほど高くなくてもケトアシドーシスは否定できません。速やかな受診を勧めます。
服薬指導|患者さんへの説明例


「この薬は、腎臓で糖や塩分を再吸収する働きを抑えて、尿へ出しやすくする薬です。糖尿病だけでなく、心臓や腎臓を守る目的で使うこともあります。発熱・嘔吐・下痢などで食事や水分が十分にとれないときは、自己判断で続けず医療機関や薬局に相談してください。」
よくある質問
Q1.どちらが強い?
単純な強弱では比較できません。適応、患者背景、腎機能、既往歴、併用薬、これまでの治療反応を踏まえて選択されます。
Q2.糖尿病がないのに処方されたのはなぜ?
慢性心不全や慢性腎臓病の治療目的で処方されることがあります。
Q3.ジャディアンス25mgの方が心不全に効く?
心不全・CKDに対する通常用量は10mgです。25mgは2型糖尿病の血糖コントロール不十分時に増量する規格です。
Q4.フォシーガ5mgと10mgの違いは?
糖尿病では通常5mgから開始し、効果不十分なら10mgへ増量できます。心不全・CKDでは通常10mgです。
Q5.風邪や胃腸炎のときも飲む?
食事・水分が十分にとれない場合は一時休薬が必要になることがあります。個別の指示は処方医・薬剤師へ確認します。
Q6.尿糖が陽性になるけど大丈夫?
薬理作用で尿中へ糖を排泄するため、服用中は尿糖陽性になります。

※図は実務上の確認ポイントを簡略化しています。両剤の直接的な優劣を示すものではありません。患者背景と最新の電子添文をもとに個別判断してください。
まとめ|同じSGLT2でも処方意図は違う
- フォシーガは1型糖尿病にも適応あり
- 心不全・CKDでは両剤とも10mg 1日1回
- ジャディアンス25mgは心不全・CKDの効果増強目的ではない
- 脱水・ケトアシドーシス・尿路/性器感染は共通注意
- 食事摂取不良・感染症・手術時は休薬判断が重要
- 適応、腎機能、糖尿病合併、利尿薬併用まで見て処方意図を読む
参考文献・一次情報
※本記事は2026年9月時点のPMDA電子添文・RMP等をもとに作成しています。実際の処方・休薬・用量調整は、最新の電子添文と個別の患者背景を確認してください。


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