【酪酸生成菌】宮入菌の特徴【腸内フローラ】

腸内フローラ

皆さまこんにちは

薬局薬剤師のゆずまるです

【薬剤師歴】 8年目
【管理薬剤師歴】4年目
【勤務場所】調剤&ドラッグストア
【実績】地域支援体制加算・後発3・健康サポート薬局を無実績状態から3年以内に達成
【目指す薬局】地域に根ざした薬局

今回は酪酸生成菌の宮入菌について紹介します

宮入菌とは?

クロストリジウム・ブチリカ厶(Clostridium butyricum)

そのうちのMIYAIRI株は人の腸管内の腐敗菌に対して強い拮抗作用がある酪酸菌として発見されました

代表的な医薬品はミヤBM

Butyricum MIYAIRIの頭文字をとってBMと名付けられた

グラム陽性、有芽胞、偏性嫌気性の桿菌で、酪酸、酢酸などの短鎖脂肪酸を産生する。

ビフィドバクテリウム(ビフィズス菌)やラクトバチルス(乳酸菌)などの腸内有益菌と共生することにより、整腸効果を発揮します。

宮入菌の増殖性

酪酸菌(宮入菌)は腸管内で発芽、増殖することにより酪酸等の短鎖脂肪酸を産生します

ラットでの経口投与での増殖性は以下の通り

酪酸菌(宮入菌)経口投与

⬇30分後

小腸上部で発芽

⬇2時間後

小腸下部にて分裂増殖

⬇5時間後

胃から大腸にかけて分裂増殖

⬇3日後

便より排泄

※添付文書参照

酪酸菌(宮入菌)の特徴

芽胞形成菌の宮入菌はパワフルさと安全性が魅力!

その特徴を紹介していきます

安全性

ほぼ副作用なし!

単回投与毒性試験において、雌雄各 10 匹のラットに宮入菌末の技術的に投与可能な最大量 5,000 mg/kg を経口投与しても死亡例は認められなかった。

その他急性、亜急性および慢性毒性試験でも、経口投与可能な最大量を投与しても中毒症状は発現しなかったと報告されています。

耐熱性

熱や環境変化に強い!

80℃では30分90℃では10分の湿熱条件において全試験菌株が生存。

90℃20分では95%、100℃5分では30%生存します。

抗生物質抵抗性

抗生物質に強い!

マウスに 4 種の抗生物質の各 10 倍量と酪酸菌(宮入菌)を各々併用投与しても単独投与と同様に腸管内において発芽、増殖し、糞便中からは投与した菌が生存したまま回収されてくると報告もあります

胃液に対する安定性

生きたまま腸内まで届く作用があり!

人胃液中において、宮入菌と他の乳酸菌類との胃酸抵抗性を比較したところ、pH3.5 以下において、乳酸菌類はほぼ完全に死滅するのに対して、宮入菌はほとんど影響を受けなかった

酪酸菌(宮入菌)の改善効果

酪酸菌(宮入菌)の産生する酪酸や酢酸などの短鎖脂肪酸は様々な効果が期待されています

宮入菌の働き
  • 消化管上皮細胞の増殖
  • 腸管内の水分やナトリウムの調節
  • 腸管内の抗炎症
  • 大腸のエネルギーになる
  • ビフィズス菌や乳酸菌の働きを助ける
  • アミラーゼ、ビタミンB群(B1・B2・B12・ニコチン酸・葉酸)を産生する
  • 有害細菌によるアンモニアやアミンの発生を抑制

酪酸菌(宮入菌)の効果は様々で多くのメリットがあります

臨床成績

宮入菌製剤を使用した臨床試験の概要は、次のとおりであった。

対象疾患改善率
胃腸炎75% (3/4 例)
腹部症状80% (271/338 例)
下痢97% (117/121 例)
便秘67% (6/9 例)
交替性便通異常80% (8/10 例)
軟便59% (94/159 例)

腸管病原性細菌の増殖抑制

酪酸菌(宮入菌)は

コレラ菌、赤痢菌、腸炎ビブリオ、サルモネラ属菌、腸管病原性大腸菌、腸管毒素原性大腸菌、腸管出血性大腸菌

などの各種腸管病原体の発育を抑制した

無菌マウスを用いた腸管出血性大腸菌感染マウスでは感染7日目までにすべてのマウスが斃死したのに対して酪酸菌(宮入菌)投与マウスではすべてが生存した

腸管出血性大腸菌感染マウスの腸管内では酪酸菌(宮入菌)による腸管出血性大腸菌の増殖抑制および志賀様毒素(SLT)1型および2型の産生抑制効果が認められた。

様々な有害な腸内細菌の増殖を抑えます

腸管粘膜機能に対する改善効果

経管栄養療法施行の高齢者において、酪酸菌(宮入菌)製剤を併用したところ

腸管粘膜萎縮の指標である血中ジアミンオキシダーゼ(DAO)活性の低下、糞便中水分率の減少、糞便正常の改善および排便回数の改善が認められた。

ジアミンオキシダーゼ(DAO)とは

ジアミンオキシダーゼ(DAO)はヒスタミン代謝酵素です

DAOの活性が悪くなると、ヒスタミンが迅速に分解されずヒスタミン不耐症の症状を示します。

つまりヒスタミンが体内に蓄積されやすい状態ですね。

DAOは、ほぼ全身に存在しますが、最も重要な作用部位は腸です。

血清および血漿中のDAO濃度の測定は、ヒスタミン不耐症や関連する症状の診断マーカーとして適しています。

症状の例
  • 高頻度な頭痛/片頭痛
  • ヒスタミン含有食品接種後の鼻づまり
  • 組織の浮腫
  • まぶたの腫れ
  • 皮膚の発赤
  • 手足の痛み
  • 胃腸の不快感

過敏性腸症候群患者

過敏性腸症候群患者では乳酸菌、ビフィズス菌および総嫌気性菌の減少がみられClostridiumの増加が確認されています

過敏性腸症候群の症例において、腹痛、下痢、便秘あるいは交替性便通異常等に対して、宮入菌製剤は123例中99例(80.5%)に有効であった

Clostridium difficile (クロストリジウムディフィシル)については別の回で解説していきます!

化学療法剤投与中

化学療法剤を投与すると嫌気性菌等の菌数減少や腸内細菌叢の異常や短鎖脂肪酸の減少が起きる

各種抗菌剤の投与を受けた成人において、偽膜性大腸炎の原因菌とされるClostridium difficileの糞便中検出率が著しく増加したが、宮入菌製剤を併用することによりその出現頻度並びに菌数は減少した

予め宮入菌を定着させた後Clostridium difficileを感染させた無菌マウスは、Clostridium difficileを単独感染させた無菌マウスと比較して致死率が減少し、上皮細胞の壊死及び出血等も観察されなかった。

腸内菌叢の異常は酪酸菌(宮入菌)の投与により早期に回復することが期待されています

酪酸菌(宮入菌)投与による炎症性腸疾患の防御作用

正常な大腸フローラでは主要な発酵産物の酢酸が短鎖脂肪酸の受容体を介して炎症応答を抑制的に制御しています。

ラットに腸内へデキストラン硫酸塩(DSS)を投与し炎症や潰瘍を誘発その後酪酸菌(宮入菌)投与により、潰瘍および炎症の面積の縮小、MPO活性の低下および浮腫の顕著な抑制作用が確認された。

ミエロペルオキシダーゼ(MPO)とは

ミエロペルオキシダーゼ(MPO)とは、幅広い生物に対して抗菌活性を示すヘムベースのペルオキシダーゼ酵素です。

ミエロペルオキシダーゼ(MPO)は、正常な組織を損傷し、炎症を促進させ酸化ストレスの増加、およびカタラーゼ活性レベルの低下に相関することがわかっています。

関節炎、がん、腎機能障害、および嚢胞性線維症を含む多くの疾患状態に関与しています。

市販でも酪酸菌は変える?

買えます!


気軽に買えるのはいいですよね♪

まとめ

酪酸菌の代表格の宮入菌について紹介しました

芽胞形成菌といったメリットを活かした腸活が出来ることは最大のメリットですよね!

この菌と同属の菌にクロストリジウムディフィシルといった厄介なのがいます。

次作で紹介いたしますのでそちらもぜひご覧ください

参考文献

ミヤBM添付文書

ミヤBMインタビューフォーム

  • もしよかったらTwitterやっておりますので下記アイコンより登録していただけると嬉しいです♪

シェアも歓迎です♪

他にもたくさん記事を書いていく予定ですのでよろしければご覧いただけてたら幸いです★

コメント

タイトルとURLをコピーしました