みなさまこんにちは薬局薬剤師のゆずまるです
今回は腸内環境を見ていくための指標と代表的な菌の紹介をします。
腸内フローラをみるにあたってのポイントを見ていきます
- 菌の多様性とは?
- 短鎖脂肪酸生成菌
- 腸管免疫
- 口腔内常在菌
- 美容関連菌
- 簡単に腸内環境を調べるツール
今までのまとめみたいな感じですかね
それでは最後までお付き合いください
腸内環境を見る指標
腸内環境がいい状態とは何でしょうか
主に腸内環境を見ていくにあたってのポイントは主に4つあります。
「菌の多様性の状態」「短差脂肪酸」「腸管免疫」「口腔内常在菌の存在」
これが腸内環境とどう関わりがあるのか見ていきましょう
腸内細菌の多様性
腸内細菌叢中には様々な機能をもつ菌がバランスよく存在しています
多様性が悪くなることで病気にかかる事もあるし、病気になると腸内細菌の多様性が落ちることもあります。
主に保有菌の「種類数」と「均等度」の 2 つを見ます。
菌の種類や数のバランスが多いのが理想
一種の菌が多いなどは多様性が悪い状態です
イメージ図
図の例だと右に行くほど菌の種類が多く、下に行くほど菌の数がバランス良く存在していることが分かりますよね
この菌のバランスの事を多様性といい、右下の状態を多様性かある状態といいます。
多様性が失われる原因
肥満の人の細菌叢は多様性が少なく、特定の菌種に偏る傾向にあります
標準体重の人が高カロリー食を摂取すると、フィルミクテス門の細菌が増加し、バクテロイデス門の細菌が減少したとの報告もあります。
また、バクテロイデス門に含まれるいくつかの菌が、他の菌の定着を促し腸内細菌叢の多様性を高めるのではともいわれています。
そのため食生活の乱れが多様性の低下を招くと言われています。
短差脂肪酸生成菌
短鎖脂肪酸とは、酢酸・酪酸・プロピオン酸などの炭素数6以下の脂肪酸の総称です。
水溶性の食物繊維やオリゴ糖などがエサとなり一部の菌が短鎖脂肪酸を産生します
腸内を酸性に保つことや炎症性サイトカインの発現を抑制する作用があります。
肥満予防や代謝促進、免疫機能調整など様々なことに注目されています
主に整腸剤に使われている善玉菌と言われている菌はこの分類に属します
ビフィズス菌
ビフィズス菌はアクチノバクテリア門のビフィドバクテリウム属に属する菌の総称ことです。
偏性嫌気性菌で小腸下部から大腸にかけて増殖します。
糖を分解することで酢酸と乳酸を3:2でつくる特徴をもつ。
乳酸も生成するが乳酸生成量が50%未満のため乳酸菌の定義からから除外されています。
- 酢酸や乳酸、ビタミン B 群、ビタミン K、葉酸などを産生する
- 母乳で育った赤ちゃんの腸内に非常に多い
- 加齢により減少する
- 長寿の人に多い
- 腸内の腐敗生成物を減らす
ビフィドバクテリウムについては別記事でも紹介していますのでよろしければそちらもご覧ください
乳酸生成菌
乳酸菌は分類学上の呼び名ではなく糖を分解して大量の乳酸を作る細菌をひとくくりにした総称です
グルコースを分解しできた乳酸が50%以上のできる場合を指します。
ヒトや動物の体をはじめ、環境中の多くの場所から見つけることができます。
通性嫌気性菌であり、小腸から大腸にかけて増殖する。
また胃酸や胆汁酸に強い菌株がプロバイオティクスとして活用します
- 胃酸や胆汁酸に強い菌株が存在
- 生育にナイアシンが必要
- 小腸に多く大腸には少ない
- 大腸菌などの悪玉菌を抑える
- 消化や吸収を助ける
- 免疫力を高める、ピロリ菌、花粉症予防作用の菌株も存在
乳酸菌も多種あるため別記事で紹介しています
よろしければそちらをご覧ください
酪酸生成菌
主に酪酸を産生する菌
グルコースの代謝過程でピルビン酸経路に入りアセチルCoA作成から酪酸を生成する。
酪酸は大腸の粘膜上皮のエネルギー源になります。
偏性嫌気性菌であり、芽胞を形成する。大腸で増殖する性質をもちます。
酪酸菌の種類一覧
- フィーカリバクテリウム属
- ブチリシモナス属
- コプロコッカス属
- ロセブリア属
- ブチリシコッカス属
クロストリジウム・ブチリカム(宮入菌)が代表格の一つです
腸管免疫
善玉菌と悪玉菌の状態を見ます。
病原性のある細菌や免疫機能を司る菌のバランスをみることで腸内の健康状態をみます
クロストリジウム属
クロストリジウム属の特徴は様々です。人にとって良い菌も悪い菌もこのクロストリジウム属に含まれています。
基本的にはクロストリジウム属は整腸剤に含まれる宮入菌なども含まれ、酪酸を産生する働きがあるため人の体にとって良い影響をもたらします
その一方でボツリヌス菌や破傷風菌、ウェルシュ菌などもクロストリジウム属に含まれます。
クロストリジウム属の過剰な増殖がないか見ることは腸管免疫機能を見るときの1つの指標となります
アリスティペス属
バクテロイデス門に属する細菌
腸管内の炎症との関連があると考えられている菌の1つで過敏性腸症候群 (IBS)の患者に少ない菌と言われています。
グルコースの培養条件下で酢酸とコハク酸を作ることも知られています
フィーカリバクテリウム属
酪酸産生菌の代表格
ビフィズス菌、乳酸菌と同様に腸内で占有率が高い善玉菌
一般的な腸内細菌の1つで腸内の細菌の5%以上を占めている
疾病予防に関与すると言われ、排便回数、便量、便色の改善効果も確認されています
免疫系で重要視されており、長寿の人にも多く存在するため長寿菌とも呼ばれています。
口腔内常在菌
口腔内常在菌は唾液とともにヒトの体内へ流入してきます
胃酸の働きにより、胃で殺菌されるため通常は腸内まで届くことはありません
また、仮に腸内で存在していたとしても免疫状態が良好であれば腸管内に存在していても問題ありません
極端に多いと腸内の菌叢バランスが崩れる原因になると考えられています。
腸管バリアが崩壊していると口腔常在菌が増殖しやすい状態になり腸内環境を悪くする可能性があります。
ストレプトコッカス属の割合
口腔内にはストレプトッコカス属(レンサ球菌)の多くの菌が存在する。
レンサ球菌は口腔フローラ中で最も大きな比率を占めています
特に有名なミュースタンス菌は虫歯の原因のひとつ
歯周プラークから見つかることもあり大腸がん患者の口内にはストレプトコッカス属などの細菌が豊富に存在すると言われています
ジンジバリス菌
Porphyromonas gingivalis(ジンジバリス)
歯周病菌とも知られています
特に歯周ポケット内の低酸素条件下で生息しやすく歯周炎を引き起こしたり、腸内細菌叢を乱す原因になります
ガンマプロテオバクテリア綱
口腔内に多く存在し、腸内では有害な作用をもたらすと知られています
炎症性腸疾患などの慢性疾患の患者で多いと言われている指標です
腸内細菌科、ビブリオ科、シュードモナス科といった非常に多くの重要な病原体がこの綱に所属します
便やガスの臭いの元になる硫化水素を酸化させたり、メタンガスを産生する菌も含まれます。
フソバクテリウム・ヌクレアタム
口腔内での常在菌の一種
この菌株もジンジバリス菌と同様に歯周病の原因菌と言われている
大腸がんの患者さんの便中に特徴的に多数存在することが報告されています
美容系指標
肥満や痩せ、美容などと関わりの深い菌のバランスが分かります。
FB 比 ( 太りやすさ )
フィルミクティス門(F)とバクテロイデス門(B)の比から F/B 比を出します
太っている人ほど、Fが多くBが少ないため傾向になるため、F/B比率が大きくなる
バクテロイデスには短鎖脂肪酸生成菌が含まれるため脂肪の吸収を抑えるといわれています
PB比〜プレボテラ属〜
プレボテラ菌は腸内で食物繊維の分解を行っており血糖の上昇を抑える作用があるといわれています
大麦を食べる人は腸内にこの菌が多い傾向があります
バクテロイデスは脂肪相関型と言われ、長期的な高脂肪・低食物繊維食の接取によって増加する
プレボテラは炭水化物相関型といわれ、低脂肪・高食物繊維食で増加する
バクテロイデス属に属するプレボテラ属の割合(PB 比)が高い人は高食物繊維・高タンパク質食によるダイエット効果が高いといわれています
アッカーマンシア属
いわゆる痩せ菌と言われています
肥満者や2型糖尿病の人の腸内には、Akkermansia muciniphia(アッカーマンシア・ムシニフィラ)菌が少ない
そのため腸内環境のアッカーマンシア属の割合を見ることで太りやすさが分かります
クリステンセネラ属
もう一つの痩せ菌
肥満と関係性がある腸内細菌にクリステンセネラ属も注目されています
BMIの低い人の腸内に多いことが分かっています
糖を代謝して酢酸と微量の酪酸をつくる
エクオール産生菌
エクオールは、⼥性ホルモン様作⽤があることが知られています
体内で⼤⾖イソフラボンからエクオールをつくるのにエクオール産生菌が必要です
エクオール産生菌が存在している人は大豆から効率よく女性ホルモンを作ることができる
特に女性の方に着目したいポイントですね
バチルス属
納豆菌などはバチルス属に含まれます
納豆をよく食べる人ほどバチルス菌を保有している人が多い傾向にあります
- 血液凝固や骨粗鬆症の予防に効果があるビタミン Kの産生
- 老化により減少する傾向のあるポリアミンの合成(腸内の免疫力アップ)
- 腸管内を保護する作用のある抗菌ペプチドを産生
など様々な特徴をもつのがバチルス菌です
腸内フローラ検査キット
腸内細菌の話がされても自分がどんな腸内環境なのか分からなければ対策のしようがありませんよね
とりあえず健康のために善玉菌とっておこうかな?と思うくらいだと思います
腸内の状態なんて想像内でしか分からないですよね
色々と調べてみたところ、自宅にいても簡単に腸内フローラの検査を行う事ができるツールを見つけました
マイキンソーとは?
株式会社サイキンソーから発売した腸内細菌叢の検査キットで腸内状態を可視化できるツールです
公式サイト
マイキンソーで何が分かる?
自分の腸内環境を可視化し客観的にわかるマイキンソーですが一体何が分かるのでしょうか
下記に簡易的にまとめました
- 太りやすさ
- 腸のタイプ
- 菌の多様性
- 主な細菌の割合
- 細菌の構成
- 過去の腸内環境のデータ比較(2回目以降)
※マイキンソーによる検査結果は診断行為ではありません
こんなに細かく腸内の状態をみれるなら分かりやすいし是非1度はやってみたいですよね
マイキンソーは2種類
パーソナルとプロと2種類あります
パーソナルは個人で購入し実施可能
プロは医療機関でのみ販売
専門家のアドバイスがつき、検査結果もより詳しくなってる印象
検査の流れ
通常購入ができるパーソナル版での流れを記載します
※ネット環境が必要
- ステップ1マイキンソー購入
マイキンソーパーソナルをネットで購入する - ステップ2アカウント登録
検査キット到着後、アカウント登録 - ステップ3ログインしてキットを登録
検査キットID(数字12桁)を
マイページから登録 - ステップ4検査前のアンケートを実施
普段の生活習慣など簡易アンケートに答える - ステップ5便を採取し郵送する
採便後1週間以内に同封の封筒に入れ郵便ポスト投函 - ステップ6検査結果の確認
検査キット到着から6週間程度で検査結果がウェブ上で確認可能
流れをみると簡単にできそうですよね
自分の腸内環境を確認するためにも1度やってみるといいですよね
まとめ
腸内環境を見るべきポイントについて解説しました。
また、腸内環境を調べるツールであるマイキンソーも紹介させて頂きました
ただ漠然とお腹の調子が悪いのであれば客観的に腸内環境を確認できるアイテムを利用するのも1つの手だと思います
患者にも一歩進んだアドバイスができるようになるので1つの方法として覚えておくと良いですよね
- もしよかったらTwitterやっておりますので下記アイコンより登録していただけると嬉しいです♪
シェアも歓迎です♪
他にもたくさん記事を書いていく予定ですのでよろしければご覧いただけてたら幸いです★
参考文献
16S rRNA gene sequencing and healthy reference ranges for 28 clinically relevant microbial taxa from the human gut microbiome Almonacid DE PLoS One2017
Enterobacteric flora and Diseases - Indigenous microbiota regulate the host health - Hideaki NOMUR
A
マイキンソー公式サイト
コメント