※本記事は2026年8月28日時点の厚生労働省資料をもとに作成しています。制度の詳細は2026年9月頃を目途に成案を得る予定とされており、今後変更される可能性があります。
この記事の結論
- OTC類似薬の新制度は2027年3月施行予定です。
- 対象となる医療用医薬品には、原則として薬剤料の4分の1に相当する「特別の料金」が加わる方向です。
- 「保険から完全に外れる」のではなく、薬剤費の一部を保険給付外とする一部保険外療養という仕組みです。
- 対象候補は2026年8月1日時点で77成分。ロキソプロフェン、フェキソフェナジン、ヘパリン類似物質、ラメルテオンなど身近な成分も含まれます。
- 18歳到達後最初の3月末までのこども、生活保護受給者、がん・指定難病に関連する治療、一定の長期使用などは、別途負担の対象外とする方向で検討されています。
- 薬局では「対象薬か」だけで判断せず、処方箋上の対象・対象外情報、年齢・医療扶助等を確認し、患者へ料金を説明する実務が想定されています。

「OTC類似薬が保険から外れるらしい」「ロキソニンやアレグラが急に全額自己負担になるの?」という話を見かけて、不安になった方もいるかもしれません。
2026年8月27日、厚生労働省は第213回社会保障審議会医療保険部会で、OTC類似薬の保険給付見直しについて新しい資料を公表しました。今回の資料では、患者が支払う別途負担、対象外となる人・療養、院外処方時の実務フロー、今後のスケジュールがかなり具体化しています。

「OTC類似薬は保険外し」って聞いたんですが、2027年3月から薬代が全部自費になるんですか?

そこが一番誤解しやすいところ。現時点の制度案は「全額自費」ではなく、対象薬の薬剤費の一部を保険給付外にして、別途「特別の料金」を支払う仕組みだよ。
OTC類似薬の「特別の料金」とは?
まず押さえたいのは、今回の見直しが単純な「保険適用除外」ではないことです。2026年6月5日に公布された健康保険法等の一部を改正する法律では、要指導医薬品・一般用医薬品との代替性が特に高い薬剤を用いた療養などについて、費用の一部を保険給付の対象としない一部保険外療養が創設されました。
つまり、診察・調剤そのものがすべて自費になる制度ではありません。対象となる医療用医薬品を保険診療の中で使用しつつ、その薬剤費の一部について患者が通常の一部負担とは別に支払う構造です。
特別の料金は「薬剤料の4分の1」が基本
2026年8月27日の厚生労働省資料では、対象となる場合の別途負担を薬剤料の4分の1とする考え方が示されています。資料の患者向けイメージでも「特別の料金(薬剤料の4分の1)」と明記されています。
ここで重要なのは、「窓口で今まで払っていた3割に25%を足す」という単純な意味ではないことです。通常の定率負担と、保険給付外となる特別の料金は別枠で計算されます。また、実際の負担額は薬価や消費税などによって異なる場合があります。
| 項目 | 見直し前 | 見直し後の考え方 |
|---|---|---|
| 診察・調剤の技術料 | 通常の保険診療 | 基本的に通常の保険診療 |
| 対象薬の薬剤費 | 通常の定率負担 | 通常の負担+薬剤料の4分の1の特別料金 |
| 制度の位置づけ | 療養の給付 | 一部保険外療養 |
| 対象外措置 | なし | こども・生活保護・一定の疾病や長期使用等を検討 |
なぜ4分の1なのか。厚労省資料では、医療用医薬品の処方を保険で受ける人と、OTC医薬品を自費で購入する人との公平性、保険料負担の抑制を制度目的として示しています。一方で、患者負担が急激に増えすぎないようにする必要もあるため、薬剤費全額を保険外にするのではなく、一部を別途負担とする設計になっています。
いつから始まる?2027年3月施行予定
厚生労働省が8月27日に示したスケジュールでは、2026年9月中にOTC類似薬の一部保険外療養の仕組みについて取りまとめを行い、その後、患者・医療従事者への周知や医療現場・審査支払機関の準備を進め、2027年3月に施行する予定です。
したがって、2026年8月28日時点で「すべての運用が確定した」と考えるのは早すぎます。対象外の具体的な判定基準、処方箋・レセプトへの記載方法、システム対応などは今後の正式通知を確認する必要があります。
じゃあ、患者さんに「あなたは絶対にいくら上がります」と今の時点で言い切るのは危ないんですね。
その通り。今わかっている原則と、まだ検討中の部分を分けて説明するのが大事だよ。
対象は77成分|どんな薬が含まれる?
厚労省は、OTC医薬品と成分・投与経路が同一で、一日最大用量が異ならない医療用医薬品を機械的に選定し、2026年8月1日時点で77成分を示しています。
身近な例では、ロキソプロフェンナトリウム水和物、フェキソフェナジン塩酸塩、ロラタジン、ヘパリン類似物質、テルビナフィン塩酸塩、ベタメタゾン吉草酸エステル、モメタゾンフランカルボン酸エステル水和物、ピコスルファートナトリウム水和物、ラメルテオンなどが一覧に含まれます。
ただし、ここで「77成分に入っている=どんな処方でも必ず特別料金」と覚えるのは誤りです。実際の判定では、効能・効果、患者属性、治療目的、長期使用の必要性などを確認する仕組みが検討されています。
77成分のリストだけでは判定できない理由
同じ成分でも、医療用医薬品とOTC医薬品で認められている効能・効果が完全に同じとは限りません。例えばフェキソフェナジン塩酸塩では、医療用医薬品はアレルギー性鼻炎だけでなく、蕁麻疹や皮膚疾患に伴うそう痒にも使われます。一方、OTC側で対応できない効能・効果に使用するケースまで「OTCで代替できる」と扱うのは合理的ではありません。
このため厚労省は、処方対象の疾患がOTC医薬品では対応していない効能・効果であれば、別途負担の対象外とする方向を示しています。
特別の料金がかからない可能性がある人・療養
今回の資料で実務上もっとも重要なのが、対象外の整理です。現時点では次のようなケースが示されています。
| ケース | 2026年8月27日時点の方向性 | 薬局での注意 |
|---|---|---|
| 18歳到達後最初の3月末まで | 対象外とする案 | 年齢確認 |
| 生活保護受給者 | 対象外とする案 | 医療券等の確認 |
| OTCでは対応できない効能・効果 | 対象外 | 処方箋上の情報・国の一覧を確認 |
| がん・指定難病に関連する治療 | 対象外となる方向 | 医師判断・記載内容を確認 |
| 公費負担医療 | 対象外となる方向 | 公費情報を確認 |
| 処置・手術・検査に伴う14日以内の処方 | 対象外となる方向 | 処方目的の確認 |
| 年間を通じた使用等が医療上必要 | 対象外となる方向 | 医師判断が重要 |
| 特定成分で妊婦・妊娠可能性・授乳婦 | 対象外となる場合あり | 対象成分・医師判断を確認 |
こどもは何歳まで?
資料では、こどもの対象外範囲として18歳到達後最初の3月末までが提案されています。単純に「18歳未満」ではない点に注意してください。高校生年代までをイメージすると理解しやすいでしょう。
背景には、成長過程にあるこどもは医療の必要性や受診行動が成人と異なること、多くの自治体でこども医療費助成が行われていることがあります。
低所得者は全員対象外になる?
ここも誤解しやすいポイントです。8月27日資料では、低所得者への配慮を議論しつつ、具体案として生活保護受給者を別途負担の対象外としてはどうか、と示されています。「住民税非課税なら全員対象外」といった制度が確定したわけではありません。
長期使用なら何でも対象外?
いいえ。患者が「ずっと使っています」と申告するだけで自動的に対象外になる仕組みではありません。厚労省資料では、医師が年間を通じた症状の持続と治療の継続性を確認し、長期使用等が医療上必要と認める状態を想定しています。
内服薬では、年間の使用日数が概ね50週という目安が示されています。ただし、外用薬は使用量や頻度の個人差が大きく、処方日数だけでは判断しにくいため、慢性・反復性疾患として診断されているか、診療ガイドライン等で継続使用の必要性が示されているかなどを総合的に判断する考え方です。
ヘパリン類似物質を何年も使っている患者さんなら、薬局で「長期だから対象外」にしていいですか?
薬局だけで自己判断するのは危険。現時点の案では医師の確認や処方箋への情報反映を前提にしたフローだから、正式な記載ルールを待って確認しよう。
院外処方では薬局は何をする?実務フローを超初心者向けに整理
8月27日資料では、院外処方の場合の流れが具体的に示されています。大きく分けると、医療機関側が対象性・対象外理由を判断し、薬局側が情報を確認して患者へ説明し、必要な料金を受け取る流れです。
STEP1:対象77成分かを確認
まず処方薬が対象成分に該当するか確認します。対象外なら通常の保険調剤として進みます。対象候補なら次の判定へ進みます。
STEP2:外形的な対象外条件を確認
18歳年度末までのこどもか、生活保護の医療扶助か、OTCで対応していない効能・効果かなどを確認します。年齢や医療扶助は、マイナ保険証や医療券等で把握できる情報もあります。
STEP3:医師が医療上の必要性を確認
がん・指定難病に関連する治療、公費負担医療、処置・手術・検査に伴う短期処方、年間の服用等が医療上必要な場合、特定成分で妊婦等に該当する場合など、診察を踏まえた医師判断が必要になる項目があります。
STEP4:処方箋の情報を薬局で確認
資料では、対象外の場合は対象外理由をレセプトに記載し、処方箋にも対象外であることを記載する方向が示されています。対象の場合も、処方箋に対象であることを記載する想定です。
STEP5:患者へ特別の料金を説明
対象であれば、薬局は患者に別途負担が生じることを説明します。ここでは「保険が使えなくなりました」ではなく、「保険診療の中で薬剤費の一部に別途負担が加わる制度です」と説明する方が制度を正確に伝えられます。
STEP6:必要に応じて疑義照会
処方箋情報と患者情報が食い違う、対象外理由が不明、医師判断が必要と思われるのに記載がないなど、判断に迷う場合は疑義照会が必要になる可能性があります。正式な運用通知が出たら、薬局内で疑義照会基準を統一しておくと混乱を減らせます。
長期収載品の選定療養と二重に払う?
薬局実務では非常に重要です。厚労省資料では、制度が複雑化しないよう、OTC類似薬の一部保険外療養に該当する場合は、長期収載品の選定療養の特別の料金は求めないとする考え方が示されています。
つまり、同じ薬についてOTC類似薬の特別料金と長期収載品の選定療養の特別料金を単純に二重徴収する設計ではありません。
長期収載品の仕組み自体を確認したい方は、長期収載品の選定療養は2026年6月にどう変わる?薬局説明例も参考にしてください。
具体例で理解|この患者さんはどうなる?
例1:成人が風邪で対象の鎮痛薬を短期処方
対象77成分に該当し、OTCでも対応可能な効能・効果で、特別な対象外条件がなければ、原則として別途負担の対象となる方向です。薬局では処方箋の対象表示を確認し、特別料金について説明します。
例2:高校2年生に対象薬が処方
18歳到達後最初の3月末までの範囲に該当するのであれば、8月27日時点の案では対象外です。自治体の医療費助成の有無だけでなく、新制度自体のこども配慮として整理されています。
例3:生活保護受給者
医療扶助を利用する生活保護受給者は、別途負担の対象外とする案が示されています。薬局では医療券等を含めた資格情報確認が重要になります。
例4:対象の抗アレルギー薬を蕁麻疹に使用
医療用とOTCで効能・効果が異なり、OTCでは対応できない効能に該当する場合は対象外となる方向です。「成分が対象リストにあるから徴収」と機械的に処理しないことが重要です。
例5:慢性疾患で年間を通じて継続使用
医師が年間を通じた治療の必要性を確認し、国が示す基準を満たす場合は対象外となる可能性があります。内服薬では概ね50週という目安も示されていますが、正式運用では対象成分や記載方法を必ず確認してください。
患者さんへの説明例
初心者向け説明例
「2027年3月から、OTCでも代替しやすい一部の医療用医薬品について、通常の保険の自己負担とは別に薬剤費の一部をご負担いただく制度が始まる予定です。すべての薬が対象になるわけではなく、年齢や治療内容などによって対象外になる場合もあります。今回の処方が対象になるかは処方箋の情報などを確認してご案内します。」
患者さんから「じゃあ病院でもらう意味がないの?」と聞かれることも想定されます。その場合、医師の診察が必要な病態、OTCでは対応できない効能、継続的な医学管理が必要なケースがあることを説明し、「OTCでよいか、受診が必要か」を一律に決めつけないことが大切です。
薬局が2027年3月までに準備したいこと
実務チェックリスト
- □ 最新の対象成分・対象品目リストを確認する
- □ 処方箋の「対象/対象外」表示方法を確認する
- □ レセコンが特別料金の計算に対応しているか確認する
- □ 18歳年度末・医療扶助など外形的情報の確認方法を決める
- □ 医師判断が必要なケースの疑義照会ルールを決める
- □ 患者説明文を薬局内で統一する
- □ 特別料金と消費税の表示・領収書対応を確認する
- □ 長期収載品の選定療養と混同しないよう研修する
- □ 施行直前の厚労省通知・疑義解釈を再確認する
よくある間違い5つ
- 「77成分は全部保険適用外」
違います。薬剤費の一部を保険給付外とする制度で、対象外となる人・療養も検討されています。 - 「自己負担3割が4割になる」
単純な窓口負担割合の変更ではありません。通常の定率負担とは別に特別料金が生じる構造です。 - 「対象成分なら薬局で必ず徴収」
効能・効果や患者属性、医療上の必要性による対象外判定があります。 - 「長く使っていれば自動的に無料」
医師が医療上の必要性を確認する考え方で、自己申告だけでは判断できません。 - 「長期収載品の特別料金も両方取る」
現時点の資料では、OTC類似薬の一部保険外療養に該当する場合、長期収載品の選定療養の特別料金は求めない方向です。
既存の「OTC類似薬追加負担」記事との違い
ゆずまるブログでは、制度全体を初心者向けに整理したOTC類似薬の追加負担とは?2027年3月開始を初心者向け解説を公開しています。
本記事は、その後に公表された2026年8月27日の最新資料を中心に、「特別の料金はいくらか」「誰が対象外か」「薬局は何を確認するか」という実務に絞ったアップデート記事です。
制度の歴史や保険外し議論の背景を知りたい方は、OTC類似薬の保険外しとは?影響と薬剤師の対応を徹底解説、薬局でのOTC販売については調剤薬局で勝てる!OTC販売の実践テクもあわせてどうぞ。
FAQ|OTC類似薬の特別の料金
Q1. 2027年3月からロキソプロフェンは全部自費になりますか?
いいえ。「全部自費」とは限りません。対象となる療養では薬剤費の一部に別途負担が生じる仕組みで、こどもや一定の治療など対象外となるケースも検討されています。
Q2. 特別の料金はいくらですか?
現時点では薬剤料の4分の1が基本として示されています。実際の金額は薬価、処方量、消費税等で異なります。
Q3. 3割負担の人は合計55%負担ですか?
「3割+25%=55%」と単純に考える制度ではありません。保険給付外となる部分を差し引いた上で保険外併用療養費等を計算する仕組みで、特別料金は別枠です。
Q4. こどもは対象ですか?
8月27日資料では、18歳到達後最初の3月末までを別途負担の対象外とする案が示されています。
Q5. 生活保護の患者さんは?
生活保護受給者を対象外とする案が示されています。正式運用では医療扶助の確認方法等を通知で確認してください。
Q6. がん患者ならどんな薬でも対象外ですか?
「がん患者だから全処方が自動的に対象外」と単純化しない方が安全です。資料では、がん・指定難病に関連する治療かどうかを医師が確認する実務フローが示されています。
Q7. 1年間使う薬なら対象外ですか?
医師が年間を通じた使用等を医療上必要と判断することが前提です。内服薬では年間概ね50週という目安が示されています。
Q8. 長期収載品の選定療養と両方払いますか?
現時点の案では、OTC類似薬の一部保険外療養に該当する場合、長期収載品の選定療養の特別料金は求めないとされています。
Q9. 対象77成分はもう確定ですか?
2026年8月1日時点の一覧として77成分が示されていますが、制度施行までに正式な対象品目・運用通知を確認する必要があります。
Q10. 薬局は今すぐ患者に案内すべきですか?
制度開始前なので、問い合わせがあれば「2027年3月開始予定」「詳細は今後確定」と前置きし、確定事項と検討中事項を分けて説明するのが適切です。

まとめ|「保険外し」ではなく、対象・対象外を見分ける制度へ
OTC類似薬の見直しは、単純に「ロキソニンやアレグラが保険から外れる」という話ではありません。2027年3月から、OTC医薬品との代替性が特に高い医療用医薬品について、原則として薬剤料の4分の1を別途負担とする一部保険外療養が始まる予定です。
一方で、18歳年度末までのこども、生活保護受給者、OTCでは対応できない効能、がん・指定難病に関連する治療、公費負担医療、処置等に伴う短期処方、医療上必要な長期使用など、別途負担を求めない仕組みも具体化しています。
薬局にとって大切なのは「対象成分を暗記すること」だけではありません。なぜ対象なのか、なぜ対象外なのかを処方箋・患者情報・医師判断から確認し、患者にわかりやすく説明できることです。
2026年9月頃には制度の成案が示される予定です。正式な告示・通知・疑義解釈が公表されたら、対象品目、処方箋記載、レセプト、領収書、消費税、疑義照会の扱いを改めて確認しましょう。
参考文献・一次情報
※制度内容は今後の審議・告示・通知等で変更される可能性があります。実際の請求・患者負担の判断は、施行時点の最新の公的資料をご確認ください。


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